2019年、水素スタンド、FCV、EVはどうなる
 
消費増税、キャッシュレス、ポイント対応も待ったなし
新年があけました。本年もどうぞよろしくお願いします。2018/12/28 再更新 Ver2
あなたは近未来自動車で番目、水素スタンドで番目のお客様です。
新年おめでとうございます 毎年新年は近未来の夢の持てる話にしています。
今年は、昨年の1月企画でしかけなかった、FCVと水素スタンド。そして、東京水素
戦略会議改めTokyoスイソ推進チームに進展があったので、そのご報告をしたいと
思います。  また一昨年の夏、欧米と中国で吹き荒れたEV化宣言。それから1年半も
経ちましたが、EVがどこまで進化したのか。 最後は消費税の10%やオリンピックに
向けたキャッシュレス時代におけるSS業界の対応について考えてみたいと思います。
2018年1月、東京モーターショー2017に見たEVの実力
2017年11月、Tokyoスイソ推進チームが 小池知事も同席して発
2017年10月、近来自動車の主流は何か

2015年5月、イワタニ水素ST 芝公園 視察報告
2015年2月、FCV+水素スタンドはどうなる
2014年9月、水素スタンドに水素を運ぶ方法とコストを考える
2014年7月、トヨタ 2014年度内のFCV前倒し発売を発表

2014年6月、水素社会に向けた東京戦略会議 委員に就任
2014年1月、近来自動車は燃料電池車FCEVか

2013年10月、日本初 SS併設型水素スタンド見学記

水素スタンド元年から丸6年経ったが、、

 SS業界人にとって水素スタンド元年は、JXTGエネルギーが神奈川県海老名市と
名古屋市神の倉にその1号店2号店を誕生させた2013年と考えていいでしょう。
  そして2014年5月、東京都に舛添都知事の肝いりで東京水素戦略会議が立ち
上りました。舛添知事曰く「1964年の東京オリンピックで後世に残したレガシーは
新幹線と首都高速道路だった。2020年は世界に先駆け東京を水素社会先進都市
にしたい」と名言。私も都石の代表として委員会に参加しました。
 その2014年11月の東京水素戦略会議で私は
「FCVと水素スタンドの関係は卵と鶏ではなく花とミツバチだ」と発言したところ、
これが舛添知事や委員から大好評を頂きました。
 卵と鶏では、卵の時代不遇でも、鶏になって幸せならいいじゃないかというニュ
アンスがありますが、我々のSS業界は100年たっても2兆円の利益を出すトヨタ
にはなれないからです。 それに対し花とミツバチなら、花が死滅するとミツバチも
生きていけない。そんな共存共栄の思いが入っているからです。
 この私の発言が11月25日の日経に取り上げられ、更にそれを引用したトヨタの
豊田章男社長も12月5日の日経で「FCVと水素スタンドの関係は花とミツバチ」と
初めて明言しました。
 そして東京都は中小企業が建設する場合は、5億円まで全額補助も決定しました。
更に2014年末、世界で市販車として初めてトヨタミライが発売開始となりました。
  現在の生産能力は最初の年間700台から2000台程度に強化されましたが、
これには海外向けも入っているので、2018年末の国内FCV台数は、ホンダの
インサイトも含めて約3000台のようです。

水素スタンドも最初から利益を

 日本国内の水素スタンドは、2018年11月時点で100ヶ所開所しました。但し
簡易型というかトレーラーに機器が積載され、FCV数台にしか供給出来ない
移動式が39ヶ所もあり、またその移動式もA地とB地を1台で日替わり供給なども
一部含まれていますので、実力は80ヶ所というところでしょう。
 現在FCV車には国と自治体合わせて約200万円の補助が出ていますが、私は
水素スタンドの完成と同時にその近隣のタクシー会社に対して、FCタクシーの
導入と補助、そしてバス会社に対してもFCバスの導入と補助セットで進めるのが
良いと思います。
 タクシーは一般車の約10倍走り、多くのお客様を乗せ、燃料も一般車の10倍
使います。バスも同様で、オリンピックに向けての「水素社会へのアピール」にも
なります。従って水素スタンドにとっても、最初から黒字化への見込みが立ち
やすくなるのです。

