元売会社徹底比較 NO8 99年度末、元売別石油製品販売実績、SS数、収支決算比較編 |
元売別石油製品別国内販売実績一覧表 1999年度
決算数字が現すもの
正確なデータが必要な方は、8月下旬発売の通産省監修石油資料やHP等を参照下さい。
ガソリン全体は2.7%伸びていますが、合併した日石三菱は相互販売分の減少等
合併効果?の影響で98.3%と減販しました。一方原油値上げや市況値上げで大幅増販
を自粛したはずのモービルでしたが、107.4%と昨年からの異常な伸びを続けています。
エクソングループの中では、ゼネラルが98%と減販しており、同グループ全体では、
2.9%の伸びに留まる結果となりました。しかしそれでもエクソングループのガソリン
シェアー23.5%は、そのモービルの貢献?で日石三菱の23.3%を僅かながら上回り、
今後は「日石三菱VSエクソンG」という構図が、よりはっきりしてくると思います。
灯油は、シーズン中の低温でなんとか104.7%と需要回復しました。しかしこれは
一過性で長期下落傾向は変わらないと思います。景気を反映するといわれる軽油や
重油計は、それぞれ98.9%、100.7%、燃料油全体でも、101.7%となり3年ぶりの
増加傾向です。各油種のシェアーに元売の販売の特徴が見られるのはご覧の通りです。
計上しています。しかしこれは、退職年金の過去経過分の損金や土地等資産処分損金等の
一括計上で一応一過性のものです。また実際の現金支出をともなう費用は、早期退職金等
一部なので、本来の利益が出ているなら、その分税金が少なくなるという意味で、資金を
内部留保しているとも考えられます。
一方金融収支では、前回から指摘している通り、出光の-261億円、JOMOコスモの
100億円の計上は、昨年よりやや減少はしているものの、健全な額とは言えません。やはり
有利子負債総額の適正レベルへの圧縮は、極めて早期に実施すべき問題だと思います。
さて営業利益では、九州石油が赤字となったものの、他社は皆黒字となっています。
原油の値上がりと市況の値上がりを比較すれば、本HPで何度も説明している通り、元売の
未転嫁部分は少なくとも2-3円あり、業界全体では5000億円近く負担している訳ですが、
その割にはかなり改善してきている数字だと思います。それは日石三菱だけで500億とも
700億とも言われるリストラやコスト削減効果が、寄与しているのではないでしょうか。
また一部外資系等に原油在庫の評価益が寄与しているとも聞いていますが、モービルの
138億円の営業利益は、ガソリン増販の恩恵でしょうか。羨ましい限りです。
これらの数字を総合すると石油業界も一見大底は脱したような雰囲気ですが、6月以降
更なる原油価格の上昇が続いているにも関わらず一向に上がらない業転市況や、ごく一部
ながら、仕入れを下回るレベルでの乱売合戦が散見されることなど、以前と変わらない
業界体質は明らかに残っており、まだまだ予断は許さないと思います。
ガソリン販売とSS数
推定 53,307で前年比約-1,183の減少です。 さて右表は元売SS数は、各社発表数字 ですが、一部見込みであったり、後に 変更されているかもしれませんので、 あくまで当社調査の推定数です。 SSの数では決して多くないエッソですが 1SS当たりの月間販売量は、152KLと 系列外販売が多いと言われるT社を除けば 群を抜いており、この辺が価格競争力にも 現れているといわれています。 但し三井石油への販売分を含むモービル、 全農へのインタンク分も含むと思われるI社 J社はその分を勘案する必要がありそうです。 さて昨今はプライベートブランドなるもの が増えてきました。伊藤忠の忠ボーイが有名 ですが、数の多さから言えばやはり全農です。 全農の固定式は全国に4,763SS(前年比-87)、 内JAのみの独自マークが2097ss(+581)も ありJASSのPB化が進んでいるといえます。 元売との併用マークは2666ss(-668)で 出光1,019ss(-328),日石三菱 629ss(-106), JOMO 595ss(-98),コスモ 340ss(-93) 昭和シェル80ss(-8)、九石 3ss(-35)等です。 |
平成12年3月末、ガソリン販売とSS数、単位千KL 昭シ モービル エッソ ゼネ石もSS数はH12年3月末
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さて4月企画で上場元売の株価ご紹介しました。3/26時点での株価は
この通りです。
もちろん株価が会社の良し悪しを決めるすべてではありませんが、株主や世間が
どう評価しているかを見るにはよい指標です。本日7/12現在の株価と3/26対比率は
日石三菱552円(150%)、昭和シェル576円(140%)、コスモ206円(140%)、Jomo114円(127%)
子会社との経営統合が記事になっただけで、子会社株価が暴落した某社もなんとか
一服でしょうか。単にバリュー株人気に乗っただけかもしれませんが、IT一辺倒
の評価から石油業界にも見直される会社が入って来たことを歓迎したいと思います。
文 責 垣見 裕司 2000/7/14 NO3