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2025年石油SS業界重大ニュース ガソリン軽油暫定税率、公取調査、コンプライアンス他 |
1 ガソリン税暫定税率 半世紀ぶりに遂に廃止へ 11月企画参照
この問題はやはり6党協議が大きかったようです。 というのも自民党のみ
ならず、反対意見は二つありました。一つは代替財源問題です。この6党
協議も「代替財源を確保して」との表現がありましたので、逆に言えば
「代替財源を確保出来なかったら下げない。或いは25.1円全額ではなく
半額」という結論になってもおかしくはありませんでした。
もう一つは「環境に悪い?ガソリン価格を下げることは、地球温暖化政策
に逆行する」という、一見正しいというか反対しにくいご理由です。
でも既に温暖化対策目的の税は、石油石炭税に上乗せする形で既に
とられているのですが、私ですらその使い道は知りません。
もう一つ懸念されたのが「自動車にかかる税を包括的に見直す」という
名の時間稼ぎです。今の重量税は、車両の重さや燃費性能に基づいて
おり、道路の利用実態すなわち走行距離を反映していないので、EV等が
過度に優遇されているのは間違いのない事実です。
実は私は走行税賛成派です。3年目の車検時に重量別で1kmあたりの
走行単価をかけて納税するのが公平だと思います。
さてガソリン税暫定税率廃止法案が衆議院と参議院で成立したのは11月末。
そしてその日付も12月末日なので、年末に25.1円下がると誤解を招く報道が
一部ありますが、市場の混乱をさける目的で、5円ずつ既に下がっており
最後の5.1円、我々の仕入れが下がるのは、12月11日木曜からです。
高値在庫もありますので、週末以降徐々に下がっていくものと思います。
12月31日に廃止するというのは、国と元売等の業者間の話で、一般の
SSやましてやお客様は全く気にせず必要な時に給油下さい。実際11月の
の販売数量を見る限り、5円ずつの段階値下げが効いているのか、11月
の値下げ前の需要減はせいぜい3%前後だと思います。
2 軽油引取税の暫定税率も廃止へ 実質は11月中に価格反映へ
私にとっても、軽油税暫定税率17.1円。それまで支給されていた補助金10円
に7.1円分が加算され、実質11月中に値下げされたのは嬉しい誤算でした。
というのも自民党の総裁選挙で軽油の暫定税率まで下げると公言していた
のは高市候補だけでした。 その財源は「当面今の補助金の基金を利用する」
との説明でしたから、財源議論に先行して下げることが出来たのです。
しかしガソリン税の暫定税率はSSの在庫だけ気にしていればよいのに対し
地方税である軽油税は我々特約店が納税しているので注意が必要です。
また補助金増額分の17.1円と軽油税の暫定税率17.1円との相殺時期も
4月1日となりました。遅らせた理由は恐らく二つです。 軽油の暫定税率分
だけでも約5千億円。これをどう地方に支援するか決まっていないのです。
この軽油引取税を地元自治体に納めているのは我々特約店(特別徴税
義務者)なので、元売からの仕入れは4月1日より17.1円値上げされ、我々
が東京都に納める税金が4月1日より17.1円減額して払うことになると思い
ます。詳細はまだ不明ですので、今後の国会審議を注視したいと思います。
3 長野県北信支部に公正取引委員会の調査入る
長野県の北信支部という地元組合及び傘下SSに公取の立ち入り調査が
入りました。50年前のオイルショック時ならまだしも、昭和、平成を経た
令和の話なので、同じ業界人として、本当に重く受け止めております。
公正取引委員会の発表によれば、長野県内のガソリンの販売価格で
カルテルを結んでいたとして、長野県石油商業組合北信支部に独占禁止
法違反(事業者団体による不当な取引制限)で再発防止を求める排除
措置命令を出す一方、北信支部を構成するガソリンスタンド事業者約
70社の一部に対しては課徴金納付を命じたのです。11月末にはその額
が通知されました。17社に対し総額1億円超の課徴金を重く受け止めます。
4 神奈川フリート6社に続き東京でも8社に公取調査
公正取引委員会は本年5月27日と9月10日、運送業者の法人向け軽油の
販売価格を巡り、カルテルを結んだ疑いがあるとして、5月は大手石油製品
販売会社(いわゆるフリート大手)6社。9月は8社に対して、独占禁止法違反
(不当な取引制限)の疑いで立ち入り調査を行ったと発表しました。
一般の読者にはなじみのないこのフリート業者やフリートSSですが、
複数のトラックなどの法人車両に給油することを目的とした大規模SSと英語
の「fleet」(フリート=車両の集団)を組み合わせた言葉で、主に法人向けに
軽油を供給しています。フリートSSは広範囲にわたって車両を運用する運送
業者に効率的に給油することに特化しています。当社SSは3トン未満までしか
給油出来ないので、フリートは別世界の話ですが、カルテルは問題です。
5 全国の石油商業組合にコンプラ委員会が設置される 10月企画参照
前述の不祥事を受けご当局から全国石油商業組合連合会にご指導があり
まず全石内にコンプライアンス委員会が設置されました。 そして宣言案を