2018年のスイソ推進チーム

 2016年、舛添知事から小池知事に替って、東京水素戦略会議は「Tokyoスイソ
推進チーム」に名前を改めました。 そして一番の違いは、会議の議長(会長)を大学
の教授にお任せする諮問委員会方式ではなく、都の環境局の部長と民間委員から
はトヨタの部長が共同議長(会長)となって委員会を牽引しているのです。
 今の活動は、どちらかというと水素社会を推進して行こうという、世論醸成のため
の広報やPR活動に主眼がおかれています。

規制緩和のスピード感

 しかし私が一番やってほしい規制緩和の議論は限定的で、じれったい思いです。
例えば道路との離隔距離については事実上8mのままです。
(計量器により一部緩和)
 従って2013年に1000坪クラスのSSで併設が可能になったものの、その離隔
距離がネックで、500坪や300坪クラスでのSS併設事例は、5年経った今でも
全国に一ヶ所もないのです。
 但し別の意味での進展はありました。東京都より都石の組合員の所有SSから、
水素スタンドをSSと併設することを想定し、組合員の有するSS図面を提供して
ほしいとのご依頼があったのです。
 「水素は危険そうで心配」と思う近隣住民感情から、水素スタンドをゼロから作る
のは極めて大変です。 その意味では長年危険物を扱い阪神淡路や東日本大震災、
そして熊本地震でもSSからの火災がなかった既存SSへの信頼度は高いので、
我々SSがガソリンや軽油と同様に水素の扱いを始める方が、一番王道です。
 最も分りやすい表現は「水素の規制をガソリン並、灯油並みに緩和してもらう」
です。都心部のSSでは直火禁止の集合住宅などが増え、売れなくなってきた
灯油の替わりに水素を売るのがベストだと思います。

最後は技術革新で 省コスト省スペース

 私の理想は、10klの灯油タンクの代わりに、断熱剤を巻いた7klの液体水素タンク
を地下に埋設するのです。そして液体水素のまま、例えばキャノピー上に置いた
軽量のCFRP貯蔵タンクにいれ大気熱で加熱する。そしてマイナス250度以上に
なれば水素の気体が蒸発を始め、やがて800気圧の低温の気体水素となります。
  これを水素ディスペンサーで直接充填するのです。 この方式ならば加圧コンプ
レッサーや加圧時に出る熱を冷やすプレクール装置も要らないので、省スペース
かつ省コストになります。
(CFRP
=Carbon Fiber Reinforced Plastics、「炭素繊維強化プラスチック
」)
 この方式なら都心の200坪や150坪のSSにも併設可能となりやってみたいです。
最後にトヨタ様へのお願いです。私も赤字の車を量産しろとはいえないので、トヨタ
として最も付加価値の高いレクサス車にFCV車をラインナップしてほしいと思います。
 レクサス車としての膨大な利益幅が、FCV部品のマイナス部分を埋めても余りある
と思います。

日産e-Powerは販売好調

FCVの最大のライバルとなるのは、私は日産ノートやセレナe-Powerだと思います。
この車は発電専用のエンジンを積んだ車ですが、筆者推定で昨年末累計20万台
売れています。消費者はやはりEVが一番環境に良いと思っていますが、日産リーフ
はまだ300万円と高いし走行距離の心配もある。そこでEVに発電用のエンジンを
積んだ車にしようと思った。 発電機分、値段は高くなるのかと思ったら、約200万円
と安くなった。 如何にバッテリーが高かったのかということですね。
 逆に発電機としてFCを積んだら723万円する。この500万円の差は何なのか?
FCVは水素スタンドの設置費が、1ヶ所2億円まで下がっても5000ヶ所で1兆円が
必要ですが、e-powerは灯油でもいいはずなのに、ちゃんとガソリンを使ってくれて
たのでSSが使えるのです。その結論を出してくれる最後の審判者は国民でしょう。

EVに必要なバッテリー技術については、具体的な進展なし

 一昨年夏、欧米と中国においてあれだけ大騒ぎしたEV化ですが、読者の皆様。
冷静に考えて、ここ一年間で何か具体的な進展はあったと思いますか。 私はNO
だと思います。むしろ自動運転の実現の方が早そうです。
 私は決してEVを否定している訳ではありません。走行地域が限定され、毎日
充電器のある同じ場所に戻って来る使い方やセカンドカーのニーズはあります。
良い例がゴルフ場だと思いますが、エンジンカートはもう見なくなりました。
 ただ本格的な普及には電池技術のブレイクスルーが必要です。
 鉛、ニッカド、リチウム水素、リチウムイオンとバッテリーは確実に進歩してき
ましたが、次に全固体電池が、安価で安全に大量生産出来るようにいつなるか。
 そして車体の方も、今まではガソリン車をベースにした車体に、電池やモーター
を搭載して来ましたが、既存の車体に拘らず、ホイールインモーターを搭載した
EV専用車体で作り始めたら、EV時代もいよいよ本物だと思います。


