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格安SSレンタカー盗難事件発生&逮捕 ニコニコレンタカー売上好調の反面、かなり厳しく辛い話のご報告です |
ついに盗難事件発生それは6月のある日の夜、そのSSの所長から第1報が入ったところから始まりました。
「レンタカー乗り逃げと思われる事案が発生しました。車両はBクラスです。本日18時帰着
予定なのですが18:10になっても帰ってこないので、携帯へ電話しましたが、コールするも
出ません。18:30再度電話するもでません。19:00に緊急連絡先(勤務先)へ電話すると
そこで初めて「昨年末に退社した」と告げられ、いやな予感が増幅しました」がその内容です。
そして第2報は「19:30、記入された免許証記載の住所がSSの近くなので訪問しましたが、
何と別人が居住していました。どうしたらいいでしょうか」とその所長からの悲痛な叫びです。
実はこの日は休日だったのですが、上司の副部長、課長、そして余り頼りにはなりませんが、
私も含め、メールや電話で対応を協議しながら、所長の応援体制を確立したように思います。
そして相談の結果、SSも多忙なのですが、警察に被害相談に行ってもらうこととなりました。
一方、帰って来ないその車両の明日以降の予約の対応も大変です。同店舗の空き車両は
勿論、他店舗の車両も含め対応しました。そしてその日の所長からの最終連絡が印象的です。
「本日は多くの方に助けて頂きありがとうございました。まだ解決した訳ではありませんが
悔しさや不安で揺らいだ心を支えられました。専務の「想定したいつかはある事が発生した
だけじゃないか」となぐさめて頂いたのも少しは気持ちが楽になりました。皆様に深く感謝
致します。」そんな訳で、レンタカーを始めるに当たって現場に見えない負担は相当あります
ので、従業員の納得や満足(ES)、そして本社の本気の応援は、絶対必要だと思います。
盗難事件は いつかはあること レンタカー事業を始めるにあたって、実は盗難は、いつかはあると覚悟していました。これは
ニコレン様からもお伺いしていました。対応マニュアルも読み、当社より後発でしたが、先に
盗難をご経験された運営店の社長からもその対応状況等をお伺いし、当社独自の対応策も
作成し、何をどのように対応したらよいかというシミュレーションまで実施しておりました。
事前勉強しておかないと、一般的な印象と異なり、最初に驚いてしまうのが、警察の対応で
しょう。我々は「盗難事件発生」と思って血相を変え、重大な決意を持って警察に駆け込むの
ですが、警察は、よく言えば「極めて冷静」。悪く言えば、「それは単なる返却の遅れかもしれ
ないでしょ。少なくとも民対民のレンタカー契約が成立して貸しているのだから、警察としては
民事不介入が原則です。貸出契約中に、店員に暴行し、お金を払わず、車を強奪したのなら
まだしも、お金を事前に払って成立した契約の返却時期の遅れ程度の話で、いきなり盗難等
の刑事事件としては、扱かえません」という感じです。
警察の立場にたって見ると確かに警察の立場に立って考えるとその通りです。例えば、DVD等のレンタルショップで、
返却遅れや結果的に返却しない事例について、余程悪質でもない限り、レンタル店は、
いちいちで警察に駆け込まないでしょうし、多忙の警察も取り合ってはくれないでしょう。
それなりの事情で返す時間に返せなくなった。延長料金を持っていない。それで益々返し
ずらくなっただけという無責任な若者の行為に対し、仮に捕まえたとしても「返す気はあった」
と言いはるとなかなか有罪には出来ないそうです。被害届を受理し、逮捕状を取り、苦労して
逮捕しても、警察としては最悪、「誤認逮捕」だそうで、これだけは絶対避けたいそうです。
とにかく民民契約から始まったので、犯罪の立証が難しい。これはあくまで法律用語の話で
すが、初めからだますつもり(返さないつもりで借りたなら)→詐欺、途中で返せない事情が
発生し、返さず盗もうと考えたなら「横領」だそうです。
重要なのは事件性しかし最後に重要なのは「事件性」だそうです。悪意が高いとか低いとかのレベルではなく、
