ついに発表、日石三石合併へ 業界再編は加速されるのか?、両社の合併を解説します |
実は日石と三石の業務提携は1984年の製品の相互融通など主に物流面に始まり、
現在では両社の元売発行カードの相互流通などその提携は販売面にまで及んでいます。
これだけを見ると、合併してもおかしくないように思えるかもしれませんが、、、、
三石はその後昭和シェルともかなり突っ込んだ提携関係を結び、日石とは家庭内別居?
とも言われた時期がある一方、日石も出光との提携は広く知られるところで、昨今の
物流面の提携関係は、本当に各社入り乱れているのが現状でした。
これは近年、業界全体の収益が急激な市況下落により一気に悪化、その対処として
即効性のあるコスト削減を迫られたためで、販売はライバルでも物流面でコスト削減が
出来るなら実施していくという大局的な長期戦略を伴わない提携がケースバイケースで
行われた結果でしょう。それは専門家からも、物流提携のみから業界再編を予測する
のは不可能とまで言われた程でした。
では製油所所在地とその能力を日本地図に記載して検証してみることにします。
今回のニュースは我々特約店も大変驚いていますが昨年のE社G社の提携強化に比べ
ある銀行マンの話によれば今貸したくない業界は、建設、不動産、そして石油業界だ
製油所の所在と原油処理能力 (1998年3月末現在)
まず、赤枠で囲んだところは、日本石油と関係会社の、日本石油精製、日本海石油、
興亜石油、九州石油の各製油所です。ご覧の通り全国各地をそれなりに網羅しており、
三石だけでなく各社から合併ならずとも提携の要請が来た事は容易に想像がつきます。
従って今回の話は三菱商事が仲介とのことですが日石優位に進められた感があります。
一方三菱石油は水島や東北石油の仙台が有力製油所で数こそ少ないですが、日石を
補完するという意味ではBestではないものの他社との比較においてBetterであった事が
分かります。そして既に閉鎖やそれを発表したのも含め、日石では新潟、川崎、下松
三石では、川崎や和歌山など今後、資産の有効利用の可能性が出て来るでしょう。
これを反面検証の意味で出光との関係で考えてみると北海道、千葉、兵庫、徳山など
何故か日石グループ製油所と隣接しており補完効果が、愛知のみに留まる上に、出光の
製油所が閉鎖するには比較的大規模であるため、合併効果が上がりにくいということが
言えるでしょう。お時間のある方は、各社との相関関係を是非調べてみて下さい。
石油元売も装置産業ですからその原点で考えると次の再編が見えるかもしれません。
突然の発表にも関わらず、傘下の特約店が、比較的歓迎しているのが一つの特徴では
ないかと思います。それは日石三石両元売に関連子会社は勿論、各地域に根ざした有力
特約店が数多く存在するとともに、その実力ゆえに冷静に判断出来ている事や、両元売
の長年の特約店重視政策にも、それが現れているのではないかと思います。
そして燃料油シャアー日石16%三石8%、合計24%は、2位出光の16%を遥か
に上回り、大きな影響力を持てることは言うまでもありません。
そしてベトナム沖の油田開発など会社規模の割に上流に力を入れやや苦しいと言われた
三石とガソリン販売やSS数など下流部門の販売網の強さと資金面等その総合力を誇る
日石との合併はグループ売上高4兆円と世界でも10指に入る和製メジャーを目指せる
という会社の可能性が出てきた事はその数字以上に大きなメリットであると思います。
また両社の合併は石油化学面についても大きいようで石油の精製過程で出る芳香族系
のベンゼン、トルエン、キシレン等の設備能力シェアーは15%、パラキシレンに
おいては30%とそれぞれ、業界トップになることも見逃せません。
とのことです。もし元売の中で1社でも万が一の事がありば業界への資金流入が減り
一気に2−3社おかしくなっても不思議ではない、と言われています。その様な時期に
当局や外圧ではなく自らの決定において今回の合併が決定されたことは、大変喜ばしい
と思います。そして今回の合併が発表から僅か5ヵ月という異例の速さで実施される事
その一方で日石、三石の両マークは3年間は併用していくという方式も、意外にコスト
のかかる合併諸費用を最小限に抑えるとともに系列特約店販売店の心配も最小限にする
という意味で最良の選択だと思っております。
しかし専門家のもっとも厳しい予測によれば、元売は3グループに集約されるとまで
言われている石油業界です。今回のニュースは正に初めの1歩で、今後再編は加速され
来年には第2第3の合併や提携への模索を迫られるでしょう。
また販売業界にとっても、今の環境や市況水準では誰も生き残ることは出来ません。
その無秩序で意味のない競争がこれら元売の再編により、少しでも早く収拾される事を
期待します。それにしても新社名の日石三菱。良い名前です。当然の名前のようですが
日石三石ではない訳で、どことどこの合併だか、大変よく分かるような気がします。
そして当社も新しく生れるこの日石三菱さんに「これからも取引を継続したい」と
思って戴ける特約店を目指して頑張って行きたいと思います。
文責 垣見裕司