2016年度業界販売と元売決算データ比較 NO26
ピークから約半分 SS数はどこまで減るのか
あなたは元売決算で 、SS数関連では番目のお客様です。
今月は、石油業界の販売数量と元売決算報告、SS数の減少分析です。既に
公開されているデータですが、垣見HPで毎年確認したいので継続せよとのご下命
を頂きましたので、以下ご報告させて頂きます。         文責 垣見裕司

石油製品別国内販売実績一覧表 2016年度(2017年3月末期)

2016年度は、ガソリン価格が安定していることからかは分かりませんが1%減程度
で済みました。しかし若者の車離れやHV等省燃費車の普及、運転免許保有者の
高齢化など、長期下落傾向に歯止めが掛かったということではないと思います。
灯油は大善戦です。軽油は、民間の一般車というよりは、堅調な工事需要に支え
られています。重油の落ち込みは止まりません。全体での98%は大善戦でしょう。
2016年度各製品の国内販売数量とその推移、資源エネルギー庁発表単位千KL
ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2010年度 58,159 46,698 5,153 20,348 32,891 15,425 17,343 32,768 196,018
2011年度 57,213 43,728 4,204 19,619 32,866 14,680 23,743 38,423 196,055
2012年度 56,447 43,172 3,965 18,991 33,443 13,759 27,742 41,501 197,519
2013年度 55,419 45,748 5,053 17,893 34,079 13,437 21,890 35,328 193,520
2014年度 52,975 43,923 5,340 16,662 33,582 12,360 18,108 30,468 182,951
2015年度 53,127 46,234 5,488 15,946 33,619 11,871 14,241 26,111 180,524
2016年度 52,508 44,797 5,293 16,235 33,326 11,986 12,778 24,764 176,924
前年比% 98.84 96.89 96.89 101.82 99.20 100.97 89.73 94.84 98.03
2016年度の製品輸出数量実績
石油製品は連産品なので、原油からガソリンだけ生産することは出来ません。
軽質分が多く取れる原油に変更すれば、間違いなくコストUPになります。
その各製品の需要と供給のアンバランスを解消するのが「輸出」と「輸入」です。
海外市況との関係もあり、輸出や輸入をすれば必ず利益が出る訳ではありません。
グローバル社会ですので、国際価格も国内価格も連動していますが、それでも輸出は、
元売にとって重要な販売先です。国内の特に海上品の卸市況維持には、大いに
役にたっているでしょう。2008年度の軽油1300万KLという輸出量には驚きましたが、
それ以降、海外市況と国内市況の関係もあり、2016年度のガソリン輸出は、一昨年
並みとなりました。
     2016年度の日本の石油製品輸出と過去からの推移  単位千KL
輸出 千KL ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2008年度 710 38 10,080 444 13,050 561 9,269 9,830 34,153
2009年度 1,552 - 8,321 357 11,319 608 7,774 8,382 29,932
2010年度 2,198 - 8,936 198 11,045 733 7,172 7,905 30,281
2011年度 1,253 51 8,693 600 7,619 342 6,792 7,134 25,352
2012年度 1,148 57 9,056 144 6,109 787 7,145 7,935 24,751
2013年度 1,747 17 10,456 760 10,405 558 6,053 6,611 29,998
2014年度 3,116 13 10,030 711 8,443 676 5,446 6,122 28,431
2015年度 3,967 17.5 10,657 491 9,389 1055 6,839 7,894 32,416
2016年度 3,100 51.2 10,947 572 8,822 1041 7,965 9,007 32,500
前年比% 78.15 292.9 102.5 116.6 93.7 98.7 116.5 114.1 100.1
2016年度の製品輸入数量実績
一方輸入は、震災後の2011-12年度は、JX仙台や鹿島、コスモ千葉の操業停止
の影響を、輸入増加で無事凌いだことが分かります。
2016年度に関しては、海外市況と国内市況の関係や国内需給の正常化の
為かは分かりませんが、灯油を除けば、大幅減となりました。

    2016年度の日本の石油製品輸入と過去からの推移  
単位千KL
輸入千KL ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2008年度 651 23,105 2 497 293 125 4644 4,769 29,315
2009年度 854 25,838 - 459 317 76 2,257 2,332 29,799
2010年度 1,098 27,215 43 1,053 444 192 3,023 3,215 33,067
2011年度 2,909 24,867 - 1,490 875 89 7,146 7,235 37,377
2012年度 2,883 25,275 94 1,250 582 88 8,742 8,829 38,915
2013年度 1,659 25,926 77 911 253 54 6,781 6,835 35,661
2014年度 1,502 26,820 101 1,369 452 91 5,321 5,413 35,083
2015年度 1,149 28,710 314 848 559 42 3,475 3,517 35,098
2016年度 843 25,684 228 1187 431 30 2,465 2,495 30,868
前年比% 73.37 89.46 72.60 139.9 77.13 72.1 70.95 70.96 87.95