これから何か重大な凶悪事件が計画されていて、それに使用する目的で盗難したのなら、
今回の盗難犯人を逮捕することが、その重大事件を未然に防止するきっかけとなる。しかし
今回の事例は、今は住んでいないにしても、本人の免許証を提示し、緊急連絡先として申告
した会社の電話番号も実在し、過去は在社した会社である。そんなことから、警察は話しを
聞いてくれたてものの「被害届」は一応預かるが、正式な「受理」ではなくまずは様子を見る
ということなりました。事実、1週間位で見つかる例は多いそうです。 結論から申し上げれば、
その後電話や実際に数回訪問し、3度目の6月中に、被害届はようやく受理されました。
貸出時に防げなかったのかレンタカー事業を始めて1年半も経ちますと、本当に色々なお客様がご来店されます。中には
車を借りに来たのではなく、今夜の雨風をしのげる寝床代わりにしそうな風貌の方もいました。
その時は、通常は10分程度で終わる初回時の貸出手続きを、慎重に時間をかけてやします。
例えば書面に記載された携帯電話や自宅電話がちゃんと繋がるか等を、その場で電話し確か
めたりしていると、怪しい目的の人は「じゃいい」と言って円満にご辞退頂くことが出来ます。
では今回の一件は、防ぐ事は出来なかったのでしょうか。答えはNOです。この容疑者は、
初めての利用ではなく何とリピーター様で、今回が3回目の利用だったのです。よって弊社の
優秀な所長でも、「どう考えても一生懸命考えても無理でした。本当に普通の人で、おまけに
リピーターですから、絶対無理でした」との報告がとても印象的でした。
ニコニコレンタカー本部とは常に相談本件に関しては当たり前ですがニコレン本部とは事件発生直後から常に相談してきました。
やはりこういう時に相談相手がいて、色々な事例の蓄積があるフランチャイズ本部の存在は
通常では感じない、そしてお金の金額には換算出来ないもう一つの価値と言えるでしょう。
今回の事例も広い意味では、ニコニコレンタカーグループのその対応ノウハウですが、ニコ
レン本部様には、その開示にお許しを頂いてので、改めて御礼申し上げる次第です。
その一方、数多く頂戴した指導の中で一点だけ迷った事例があるのでご報告しておきます。
それは、盗難車の書面上の取り扱いにしいてです。ニコレン本部様によれば、事件発生から
しばらくして、警察が被害届を正式に「受理」すると、完全に「盗難車」となるばかりでなく、
現在は手元にないので、ニコレンも弊社もその車に対して何の責任も取れませんよという主張
を明確にするため、被害届の受理番号をもって出来る該当車両の登録抹消登記、すなわち
書面上盗難車を廃車するかどうか、もし廃車とするならばそれはいつが良いかという問題です。
廃車にするかしないか6月某日に警察が、我々の被害届をようやく受理してくれたので、これで我々はいつでも車を
「廃車」(一時抹消)に出来る訳ですが、それで当社の責任は本当に100%なくなるのか。
万一その盗難車が事故を起こした時は、盗んだ、そしてその時運転士していた犯人が100%
悪く、当社に責任はありません。しかし廃車にするということは、鉄の塊という凶器が日々
動き続けているということになります。犯人がどうなろうと知りませんが、何の罪もない事故
の被害者やその家族の気持ちを考えると複雑な思いがするのです。廃車にしたら任意保険は
まず支払われないでしょう。自賠責は廃車にしても降りるそうですし、国の制度として無保険
車に事故に会われた時の救済制度がありますが、任意保険の額とは比べものになりません。
被害者は、犯人に損害賠償請求をすると思いますが、当然払えない。その納まらない感情は
車の元所有者で、犯人にその車を貸した当社の責任を追及したいと思うのではないでしょうか。
当社も車を盗まれ、それを警察も認めているので、我々も被害者なのですから、裁判は勝てる
というニコレン本部の法律的見解ですが、被害者が感情的にご納得されるかは別問題です。
当社も顧問弁護士や友人の弁護士とも何度も相談しましたが、その盗難車の車検が満了する
時期までは廃車にせず、現車がないので、どうやっても車検の更新ができない決定的な状態に
