トヨタFCV 2014年度内の前倒し発売を発表
 水素社会東京戦略会議報告NO2
東京戦略会議 近未来自動車は、水素では番目です
6月HP掲載から僅か一か月で非常に大きな動きがありました。トヨタさんが6月25日に
重大発表をされたのです。私も発表会会場であるMEGAWEBに招待されておりました。
もう一つは7月4日の第2回の東京水素戦略会議で、東京都石油商業組合を代表して
私のプレゼンテーションが正式決定しました。二か月連続で恐縮ではありますが、
FCVと水素スタンドの話題をご報告させて頂きます。    文責 垣見裕司

2014年6月25日 場所はお台場MEGA WEBトヨタ総合展示場

その記念すべき場所は、東京お台場にある MEGA WEBです。
正にトヨタの常設展示場というか テーマパークでしょうか。ここに来れば
東京モーターショーのトヨタコーナーが、いつでもみれるという感じの場所です。
施設内の正に TOYATACITY SHOWCASEを全ての使っての発表会でした。

発売開始は1年前倒しして2014年度中 価格は700万円程度

今回の目玉は、発売時期を一年前倒しして、2014年度中と発表したことです。
また価格も今までの「1000万円を切る価格」という表現から、税抜き車両本体価格
で700万円程度という表現になりました。補助金の質問が記者から出ていましたが
まだ決定していなとのこと。仮に200万円程度とすると500万円台で購入が可能に
なるかもしれません。
写真は加藤副社長によるプレゼンテーションです

プレゼン内容の詳細は http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/3274916/
色々な角度からのFCV写真。また当日の1時間10分に渡る動画も見れます
トヨタ加藤副社長と資源エネルギー庁燃料電池推進室 戸邊千広室長の
プレゼンテーション。そして最後には色々と意味深い質疑応答が見れます

トヨタのプレゼンに興味深い 昔話がありました

人類最初の人を載せて人工の動力で動く乗り物は、蒸気自動車でしたが、
1910年代頃までは、何とガソリン車よりも多かったそうです。
またこの時期に電気自動車が既にあった事も実は余り知られていません。
私も以前、EVの歴史を調べていて初めて知りました。
そしてT型フォードの大量生産が始まってようやく自動車の主流が、ガソリン車
になったのです。
今回のプレゼンでそれを一目で表すグラフがあったのでご紹介ます。
更に私がいつか時間があったら調べてみたいのは、米国でのガソリン車と
ガソリンスタンドのそれぞれの数や、その増え方の相関関係です。
特に狭い日本と違い、広い国土を持つ米国で育った自動車と、ガソリンスタンド
の数、そして道路がどのように増えて行ったのかは研究してみたい課題です。


質疑応答で 私の気になったトヨタの意味深な発言

Q1 水素スタンドの数は、まだ限られていて不便だが、どうするのか 59分頃
A1 トヨタとしてはエネルギーの供給会社や事業をするつもりは今はない
但し、エネルギー供給会社と一緒に作っていかなればいけない。
協力していかなければいけないと思っている。
従ってトヨタとしてそして自動車業界として出来ることは何かを一緒に
協議検討していかなければならない


Q2 水素価格は幾らになりますか 1時間3分頃
A2 トヨタが答える話ではない。エネルギー業界が決めるべき問題と
前置きした上で、ハイブリッドのガソリン車と同等の価格以下で供給して
頂けるようお願いしている。


皆様もトヨタが配信中の動画の59分目以降の質疑応答を是非見て下さい。
私なりに冷静にそして色々な角度からの思いを巡らせて分析してみます。

トヨタとして水素を供給するつもりはない。と回答しています。しかしそれは
エネルギー供給会社がちゃんとやってくれればの話です。と言っているよう
にも聞こえます。それが「今は」の一言に込められていると思います。
そのために(エネルギー会社)と「一緒」にとか、協力して、トヨタとして、
そして自動車業界として、何が出来るかを色々相談していきたいと言って
いるのだと思います。

ガソリンハイブリット車と同等の価格以下というのはかなり難しい

さて私が心配するのは、やはり水素の価格です。以下私見ですが
たたき台となる数字をあげてみましょう。

ガソリンが現在160円として 走行コストをまず計算します。
1Lで 8km走る高級車や普通車なら 走行コストは 20円/kmです。
1Lで16km走る低燃費車なら走行コストは一気に10円/kmまで下がります。

