ピークから約半分 SS数はどこまで減るのか
2015年度業界販売と元売決算データ比較 NO25
あなたは元売決算で 、SS数関連では番目のお客様です。
今月は、石油業界の販売数量と元売決算報告、SS数の減少分析と今後の予想です。
                                        文責 垣見裕司

石油製品別国内販売実績一覧表 2015年度(2016年3月末期)

まず業界環境はどのように変化しているのでしょうか。震災前の2010年度からの
比較は、電力用重油の大幅減だと思われます。2015年度は、価格が安くなった
ことやオリンピックの閏年の関係もあるのか、ガソリンは100%を保ちましたが、
若者の車離れや、HV等省燃費車の普及、運転免許保有者の高齢化など、長期
下落傾向に歯止めが掛かったということではないと思います。
    
2015年度各製品の国内販売数量とその推移、資源エネルギー庁発表単位千KL
ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2010年度 58,159 46,698 5,153 20,348 32,891 15,425 17,343 32,768 196,018
2011年度 57,213 43,728 4,204 19,619 32,866 14,680 23,743 38,423 196,055
2012年度 56,447 43,172 3,965 18,991 33,443 13,759 27,742 41,501 197,519
2013年度 55,419 45,748 5,053 17,893 34,079 13,437 21,890 35,328 193,520
2014年度 52,975 43,923 5,340 16,662 33,582 12,360 18,108 30,468 182,951
2015年度 53,127 46,234 5,488 15,946 33,619 11,871 14,241 26,111 180,524
前年比% 100.3 105.3 102.8 95.7 100.1 96.0 78.6 85.7 98.7
2015年度の製品輸出数量実績
石油製品はご存じの通り連産品です。原油からガソリンだけを生産するという
ことは、出来ません。軽質分が多く取れる原油に変更するという方法もありますが
重質油を産出する産油国からの輸入を全面カットする訳にもいきません。その
各製品の需要と供給のアンバランスを解消するのが、「輸出」であり「輸入」です。
しかし海外市況の問題もあり、必ずしも、輸出や輸入をすれば利益が出るという
ものでもありません。グローバル社会ですので、国際価格も国内価格も一応は
連動しています。

輸出は、日本の元売各社にとってもはや重要な販売先です。国内の特に海上品
の卸市況維持に、間接的ではありますが、大いに役にたっていると思います。
2008年度当時、1300万KLという軽油の輸出量には本当に驚きましたが、それ以降
は海外市況と国内市況の均衡もあり、石油製品の輸出数量は安定していますが、
2014-15年度のガソリン輸出の大幅増は、正に国内の卸市況維持が目的かもしれ
ません。
     2015年度の日本の石油製品輸出と過去からの推移  単位千KL
輸出 千KL ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2008年度 710 38 10,080 444 13,050 561 9,269 9,830 34,153
2009年度 1,552 - 8,321 357 11,319 608 7,774 8,382 29,932
2010年度 2,198 - 8,936 198 11,045 733 7,172 7,905 30,281
2011年度 1,253 51 8,693 600 7,619 342 6,792 7,134 25,352
2012年度 1,148 57 9,056 144 6,109 787 7,145 7,935 24,751
2013年度 1,747 17 10,456 760 10,405 558 6,053 6,611 29,998
2014年度 3,116 13 10,030 711 8,443 676 5,446 6,122 28,431
2015年度 3,967 17.5 10,657 491 9,389 1055 6,839 7,894 32,416
前年比% 127.3 134.5 106.3 69.1 111.2 156.1 125.6 128.9 114.0
2015年度の製品輸入数量実績
一方輸入は、元売ではなく、商社等が輸入することも多いので、輸出に比べれば
元売がその数量をコントロールするのはより難しいと思いますが、概ね想定の範囲
内で収まったのではないでしょうか。尚、海外と国内海上品の価格比較を示したい
ところですが紙面の関係で省略させて頂きます。

    2015年度の日本の石油製品輸入と過去からの推移  
単位千KL
輸入千KL ガソリン ナフサ ジェット 灯油 軽油 A重 B・C重 重油計 燃料油計
2008年度 651 23,105 2 497 293 125 4644 4,769 29,315
2009年度 854 25,838 - 459 317 76 2,257 2,332 29,799
2010年度 1,098 27,215 43 1,053 444 192 3,023 3,215 33,067
2011年度 2,909 24,867 - 1,490 875 89 7,146 7,235 37,377
2012年度 2,883 25,275 94 1,250 582 88 8,742 8,829 38,915
2013年度 1,659 25,926 77 911 253 54 6,781 6,835 35,661
2014年度 1,502 26,820 101 1,369 452 91 5,321 5,413 35,083
2015年度 1,149 28,710 314 848 559 42 3,475 3,517 35,098
前年比% 76.5 107.0 310.7 62.0 123.8 45.7 65.3 65.0 98.4

