日石三石合併&業界再編解説第2弾
前月で質問の多かった内容とエクソンモービル買収?も解説
拝啓 あなたは11月及び12月企画の 番目のお客様です。
さて、早いもので今年も最後の企画となりました。本当は別の内容を考えていたのですが、
やはり業界再編というか元売同士としては12年ぶりの日石三石の合併に関し多くの方から
感想や質問のメールを戴き、関心の高さを認識致しました。番外で一番多かった質問は、
「垣見は事前に知っていたのか」「何で合併の翌日にHPが出せるのか」でしたが、、?
文中にあるように可能性の内の一つとして予想し、全国の製油所配置図を作っていた為
翌日のHP掲載が可能だっただけで、発表日等その詳細を知って訳ではありません。
また本文を書いている最中に、英FTで「エクソンによるモービルの6百億$での買収?」
というニュースが飛び込んできましたので、その辺も含め<なるべく正確なデータを用いて
可能な限りの解説をしてみたいと思います。
尚、前月の日石、三石合併解説元売会社徹底比較NO4や97年12月企画の
本気を出したかメジャーの動きは合わせてご覧頂きたくお願いします。

筆頭株主は三菱商事?

まず多くの方から「合併後の新会社の筆頭株主は三菱商事ですよね?」という
ご質問を戴きました。確かに三菱商事は三石の15%を持つ筆頭株主で、
合併比率を約0.5として、日石資本金は1252億円、三石は836億円ですから
15%x0.5x8/12=5%となり、日石の筆頭株主のさくら銀行比率の
4%x8/12=3%を上回り、三菱商事筆頭株主説は正しそうですが、
実はちょっと違います。
これは資本金ではなく、正しくは発行済み株式総数で計算しなくてはいけません。
新会社株式数は、約1229+(456x0.525)=1468(百万株)
三菱商事所有株70百万株x0.525/1468百万株=2.5%となります。
あくまで目安ではありますが、大株主詳細表、を作成しました。
新聞等では筆頭株主は、さくら銀行と書いてあるものが多いのですが、当社は有価
証券報告書の通り投資信託勘定分も含めたので1位は住友信託で2.95%でした。

有力と称される日石、三石の特約店の勢力は

前月企画で「関連子会社は勿論、各地域に根ざした有力店が数多く存在」
と表現させて戴いた、特約店構成の方はどうでしょうか?。
各種資料より、SS数、直営数、資本金、年商、株主構成などをあえて具体名で推計し、
超大手特約店の一覧表を掲載したいと思います。
(尚、内容に誤りがありましたら訂正させて戴きますのでご連絡下さい。)
また元売別の特約店販売店SS数表も作成しましたのでご覧下さい。本表を見る
と今まで日石で最大手と言われた、日石伊藤忠、関彰商事、カメイ、矢野新商事
各社をぬいて三菱商事石油グループが約800SSを持つ一大勢力になるようです。
各元売油種別の販売数量シャアー表もよかったらご覧下さい)

一番得?をしたのはだれか

今回の合併を一部新聞では「日石主導の三石救済合併」と評しています。
(但し両社の公式発表はあくまで対等合併)
ある業界人は「えびで鯛を釣った?」商事の方が上手だとか、日石の海外関係者は、
意外に知名度の低かった日石が三菱ブランドを得たことはGoodと言われたそうです。
その判断は読者にお任せしますが、前述の通り三菱商事は筆頭ではないものの
東京三菱銀行や三菱信託、東京海上などを含めた三菱グループとして、約7%の勢力に
なり、株主として存在感を発揮する一方、販売先として三菱商事石油グループの800
ヶ所という特約店存在することは、今まで筆頭株主が存在せず、あまり外圧?の無かった
時に比較し、良い?緊張感が生まれる事は、理想の元売として必要条件かもしれません。

世界10位は本当か?

次に世界レベルで考えます。新聞では「世界の10指に入る和製メジャー」誕生など
と書いてものもありましたが、前月企画では、かなりトーンダウンして、
「目指せる可能性がある」とさせて戴きました。表を見てください。
見かけ上、総資産や売上利益等では日石三菱は、10指前後に入っていそうですが、
肝心な税引き後利益では、桁を間違えているのではないかと思います。
昨年12月企画
「本気を出したかメジャーの動き」でも解説したように
エクソンり税引き利益は、なななんと80億$、ということは1兆円近いのです。
これは日本の13元売どころか精製20数社全部束になって日本市場を独占しないと
ありえない数字ですが、それでも原油採掘まで考えると全く比較になりません。
更に11/26付けのフィナンシャルタイムスで記事になり12月第1週には
両社から正式発表があると伝えられた「エクソンがモービルを6百億$で買収」
という話もすごいですね。「日本でのエッソがモービルが合併?」なとどいう
レベルではなく、更にメジャーの「買収」ですから、本当に恐れ入りました。

更に加速される日本の再編

昨年12月企画でEG提携は合併以上の効果を上げるローコスト提携と解説しましたが、
E−Mの方は周りが勝手に言うほど、連携が出来ていると判断していませんでした。
でもこれで外資の核とされるEMGKも完成?で日本の再編も本当に急加速でしょう。
注目されるのは別格1社を除く民族系2社と外資のもう一方の核と称されるS社です。
最近では「その2社の合併はやはり難しく異業種や縦でラインでの提携や合併を模索中」
という話も聞きました。しかし前月で解説の通り、精製元売は巨大装置産業である以上、
可動率UP等の合併効果が実現しないような話は、銀行以外の支援先が見つかっただけで
生き残る元売としての本当の競争力強化には繋がらないのではないかと思います。
この2社は、もはや民族系が絶対条件とは言えず、外資のもう一方の核?であるS社
との関係もありうる訳で今後は目が離せません。

日本の石油業界の為に

一般論として「合併とはその前も後も本当に大変な作業である」とお伺いしています。
普通なら10年20年かかる融合作業を、今の業界情勢を考えると、発表の通り正に
3年でやらなければならないでしょう。
「勤労」が強いと言わている日石と「世界の三菱」というプライドをしょった三石
この両社で作る合併委員会では、色々な検討がなされているようですが、私一個人の
心配として、それを自社の自慢のぶつけ合いやリストラ取引交渉の場にするではなく、
「日本の石油業界に核として残るべき理想の元売を如何にして早急に作るか」という
前向きな委員会になればと切にお祈りする次第です。  文責 垣見裕司 11/29.NO2