ちなみに水素は1kg(11m3)で120km走ると言われていますので、
1kgが1200円なら走行コストは 10円/kmとなり低燃費車と等価です。

しかし最新型のプリウスやアクアは 本当に良く走ります。
先日東北支援に行く際、新幹線の一関駅でアクアを借りて、一泊二日で130km。
陸前高田まで山越えして、帰りは気仙沼回りでかえって来ました。
たまたま燃費挑戦キャンペーンをやっていたからではないのですが、そこそこ
安全運転で走ったところ、その燃費は何と30.6km。従って使用したガソリンは
たったの4.2Lでした。164円でガソリン代は約700円。それでもキャンペーン参加
特典の500円プリカを頂いてしまいました。
この1Lで30kmはチャンピオンデータとしても、1Lで実質20km以上走るハイ
ブリッド車と同等までさけけるとなると、8円/kmですから、水素1kg約1000円が
水素価格の上限となります。実はこれはかなり厳しい価格です。

国(資源エネルギー庁)も水素・燃料電池戦略のロードマップを発表

実は トヨタのFCV発表会の前日。国も水素・燃料電池戦略のロードマップを
発表しました。こちらは以下よりその全文がみれるので是非こ覧下さい。
http://www.meti.go.jp/press/2014/06/20140624004/20140624004.html
その概要は↑こちら
http://www.meti.go.jp/press/2014/06/20140624004/20140624004-1.pdf
詳細はこちら↑です。

このロードマップから水素スタンドに関係する項目を抜き出してみましょう。
国内の水素ステーションにおいては
@低廉な水素ステーションの開発
A更なる規制見直し
B関係者間の役割分担に従った取り組み(整備・運営)

が2015年からスタートします。ちなみにこの時の価格は
「ガソリン車の燃料代と同等以下の水素価格の実現」とあります。
ちなみにこれが上記のトヨタ要望にもあった
「ハイブリッド車の燃料代と同等以下の水素価格の実現」
になるのは、2020年とされています。(少し安心しました)
そして2025年までの猶予を見て 2025年以降は、水素スタンド側も
「自立的展開」とあるので、補助金なしでビジネスが成り立つことが望ましい。
と提言しているのだと、私は理解しました。
ちなみにもう一つ水素の製造や輸入価格については、2025-2030年の幅を
見ていますが、プラント引き渡し価格で 30/Nm3を実現とあるので
330円/kgを達成して下さい。ということでしょう。

一番高いのは、製油所からSSまでの輸送費かもしれない

水素の製造段階のコストは現在どのくらいなのでしょうか
石油元売もその価格を明言していませんが、垣見推定で、まあ300-400円/kg
でしょう。但しこれは利益が出るというよりは製造原価かもしれません。
当初出荷量が少なければ出荷設備等の費用もランニングコストで割返すと
非常に高い価格になります。これを1億円かけて作った水素スタンドまで運び
上限1000円で売れるか。ハイブリッド価格を意識して、800円で売れるかとなると
元売を擁護する訳ではありませんが、現実としては かなり厳しいでしょう。
特に私が読めないのは、製造した製油所等から水素スタンドまで運んで
来るコストが全く分かりません。JXさんもご苦労されているようで、水素を
運んでいるのか、容器を運んでいるのか全く分かないとおっしゃっていました。
大量に使うなら岩谷さん得意の液体水素が既に実用化され最も安いのかも
しれませんが、最初は出荷量が少ない水素スタンドに液体水素を置くと
冷やし続けておくコストの方が高いのかもしれません。
写真は岩谷さんご提供の液体水素出荷設備と液体水素トレーラーです。

建設費も運営費も水素価格も暫定的に解決する方法 プレゼン内容公開開始

そんなうまい話はあるのでしょうか。
2015年ではなく、オリンピックの年の前年までに普及させればいいと思って
いましたが、もし今回のトヨタの発表を受けて、2015年までに当初の計画の通り
最低100か所作るとなれば、その資金、運営、そして水素価格はどうするのか
そのすべてを暫定的に解消して例えば、5年から10年先送りする方法はあります。
それが7月4日の東京戦略会議で、私がプレゼンする内容です。
お待たせしました。7月4日プレゼン資料と  7月30日プレゼン資料です。
閲覧は無料ですが、皆様是非ご感想をお待ちしています。 感想はこちらから

のSS業界向け応用システムの実証実験開始

皆様EPRAKってご存じですか。よく人気の外食レストランで見かける待ち業列
解消システムです。会員登録すれば、行きたいレストラン等の混雑状況が、リア
ルタイムで分かるだけでなく、スマホ等からその場で予約が出来、更に自分の
順番が近くなるとメールで呼び出してくれるシステムです。私も自宅近くの焼肉
レストランに行った際入会し、今は日曜の夜等の外食時には必需品となりました。
これを垣見油化の手洗い洗車や、より作業時間の係るコーティンティング作業
の待ち時間解消に役立てないものかと思っていましたが、この度、EPRAKを
運営するSGS株式会社とご縁が出来たので、弊社の直営でSS業界への応用版
の実証実験を開始することとなりました。上手く行きましたら後日ご紹介します。