暖房エネルギーベストミックス探求記
床暖房、ガス&灯油ファンヒーター、エアコンのスーパー性能をご紹介
あなたは3月企画の 番目のお客様です。2月下旬よりようやく暖かくりましたが今年は
本当に寒く、当社の灯油出荷も前年比140%を記録。皆様の暖房費も高騰したことと思います。
そこで今月は暖房エネルギーベストミックス探求記です。 NO2 2/28 文責 垣見裕司

新築家屋で実験中

私ごとで恐縮ですが1月企画でもご紹介した通り昨年10月新築住宅に引っ越しました。
利用エネルギーは電力とガス、そして後から灯油も加わえて実験致しました。
ガスはLPGと申し上げたいところですが、東京23区内なもので、米軍横田基地近くの弊社瑞穂基地から配送するには経済合理性に欠ける距離なので、東京ガスにしました。
しかし当社のLPGミニバルクローリーも既に2台になりましたので、7年後の燃料電池が本格化する頃?には、500kgのバルクタンクとともに、LPG燃料電池ライフを堪能してみようと思います。

省エネ性能が倍増した電気エアコン

まずメイン空調はやはり電気エアコンです。業務用、特に電気エアコンですとキューピクルを置かなければならない場合はGHPの方が優位ですが、一般家庭において各部屋別空調をする場合には、価格、品揃え、メンテナンスを考えるといイニシャルコストを回収しきれないという事は、正直に申し上げておきたいと思います。
また以前の賃貸マンションに残してきたエアコン(90年製)は、まだ使えたのですが最新モデルと比較しその省エネ性能に驚きました。ずばり半分になっているといっても過言ではありません。三菱電機オフコンユーザー会の会長をしている関係で、三菱電機静岡製作所(エアコン製造)に昨年訪問しましたが、10年前のバブル時代はパワーを誇っていたのが7年前ぐらいから環境重視も含め徹底した省エネ性を追及し始めたそうです。

快適過ぎるのが唯一の欠点?、床暖房

家族の居住時間が最も長い1階の食堂と居間にはガス温水循環式床暖房を設置しました。色々な大きさの床下温水パネルを置いて接続していきますが10畳でだと20万円ぐらいで出来るのではないでしょうか。熱源はそれに対応した給湯器がありますから、若干高くなる程度です。新築なこともあり想像した程は高くはなかったという印象です。また電気エアコンは関東以北の気候で考えれば暖房の方が苦手ですから、むしろ床暖房をメインに、そしてエアコンを補助として考えるのがよいようです。カタログによるランニングコストは、外気温5度木造8畳1日8時間で月4200円だそうです。右写真はその蓋をあけた状態と、締めた時の写真です。
さて使用体感は誠に快適です。床暖房をしなかった2階寝室が、相対的に寒く感じてしまうこと。大人の我々はいいとしても、子供たちの寒さに対する抵抗力や本来体がもっている免疫力が弱まるのではないかを心配しているなど贅沢なレベルで悩んでいる程です。唯一の欠点は、始動後30分ぐらいしないと暖かくならないことですが、繰り返し使えONOFFがそれぞれ2回分記憶できるタイマーと温度センサー付のコントローラーがありますから、それをこまめに使えば弱点も補えます。

ガスファンヒーターも使用しました

床暖房の唯一の欠点をおぎなうために、食堂に引いておいたガス栓(本来は食卓での煮炊き用)を利用してガスファンヒーターを補助暖房として使うことにしました。98年製ですが不完全燃焼防止装置、立ち消え安全装置、過熱防止装置、転倒時ガス遮断装置などがしっかりついており、朝起きて手を当ててちょっと暖たまりたい時などは最高です。また毎日セットしなければなりませんが、おはようお休みタイマーなども個別についています。
さてその結果、電気エアコンは1階では全く使わなくなってしまったので、電気エアコンとガスヒーターとの使用料金比較は出来ませんでしたが、1ヶ月のガス代は、12/20から1/22の1ヶ月間(34日)で21,184円となりました。(床暖房他一般給湯含む)