下記グラフは https://kabuchecker.com/list/lib 出展を筆者書加工

消費増税10月 キャッシュレス対応&ポイント還元問題は果たして間に合うのか

 ご存じの通り本年10月から消費税が10%にUPされます。これについて私の
心配は色々あります。
 第一は軽減税率が残る問題です。お店で食べれば10%。持ち帰れば8%。
ではコンビニで買って、そこにあるイートインコーナーで食べた時は、さてどっち。
結論は8%で良さそうですが、SSでもコンビニやコーヒー併設店は、注意が必要です。
 第二は、キャッシュレス推進の為の2%或いは5%とも言われるポイント還元策です。
その線引きはどこになるのか。中小企業対策向けなので、中小企業で購入した時は
5%還元。大手だと2%。その境は、資本金1億円以下とも言われています。
 すなわち、弊社のSSでキャッシュレスで決済をすれば5%政府のポイントがもらえる。
しかし元売100%子会社でキャッシュレスで購入しても2%しかもらえない。そうすると
元売は3%分、価格調整をして販売しようとするのでしょうか。
 消費税が初めて導入された時は、表示の仕方で、消費税分値引きとか、消費税は
頂きませんという方法はNGとの指導があったことを記憶しております。とにかく
このキャッシュレスだとポイント還元は、奥深い問題が潜んでいるように思います。

ポイントのみを搾取する目的での商品転売ループはどう防ぐ?

1個1万円のバッテリーを100個、卸会社Aからクレジットカードで仕入れたとします。
弊社には5万円のポイントが付きます。そして今度は販売店Bに同値でキャッシュレス
で売ると販売店Bに5万円のポイントが付きます。次にこの販売店Bが、卸会社Aに
同値でキャッシュレスで転売した。当然卸会社Aにポイント5万円が付きます。
この商流を毎月、いや毎週、或いは毎日。少なくともカード会社の与信限度額まで
繰返すことが出来るでしょう。もちろんクレジット引き落とし手数料は発生しますが
どう考えてもポイントのみの搾取を目的とした転配ループは出来るような気がします。
 事実、12月20日頃から「転売によるポイント搾取が可能」というニュースが流れ
始めたような気がします。

カード手数料の高さは大問題

 現在我々SS業界のクレジットカード手数料は、元売系で約1〜2%。一般系は
2%から4%、SSが個別に加入すると最大6%やそもそも審査を通らないなんて
いう話も聞きます。政府はクレジット業界に4%以下にと指導しているようですが、
我々の業界にとっては4%は、とんでもなく高いレベルです。
 例えば7円まで利益の上がったセルフにしても、140円の4%は何と5.6円です。
今の現金客が全てクレジットカードになるとは思いませんが、大幅な経費増に
なることは間違いありません。
 では何故ここまで「キャッシュレス」にこだわるのか。実は先進国の中で一番
キャッシュレスが遅れているは、日本だと言われています。またよくよく考えると
現金の管理にはコストがかかります。そもそも1円のコインを作るのに1円以上
かかっている。という話も聞きます。
お隣の韓国からは、コインや小銭は廃止の噂まで聞こえて来ます。 
 またキャッシュレスにするには、暗証番号やPINコードを入力するための設備投資
も必要です。これは消費税対策というよりは、オリンピックで急増する外国人観光客
対策の意味もあるでしょう。
 私は大学時代、理工学部でコンピュータと経営工学を学んだので、20数年前までは、
自社開発POSに拘っていました。 しかし直営5SSでは、開発費など元が取れる訳も
なく、日本石油のNISPOS時代から元売POSになったと思います。
 更に今はスマホやアプリの時代なので自社開発は無理です。 従って元売のPOSに
期待するしかありません。
 少なくともJXTGには業界シェアー50%の交渉力を存分に活かして、一般のクレジット
カード会社の引き落とし手数料を1%以下に下げてほしいと思います。