近未来自動車の主流は何か No3
 電気自動車i MiEV搭乗報告&電気スタンドばビジネスになるのか
あなたは近未来自動車企画の 番目(up時119300)のお客様です。 09/1/30更新 Ver1
まずとても嬉しいニュースがありましたのでご謹んでご報告させて頂きます。実は私自身が
近未来自動車を調べたいので Yahooで「近未来自動車」と検索してみたのです。その結果、
2007年7月企画の近未来自動車の主流は何か2007年11月企画 東京モーターショ-写真報告
が何と 第1位と第2位でヒットしました。またGoogleでも1位と2位でヒットしておりました。
誠に嬉しい限りですが、本当に身の引き締まる思いです。
また昨年暮れ、電気自動車 iMiEVの運転をさせて頂くことが出来たりで今月は、その搭乗報告と
SSにおける電気スタンドがビジネスとして成り立つのか等を考えてみたいと思います。
尚、上記2ページ会わせ、2007年6月企画後半の マニアックなバッテリーの話
2003/10月-燃料電池車の実力はどこまで来たか NO3  2002/01月-同 NO2
2000/10月-エコカーの実力はどこまで来たか  NO1 もご覧頂ければ幸いです。 文責 垣見裕司

近未来の日本の自動車の主流は何か

 その本命は、トヨタプリウスに代表されるハイブリッド(以下HB)車です。そしてプラグイン
と呼ばれる家庭のコンセントで充電出来る機能を持ったHB車も発売される予定です。この
「プラグイン」とは、電気自動車の中に電気プラグとコードが入っていて、それを家庭のコン
セントに差し込めば、エンジンをかけることなく、一般家庭用の電源から直接車のバッテリー
に充電出来るというものです。
今のプリウスには既にあるEV走行モードは、エンジンを全く使わず、モーターだけで走る
という電気自動車のような走り方ですが、その走行距離は、まだ数kmです。
しかし2010年までに発売予定の次のプラグインHBプリウスは、電池性能を大幅に向上させ
その走行距離は、20-30kmにまで伸びそうです。

その次は、私が「次世代型プラグインHB」と名前づけた車が開発されるかもしれません。
今のHBと決定的に違うところは、動力の主役交代です。従来は、エンジンがメインで
モーターは従、すなわちモーターはアシストやサポートでしたが、次世代型HBは、モーター
がメインです。極端な話、動力はモーターだけで、バッテリーが少なくなった時にだけ、
発電専用のエンジンを回す。私の勝手な希望ですが、マツダはガソリンと水素どちらでも
使える(デュアルフューエル)のロータリーエンジンを開発済なので、小型で高回転高効率
という発電に最適なロータリーエンジンの特徴を生かし、モーターで走るプラグインHB車を
作ってほしいものです。

究極の自動車は、やはり電気自動車(EV)か

近未来のある日一家に2台車を持つご家庭がセカンドカーをプラグインHB車に替えました。
主に奥様が買い物や子供の送り向かいに使うので、1日の平均走行距離はせいぜい30km。
また奥様は、帰宅後の充電を忘れないマメなご性格で、結局その後1年間バッテリー切れは
一度も無く、従って追加のガソリンもほとんどいれなかったことに気がつきました。何故なら、
郵便局やデパートの駐車場やコインパーキングやロードサイドレストランでも簡易充電が
出来る場所が増え、何故かその充電料金は無料なのです。
こうなると万が一のバッテリー切れの為に重たいエンジンは要らない。HBシステムのエンジン
やトランスミッション(CVT)等を全部取り去り軽くして、その分室内を広くしたり、リチウムイオン
電池を積増せば、走行距離は更に伸びる。そして決定的なのは、その方が車両価格は非常
に安くなるのです。 こう思考実験をしていくと、政府の報告書等での電気自動車の大量普及
は、2020年以降となっていますが、私はもっと早く、少なくとも小型車やセカンドカーとして
電気自動車は最適な車になるでしょう。今それに最も近いのが、三菱自動車の「i MiEV」と
富士重工業のR1eではないでしょうか。三菱自動車のiMiEVは、最高時速130km。満充電の
走行距離は160kmの性能に全く問題はありません。

