近未来自動車の主流は何か No7
 東京モーターショー2011写真報告とSS業界に与える影響を考える
新年があけました。本年もどうぞよろしくお願いします。
あなたは近未来自動車の番目(UP時175,000)のお客様です。 2011/12/29更新 Ver1
昨年12月に東京モーターショー2011が開催されました。会期は前回から3日間も短縮された
10日間だったにもかかわらず、場所が幕張から東京ビッグサイトに移ったこともあるのでしょうか。
正に「東京」モーターショーになったこともあるのか、入場者数は、前回のリーマンショックから
37%増の84万人だったそうで、消費者の関心は高いのでしょう。新年にあたり、今回のモーター
ショーから感じたことが、SS業界に与える今後の影響を考えてみたいと思います。
尚、2011年7月近未来自動車NO610年2月2009年東京モーターショー報告NO5
09年7月近未来自動車No409年2月 No307年7月の近未来自動車の主流は何かNO1
07年11月企画 東京モーターショ-写真報告も合わせてご覧頂ければ幸いです。
2007年6月企画後半の マニアックなバッテリーの話
03/10月-燃料電池車の実力はNO3 
02/01月-NO2 00/10月-エコカーの実力はどこまで来たか NO1 もどうぞ。 文責 垣見裕司

トヨタ プラグインハイブリッド(PHV) プリウス

私が一番注目したいのは、トヨタさんのプラグイン
ハイブリッドプリウスです。電池をニッカド水素から
リチウムイオンに代え、搭載容量も4.4kWに増やし
EVとして走れる走行距離も従来の約6kmから
4倍の26kmまで伸ばしました。
また燃費はJC08モードで60km/L。
しかしこれは、家庭で充電することを、ガソリンの燃費
にどう反映させるかという、測定方法の約束ごとなので
ガソリンだけで走った時に60km/Lもつということでは
ありません。消費者に対しては誤解を招きやすい
数字&表現ではないでしょうか。
しかし私として嬉しいのはその価格です。2年前のモーターショーで発表され、その後ごく一部
法人向け等の限定リース販売が開始されてた時は、確か500万円という「買わなくていいです」
値段だったと記憶していますが、既に予約受付されている今回のベースグレードは310万円。
これなら私でも買ってみたいと思う価格なので、環境重視をアピールしたい企業も含めて、
かなり売れるのではないかと思います。
そして個人の購入者の中のマニアックな人は、ガソリンも使えるハイブリッドを買ったはずなのに
いつもEVモードだけで走り、自宅で充電を絶対忘れず、「今月もガソリンを減らさなかった」
ことを楽しむように、自満話をするのではないかと思います。

燃料電池自動車はどうなったの

もう1台の注目した車は、トヨタの燃料電池自動車
(以下FCV)です。今までのような実験車的な車体
ではなく、カッコのいい乗りたくなる未来型のセダン
タイプとなりました。 そのスペックは、極秘事項なのか、
余り公開されていませんが、高圧の75MPaの水素
タンクは、従来の4本から2本になりました。 過去、
4本だった理由を関係者に聞いたところ、建前上は
「直径が小さい方が床下に収まり易いから」とのこと
でしたが、本音は、万一タンクから漏えい時のリスクを
考え、1本当たりの量を少なくしたかったのだと思います。
その意味では今回4本が3本ではなく、2本まで減少した
ことは、本格普及に向けてのコスト低減も含め、大きな自信の表れでしょう。
その他の会社FCVでは、ホンダが従来のクラリティーを、ベンツがコンセプトFCVを展示して
いただけ?なので、一見するとFCV時代は遠いように思えてしまいますが、それはある意味
嵐の前の静けさです。 みみずでも前進する時は一度縮みますので、私の独断と偏見では、
2013年のモーターショーはFCVのオンパレードになると思います

