ITS,ETC,DSRCとは何か
 SS業界に変革を与える近未来システムついて考える

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 ITSとは何でしょうか

昨今の常識から言えば、Infomation Technology Systemですね。でも今日は
Intelligent Transport Systemsすなわち、高度道路交通システムのお話しです。
これを一言でいえば、最先端の情報通信技術などを用いて、人と道路と車両とを
一体のシステムとして構築することにより、安全性、効率性、快適性等の飛躍的向上と
環境保全を図る新しい道路交通システムの総称で正に 21世紀の社会システムといえます。
1996年に、警察庁、通産省、運輸省、郵政省、建設省の5省庁が、連携を図りつつ効率的に
対処するための意見交換の場が発足してから、急速に進み始めました。
(平成13年の省庁再編に伴い、5省庁は「4省庁連絡会議」として、警察庁、総務省、
経済産業省、国土交通省(道路局、自動車交通局))になりました。


ITSを構成する9つの分野

1.ナビゲーションの高度化  VICS等によるナビの高度化
2.自動料金収受システム  料金所等のノンストップ化等
3.安全運転の支援  AHS等による危険警告・自動運転等
4.交通管理の最適化 経路誘導、公共交通優先信号制御
5.道路管理の効率化 工事情報等の提供、特殊車両管理等
6.公共交通の支援  公共交通の運行状況の提供等
7.商用車の効率化  効率的な配車計画の支援等
8.歩行者等の支援  歩行者等に経路・施設案内の提供等
9.緊急車両の運行支援  緊急時通報、緊急車両の経路誘導等

またこれに関連しスマートウェイという構想もあります。これは路車間の通信システム、センサー、光ファイバーネットワーク等の必要な施設が組み込まれた道路でスマートカー、スマートゲートウェイ(スマートウェイとスマートカーの間の情報通信を円滑に行うための技術)と三位一体となってITSを推進するシステムです。2015年頃  全国、主要な幹線道路網においてスマートウェイ化を実現したいという提言もなされています。

マルチに発展するカーナビシステム

デジタル道路地図を搭載したカーナビの登場から10年。道案内の機能だけであったカーナビは格段に進化し、現在はディスクを大容量のDVDに変えナビ機能の高度化と、 道路交通情報通信システム通称VICS (Vehicle Information and Communication System)等、モバイルコミュニケーションの充実、他の車載機器との一体化による機能の多様化が進んでいます。
 このVICSは、渋滞状況、所要時間、工事・交通規制等に関する道路交通情報を、道路上に設置したビーコンやFM多重放送により、ナビゲーションシステム等の車載機へリアルタイムに提供するシステム していますから、一度つかったら手放せないというのが率直な感想です。

またこのカーナビのジャイロセンサーを利用した「ふらつき運転検知機能」が本田技研工業(株)が開発しました。カーナビの振動ジャイロセンサーと車速センサーの信号から走行中の軌跡を求め、その軌跡から中心基準線を予測し、横ズレ量を検出することで、走行中のドライバーの眠気などによる車のふらつきを検知して、ドライバーに音声と画面表示で警告するシステムで既に実用化しています。
一方携帯して歩きながらも使えるGPSハンディナビも1999年から様々な機種が市場に登場し、2000年にはパソコンとのリンクやインターネットとの接続可能といった新しい機能を搭載する機種も登場してきています。 これらGPSを搭載した情報携帯端末によって、レジャーや仕事で不慣れな土地でも安心して歩くことができます。今後さらに機能が充実してくることによって、現在研究開発が進められている「2.8の歩行者ITS」の情報端末としても活用できるようになると期待されています。

ETCとは何か

ETCとは、ETC Electronic Toll Collection Systemの略で、通常「ノンストップ自動料金支払いシステム」といわれています。有料道路における料金所渋滞の解消、キャッシュレス化による利便性の向上、管理コストの節減等を図るため、有料道路の料金所で一旦停止することなく無線通信を用いて自動的に料金の支払いを行うシステムで、海外では既に実用化されており、日本では、2000年4月より首都圏を中心に試行運用を始め2001年3月からサービスを開始しました。
 ちなみに、ETCが何故千葉の限られた高速道路からスタートしたかご存知ですか?。
香港のようなトンネルを通るだけの単一料金システムなら簡単なのだそうですが、日本の場合
はかなり複雑なシステムなのだそうて゜、万一のトラブルの場合でも、それ以上問題が広が゛らないように、首都圏で最も接続路線が限られた区間を選んで開始したそうです。

ETCとICカードの多様性

またETCシステムには、分離型のいわゆるICカードを使用します。このICカードは、有料道路事業者、及びそれらと料金決済契約を交わしたクレジットカード会社が発行します。そしてこのカードには料金決済に必要な各種の情報が格納され、暗号化され、安全で迅速な情報交換ができるようになっています。
 そしてこのカードにはICチップを内臓していますので、この中にETC以外のアプリケーション領域を設けることも可能です。ICカードそのものは、新しい発想ではありませんが、本来の開発のきっかけでもある、社員証や本人認識カードとして機能に、銀行カードやクレジットカード、健康保険証や、印鑑登録証、免許証など、各種の機能を持たせた、多様なサービス機能を備えた複合的なカードとすることは、技術的には十分可能です。
 もっともこの種の問題は、各種省庁間や各業界間の垣根をすべてなくし、官も民もそして全ての業界が協力し、創意工夫して、そして切磋琢磨すれば、ユーザーに取って本当に便利なカードになることは間違いのないことでしょう。過去の例では、10年たっても無理かもしれませんが、お財布の中のカードがこれ一枚になれば、
爆発的な普及になることは間違いありません。

