元売会社徹底比較 NO4
97年度末収支決算、販売実績編


元売油種別販売実績一覧表 あなたは8月企画始め元売決算関連企画の 番目のお客様です。
改めて申し上げるまでもなく、今石油業界は大変な危機に見舞われており、
それは末端SSや特約店だけでなく、大手元売にまでそれは迫っています。
昨年の金融破綻以来、各業界を何かと厳しく書くようになった週刊誌によれば、
石油業界で生き残れる元売は、3グループだそうで、それに入れなかった元売に
とっては名誉毀損ものではないかと心配を致しております。
 という訳で今月は当社HPの人気企画、元売会社徹底比較NO4ですが、
当社は事実としてのデータ提供と解説につとめ、その判断はご覧の皆さん自身に
お任せしたいと思います。
尚有償となりますが、97-92年度5年分の精製元売も含めた決算データと
97年度の下記販売データをExcel95版にて提供の予定です。 詳しくはこちらへ

ガソリンこそ伸びているものの、暖冬で灯油、輸送量が落ちた軽油や、景気低迷の
影響を受けた重油は前年割れした結果、燃料油全体としては前年を下回りました。
尚一部元売が発表したデータには、販売数量の中に海外での原油「転売」の様な
純粋な「販売」とは言えないものが含まれていましたのでこれは除かせて頂きました。
しかしこの表だけから各社の生き残りを予想することは難しいと思います。
ガソリン販売とSS数

 各社大幅にSS数を減少させて 
いるように見えますが、こんな 
に減っているのでしょうか。 
 これは農協さんや商社自社ブラ 
ンドを自社系列から除いただけの 
ことで、一年で日本のSS数がこ 
れ程減った訳ではありません。 
しかしエッソやゼネラル等は本当 
に効率のよい販売をしていますね。
尚、太陽は今話題の系列外販売が
多いといわれており、SS数で割り
かえすとこの数字になるようです。

 
 
決算数字が現すもの

  平成10年3月末、ガソリン販売とSS数
 単位千KL、昭シ、モービル、エッソは96年12月末
元売会社ガソリン販売3月末SS数前年比1SS当KL
日本石油 8,671 9,689-32974.6
出光興産 7,744 8,879-63672.7
昭和シェル 6,854 6,734-16384.8
コスモ石油 6,308 6,573-22980.0
Jエナジー 5,678 6,079-15377.8
三菱石油 4,455 4,594 -8680.8
モービル 4,242 3,385-125104.4
エッソ 3,828 2,319 -66137.6
ゼネラル 2,972 2,243-139110.5
キグナス 1,165 980 +699.1
太陽石油 1,135 508 -18186.2
九州石油 847 878 -4580.4
元売合計53,90152,861-1,99885.0
元売11社合わせて42億円という当期利益は、売上額12兆円からも、大変少ない前年利益590億円からも、 そして他のエネルギー業界から見ても、少ないというより本来の大赤字を資産売却で相殺したと見るべきでしょう。
 さて1社だけ極端に多い営業利益黒字と金融収支赤字の会社があります。 上場会社ではないので詳細は不明ですが、借入金は1兆5千億円とも2兆円とも言われ、 ある雑誌に銀行の要注意債権会社として実名で掲載されてしまった会社ですが、 業界安定の為にも正確な情報開示を期待したいものです。

対応の早いコスト力の外資系か、それとも総合力の民族系か

ここに大変ドラスティックな事実があります。E社は7月、役員を従来の8名から3名に減らしました。 また同社と提携を強化したG石油は既に取締役14名を5名まで削減しており 元売自ら徹底したリストラを実施し競争力をつけています。
 コスト競争力ではこれら外資系、含み資産等も考えた総合力ではN社と言われていますが、 コストで優位なはずのその外資系が出資する精製元売T社が上場以来初の赤字を出すという事実や 昨今価格戦争を控えている?戦略を見ると、元売の競争も新たなる段階に入りつつある中、 本当の全面戦争にはしたくないのは、むしろ彼ら外資系なのかもしれません。 文責 垣 見 裕 司