その最大の特徴は脅威のランニングコスト

2008年11月にi-MiEVを試乗しました。4人乗車し私が運転。「直線ならアクセルベタ踏みOK」
との了解で試してみたら、その加速はスポーツカー並でした。モーターは、低速域のトルク
が強いと知っていましたが、この加速には驚きました。しかしその最大の特徴は、その加速
ではなく、非常に低いランニングコストです。三菱自動車の発表では、1km走行あたり昼間
の電気代で約3円。深夜電力なら何と1円/kmです。同クラスのガソリン小型車が、14km/L
走るとして、ガソリン代が140円/Lなら、走行コストは10円/Km。走行電気コストは、ガソリン
の1/3から1/10。(ガソリン代の半分は税金ですが、揮発油税とは名ばかりで、本質的には
道路使用税ですから、電気自動車が、環境に優しいということだけで、道路使用税を払わ
ないのは、よく考えれば不公平です) 更に電気自動車には、エンジン車に絶対真似の出来
ない特徴があります。それはブレーキ時に発電機を回し充電するので、渋滞時でも走行
効率が、それ程落ちないのです。ガソリン車で、ブレーキをかけた時、ガソリンが増える
ということは絶対ないので、これは決定的な差です。

 

i MiEVの気になるその販売価格とそのコスト回収は?

本年夏に販売されるその価格は極秘ですが、私の推測では、量産化が進んでいない今は
リチウムイオン電池コストを考えると400万円弱。しかし販売台数が事前にまとまり、国の
補助金と地元自治体の補助金がダブルで出て、ずばり250万円。同種ガソリン車を150万円
とすればそのコスト差は、約100万円。これが高いか安いか。環境を重視したい大企業に
とって、100台入れたとしても差額は1億円。それがテレビのニュースや特集等で取り上げ
られることを「広告費」として考えたら一回で元が取れるので実は安いかもしれません。
一方個人がイニシャルコストを回収するには年2万km 純粋に損益分岐点を計算します。
140円/L。燃費14km/Lのガソリン車とiMiVEで比較します。年間1万km走るとすると、
ガソリン代は1万km/14kmX140円=10万円。電気自動車は、夜間電力なら1km=1円なので

年1万円。よって年9万円コスト回収出来るので、100万円/9万円=約11年で回収です。
更に電気自動車は、オイル交換等のメンテナンスがいらない分、維持費は安そうですが
バッテリーの寿命も考えると、年間2万Km以上が目安となりそうです。また日産のゴーン
氏は、高いバッテリーをリースすれば、車体価格は同じに出来とも言っています。

電気自動車時代になって一番困る会社は?

