2011年度業界販売と元売決算データ比較 NO21
石油製品の需要動向、SS数、地下タンク大量廃業問題を考える
元売決算関連企画の 番目のお客様です。 2012/8/1 152,000開始
また需要や輸出、輸入、そしてSS数減少関連データについてもご報告させて頂きます。
過去企画は、以下の通りです。       文責 垣見裕司

11/8.NO20.2010年度決算編、10/8.NO19.2009年度決算編、09/8.NO18.2008年度決算編

08/8.NO17.2007年度決算編、07/8
.NO16.2006年度決算編06/8.NO15.2005年度決算編
05/8.NO14.2004年度決算編、04/8.NO13.2003年度決算編、03/8.NO12.2002年度決算編
02/8.NO11.2001年度決算編、01/8.NO10.2000年度決算編、0/11.NO9.原油処理設備問題
00/8.NO8.1999年度決算編、00/4.NO7.どこまで下がる石油株、99/8.NO6.1998年度決算編
99/2.NO5.経費削減リストラ編、98/8.NO4.97年度決算編、97/8.NO3.96年度決算,販売,SS数

石油製品別国内販売実績一覧表 2011年度(2012年3月末期)

まず業界環境がどのように変化しているのか、国内販売数量を見てみます。
2011年度は何と言っても震災の影響を抜きでは語れません。読者の皆様の記憶にも
新しいように3月一杯は、ガソリンを初めとして全油種品不足。そして4月以降それが
解消されたと思ったら、電力用C重油以外は、自粛ムードで消費減。そんな訳で直近の
2012年4月以降の月間の数字を判断する時は、1昨年(2010年)の同月数字とも比較
しないと正しい判断は出来ないものと思います。
よって今年も5年という複数年度掲載しましたのでその変化も見て下さい。
    
    2011年度 各油種の国内販売数量、資源エネルギー庁発表 
ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2007年度 59,042 48,533 5,916 22,666 35,586 21,369 25,354 46,723 218,464
2008年度 57,428 42,861 5,676 20,249 33,728 17,890 23,159 41,049 200,991
2009年度 57,464 47,320 5,283 20,056 32,388 16,043 16,434 32,477 194,988
2010年度 58,159 46,698 5,153 20,348 32,891 15,425 17,343 32,768 196,018
2011年度 57,213 43,728 4,204 19,619 32,866 14,680 23,743 38,423 196,055
伸率% 98.4 93.6 81.6 96.4 99.9 95.2 136.9 117.3 100.0

2012年度以降の需要も、私は極めて悲観的に見ています。エネ庁から
「総合資源エネルギー調査会基本問題調査委員会」で示された2030年のガソリン需要
予測は、6割減の2100万KL。重ねて申し上げますが、4割減ではありません。
しかし私は、自社の経営を考えれば、2020年で半減しても、SSとしてやっていけるビジネス
モデル構築しなければならないと思っています。
減少理由は、かねて申し上げている通り、エコカーへの乗り換えで毎年4%減。以下は
根拠のない数字ですが、節約意識で2%減。人口減、そして人口減より10年先に進む
75才以下の実質運転可能世代の減少。そしてEV車や燃料電池車等、ガソリンを全く
使わない車の2015年以降の普及で毎年94%。これで11年で半分となってしまいます。
2011年の製品輸出・輸入数量実績
元売の業績や販売を考える時、以前は、国内数字だけ見ればよかったのですが、
2005年度からは石油製品輸出が急増してきました。しかし2011年度は、灯油以外は
すべて減少し、震災の影響をまともに受けた形となりました。
輸出 千KL ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2004年度 112 26 5,888 155 1,525 161 7,770 7,931 15,637
2005年度 521 - 6,689 383 4,087 168 9,867 10,035 21,715
2006年度 317 23 7,955 499 4,950 165 9,409 9,575 23,319
2007年度 536 12 9,277 644 9,027 350 9,183 9,533 29,029
2008年度 710 38 10,080 444 13,050 561 9,269 9,830 34,153
2009年度 1,552 - 8,321 357 11,319 608 7,774 8,382 29,932
2010年度 2,198 - 8,936 198 11,045 733 7,172 7,905 30,281
2011年度 1,253 51 8,693 600 7,619 342 6,792 7,134 25,352
前年比% 57.0 -  97.3 303.5 69.0 120.5 46.5 94.7 83.7

