どこまで下がる石油株、今後の反騰はあるのか
石油販売精製元売会社徹底比較NO7,上場会社株価編
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バブル後遺症で長らく低迷を続けていた日本経済でしたが、各種データの景気回復基調を
見越して、半年先の経済の現れであるといわれる日経平均株価は一時2万円を突破しました。
しかしその一方で石油関連上場各社の株価は低迷?というか長期下落を続けています。
今後どこまで下がるのか。反騰の期待はあるのか。石油業界人としての応援も含め
今月は石油元売上場各社の株価について考えて見たいと思います。 文責 垣見裕司3/28.NO1

現在の株価と過去ピーク比下落率

日石三菱、昭和シェル石油、コスモ石油、Jomoの販売主要4社に加え、
合併予定の東燃とゼネラル、日石三菱の傘下入りの興亜石油も含めて調査しました。
まず日石は1980年に2480円の最高値をつけましたが、3/26現在の終値は
369円、実に14.9%にまで下落してしまいました。最も下落が少ない東燃でも
1987年の2320円に対し現在610円で26%まで下落、Jomoに至っては
89年の1220円に対し、現在90円とわずか7%まで下落しています。

低迷というより長期低落

では日石の月間の高値安値を表す月足表の長期トレンドで業界傾向を見てみましょう。
93年前後からの大きなトレンドが非常に良く分かりますが、規制緩和、自由化、
そして過当競争と本HPで何度も取り上げてきた要因の影響で、一言で申し上げれば
低迷というより長期低落傾向=ではいつ止まるまるのか?を思うと非常に心配です。

各社の月足は、
昭和シェルコスモ石油Jomoゼネラル東燃興亜石油
私もよく利用させて頂くYAHOOの株価は大変便利ですので是非どうぞ。

BPS、EPS、配当利回りは?

株価を考える時に多くの指標があります。一株当たりの利益(EPS)はその代表で
興亜石油が65円、東燃62円などはまずまずですが、残念なことに株価には反映
されていません。やはり実質的には全社赤字とまでいわれている石油業界ですから、
利益が少なかったり毎年大きく変動している昨今の石油業界の正確な分析は、
この指標だけでは十分に出来ないでしょう。従って少々古いかもしれませんが、
最後には、一株株主資本=純資産(BPS)が大切だと思います。東燃と興亜石油
を除けば、時価の方がBPSより低くなっていますが、バブル時の不動産投資で
大きな含み損を抱えた銀行やゼネコンではないので、日石三菱始め優良元売は、
まだ含み益の方が何倍も大きいと信じている私としては、明らかに売られ過ぎと
思います。また低金利の中、銀行の大口定期より遥かに高い配当利回りの魅力も、
現在の株価と配当継続性に信頼がないということでしょうか。以下各社の数値です。

    BPS(1株当たりの株主資本=純資産)は、直前期連結決算ベース
    EPS(1株当たりの利益)は、2000.3予想または99.12の連結決算ベース
    配当は2000.3予想、ゼネラル、東燃、昭和シェルは99.12
    ムーディーズ格付けは3月2日現在。評価説明は
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もっとも注意すべきは、時価総額

さて株価もさることながら私がもっとも心配しているのはその時価総額の低さです。
国内民族系の名実トップの日石三菱さえ現在の株価ですと、5422億円です。
前述BPSの通り、含み資産のある日石三菱にとって如何に安いかが分かります。
またコスモやJomoは僅か約900億円台ですのでTOB等の心配があります。
経営の実権という意味では過半数必要なのでしょうが、34%あればかなりことが
可能な訳で、原油価格が倍以上になり潤沢な資金も再び持ち始めた中東マネーや、
税引後利益でも1兆円をもつ勝ち残りスーパーメジャーに、株の買占めやTOBを
掛けられたらと心配するのは私だけではないでしょう。
というのも合併の場合は相手の会社に簿外債務等があれば、事実上無限責任ですが
株式買収なら最悪の場合は、購入に要した費用の評価損だけで済みますので、
資金は必要としますが、考え方によっては、リスクは少ないといえるでしょう。
勿論、合意無きTOBの場合は、株価はどんどん上がってしまうので、この金額で
買えるという訳ではないのですが、取り越し苦労に終われば良いと思っています。

今後の予想は

現在の東証日経平均225は、2万円を挟んで乱高下しています。景気回復を先
取りした上げ要因の一方、持ち合い解消や3月末決算対策等の売り要因が交錯し、
更にニューヨークの株価にも敏感に反応していることから、写真相場ともいわれ
少々荒っぽい動きになっていると思います。
しかし出来高も一応出来ているようなので、相場を下げることなく売り玉を消化
しているということは、4月以降のN証券の?兆円ファンド、50兆円の郵貯解約
資金、更には上値を追いにくいニューヨークの資金が日本にシフトしてくれば、
個人的見解ですが、全体としては上げ要因の方が強いのではないかと思います。

真に実力をつけるとともに、望まれる情報公開

では石油関連株もそれに吊られて上がるのでしょうか。勿論期待したいことですが、
ここでも勝ち組み負け組みが、はっきりしてくると思います。
やはり全体の上昇要因に頼るのではなく、国内はもとより韓国やシンガポールまで
含めた極東地域に於いて、相対的競争力をつけていく必要があるでしょう。
また税効果会計の導入や連結決算重視の会計基準などで、元売子会社やその特約店も
含め実力をつけること、そしてそれらの情報公開が一番望まれていると思います。
例えば風説の流布までいかないもののちょっとした噂で株価が2−3割下落するなら
それは日頃の情報開示が少なく、開示しているデータに信頼が無いという市場の評価
でしょうから、むしろ悪い話こそ自ら発表し、それにどう対処するかを前向きに公開
していく必要があると思います。
一般論としてあるファンドを組む時、情報、バイオ、燃料電池、ロボット等、流行の
業種だけを選択する訳ではなく、各業界の出遅れ優良株は必ず組み込むはずですから
業界最上位に位置していれば、やがて下げ止まり再び上昇すると願っています。