「車はモーターでも走る」ことをプリウスで証明しパンドラの箱を開けてしまったトヨタでしょう。
自動車メーカーは、エンジンを含むパワーユニットを作ってこそメーカーで、そこに付加価値
があり利益があるそうです。例えばBMWの社名の由来も、バイエルンの(飛行機)エンジン
製造会社。要するに車作りは、エンジン作りだったのです。一方電気自動車は、モーターと
バッテリーと制御システムさえあれば良く、電気メーカーでも作れます。また燃料電池車や
ハイブリッド車の開発コストと比較すれば、電気自動車の開発コストは、遥かに少なくて
済みます。自動車会社の中で、決して勝ち組とは言えなかった三菱自動車だからこそ、
開発出来たのではないでしょうか。
  また一般のガソリン車の部品点数が仮に3万とすると電気自動車は約1万点で出来る
と言われています。またエンジンのように高温部分がないので、ボンネットも鉄の必要はなく
プラスチックとかカーボンファイバーで代用出来ます。その結果、車両重量は軽くなるので
燃費ならぬ、走行エネルギー効率は益々上がります。
 また部品点数が1/3ということは、故障発生確率が格段に少なくなります。私は車の
専門家ではないので、あくまで数学的な発想でのシミュレーションですが、一つでも
部品が壊れると車全体が動かなくなる主要部品が100あるとし、一つの部品が
10年間20万km壊れない確率を99%とすると、その車が10年間故障しない確率は、
0.99 X 0.99 X すなわち0.99の100乗 = 0.36 36% です。もし部品点数が1/3になると
0.99 X 0.99 X が33乗 = 0.72 72%となり 故障発生率は、約半分になります。
これは自動車整備業界もかなりの打撃を受ける可能性があることを意味しています。
 このような電気自動車になって困る会社困る業界がある反面、おもちゃの「タカラ」が
チョロQの実車版を出して話題になったようにマブチモーターさんやラジコンで有名な
京商さんが、1-2人乗りの小型電気自動車を趣味感覚で販売するかもしれません。
個人的に大歓迎で、車離れしている若者が、デートで二人乗りのEVカーにのって
湘南の海から箱根ターンパイクを通って、芦ノ湖に一泊旅行したらペンションでは
「ご予約の方は電気代無料」のサービス。こんな時代は意外に早く来るかもしれません。

電気スタンドをSSに設置する時の問題点

電気スタンドは、1基300万円で既に開発済みです。
写真で右の四角いのが従来型。手前の背が高いのが
洞爺湖サミットに間に合うよう作られた最新型です。
当局でも補助金を検討中なので楽しみなのですが、
大きな問題が2つありそうです。
それは入力三相200V、最大出力50kW (500V 125A)
という電気容量です。通常のSSはキュービクル無しで
電気容量がほぼ一杯なので、SSにこれを設置する
には、300万円もするキュービクルという変電装置を
置かなくてはならないのです。
このキュービクル費用まで補助金を出して頂けるのか。
更に基本料金の大幅増という問題もあります。
通常SSは、「従量電灯C」と業務用の「低圧電力」を
契約しています。普通の従量電灯の料金単価は
24円/kWに対し、業務用低圧電力は、約半分の
12円/kWと安いのですが、基本料金が高いのです。
仮に50kW増えると基本料金単価は1071円/kWなので、月額53550の増。 また基本料金は
この容量を1度でも使うと確か1年間下げてもらえないのです。よってたまにしか来ない
電気自動車のために初期投資が約600万円。基本料金が年60万円、5年間で300万円。
合計900万円の費用は環境貢献費としても許容範囲外です。
もし本気でSSに導入するなら、エネ庁だけでなく経済産業省も電力会社も協力して、
電柱のトランスから直接ケーブルを引き、キュービクルも不要、基本料金も据え置きにして
従量料金だけにする。電力会社も含めたこの位のバックUP体制がないと、補助金事業
としても難しいでしょう。

お客様から頂く急速充電料金は実は安い そもそも本当にニーズはあるのか

iMiEVの電池容量は16kW。ロスなく満充電すると、一般家庭の昼間電力単価 24円/kW
でも16kW X 24円/kW = 384円。目を疑う安さで驚きます。一方最大走行距離160km、
1kmの走行コストは3円との発表ですから、これから計算しても480円。実は電力会社も
この事実を知って驚いたとか。
この従量電気代とは別に、急速充電基本手数料的なものを1000円頂くとしても、投資は
回収は出来ず、営利事業としては、かなり難しいのではないか思います。
またこの料金以前の根本的な問題として一般家庭で充電出来るのに電気スタンドとして
ニーズはどのくらいあるかを考えてみます。
自宅の駐車場でコンセントに繋いでおけば100Vで14時間。200Vなら7時間で満充電。
昨今の家庭の配電盤には、200Vが既に来ていますので、それを駐車場まで引くのに
たいした費用はかからないでしょう。夜帰ったとしても、翌朝7時には満充電で毎日160km
走るなら、何の不自由もないでしょう。
また既に設置を表明している大手スーパーや郵便局だけでなく、今後は、外食レストラン、
デパート駐車場、コインパーキング等、急速充電器はなくても100V、200Vでの簡易充電が
出来る場所は、益々増えて来るでしょう。 お客様にとっての目的地に簡易充電システムが
あるなら、目的地ではないSSにわざわざ来ません。むしろ自宅で充電を忘れた時にだけ、
いやいや来て高い急速充電料金を支払う。これでは「感動」を成功のキーワードにする
弊社の戦略には、合わなくなっていくような気がします。