一方輸入は下記の通りですが、ガソリンは2.6倍。C重油2.4倍。軽油も2倍となりました。
輸入千KL ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2009年度 854 25,838 - 459 317 76 2,257 2,332 29,799
2010年度 1,098 27,215 43 1,053 444 192 3,023 3,215 33,067
2011年度 2,909 24,867 - 1,490 875 89 7,146 7,235 37,377
前年比% 265.1 91.3 141.6 196.9 46.3 236.4 225.1 112.9
主要元売6グループの2011年12月末 2012年3月末期の決算数字
当期の特に3月末決算の元売の状況を一言で申し上げれば、JXとコスモ石油が
震災で多くの影響を受けたものの、2製油所が被災したJXは、予定より前倒しして
操業を再開。連結で1700億円という好決算を発表するものの、コスモ石油の方は、
千葉製油所のトラブル等で苦戦。ガソリンを大量輸入し、その部分ではマージンを十分
とれたはずですが連結で90億の赤字となりました。
尚、JXHDの連結決算における在庫評価益は、1165億と聞いています。

元売各社のSS数とセルフSS、元売社有SS数比較表
元売の傾向を分析する際、系列SS数を調べるとそれなりに見えるものがあります。
「既にガソリンの半分以上をセルフSSで販売している」と言ってもよいのかもしれません。
好評につき今年も掲載させて頂きます。時系列的変化は、昨年ページと比較して下さい。

        元売別系列SS数 セルフSS数    2012年3月末、社有=元売所有物件

元売会社 3月末数 前年比 社有 前年比 社有比 セルフ数 前年比 セルフ率 セ社有 社有比
JXエネルギ 11,730 -419 2,701 -128 23.0 2,423 +38 20.7% 1216 50.2
出光興産 3,997 -151 1,145 -32 28.6 893 +3 22.3% 574 64.3
昭和シェル 3,760 -162 909 -30 24.2 962 +3 25.6% 477 49.6
コスモ石油 3,498 -111 764 -19 21.8 1,008 +5 28.8% 571 56.6
EMG 3,773 -206 747 -15 19.8 1,221 +2 32.4% 458 37.5
キグナス 525 -15 97 -2 18.5 210 +7 40.0% 76 36.2
太陽石油 357 -17 126 -2 35.3 148 +3 41.5% 91 61.5
三井石油 278 -2 99 -3 35.6 136 +5 48.9% 79 58.1
元売合計 27,918 -1,083 6,588 -231 23.6 7,001 +66 25.1% 3,542 50.6
全登録SS計 37,743 -1,034 PBは 9825 26% *8,600 +151 22.8%
  本表は、燃料油脂、油業報知、ぜんせき、石油タイムス等の業界新聞、各元売HPより集計

SS絶対数とセルフSS推移から分かること

次は日本全体のSS数とセルフSS数の推移です。過去年間2000箇所以上の廃止が
あった年度は、1995年度の2005箇所と99年度、2007-2010年度の計5回です。
その意味では、今回1034箇所の減少で済んだのは驚きでした。一方セルフについは
ほぼ上限に達したと言ってよいでしょう。もはや9000を超えることはないと思います。


