ここまで来た元売の経費削減
元売会社徹底比較NO5、社員数、経費削減、リストラ策比較編
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 1月8日や27日の新聞に大変ドラスティックな記事が掲載されておりました。
それは社員数をコスモは6割にJomo半分近くに削減するというものです。
普通会社更生法が適用された会社でも、ここまでシビアーにはいかないのでは、
と思うだけでなく8日の見出しに「競争力高め(合併等の)交渉に備え」とまで
書いてありました。NHKとともに日石三石の合併をスクープした同紙だけに、
その意味合いも深いのですが、今月はそこまで覚悟を決めて努力しておられる
元売のリストラ状況をご紹介してみます。尚、 日石、三石合併解説NO1.2
8月の元売会社徹底比較NO4も参考にして下さい。

元売各社の現状分析、社員数編

 まず元売各社の最近の社員数等のデータを下記の通り表にしてみました。
石油連盟によれば石油元売、精製会社の総従業員数のピークは76/3で47000人。
これが98/3末では30700人まで減少しているとの事です。従ってピーク時の半分に
なる日も遠くなく、関係者の並々ならぬご苦労がご推察出来ます。
 また「SS数」や「98/3末の燃料油総販売数量」を社員数で割った1人当り
の数字も算出して見ました。時間のある方は ガソリン販売数量で割りかえすと
見えてくるものがあるかもしれません。皆様の印象と合ってましたか?

 元売会社社員数他各種データ表、平成10年9月末ベース
元売会社社員数支店数油層所特約店 販売店SS数SS数/人燃料計千KL同KL/人
日本石油3,7411271518 4,5979,5502.537,2249,950
三菱石油2,6391047286 2,1694,5041.719,0147,205
出光興産4,38820271,525 1,6247,3391.737,6928,589
昭和シェル 2,1031736945 2,8946,7283.223,47211,161
コスモ石油 2,80950492 2,7346,4502.332,23511,475
Jエナジー 4,45532576 2,2005,9571.326,2205,885
モービル87027577 1,3373,3853.915,44717,755
エッソ 8901711758 2832,2852.611,90713,378
ゼネラル1,25816541 6462,1841.78,6126,845
キグナス242267 3929483.93,64715,070
九州石油71436 ---8381.24,4996,301
昭和シェルは97/12末、エッソは98/3末、モービル98/4他一部誤差あり
有価証券報告書をベースに最近の一般紙業界紙からの発表を当社推計

各社の人員削減計画と経費削減効果

最近のリストラ計画と参考年対比の単年度年間コスト削減額も作成しました。
元売会社社員数人員削減計画等今年度の削減効果
日本石油3,74195/3の4600を99/3に3600へ(日精含む) 95年度比700億円
三菱石油2,63995/4-3207,98/10-2639を99/3-2420へ 95年度比500億円
出光興産4,38897/3-4824,99/3-4376を03/3-3860へ 93年度比1000億円
昭和シェル 2,10398/4の3200を01/3に2300へ,99/1-早退 95年比400億円
コスモ石油 2,80998/10-2809,00/3-2100を03年に1500へ 96年比500億円
Jエナジー 4,45598/10-3200(本体のみ)を02度に1500へ 95年比120億円
モービル87096/4-1100,97/8-早退,800を99/1-740 データ無し
エッソ 89096/4-1100,98/4-890,99/3-600へ ゼネ計で130億円
ゼネラル1,258エッソとのTUBASA計画で99/3-900へ 95年比100億円
キグナス24296/3-270,98/9-242を99/3-180&早退 データ無し
有価証券報告書、新聞発表等からの当社推計、誤りは訂正しますので
一報下さい


上記2表の数字は各社同時期ではなく、精製部門や子会社を含む含まないという問題
もあり一律同条件にて比較できるものではないことをまずお含み置き下さい。
 また4月に合併する日石三菱は「5年の内に700億円の経費削減を目指す」
としていますがその内容をよく見れば、製油所削減は含まれていないので、
もし雇用問題等がうまく解決出来れば、1製油所の集約効果は約100億円と
言われていますので、両社の合併効果は1000億円の大台になるかもしれません。

精製元売、販売元売のV指数は?

 今SS業界ではとなえ(させられ)ているいくつかの念仏?があります。それは
1.ガソリンの利益幅から見た損益分岐点指数をさげよ。
(エッソ石油のV指数に代表されるSSのガソリン等の損益分岐点コスト指数です)
2.洗車やタイヤ販売などの油外収益をガソリン1L当たり15円以上確保せよ。
3.経費を削減し人件費は上記の油外収益以下、本社経費も2円以下にせよ。
などの指導です。要するにガソリンでは利益幅が期待出来なくなったから油外収益で
しのいでくれというものですが、、、
 実はこの数字は系列が違ってもかなり指標化されており「エッソ系優良SSは既に
10円を達成したとか、いや一般にはまだ15円程度で目標が12円だ、等々です。
 しかしこの指標の一番大きな問題点は、ガソリン等のマージンの大小が指数に全く
反映されないため、廉売が増長され市況に悪影響を及ぼし、結果的にSSの収支改善
につながらないケースがみられるなど、実はガソリン販売を生業とする我々にとって
おかしな評価指数だったことです。
 これをもし元売自身に当てはめて見るとどうなるでしょう。精製元売は装置産業
なので、油外で稼げとまでは申しませんが、会社や各製油所単位で総経費を総処理量
で割ったコスト指数等を是非ともお伺いしてみたいと思います。
 また日石やエッソは精製部門を持たない販売元売で言わば商社です。携帯電話販売
で経営を救った特約店を存じ上げていますが、元売自身では油外はでどの位あるのか
総コストを総販売数量で割ったコスト指数の値は幾らなのか。それを京浜地区バージ
取引でのRIM価格(現在約72円)に加算すると幾らなのか。興味深いところです。

共同精製会社は誕生するのか?

 ところで年末に通産省が、99年4月に新設する税制の特例処置を積極的に活用し
譲渡益課税の繰り延べ対象業種に「石油業界を指定する方針」というニュースが
流れましたが、ご存知でしょうか。これは土地や設備などを
現物出資して会社設立する際、親会社の持つ簿価をそのまま子会社に移すと、時価
との間に含み益が課税されてしまいますが、それを実際に売却しない限りは、
その課税を猶予するというものです。これにより共同精製会社(または管理会社)
等の構想が少なくとも税制面からは大変やり易くなるということです。
 その構想には私も多いに賛成ですが、肝心なのは共同会社を作ることではなく
その結果効率の悪い製油所は確実に統廃合出来るかという問題でしょう。
共同会社は販売価格高値維持や非効率製油所の延命の為ではなく、真に精製元売
としても近隣アジアの製油所とのコスト競争力強化の為に実現して頂ければと
思う次第です。文責  垣見裕司01/26.NO2

後書きと今後の企画の予定

 それまでも感想や激励メールは多かったのですが、昨年の11月企画以来その数が
倍増するとともに、ほとんどがオフレコでHPに出来ないの話がですが色々な情報が
集まってくる現象に本当に驚いています。期待が大きいという嬉しさ半面、一特約店の
HPに出来ることは限られておりますので、今後のHP企画予定をご紹介することで、
自らへの叱咤と、過度の期待には答えられないというお詫びに換えたい思います。
石油採掘プラント、精製設備は大丈夫か、業界における2000年問題を考える。
日本特有の有人セルフから丸1年。その普及と今後の問題点を考える
それに緊急合併や提携ニュース解説等特別企画があるかもしれませんね。
追伸 前月企画にBPアモコの合併承認、99/1/6を 追加しましたのでお知らせします。