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業界再編はいよいよ最終局面へ 日石三菱、コスモ石油と販売を除く提携へ |
製油所の所在と原油処理能力(1999年3月末現在)出所、石油連盟
従って合併や提携の効果を見るにはやはり、製油所能力と配置の分析が基本です。
まず赤枠で囲んだところは日石三菱系ですが、今年4月の合併で全国各地をそれなりに
網羅しているのが分かりますが、唯一手薄だったのが愛知や四日市周辺でした。
そして緑枠はコスモの各製油所ですが、その四日市をカバーする関係になっています。
もちろんコスモ側から日石三菱を見れば、国内最強配置の元売であるのは言うまでも
なく、コスモはJ社やS社との噂が堪えない中でも、日石にラブコールを送っている
という業界筋の話はかなり前からありました。
Jomoの鹿島石油子会社化や昭和シェルとの提携は
昭和シェル会社との「共同出資による物流新会社設立に関する検討について」という
提携交渉についての参考コメントを出しました。
詳細はこちらへ
これは両社の 1.受注(計画配送も含む)、2.配車(共同配送も含む)
3.ローリーの稼働・安全管理 、4.受注・配車の統合システムの運営・管理等を行う
共同新会社設立構想ですが、経費削減効果が僅か20億円であったり、期末決算の
下方修正や役員管理職の減俸と同時発表だったために、何かはっきりしない、物足り
無さを感じておりました。というのも銀行業界ですら一勧、興銀、富士の大連合に
対抗した、あさひ東海両銀行の事実上の合併や住友さくらの旧財閥を超えた合併も、
もはや生半可な提携では市場は納得しないということを表しているでしょう。
しかし今回の日石三菱コスモの提携の話は、一つの案としては早くから想定されて
いたので、その発表の一日でも前に何か発表を!という説明なら分かる気がします。
現時点では合併より更に良い業務提携
日石三菱の特約店という立場を除いても、今回は正に大正解の正に最高の提携です。
ではJomoと昭和シェルの話は、(正式合意されていないこともありますが)
提携ではインパクトが弱いと申し上げておきながら、日石三菱とコスモの場合は
何故提携でも評価が高いのでしょうか。それは、
合併とは債権債務はもちろん、人物金の+−をすべて引き継がなくてはいけない訳で
それでは流石の日石三菱でも、相当の危険を伴います。しかしその一方で、もし何も
しなければ、証券業界で発生したY社的な悲劇が繰り返さないとも限らず、新たなる
勝ち組み外資や、原油価格倍増で再び存在感を取り戻しつつある中東マネーが入って
来ないとも限りません。もしそれが現実なら、やはり製油所等ハードからでしょう。
従って今回の提携は新たな外資の日本参入確率をより低くしたといえるでしょう。
恐らく、ご当局に於いても大歓迎のことと思います。
しかし、コスモ石油にとっては、これで将来とも安泰という訳ではありません。
取りあえず提携した部門の効率は良くなり相応の経費削減は実現出来るでしょうが、
肝心の販売部門の強化効率化やJomoと伊藤忠燃料間で新聞記事になった様に
コスモと特約店との間にある?売掛金誤差問題も早急に解決すべき課題でしょう。
石油業界は4極時代へ、しかし本当の苦難はこれから
1.日石三菱+コスモ+九石、シェアー40%、2.エクソンモービル+GK 18%
3.Jomo+昭和シェル連合、20%、4.そして唯我独尊の出光16%
(いずれも98年度燃料油販売シェアー)しかし本当の苦難はこれからでしょう。
我が道を行くグループ有利子負債2兆円の出光は?。近日中に発表されるといわれる
エクソンモービルの世界戦略の中で、日本のエッソモービルは?。ゼネラルやキグナス
は勿論、東燃や極東まで含まれた戦略なのか。Jomo−昭和シェルの提携は合併まで
行くのか、それとも解消か?。新たなる外資は本当に来ないのか?
そして「提携」で試されたコスモが、ユーザー、特約店、そして日石三菱から見ても
販売や財務内容も魅力有る販売元売として生き残れるのか。目が離せないと思います。
短期的最悪のシナリオは
ガソリンぐらいで4割を超える中間留分の値上げは約半分程度という状況は元売収益
を急激に悪化させています。こうした状況下での私の考える最悪のシナリオは原油の
更なる上昇ではありません。むしろニューヨーク先物市場に見られるWTIは先安状態
すなわち逆ざや価格が続いておりこれは相場の急落の可能性が内在されていることを
意味しています。もし今この原油の急落がおこれば、中間留分等の転嫁遅れすなわち
へ型面積=積分金額は今の元売とトラック協会等の力関係からして、石油業界負担と
なるだけなく国内の協調減産体制もくずれ業転は暴落し再び乱売合戦となるでしょう。
これは一見短期的シナリオで、元売再編という壮大な企画を語るときに申し上げるべき
ことではないかもしれませんが、短期の急落だからこそ危機的状況になり、再編への
最後の後押しをしないとも限りません。ですから原油価格のソフトランディングを強く
希望するとともに、もしも暴落の場合でも、業転の大量放出を自粛するとともに元売子
会社等の販売姿勢に冷静な対応を強く希望したいと思います。 文責
垣見裕司