各年3月末 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
SS数の推移 50,067 48,672 47,584 45,792 44,057 42,090 40,357 38,777 37,743
対前年比較 -1,227 -1,395 -1,088 -1,792 -1,735 -1,967 -1,733 -1,580 -1,034
新設 471 459 423 609 457 416 308 153 146
廃止 1,698 1,854 1,511 2,401 2,192 2,383 2,041 1,733 1,180
全体セルフ数 3,423 4,104 4,956 6,162 7,023 7,774 8,296 8,449 8,600*
対前年増加数 900 681 852 1,206 861 751 522 153 151*
元売系列セルフ 2,161 2,938 4,257 5,316 6,009 6,565 6,906 6,935 7,001
対前年増加数 1,077 777 1,319 1,059 693 556 341 29 66
EMGセルフ数 810 930 1,092 1,161 1,197 1,206 1,219 1,221
対前年増加数 120 162 69 36 9 13 2

来年2-3月には大量廃業か  地下タンク漏えい対策工事の実施率

実は、日本のSS数の今度の減少というか、来年3月末の絶対数の予測について
大変危惧する情報を入手してしまいました。それは2011年度の3次補正予算で
40年超の地下タンク漏えい対策工事について4786SSの補助金申請がなされたものの
7月末でまだ半分位しか工事を実施していないどころか本申請さえなされていないのです。
しかし工事業者は限られていますので、7月中に契約しても工事完成は11月になる。
通常灯油等が始まる11月中に工事は終わらせておきたいと思うのが普通ですから
こうなると半分か少なくとも4割近いSSが、余りにも酷いSS業界環境に見切りをつけ
今年度一杯で名誉ある撤退をされるのではないかということが、昨今心配され始めました。
仮に6割の業者が実施しても4786SSの4割。すなわち1900箇所のSSが、今年の廃業数
である1000箇所に加算されて、3000弱のSSが一気に大量撤退するのではないか
という話です。大変重要なことなので、今後もこの問題を注視して行きたいと思います。
 ちなみに弊社は、6SS中、亀戸SSと西八王子SSがこれに該当。元売社有で、最低300KL
とも言われる再投資基準に合わなかったので、泣く泣く撤退しました。
一方弊社所有のオートジョイ南田無SSは、本年6月。約1か月間の工事を無事終了しました。
通常は20日間程度で終わるそうですが、仮使用の許可を頂き、営業を継続しながら実施した
ので約1か月かかった次第です。尚SSも決して広くないので、これを期に軽油販売を断念。
それによりSSを相対的に広く使い、得意の洗車とカーコーティング。そして写真の右上の
通り、SSレンタカー事業により力をいれて、勝ち残っていこうと思います。

 

業界としてハイオク販売を考える時期ではないか NO2

下記表は、ガソリン販売量に占めるハイオク比率です。ご覧の通り、年々低下
しているのが、分かります。要するにハイオクガソリンが相対的に売れなくなりました。
その原因は昨年HPの通りですが、中オクタンのレギュラーガソリンの販売を
本気で考える時期が来たのではないかと思います。グラフは右上参照

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
2006年度 15.8 15.7 15.0 15.2 15.0 15.4 15.2 14.7 14.5 14.9 14.1 14.0
2007年度 15.7 14.5 13.6 13.7 13.6 14.1 14.5 14.7 14.8 14.8 13.8 13.8
2008年度 14.2 14.7 13.9 13.8 14.4 13.8 14.4 13.8 13.4 13.5 12.7 12.9
2009年度 13.3 13.4 13.0 12.9 13.2 13.0 13.0 12.9 12.6 12.5 12.2 12.1
2010年度 12.5 12.6 11.9 12.2 12.4 12.1 12.5 11.9 11.7 12.5 12.2 12.1
2011年度 12.5 12.6 11.9 12.2 12.4 12.1 12.5 11.9 11.7 11.7 11.3 11.3