作成するとともに、傘下の各都道府県石商にコンプライアンス委員会立ち
上げ要請があり、私の所属する東京都石油商業組合でも設置しました。
また10月14日には全石と合同で冨岡弁護士がコンプライアンス活動と独禁
法をテーマに講演。組合員をはじめ全国各地の石油組合理事長や事務局
もリモートで聴講し、業界を挙げてコンプライアンスの徹底を図りました。
垣見油化でも今期の年度始めに法令遵守や公正な取引の確保のみならず
セクハラ、パワハラ、カスハラも含めて包括的に宣言させて頂きました。
6 業界内問題ですが、他店発の給油代行料問題は1歩も進まず
私は上記コンプライアンス宣言を重く受け止めております。東京都石商の
副理事長かつコンプラ委員。そして垣見油化の社長としても宣言しました。
よって業界の忘年会でもグレーな話になって来たら会費を払って即中座する
必要があるのです。 その意味では発券店値付けカードを、その他のSSで
給油し時に支払う給油代行料問題で、元売に対して一律に値上げを要請
する活動も、もはやコンプライアンス的にもう慎むべきだと思います。
何故なら例えば北海道の原野は一坪千円。東京都心は一坪一千万円。
土地コストが一万倍も違うのに、元売が同じ手数料で給油せよ。これは
もはや黒に近いグレーです。同様に東京都内においても西多摩郡の坪
一万円のSSと都心の一千万円のSSで、代行料を一律に値上げせよと
活動するのもおかしいからです。よって私は、元売が提供する発券店値付け
システムはそのままでいいので、給油代行料は給油店に決定させてほしい。
私も組合も、この自分の給油手数料を自分で決める活動にすべきです。
7 安値圏の原油価格に感謝
このグラフはWTI原油価格です。多少の乱高下はあるものの、ロシア・
ウクライナ戦争が継続しているにも関わらず、年末では60$以下の安値で
推移しており、資源輸入国としては恵まれた1年だったと思います。
8 過度の円安は心配
私が心配するのはむしろ円安の方です。日本はご存じの通り多くの化石
燃料を輸入に頼っています。 更にエネルギーばかりではなく、自動車産業
の元となる鉄やレアアース、建築資材。食糧も同様で輸入に頼っています。
しかし米国が金利を下げても円安は是正されず、更に加速しています。
私はこの円安是正こそ物価高対策だと思います。本来は各国間の貿易や
経済で決まるべき為替レートですが、今は緊急対策として含み益のある
米国債の売却も対策の一つだと思います。
9 コストコ出店断念か
兵庫県から以下のニュースが入ってきました。神戸新聞の10月11日号で
たつの市は、高速龍野IC付近に誘致していたコストコの出店計画が白紙に
なったとの内容です。同新聞が市に取材したところ、コストコ側が市に
出店計画の中止を申し出てきたそうです。 その中止理由は公表されて
いませんが、長い意味で、私はお客様にとっても石油製品の安定供給に
繋がったと思っています。あくまで計算上ですが、1店で月間2000KLの
ガソリンを周辺より10円から15円も安く売れば、半径10〜20km圏で、
月間50kLを販売していた零細SSが40SSもつぶれることになります。
その財源がコストコの年会費というビジネスモデル上の違いや資本力。
そして出店時に地元自治体からの誘致補助金を得ていたとすれば、
公正な競争なのかという疑問が生まれます。最終的には地元のお客様
のご判断ではありますが、今後も注視して行きたいと思います。
10 ENEOS e-Fuel断念か
「ENEOSが合成燃料e-fuelの開発を断念。もともと無理筋の技術だった」
10月22日配信のyahooニュースですが、発信元は雑誌オルタナです。
同誌はサステナビリティやCSR(企業の社会的責任)をテーマとした
07年創刊のビジネス誌です。 記事の内容は、当初28年に日量300B
のパイロットプラントを建設。30年代後半には1万バレルまで拡張する
予定でしたが、今年10月、政府が主催する産業構造審議会で同社は
以降の建設を無期延期、つまり事実上中止すると表明したのです。
実は私もENEOSの中央技術研究所を訪問させて頂いた時の感想も
同感でビジネスとしての実用化は難しいとは思います。 しかし日本の
リーディングカンパニーとして儲からないからやらないでよいのか。
8月5日の日経記事、ENEOS外様社長、減損体質に大ナタ。社内反発
でも基準厳しく。これも遺憾です。雑誌「選択」でも色々書かれた同社
ですが、この問題は来年以降、じっくり解説したいと思います。
三菱商事グループ500 億円の特損計上し洋上風力撤退 9月企画
同じエネルギー業界の話なので、番外編の最初に上げさせて頂きました。
要するに再生可能エネルギーは安くないのです。その意味では、前述の
ENEOSは大きな投資をする前に英断し、大きな特損は出していないので
私は評価したいのですが、三菱商事が自らのHP他で自説を展開してる
のに対し、ENEOSは何も発表していないのが、残念です。その他としては
トランプ関税、株価5万円突破。不動産価格高騰。消費者物価高騰。
中小企業は賃上げするも、実質は低下? そんな不安な状況が続いた
1年でした。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。