給湯エネルギーベストミックス探究記 No4
電気代+都市ガス代は、どこまで削減できるか
 リンナイ「エコワン」の実証実験開始 + PA-13A 試験報告
あなたは「よくわかるガスエネルギー業界」出版企画の番目のお客様です。
またガス体エネルギー企画としては、 番目のお客様です。
 (5月2日HP掲載時カウントは 8000 と 18800です)
 私の自宅は2000年の10月に新築しました。それ以来、電気代と使用量。都市ガス代と
使用量は14年分全て把握しています。そして新築後の3年間は、灯油も含めて冬場だけ
ではありますが、暖房費等の把握及びその削減実験をしてまいりました。その事実報告
と結論は、暖房エネルギーベストミックス探求記 NO1 NO2 NO3 の通りです。
NO1 http://www.kakimi.co.jp/2k1030.htm NO2 2k2030.htm NO3 2k3030.htm
その後12年を経過し最初に変えたのが、エアコンで2012年7月、ガステーブル2013年5月
冷蔵庫は消費税前の2014年2月、そして丸13年経過した給湯器をこの5月に変えました。
その機種はどう決定したか。給湯エネルギーのベストミックス探究記としてお送りします。
またその変更時に、以前から試して見たかったプロパンガスで都市ガスを作ってしまう
緊急用疑似都市ガス発生装置も、ITO(旧伊藤工機)さんのご協力で、実用試験が
実現したので合わせてご報告します。 2014年5月2日NO1 文責 垣見裕司 Ver2

選択肢は、エコキュート(電気)、ガスのエコジョーズ、エコワン、エネファーム(FC)

新しい給湯器を選択するにあたって、一応上記の4種類を考えました。紙面が
あれば、各機種の良いところも沢山説明したいのですが結論を申し上げます。
  エコキュートは震災前に現場調査までして見積りました。当時で工事費込みで
100万円以上。現行32号と24号の給湯器と広めの2部屋の床暖房を考えると
エコキュートだけでは心配なのでガスの補助熱源を考えたいと言われました。
そしてその後の震災で電力価格が上がり、またいつかは来る首都直下地震等
を考えると電気だけに依存するも不安なので、エコキュートは断念しました。
 二番目の検討はエネファームです。最新のアイシン機やバッテリー搭載の東芝
機は瞬間1.7kWも使えて魅力なのですが、本体及び工事費がまだ高いことも
ありますが、2006年の新日本石油のFCフォーラム時からお願いした、停電時の
再起動運転が、まだ安価で装備されていないので次の機会にすることにしました。
 無難なのは、エコジョーズに切り替えることです。選択肢の中では安価ですし
24号2台で、現行機の14年使った推定熱効率70%から、90%以上に上がるので、
都市ガス代が安くなるのは楽しみなのですが、何故か決めきれませんでした。
 そんな時、私か迷っていることをリンナイさんが聞きつけ、営業所の所長と担当
は勿論ご本社のエコワン推進室の責任者も出てき説得されてしまいました。
 実はリンナイのエコワンが、経済産業大臣賞を受賞した新聞記事は切り抜いて
ずっと捨てずに持っていたのです。ハイブリッド等のくすぐる表現。何と125%という
1次エネルギー効率。こんなにすばらしい機械にもかかわらず余り売れていない?
そんな話を聞くと益々応援したくなってしまいました。そんな訳で、エネファームと
本当に迷ったのですが、今回はエコワンにしました。某元売様、申し訳ないです。