石油&SS業界の方へ 是非月刊ガソリンスタンドの連載もお目通し下さい

SS業界最大の月刊誌である 月刊ガソリンスタンドにおいて、2008年10月より
見開き4ページ(約5000字)の連載コーナー「SS業界に願いを込めて」
サブタイトル「業界ニュースの行間を読む」を持たせて頂いております。
当然、業界向けの方に、より踏み込んだ内容となっておりますので、購読されている方は
積読(つんどく)ではなく、是非、熟読して頂ければと思います。最近では特に反響のあった、
6月企画で紹介した「消費地精製主義を考える」です。最近の連載とともにご覧下さい。

2012/7月 SS撤退も選択肢のひとつ
2012/6月 消費地精製主義を考える
2012/5月 ホルムズ海峡封鎖を想定して
2012/4月 SSでのCS改善策として 必見 新年度 気持ちを新たに再挑戦
  新人のみならず、本当は上司に読んでほしい話

2012/3月 風土に育まれた日本の底力 藤原正彦先生の国家の品格的な内容です
2012/2月 業界問題アラカルト解説 私はこう思う
2012/1月 水素スタンドは将来ビジネスになるのか

2006年は 「魅力ある人になるために」というテーマでした。社員育成の原点です
2006/4月 SS業界に入社した人に贈る言葉
2006/5月 内の社員はダメだ と嘆く経営者や上司の方へ
2006/6月 真の顧客満足とは何か 覚えるのではなく感動で分かる話

オートジョイ八王子長沼SS は 8月末日をもって閉店致します

弊社は、2007年10月オープンの「オートジョイ八王子長沼SS」につきまして、誠に残念ながら
次年度のSS賃貸営業契約は更新せず、今月末日を持って閉鎖することに決定しました。

オートジョイ八王子長沼SSは、前特約店より引き継ぎ、2007年10月にオープンしました。
その後、最も近い西隣のSSが2007年11月に、また同じエネオスマークの東側にあったSSが
2008年3月に閉鎖したのに伴い、何とか黒字に転換しました。また顧客満足サービス地域NO1
から、オンリー1への向上を図った結果、2009年度の新日本石油の全国SS表彰のCS部門
において全国1位となる 快挙
を達成し、順調な運営が続いておりました。

しかし2010年近隣に超大型の元売販社セルフが誕生しました。今どきどうして採算に合うのか
全く不明ですが、完全なる新設なのです。そして周辺市況は一気に下がり、八王子は、都内でも
最安値の地域となりました。
それでも、当社は、ガソリンに依存せず、より洗車に特化した経営にするため、決して広くない
SSではありましたが、手洗い洗車補助ロボットと弊社が命名したアイタック技研の「快洗Wing」
を導入。手洗い洗車収益を大幅強化させ、何とか収支均衡のレベルにまで回復させました。

しかし2012年4月に、再度元売販社の大型セルフが出店しました。そして何とジョイフルホンダの
価格を下回る、それは新仕切体系の我々の仕入価格以下の超安値で販売を開始しました。

その結果、ガソリン販売量は5月から徐々に減少し、またガソリンマージンも大幅に減少し、
弊社の命綱である 洗車やコーティング収益も減少を始めたので、JXの東京支店とも相談。

地主様との契約更新がこの時期であることも鑑み、弊社は、今年はその契約を更新せず、
8月末を持って閉鎖することにしました。

今後につきましては、幸いにも同じ八王子市内に、弊社のオートジョイ八王子があるので、
少々ご不便をおかけするとは思いますが、ご希望するお客様の給油や洗車は、八王子SSが
責任をもってお引き受け致しますので、安心してお越し頂ければ幸いです。
尚、同SSのお客様は、その他詳細について下記まで、お問い合わせ頂ければ幸いです。

 オートジョイ八王子長沼 所長 小峰 〒192-0907 八王子市長沼町200-2 TEL 042(636)7744
 オートジョイ 八 王 子   所長 田中 〒193-0803 八王子市楢原町436-3 TEL 042(624)0076

洗車回数券等の残高があるお客様につきましては、八王子SSでお使い頂けますが、
ご返金をご希望のお客様にも対応させて頂きます。