最新式石油ファンヒーターを購入

しかし今年は本当に厳冬で、廊下や階段、玄関ホール(という程広くはありませんが)空調を設置しませんでしたし、節約実験中でもあったため、各部屋暖房をしても家全体としては、やや寒い感じがしました。そこで換気をあまり気にしなくてよい上記場所の暖房として、石油ファンヒーター(正確には灯油気化強制対流型)を購入しました。しかし、ガスファンヒーターの時には心配しなかった嫁さんも何故か灯油となると、危ない、火事、やけど、酸欠、更に壁紙が黒くなる?という不安を最初はもっていたようでした。

至れり尽くせりの安全設計

まず耐震自動消化装置ですが、転倒どころかちょっと動かそうとしただけでもカチッと作動し自動消化されてします。酸欠等不完全燃焼防止装置は、炎の長さを感知し、異常値になると消化されるそうです。(但しこれはテスト出来ず)また最大3時間になるとボタンで確認しないと一旦消化する消し忘れ消化装置、温度によって自動的にパワーが調整される燃焼制御装置、過熱防止装置、停電安全装置、点火安全装置などがついており、本当に至れり尽せりの設計です。万一噴出し口に触っても「あちっ」という程度で火傷になることはありません。また燃焼時の臭いは無く、消化時に若干臭いますが、壁紙が汚れる心配は、時代錯誤的であったようです。その結果、本来は廊下や階段や2階の廊下等や家全体の補助暖房の予定が「格上げ」となり食堂と居間のメイン暖房になりました。またガスと違って電気コンセントさえあれば移動出来るので、我が家にとっては大変便利です。

都市ガス代は、いくら減ったのか

1/23から2/19までの1ヶ月(28日)で14,493円、前月比6,691円も削減出来ました。しかし灯油を使い始めたのは1/27ですから、ガスヒーターを5日間使用しており、もう少し多い8千円/月(6,691*(30/25))程度の節約効果はありそうです。一方灯油は毎週1缶弱(18L)でしたから45円/L(当社田無店頭)で810円とすれば月3240円でコストは半額以下に出来ると言えるでしょう。
但し、前月の使用日数は34日、今月は28日。前月は年末年始等で在宅時間が多い?。前月と今月の寒さが同じか等の違いはあるので、あくまで目安でお考え下さい。

電力、都市ガス、灯油の1万kcal当たりのコスト計算

電気は9社平均で1kw(=860Kcal)約23円で、1万kacl=267円
東京ガス当該地区は13A、1m3で11000kcal=約120円、1万kacl=109円
灯油は1L、8210kcal(真発熱量)=約45円、1万kacl=54.8円
以上の通り供給エネルギーの価格比は、電気:都市ガス:灯油で約5:2:1
となりました。
また灯油ファンヒーターの仕様書による性能数値も、暖房出力3kw=2580kcalで燃料消費量は、0.313L/hですから、こちらから1万kcalのコストを出しても0.313x45x10000/2580=54.6円という数字となり機器の実測性能からも上記理論値とあっていることが分かります。
ちなみにこの石油ファンヒーターは定価こそ3万円台でしたが、激安店のシーズンエンド価格の13800円で購入したので、投資費用も1シーズン以内で元が取れそうです。

空気は、熱交換式換気扇(ロスナイ)でいれかえよう

では一番肝心な空気の入れ替えはどうしたのでしょうか。
実はファンヒーターの使用することも想定して食堂と居間には熱交換式換気扇を設置しました。三菱電機製のロスナイという製品で、室内の空気は外気といれかえる際、例えば室内20度の排気熱を利用し、外気温0度の空気を約15度暖めながら、室内に入れるすぐれものです。(右上参照、同社のカタログより)普通の換気扇よりは、やや高いのですが、熱効率からは、考えておきたい1品です。また灯油なりガスなりファンヒーターのカタログや説明書には「締め切った部屋では1時間に1回以上1分程度以上、窓をあけて換気が必要」と書いてありますので、換気扇がなければ、機器の安全装置を過信せず、原則は守った方が良さそうです。以上が暖房エネルギーベストミックス?、いや単なる我家の節約大作戦でしたが皆様のお役に立てれば幸いです。