電気のエコキュートとガスのエコジョーズのいいとこ取りがエコワンだ

エコキュートの良いところはCO2冷媒の圧縮比と高さと高圧と低圧時の差
(3MPa-10MPa)が、新冷媒(0.5MPa-3MPa)の差に比べ、圧倒的に大きいので
特に高温の昇温反応には適していることです。よってエコキュートのヒートポンプ
そのものの性能はCOPにして4.8-5.0の素晴らしい商品だと思います。
しかし最終効率となるとCOPで3程度。一次エネルギー効率で1.07程度にまで
落ちてしまいます。
 それは余っていて安かったはずの深夜電力を使い、早朝まで沸かした高温の
お湯を、夜の入浴時まで10時間以上、それも400L等の大容量の給湯タンクに
貯めているムダがあるからです。お風呂の容量は大きくてもせいぜい180L。
にも拘わらず何故400Lも貯めておくのか。それは、使うお湯の量というよりは、
熱を貯めておくのに必要なことと、湯切れを起さないための必要量でした。
 一方エコワンの方は、まず設計思想が違います。深夜電力は使わない。従って
電気の契約変更もしない。予想入浴時刻の1時間前からヒートポンプの運転開始。
給湯量も最大で100L。温度も実用の45度。従って放熱ロスも少ない。お湯は
使い切りが原則。湯切れの時は、熱効率95%のエコジョーズを使うので心配無用。
お風呂の温度が低ければ追い炊きすれば良いだけの話なのです。
エコワンのヒートポンプは新冷媒のR410AでCOPは4.76(夏期5.75冬期4.16)
CO2冷媒程圧縮率は高くないので40度等の中温域での効率がよくなっています。
エコワンの1次エネルギー効率は、エコキュートの1.07を大幅に上回る1.25
これが経済産業大臣賞の受賞理由だと思います。
尚、エアコンはCOPで能力を表しますが、給湯は1次エネルギー効率だそうです。

私が選んだ更に3つの理由

しかし 私にとっては更に嬉しいことがありました。
当家は今まで32号と24号という多少過剰能力気味ではありましたが、24号1台では
やや不安がありました。しかしこのエコワンは、24号のガス給湯能力や暖房能力
の他に、冬期でも2.5KWのヒートポンプ能力を有しており、更に100Lの貯湯量
正にお風呂と台所ニーズが数分重なっても、それをある意味平準化してくれるので
従来の「32号+24号」が「エコワン100Lタイプ」1台で行けることが分かったのです。
 従って私にとっては、機器代や工事費もエコジョーズ2台とエコワン1台との比較
でよいのです。絶対台数がまだ売れていないので、定価からの割引も渋い?レベル
でしたが、自分は将来への投資、リンナイさんへは経済大臣賞への「敬意」という
ことで、少し高い価格には目をつぶり、エコワン1台で挑戦してみることにしました。
冒頭に申し上げた通り2000年10月以降の電気と都市ガスの使用量と料金は
全て把握しているので、1-2年後のご報告を楽しみにしていて下さい。
 非常用機能として大変嬉しいのは、電気のみガスのみ運転が出来ることです。
ガスのみ運転時の必要電力は、100Vで175W。これなら何とか確保出来ます。

 あと実用的に嬉しいのは、下記の追い炊き配管洗浄システムです。配管内を
どう洗ったらいいのか。今まで気になっていたので大変嬉しいシステムです。



工事は 5月1日2日の2日間

工事は5月1日と2日の二日間でした。意外だったのは、100Vでいいのですが、
ブレーカーから直接専用電線を引く必要があったので、これは既設住宅にとっては
辛い追加工事となりました。あとは、コンクリートの架台工事です。
何と生コンを80kgもいれると聞いたのですが、100Lの貯湯タンクの支える耐荷重
ではなく、地震等の転倒防止のために重心を下げる必要があるとのこと。
それだけ工事費は上がってしまいますが、
東日本大震災の時に、エコキュートの
タンクが随分転倒したと聞いていたので、
ある意味それだけきっちり工事してもら
っていると納得した次第です。給湯が使え
なかったは5月1日夜の一晩だけでした。
写真は、右からヒートポンプ、エコジョーズ
と100Lタンク、PA-13AとLP容器です。
PA-13Aについては以下でご説明します。