非常に多かったEVカーとそのソフト的な利用法

今回のモーターショーでは、電気自動車(以下EV)の
展示が非常に増えたと思います。元祖EVの三菱自動車は
汎用的というかワンボックスタイプのminiCABMiEV。
本命日産もリーフはもちろん、スポーツカータイプの
NISSAN LEAF NISMO RC。またEVとしては後発
となったトヨタも4人乗りのFTEV3が印象に残りました。
ホンダも実用的なFIT EVやスポーツタイプのEV-STAR
と話題にこと欠きません。また今回のEV展示の特徴は、
今年発売モデルからその機能がついているかは別として、
給電出来ること、更には震災時に使えるとかスマートグリッド
に組み込めば電力需給のアンバランスの解消のための調整弁ダムになれるという
ソフト面が強調されて来たといところでしょうか。
私としては、そんなことは100も承知だから、今発売中の全てのEVカーは勿論、
ハイブリット車にも1500W級の100Vコンセントは、是非つけてほしいと思います。
ちなみに普通の12Vのバッテリーから昇圧して100V1500Wなどという大容量は
バッテリーが短時間しか持たないのは勿論、ケーブルも超極太になり不可能ですが
EVやハイブリッドのバッテリーは 300V前後を積んでいると思われるので、降圧して
直流から交流に変換するだけでいいので、その追加コストも少額で済むものと思います。

頑張る通常型ガソリンエンジン車

プラグインハイブリットやEV、更には近未来のFCV車も
そうですが、既存ガソリン車の燃費向上も相当なものです。
例えはスズキのレジーナは、100kg以上の軽量化、
空力性能向上、直噴エンジン効率向上、CVT技術、
減速エネルギー回生機能付きアイドルストップなどを
搭載しJC08モードで32km/Lしたそうです。また既存の
市販車でもアルトエコの燃費はJC08モードで30.2km/Lで
ブルースウィルスが柔らかいCMで宣伝しているダイハツの
ミライース右写真(30km/L)を僅かながら上回ったようです。
また軽自動車に限らず、一般のガソリン車も、停車時の
アイドルストップ機能は当たり前のように装備されていますので燃費向上は、相当なものです。
また、スズキのSWIFT EV Hybridは、エンジンを発電用に特化したハイブリッド車です。
(ホンダIMAのようなエンジンとモーター両方から駆動する方式をパラレルハイブリッド方式。
 これSWIFTのような方式をシリーズハイブリッド方式といいます)
EVのみの走行距離は、30km(JC08)と決して長くはありませんが、発電用のエンジンを
積んでいるので極めて安心です。電池を多くして価格を上昇させてしまうよりは、得意の安価な
小型のエンジンを搭載して、安心を担保して、1日あるいは1回の走行距離は30km未満が
8割程度という大多数のニーズを満たす一方、構造がシンプルなので、開発費が低く抑えられる
という意味では、スズキならではの良いコンセプト車で、市販時の価格が楽しみです。

プラグインハイブリッド(PHV)かEVか 究極比較 短期的な結論は

車名 日産リーフ EV  写真 判定 プリウスPHV 写真
車両価格(補助金後) 376万円から(298万円〜) 320万円から(275万円〜)
航続距離 約200km以下 EVは26kmガソリンは1000km以上
電池容量 24kWh 4.4kWh
充電100V200V急速 約28時間、8時間、30分80% × 約180分、約90分、対応せず
燃費 ===== × EV値61km HV燃費31.6km/L
環境性能 ゼロエミッション ガソリンを使う以上0とは言えない
耐用年数() バッテリー寿命5-10?年 10年以上
性能劣化時 航続距離の減少に比例 × 燃費の悪化程度 
やはりリチウムイオン電池がまだ高額である現時点で比較すると、EVはかなり不利のようです。