2015年度末 元売各社のSS数とセルフSS、元売社有SS数比較表

元売の傾向を分析の際、系列SS数を調べると見えて来るものがあります。
時系列的変化は、2年前 と 昨年 昨年頁と 比較してご覧下さい。
今回も昨年に引き続き「幽霊SS」が職権によって418件(昨年は369件
一昨年は281件)削除されました。3年連続で合計10680件の削除なので、
実体に近づいて来たと思います。従ってPB比率も24.6%まで下がってきました。

以下表は、各元売発表の自社のサインポールを上げているSS数です。
系列元売SS数は24708。エネ庁の32333との差がPBのSS数と考えられます。
但し当たらずしも遠からずの精度だと思います。元売によってセルフ比率に
大きな差があり、その元売の販売戦略を物語っているのだと思います。

元売別系列SS数 セルフSS数 
2016年3月末、社有=元売所有物件
元売会社 3月末数 前年比 社有 前年比 社有比 セルフ数 前年比 セルフ率 セ社有 社有比
JXエネルギ 10,548 -235 2,375 -29 22.3 2,805 +53 26.6% 1423 50.7
出光興産 3,666 -59 1,162 13 31.7 1,118 +59 30.5% 717 64.1
昭和シェル 3,193 -124 818 -33 25.7 986 +5 30.9% 499 50.6
コスモ石油 3,054 -79 717 -5 23.5 1036 +5 33.9% 579 55.9
東燃ゼネ 3,410 -71 794 -6 23.4 1,433 +169 42.0% 582 40.6
キグナス 493 +3 92 +1 18.7 225 +11 45.6% 77 34.2
太陽石油 344 -2 132 +1 37.4 169 +5 49.1% 105 62.1
元売合計 24,708 -567 6,094 -58 24.3 7,772 +150 31.5% 3,982 51.2
全登録SS計 32,333 -1,177 PB 7,625 PB比23.6% 9,728 +198 30.1%
本表は各元売HP及び燃料油脂、油業報知、ぜんせき等の業界新聞より集計
主要元売6グループの2014年12月末 2015年3月末期の決算数字です
この表は3年間の元売決算比較表で、月刊ガソリンスタンド社のデータです。
上場企業は、3期連続赤字だと大変なことになるので、各社とも原油価格低迷の中
大変ご苦労されているようです。でもシンプルに考えれば、99.6%を輸入している
原油や石油製品なので、我々のような中小特約店は輸入など出来ないわけです
から、要するに業転価格を限りなく系列に近づければ、良いだけの話です。
ガソリン価格で原油価格からの精製や販売マージンを+10円でも+20円でも、
要するに系列と業転価格の差さえなければ、いくらでも良いです。

2015年度末 揮発油販売事業者と登録SS数の推移

さて最後に今月企画の最大のテーマです。下記表は、過去10年間のSS数と
業者の減少数の推移です。この表は単なる増減数だけではなく、新設と廃止の
両方を記載させて頂きました。廃止軒数こそ10年間での2008年度のピーク
-2383軒から昨年度の-1379まで 1000軒近く減少しているようにも見えますが、
絶対数の分母も42000軒から32000まで減っているので、ことは重大でしょう。
ただこの10年の減少傾向だけで、今後も毎年1000軒ペースで減少すると結論
づけてよいものでしょうか。仮にそれが正しいとしても、では一体何軒まで減れば
減少は止まるのでしょうか。それが私もそして業界の皆様も最も知りたいことだ
と思います。この問題を解決するには、やはりもっと古い、地下タンク40年問題
を考えてもっと前、すなわち40年以上前のデータが必要です。


2015年度末 揮発油販売事業者と登録SS数の推移

下記表は、エネ庁の過去資料から得ました。ピークの60421は1994年度末
ですが、その10年も前に59000箇所台の長いピークが続いています。
しかし45年前の1971年でももう47000箇所もあったのには改めて驚きです。
こうなると、もう少し古いデータが見たくなり再度調査しました。1970年以前は
垣見推定の非公式データです。恐らく、年度末ではなく年末で、固定式でしょう。
1961年の1万から1964年に2万、68年で3万、71年で4万、77年で5万です。
40年から最大50年で入替としても、64年から77年までの3万の急増の反動が
まだしばらくは続くのだと思います。特に77年の+3979SSは、来年で40年です。
さてどこまで減るかまでは結論を出せませんでしたが、撤退予備群の最大
分母は把握出来たと思います。

現在SS数は1項目で発表されているが、過去は一般SSである固定式と
ポ-タブルとか可搬式と呼ばれるものと2項目発表されていた。空欄はデータ無