なるまで、任意保険等は払い続けることにました。あの秋葉原の事件も、実はレンタカーです。
被害者の方々にどんな保証がされたのかは存じませんが、この問題に関しては、今後とも
ニコレン本部や損保会社とも、研究していきたいと思います。
盗難車発見は、ある意味奇跡的 レンタカー盗難事件は、その後何事もなく時が過ぎ、一部の社員の心の奥底には残るものの
一般社員の話題には、ほとんど上がらなくなった7月某日に、事態は急転換。一本の電話が
SSにかかって来たのです。「所長、レンタカー見つかったの?。何色のOOでしょ。わナン
バーだったからあれっと思ったんだけと、隣町のスーパーの駐車場に止まっているよ。」
電話をかけて下さったのは、警察でも駐車違反取締りの民間会社でもなく、当SSのお客様が
でした。こんなことってありうるでしょうか。弊社所長とお客様の日頃のコミュニケーション
がなければ、更にそのお客様のお心がなければ、普通はありえないことだと思います。その
電話を受けた所長は、合鍵を持って部下をつれ、そのスーパーの駐車場に駆けつけ車を確認
即刻警察に電話しましたが、警察が来る前に、何と犯人が車に戻って来てしまいました。
パトカー10台の大捕物警察も電話で「無理せずまず自分の身の安全を確保して」と所長にアドバイスしたそうですが
所長は、犯人が普通の人と知っているし、凶悪犯ではないので、出来ることなら自分たちで
捕まえようとしました。所長達は制服を着ていたので、見つからないよう少し離れたところに
乗ってきた車を止めた正にその時、犯人が歩いて来たのです。車に乗り込んだ時、一人は
運転席側に駆け寄り、もう一人は、盗難車が逃げ出さないよう乗って来た車を進行方向を塞ぐ
形で止めました。犯人が驚いている隙に、ドアを開け鍵を抜き、再びドアを閉めて、車の中に
閉じ込めることに成功したのです。降りようとする犯人。降りなくていいとドアをブロックする
二人。そして、「何故盗んだん」と問い詰める所長。「返そうと思ったんだけとお金がなくて」
と言い訳を始める犯人。反省の気持ちはは全く感じられず、所長も怒りがこみ上げて来まし
たが、ようやくパトカーが到着。その数合計10台。盗難車は勿論、駐車場の出口もがっちり
ふさいだそうです。鳴り響くサイレンにスーパーからお客さんは出て来る、店長やスタッフも
集まって来て、それはもう大騒ぎだったそうで、犯人もようやく自分のしたこと重大性に気が
ついたようでした。
相手弁護士との交渉は逮捕後も大変です。盗難車の発見も逮捕も民間人の我々ですから、所長もスタッフも警察
での事情聴取には時間がかかりました。またレンタカーを貸した時のスタッフも、後日事情
聴取され、その延べ時間は、20時間以上。幸い貸出契約業務等で書類上の不備はなく
盗難事件として立派に成立するこことなりました。
しかし警察や検察が裁いてくれるのは、刑事事件としての罪。有罪となって刑に服しても
盗難期間の貸出料金や無断延長違約金(通常料金の2倍)とその合計額を如何にして
回収するかは、全く別な話です。まず請求額は幾らになるのか。貸出時に説明した約款に
基づき、請求書に相当するものを作成。送り先は住所不定なので、OO警察署拘置所内の
犯人宛てに内容証明を発送するのです。
そして犯人のとの交渉ですが幸いにして刑事事件の国選弁護人が民事でも犯人の代理人と
なってくれたのですが、この方が大変素晴らしい方で立場の違いを超えて交渉が出来ました。
実は相手弁護士が好意的なのにはそれなりの理由があるのです。刑事裁判において被害者
である我々との示談が成立しているかどうかは、判決を左右する重要な要素となるそうです。
そんな訳で、我々が民事裁判など起こさなくても、先方は話し合いに応じることとなりました。
先輩の反省を生かして請求額は、通常料金と無断延長違約金(通常の2倍、合計通常の3倍)、そして寝泊まり等の
不正使用なので徹底的なクリーニングが必要だったのですが、これも早々に合意しました。
問題はその支払方法で、相手弁護士からは、当然分割払いの要請がありました。実はこの時
役にたったのが、先に盗難を経験された時の事例でした。その運営店社長は温情で、5回
払いを認め示談にしたものの、犯人は最初の一回を払っい後は無しのつぶて。支払い能力が