PA-13Aをご存じですか

さて話は変わりますが、読者の皆様はPA-13AというI・T・O(旧伊藤工機)さん
の機械をご存じてすか。LPガスに空気を加え、13Aの都市ガスのバナーや燃焼
機器がそのまま使える疑似都市ガスを発生させる装置です。疑似というのは、
13Aは本来11000kcal/m3なのですが、このPA13Aは15000Kcal/m3もあります。
すなわち「熱量」ではなく、都市ガスのバナーでそのまま使えることを重視し、
燃焼速度(ウォッベ指数)の方を合わせたのだそうです。
この機械のすごいところは、電源を必要とせず、LPガスの気化圧だけで、疑似
都市ガスを作りだせ、なおかつコンパクト大きさで、移動も可能なことです。
 当初の用途は、都市ガス事業者の熱量変換工事のためだったようです。
すわわちある地域を6Aから13Aに変更する時、エリア内の全てのユーザーの
器具を一度に変更するのは不可能です。そこで6Aの小ブロック内の顧客先
の器具を先に13Aに変えこのPA13Aを設置する。そしてその小ブロック内が
全て13Aの器具に交換したらガスの本管を6Aから13Aに切り替えるのです。
 ただこれが本当の意味で大活躍したのは新潟県中越沖地震のときでした。
被災地の都市ガスエリア内の避難所等にこれを持ち込み、炊き出しが可能
となったのです。これがエネ庁の幹部の目に留まり、「非常に良い」ということ
で、翌年から補助金もつき、今では全国の都市ガス業者に、約2000台購入
されているようです。(但し首都直下地震が来たら、全く足りないと思います)
そして私も縁あって4月8日ITOの東京支店にエネ庁の幹部とともに訪問。
その実機による実演を屋上でみせて頂きました。(LPガスは弊社提供です)
この時は都市ガス用の一口コンロでしたが、全開で使用しても、1分間に
5秒程度小さなシューッというLPガスが吹く音が聞こえる程度です。過度の
高圧あるいは低圧等になった場合の安全装置もあり、安心して使えます。

I・T・O(旧伊藤工機)のお陰て エコワンの燃焼実験が出来ました

東日本大震災では、よくわかるガスエネルギー業界第8章で詳しく説明した
通り、被災地で約46万戸の都市ガスが供給停止を余儀なくされました。
そしてその内の36万戸が仙台市ガス局です。そして全国の都市ガスから
開栓応援隊が駈けつけ、最大時は2800名もいたそうです。しかしそれでも
全面復旧には50数日かかりました。
 この時一番つらかったのはお風呂に入れなかったことだそうです。
もしこれが首都直下だっら36万戸では済みません。恐らく300万戸でしょう。
その時、全国からの都市ガス開栓応援は期待できるでしょうか。まず無理です。
従って私は都市ガス様にはお叱りを覚悟の上ですが、その復旧には最大
3か月かかるのではないかと思います。
 だから是非ともこのPA-13Aは都市ガス地域の少なくとも病院や避難所には
必需品として設置してほしいと思いますが、推定2000台では足りないでしょう。
 実はITOさんのご努力もあり、従来は都市ガス業者だけのものだったのですが
消費者自身が所有することで、高圧ガス保安法による使い方も可能となりました。
詳しくは、ITOさんのHPの 「PA-13Aに関わる法律」 をご覧下さい。
 そんなご縁で今回おまけの実験が出来ました。自宅に設置したエコワンを
都市ガス配管へ接続する前に、ITOさんより実機をお借りして、エコワンの試験
運転をしてみました。結果は勿論OKです。床暖3部屋+浴室暖房+給湯全開
という24号最大燃焼時でも、PA-13Aの能力は全く問題ありませんでした。
こちらの写真は、リンナイエコワンとPA-13Aです。以下ITOさんへリンク。
1PA-13Aってなに? 2何で必要なの?  3ラインナップ 4仕組  5PA-13Aに関わる法律