期間消費電力?、COP?、って何、その恐るべきエアコンの能力とは

さて本当は前項目で終わるはずでしたが、勉強していくうちにエアコンの恐るべき性能に気が付いてしまいました。石油業界人としては大変迷いましたが、その事実をお話ししたいと思います。
まず期間消費電力とは日本冷凍空調工業会の規格で、次の条件で運転したときの機器の消費電力等を比較する為の試算値ことです。
 1.外気温度は東京をモデル、 2.設定温度は、暖房時20度冷房時27度
 3.使用期間は、暖房10/28-4/14の5.5ヶ月、冷房6/2-9/21の3.6ヶ月、
 4.使用時間は6:00-24:00の18時間、 5.平均的な木造南向き洋室
 6.部屋の大きさは各機種に見合った広さで、例えば2.8kwクラスなら10畳です。
またCOPはエネルギー消費効率の略で、使用した電力の何倍の能力を出せるかの値です。
電熱器や赤外線ヒーターは、電力をそのまま熱に変えるで、エネルギー保存の法則を持ち出すまでもなく効率は1以下ですが、エアコンは冷媒の圧縮(熱の発散)と気化(熱の吸収)を電動ポンプにより繰り返すことによって、暖房なら外気から熱を奪い室内へ移動、冷房ならその反対、という熱の移動をやっているのだけなので、実は消費電力の数倍の出力が可能となっています。
実は近年この期間消費電力やCOPが大幅に向上しています。28型で以下の通りです。
    部屋の広さ10畳程度の28型クラスによる期間消費電力の推移
項目91年93年94年95年96年97年98年99年00年01年
T社28型電力--198814521342120811771108990969922
冷暖房平均COP------3.663.944.004.024.905.305.77
N社28型電力1874----146913161218119510671047939
冷暖房平均COP3.25----3.453.763.843.844.555.045.66
この業界トップのエアコンで10畳洋室南向きの年間空調費は23円/kwとして僅か 21,206円
空調期間は約9ヶ月ですから月平均では2400円。これは驚くべき数字です。

究極の省エネ節約法は

さて当家の28型エアコンを調べて見ると、期間消費電力963kw、COP値5.10で99年11月製としてはまずまずです。さてヒートポンプエアコンは外気温により消費電力が違うことは容易に想像がつきますのでメーカーに問い合わせ、それを1kw=860kcal=23円、1万kcalに換算してみました。
 外気温2度、暖房出力5.4kwで消費電力1765W、1万kcal=87円
 外気温7度、暖房出力4.0kwで消費電力 770W、1万kcal=51円

なんと外気温が7度まであがれば、もはや灯油54円というランニングコストより安いのです。冷房の必要性から既に最新型エアコンが設置されているのであれば、ガス&灯油業界としては脅威です。
ゆえに究極の使用法は、早朝深夜等外気温5度以下は灯油、6度以上は電気エアコンとなります。しかしこれは業界NO1の最新型のベストデータですし、自動車の10.15mカタログ燃費が現実的な使用では6-7割程度しか上がらないのは皆さんご存知の通りです。エアコン同士の性能比較にはなっても、これで灯油やガスが要らないということではないと思います。またイニシャルコストは約10倍、移動出来ない、瞬間最大出力等も加味しなければなりません。寒い朝起きて、しゃがんで、手を擦りながら「うー寒っ」とおじさん的な声を上げて温まりたい人には、灯油やガスがよいでしょう。

燃料電池による電気とお湯の供給こそ電力業界の脅威だ

しかし近い将来、石油やガスは電気に太刀打ち出来ないのでしょうか。そんなことはありません。エアコンの性能がよいのであって電気が安い訳ではありません。視点を大きくして電気が2次エネルギーであることを思い出し、発電時のCOPを考えると約35%です。そして5%の送電ロスを加えると30%。一方ガスや灯油で燃料電池システムで、電気とお湯を作ればCOPは80%。ガスや灯油をそのまま燃やすのではなく、水素を取り出して使えば十分競えることが分かります。更に申し上げれば、電力業界にとって最大の脅威なのではないでしょうか。我が家の暖房ベストミックス探求記でしたが、やはり大きな結論になってしまいました。業界の皆さん燃料電池の開発を急ぎましょう。