直近の販売状況と今後の予想

今回のモーターショーの結論を出す前に、直近の11月末の販売状況を見てみましょう。
順位 通称名 メーカー 普/軽 台数 前年比%
1 プリウス トヨタ 普通 34,164 59.6
2 ミラ ダイハツ 20,052 283.6
3 フィット ホンダ 普通 16,399 -1.7
4 ワゴンR スズキ 14,885 15.6
5 ムーブ ダイハツ 11,324 48.4
6 ヴィッツ トヨタ 普通 10,602 55.6
7 タント ダイハツ 8,270 -37.4
8 セレナ 日産 普通 7,896 210.7
9 アルト スズキ 7,211 18.7
10 カローラ トヨタ 普通 6,810 18.2
11 フリード ホンダ 普通 6,367 -1.1
12 ステップワゴン ホンダ 普通 5,586 38.2
13 モコ 日産 5,584 75.1
14 エスティマ トヨタ 普通 5,419 82.0
15 バレット スズキ 5,076 -0.4
改め申し上げるまでもなく、上位10傑は、
ハイブリッドカー、およびそれに準じる
エコカーまた2位、4位、5位、7位、9位と
半分が、軽自動車です。よって10位まで
の車の実行燃費は、どう少なく見積っても
20km/Lでしょう。 
毎度申し上げているように、平均寿命が
12年とすれば、毎年8%の車が、10年
のって実質燃費10km/Lから左記の車に
変わるので、買い替え効果だけでも4%減
は間違いのないところです。
更に総額3000億円。普通車で10万円。
軽自動車で7万円のエコカー補助金も
復活しましたので、低燃費車への買い替え
今後も間違いなく続いていくでしょう。





左記台数は、月間5000台以上販売された車

東京モーターショーを見ての結論 ガソリン需要は10年等で半減する

これは以前から当HPでも申し上げて来た結論
「ガソリン需要は10年で半減する可能性がある」
をもう一歩トーンUPし「可能性がある」から
「時間の問題はるが遅かれ早かれ半減する」
と言いたいと思います。
これはモーターショーを見ての燃費改善や
日産ゴーン社長の「これまで2万台のリーフで
300万KLの燃料節約に貢献したとの発言
(台数からして全世界の類計と思われる。
国内のリーフの累計販売台数は9月末現在
で7300台))と推定)等EV効果もあります。
また一昨年8月より本HPで申し上げている
運転免許保有者の高齢化の要因もあります。
右表は2000年末と2010年末の運転免許の
保有者数の年齢別構成の比較です。
絶対人数こそ632万人も増えているように
見えるのですが、年齢構成を見ると
16-24歳の若者が248万人減少する一方
65歳以上の高齢者が何と、555万人も
増えているのです。
仮に運転可能世代が74歳以下だとすれば
人口減よりもそれこそ10年早く、運転可能
世代の減少が始まるのです。
そしてガソリン需要減少の最後の要因が、
震災以降の節約意識だと思います。
元売は、2020年でも2030年でも、石油の
重要性は変わらないと特約店にいいますが
私はむしろ「需要は半減するけれども、一緒にやりたい人は、是非やりましょう」の方が
誤解を招かなくてよいと思います。SSの対策としては、ガソリンが半減してもやっていける
体質を同業他社に先駆けて、作ることしかないでしょう。

元売4社 EV急速充電共同実証試験開始 いよいよ有料化へ

おりしも弊社のオートジョイセルフ河辺SS(青梅市)でも設置して頂いた急速充電器は、
2010年2月の設置当初は、1日1台程度のご利用しかありませんでしたが、2011年の
夏頃からは、1日1台程度まで増えてきました。正に日産リーフ効果です。
ただ今までは、全く無料でした。ちなみに有料洗車のご利用は洗車が得意の弊社でも
せいぜい1割でしたから、ビジネスには全くなりませんでした。
JXから発表された内容によれは、JXの東京都神奈川で18か所。更に、出光、コスモ、
昭和シェルの4社合計27か所の急速充電器が共通に利用できるという実験サービスです。
気になる料金ですが、加盟金=カード発行
手数料は1000円。後は月額固定利用料ですが、
ENEOSカード会員なら月額3000円(税込)、
ENEOSカード以外の会員は3500円
(但し何らかのクレジットカードは必要)。
以上は月に何度利用しても同額です。
一方、また会員以外でも1回1000円で利用
出来ます。この料金を頂いたとしてもビジネス
としては会いませんが、先行している日産EV
会員が月額1500円程度であることを考えると
上限に近いのかもしれません。今後ユーザーが
会員となって日常的に利用するのか。それとも
会員にはならず、家庭で充電を忘れた時とか
少なくなつた時だけ1000円払ってスポットで
入れに来るのか見極めたいと思います。尚、
以上の料金はJXの話で、他の3社はまだ発表されていないようです。

よくわかる石油業界 全面改訂=震災対応版 発売日決定1月26日です

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