2016年に始まる価格の自由化 私の夢は都市ガスとLPガスの対等な競争

さて現時点ではこのPA-13Aは非常時のみの使用ですが、私には夢があります。
2016年には、一般家庭レベルにまで電気料金の自由化が始まりますが、都市
ガスも同時期に始まるのではないかと言われています。
でも本当に自由化とは料金でなく供給も自由化されることです。
都市ガスのコックを締めて配管にはこのPA-13をつなぐ。お客様は安い方の
ガスを使う。これならば、導管使用量(託送料)とか導管内のガスの品質の心配も
ないばすです。要するに消費者が自己責任で都市ガスかLPガス業者のPA-13A
を選ぶ。そんな時代が一日も早く来ることを願っています。 

エネファームの効率 90%と エコワンの125%という効率を考える

今回は、エネファームではなく、エコワンを選んだしましまた。その結論を聞いた
社員は、エネファームの効率は最大でも90%、一方エコワンは125%。ということは
エネファームはもう売れないのですか?と聞いて来ました。
業界外の読者の方の質問なら、「大変いい質問です」と大絶賛したいです。でも
業界の方だったら、「このHPを読んでおいてよかったですね」が私の回答です。
 エコワンは、給湯に関しては、エネファームは勿論エコキュートを上回る高効率
の商品です。但し電気を含めて考えると、初期投資等の差はを別にして、最大
効率で考えるとエネファームに軍配があがります。以下、具体例で示します。

ある家庭が 電気 45 ガス 45 のエネルギーを必要としたとします。
エネファームなら1次エネルギー投入量 100で 電気45 熱 45が出来ます。
次に系統電源+エコワンです。系統電源は家庭に45の電気を届けるのに
100の一次エネルギーが必要です。(発電効率50% 送電ロスを5%としました)
 系統電源 100  家庭での電気 45
 エコワン   36  家庭での熱量 45   (36x125%=45)
 合 計   136  が必要   よって100:136で エネファームが優位
結論。電気と熱を両方考えると、それぞれベストの条件で、投資コストが
同じなら、エネファームに軍配が上がることになります。

では1年後の電気+ガスの使用量や料金の合計が、幾ら減ったかお楽しみに

リンナイ 「エコワン」Q&A  遣い初めて1か月 リンナイさんへの質問と回答

Q1 カタログで 1次エネルギー効率は125%(2012年リンナイ調べ)とありますが
  エコワン入力直前の電源の1次エネルギー効率は何%んまですか
A1 電力の一次エネルギー消費量を試算するときの発電効率は36.9%で、
  これは住宅事業建築主の 判断基準で定められた数値を使用しております。

  これからわかることは 以下筆者計算
  125%/36.7%なので 給湯機器としての総合効率は3.40になります
  ヒートポンプCOP相当 4.76 x A% +0.95 x B%= 340なので
  電気使用率 A% と ガス使用率 B %の使用割合は
  COP相当 4.76 x A% + 0.95 x B%= 340なので
   A+ B = 1 を解くと A= 0.64   B =0.36が出てきました。
  すなわち お湯を作るのにガスは36%としか使っていないことになります。
  これではガスの消費量は減りますね
。計算あっていますでしょうか

Q2 カタログ67-68ページ最下段 給湯エネルギー効率205%とは何ですか
A2 給湯エネルギー効率は、BL(ベターリビング)試験に基づく数値となります。
  ヒートポンプのCOPとエコジョーズの熱効率の合算ではございません。以下が
  BL認定基準ですhttp://www.cbl.or.jp/blsys/blnintei/bunrui/heatandcool.html

Q3 リモコンをOFFにすると タイマー機能も働かくなくなりますが、リモコン常時
  ONの場合の消費電力は
A3 4.5Wです。  

Q4 100Lの給湯タンクのお湯を使い切った時点で、タンク表示は空となるが
  その時 100Lタンクに 水は入っていると考えていいか。
A4 YES リモコンのお湯の量の表示がゼロでも水は常に100%入っています
  緊急時にはこれを非常水として使用することが出来ます。

詳細なご回答ありがとうございました。