DSRC((専用)狭域通信)Dedicated Short Range Communicationとは何か

 日本ではETCを実用化するにあたり、車載器と路側機の間で情報をやりとりするシステムとして、世界に先駆け双方向通信の5.8GHz帯のDSRCアクティブ方式を採用しました。この方式はトランシーバー方式とも呼ばれ、車載器にも発振器が内蔵され、車載器と路側機が対等に電波を発射し合うことができます。このため発振器を車載器に内蔵しないパッシブ方式に比べ、高速かつ大量の情報授受、高い信頼性の確保に優れており多様なITSサービスでの活用が可能です。
 更に現在は電波ですが、光を用いる方式も開発されており、これが実現すると、伝送容量は飛躍的に向上し、例えば車の中で見る動画データなども瞬時に送ることが可能となり、現在既に実用化されつつある、運行管理システムや料金決済システムなどとともに、多彩なサービスが始まり新たなマーケットが形成されると期待を集めています。
 既に始まっている応用例としては、.ノンストップ駐車場入出庫システムがあります。単に料金の支払いの手間が省けるだけでなく、入庫前から空き情報の提供、ゲートイン後はどこに空きスペースがあるかの情報提供や誘導などです。従ってドライブスルーなどの現金決済だけでなく、物流管理にまで応用出来るともいえるでしょう。すなわち、自動車が出入りすあらゆる場所での応用が可能と言っても過言ではありません。

期待されるSSでの利用例

 まず前面道路を走る車に対しては、情報シャワー的な発想で価格告知や各種キャンペーン等の広告効果があります。
 入店後は、価格決済は勿論ですが、油種や数量選択が車載機のタッチパネルを使って出来るかもしれません。給油中の時間を使って、交通情報の入手、周辺地域の詳細地図データ、ミニコミ誌的な情報収集、高速インターネット接続サービス、更には最新音楽配信や、画像映像データの入手更には大容量で通信出来る特徴から、車内へのインターネット接続サービスを始め、地域密着型の情報提供サービスも可能でしょう。
  また車載コンピューターと相互連動して車両診断などが出来ると面白いかもしれません。
相互のコンピューターには、車検証内容から過去の整備記録、故障内容からオイル交換履歴まですべて入っていることは言うまでもありません。
 そして不具合が見つかり、それがもし特殊な外車等で当該SSで直せないような故障なら、もよりカーディーラーまでのアクセスルートまでが情報提供されることでしょう。
 また今でも一部SSで始まっていますが、飛行機やコンサート予約や発行されたチケットの受け取りなどが出来るようになることは言うまでもありません。

本当にSSでしか出来ない事は何か

 もしあなたがSS業界関係者で今後のSS経営に積極的な方なら、以上の項目にかいてある内容程度は私同様入手することが出来るでしょう。また元売や一部組合等でも研究していますし、組合等から委託を受けたOO総研などの報告書を業界雑誌でお読みになったかもしれません。
 もしそうならSS中心に記述されている訳であり、ETCやDSRCの技術によってSS業界の未来がいかにも薔薇色あるが如く書いてあるかもしれません。
 でも残念ながらそれは大きな間違いです。IT技術は全ての業界に対して公平です。文中にも在るとおり、ETCなりDSRCは、車が駐停車出来る場所ならどんな業界でも対応が可能です。
郊外型の駐車スペースの広いコンビに、スーパー、外食産業、カーショップ、カーディーラー、それこそデパートの地下駐車場、物販業に限らず会社の駐車場や三菱電気さんなら恐らくランドマークタワーの駐車場にはいち早く実験設置されるでしょう。
 そして、今のブロードバンドインターネット時代の到来により、各家庭で今まで上げてきた殆どことが、自宅にいながらにして、情報収集され、自宅のパソコンと車のパソコンが無線LANで接続され、すべてが自宅で完結してしまうかもしれません。
 更に携帯電話の進歩が飛躍的に発展しDSRCなみの伝送量が可能となれば、やはり情報を入手するためにSSへの来店するという目的は、限りなく低くなるでしょう。
 ではSSの本当の強みはなんでしょうか。コンビニとの対比では昨年9月企画をご覧下さい。やはり、視認性高い場所、良好な道路設置、広いスペース、お客様の方から定期的来店して頂く事等でしょう。そして全国5万箇所に張り巡らされたネッワークを系列をこえて構築していければ、正にIT時代だからそ絶対に必要になる「最終物流拠点」の提供が可能になり、これこそが他業界には真似の出来ない新業態サービスであると思います。
  文責 垣見 裕司 2001/8/28 NO1