ないと言えばそれまでですが、余りにも誠意がなく無く、二度騙された気分になったそうです。
弊社社内でも「分割払いにして、一部でも払ってもらった方が良いのではないか」との意見
もありましたが、私はこの事例を紹介し二度裏切られるくらいなら仮にお金を貰えなくても、
しっかり刑に服し心から反省してほしい」と思いました。 従って相手弁護士には「一括現金
でお支払い下さい。支払い能力がないなら分割でも結構ですが、示談書は全額入金時です」
と伝えました。「もう一度犯人を信じてほしい」等の話もありましたが、それは「ご両親や
ご家族、弁護士等、彼を信じる方が立て替えて下さい」と心を鬼にして申し上げました。
これは一般論として聞いた話ですが、初犯の場合は執行猶予がつくことが多いそうですが、
被害者との示談成立は大きな要素だそうです。 結論から申し上げれば、弁護士が犯人の
母親に連絡、この母親が全額立替えてくれることとなり、銀行口座入金確認後、捺印した
示談書を弁護士に送付しました。 幸い裁判にも間に合い、犯人も罪を認めているので
即日判決で、当然懲役刑なので前科はつきますが、執行猶予もついたそうです。罪を憎んで
人を憎まず。こうなると不思議なもので、当方も執行猶予がついたことを嬉しく思いました。
Nシステムには未登録今回の件で非常に恐ろしいことが判明しました。それは警察が被害届を正式に受理し盗難車
となっても、警察の自動車ナンバー自動読取装置「通称Nシステム」には登録されない事です。
これは私にとっては非常に意外でした。 警察の方のお話では「殺人事件等重大犯罪が中心」
とのことなので、レンタカーを盗んだぐらいでは登録されないのです。 私はこの事実をHPで
公表すれば、レンタカーの盗難が増えるのではないかと心配ですが、あえて問題提起します。
そしてニコレン本部を通じ、日本レンタカー協会等の団体に、レンタカー業者の総意として、
盗難レンタカーのNシステムへの登録を強く希望したいと思います。 読者の皆様の中で、もし
警察関係にお知り合いの方がいらっしゃいましたらNシステム登録をお願いして下さい。
忙しい警察の人手を割いて探してとまでは申しませんが、もしNシステムで発見したら、直ちに
我々に連絡してもらうようお願いしたいと思います。
我々SS業者に出来ることところで皆様のSSが例えば20Lで2600円程度の「あっごめん財布忘れた。後で持ってくる」
という怪しい事例に遭遇したらどうしますか。 弊社では、免許証を拝見しあればコピーする。
自宅を確認し、電話し、ちゃんとかかるか、誰かいないかを確かめる。車検証を確認しコピー
する等の対策が決められています。 しかし「免許証は財布の中なので今はない。車はレンタ
カー。自宅とした電話に電話するも誰も出ない。携帯電話ももっていない」こうなると、実施
出来ることはありません。信用した訳ではないが本当に「仕方がない」ので、返してしまったが、
やはりその後何日も支払いがない場合どうしますか。
弊社では、お陰さまで近年その事例が全くないので、何とも言えませんが、2600円程度なら
警察に行って事情聴取されて、被害届出して何という時間とコストを考えると、所長が泣き
寝入りをしてしまうのではないでしょうか。 また誉められた事例ではないので、組合や同業
他社に連絡するとかの対応をしないのかもしれません。しかし2600円の少額だからと言って
泣き寝入りは犯人の思うつぼで、次の被害を生むことにもなります。
是非、地元の組合単位で盗難や入れ逃げ詐欺、悪質クレーマー等の被害情報ネットワークを
確立するのがと良いと思います。 組合でそのような事例があった場合の情報を希望するかの
メーリングリストを構築し、何か被害事例があったら、一斉配信するというのはどうでしょう。
最初のメールの登録は大変かもしれませんが、そういう情報交換をしていることが間接的に
世間に広がれば、入れ逃げ犯罪の未然防止少しは役に立つのではないかと思います。
Nシステムの登録を警察に依頼してゆくとともに、我々業界人も、今すぐ出来ることをやって
ゆくべきと思います。 本内容に関する感想等は、こちらからご連絡頂ければ幸いです。