2016年度末 元売各社のSS数とセルフSS、元売社有SS数比較表

元売の傾向を分析の際、系列SS数を調べると見えて来るものがあります。
時系列的変化は、3年前 と 2年前 昨年頁と 比較してご覧下さい。
以下表は、各元売発表の自社のサインポールを上げているSS数です。
系列元売SS数は24130。エネ庁の31467との差がPBのSS数と考えられます。
元売によってセルフ比率に大きな差があり、各元売の販売戦略を物語っています。

元売別系列SS数 セルフSS数 
                    
2017年3月末、社有=元売所有物件

元売会社 3月末数 前年比 社有 前年比 社有比 セルフ数 前年比 セルフ率 セ社有 社有比
JXエネルギ 10,298 -250 2,312 -63 22.5 2,837 +32 27.5% 1419 50.0
東燃ゼネ 3,350 -60 787 -7 23.5 1,459 +26 43.6% 598 41.0
出光興産 3,589 -77 1,147 -15 32.0 1,147 +29 32.0% 734 64.0
昭和シェル 3,123 -70 793 -25 25.4 998 +12 32.0% 503 50.4
コスモ石油 2,957 -97 702 -15 23.7 1038 +2 35.1% 581 56.0
キグナス 474 -19 91 -1 19.2 227 +2 47.9% 77 33.9
太陽石油 339 -5 126 -6 37.2 167 -2 49.3% 101 60.5
元売合計 24,130 -578 5,958 -136 24.7 7,873 +101 32.6% 4,013 51.0
昨年元売計 24,708 -567 6,094 -58 24.3 7,772 +150 31.5% 3,982 51.2
全登録SS計 31,467 -866 PB 7,337 PB比23.3% 9,856 +198 31.3%
全登録SS計 32,333 -1,177 PB 7,625 PB比23.6% 9,728 +128 30.1%
本表は各元売HP及び燃料油脂、油業報知、ぜんせき等の業界新聞より集計

主要元売6グループの2016年12月末 2017年3月末期の決算数字です
この表は3年間の元売決算比較表で、月刊ガソリンスタンド社のデータです。
上場企業は、3期連続赤字だと上場停止など大変なことになりますが、各社とも
大幅改善となりました。

また一頃経営不安説が流れていた元売がありましたが、今は全くその話は
聞きません。むしろ過去に買収した再生可能エネルギー分野での投資が
成功し、かなりの含み益すらあると聞いています。

今年以降は、JXTGの誕生で末端市況もある程度は改善してきました。
GOGOGSで例えば東京都の安値SSで検索すると、上位40SS中、そのマーク
だけで15-20SSを締める自社のブランドに自信のない会社がある以外は
今年以降は正常化に向かっていくと思います。

ちなみに、JXTGHDの今期目標は、最終利益5000億円だそうです。売上額が
仮に10兆円とすれば、売上利益率は5%です。SSの利益は残念ながら黒字なら
恩の字というレベルなので、我々も自信を持って持続可能な最終利益を上げて
いく必要があると思います。






2015年度末 揮発油販売事業者と登録SS数の推移

下記表は、過去10年間のSS数と業者の減少数の推移です。この表は単なる
増減数だけではなく、新設と廃止の両方を記載させて頂きました。

今回も昨年に引き続き「幽霊SS」がエネ庁の職権によって93件(昨年は418件、
一昨年は369件)削除されました。職権による削減数が減って来たということは、
数字が実態に近づいて来たのだと思います。

過去10年間で合計で、15822SSと8905社が業界から撤退せざるを得なかったことは
誠に残念なことです。
昨年ご説明した2017年のタンク40年問題もありますので、今後数年の撤退数は
注視していかなければ、ならないでしょう。

ただJXと東燃ゼネラルの合併により、市況は正常化に向かっています。
今、PBと同等以下の業界最安値で売るSS系列は1社だけとなりましたので
それも早晩解消されてくるでしょう。

そうなければ、SS数が2万にまで減少しなくても、それこそ3万SSでも、SS業界は
持続可能な利益を上げていけるでしょう。



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