燃料電池自動車(FCEV)は本当に普及するのか

ちなみに燃料電池車はどうなったのではしょうか。正しいかどうかは別として現時点での
私見をご紹介したいと思います。2005年以前のモーターショーは、さしづめ燃料電池自動車
の技術品評会のようでしたが、2007年は一変、燃料電池車の実車を展示したのはホンダ
のみでした。そして電気自動車を改めて勉強してみると、燃料電池車も電気自動車の一種
だと気がつきます。究極の技術の集約である「燃料電池」に対して理工学部出身の筆者
としては、大変失礼とは思いますが、それは単なる発電機です。当然車載用ですから軽量
かつコンパクトが絶対条件ですが、その「車載用の発電機」として本当にFCが最も優れて
いるのか。
東京のLPガスエリアで第一号の定地式燃料電池の実証試験をした弊社の実感では、
「電気」と発生する「熱」の両方を使っても、イニシャルとランニングの両コストの回収に
苦労しているのに、車は電気しか使わず熱は大気放出で捨てているのです。まして脱硫
ガソリンを積んで水素を取り出す改質方式は、更に高コストになります。
どうしても水素を使いたいなら前述の水素ロータリーエンジンで発電する方が効率的です。
そもそもプラグインで簡単に充電出来るなら、高いFC発電機を車に積む必要性は低いの
です。結局、電気自動車の発電機としてFCは実は向いていないことを、自動車会社自身が
認めざるを得なくなってきたいのではないとか思います。

SSでも出来るカーシェアリングシステムは 格安レンターカービジネスではないか

さて、以上は車のハードの話ですが、利用の仕方というソフトについても、一つご紹介させて
頂きます。昨今、車を持たない若者とか、車を持っていても利用頻度が少なくまたコストも
それなりに掛かるので車を手放す人が増えています。しかし時としてやはり車は必要です。
もちろん普通のレンターカーはありますが、大きな駅の近くしかないとか、自宅の近くにない。
また頻繁に利用する人や或いは短時間のみ利用する人には、その料金も決して安くない
等の課題があります。
その一方、昨今のカーシェアリングシステムも注目されています。レンタカーが不特定多数で
比較的長時間利用するのに対して、カーシェアリングシステムは特定複数人を会員として
比較的短い時間を安価で利用するサービスではないでしょうか。現在大手ではオリックス
自動車が始められていますが、まだまだ一般化されているとは言えません。
 このレンタカーとカーシェアリングシステムのいいとこ取りをしたのが、SSでの格安レンタ
カービジネスではないかと思います。決して大きく手広く事業を展開するというのではなく、
それこそ近くのマンションや団地の自治会様に変わって、当社が「わ」ナンバーの車を所有し
それを格安でお貸しする。最初は、近隣の懇意にしている中古自動車販売会社と提携して
独自に開始しようと思いましたが、SS業界でも既に事業を展開されている何社かのお話を
聞き、弊社単独で始めるより その会社のフランチャイズに加入した方が、総合的にメリット
が出ると判断しました。4月からは営業を開始したいと思いますので、皆様にもご紹介出来る
ような実績が出るようでしたら、本HPでも公開して行きたいと思います。
ご感想等はこちらからどうぞ。但し必ずお返事出来るとは限りませんので予めご了承下さい