エクソンモービル日本市場も再編開始
1/26発表の内容とその意味や今後への課題を考える
あなたは2月企画始めエクソン関連企画番目のお客様です。
昨年11月末のエクソンモービルの合併にともない、日本市場においてもEMGKの
再編が注目される中、昨年末には、東燃や極東石油工業まで含めた最適構成を4部門
60チームに分かれて検討していく、またエッソバデール社長がモービル石油社長を
兼務するなどの発表がされましたが、去る1月26日より具体的な当面の方針が発表
されました。今月はその内容と意味そしてそれが及ぼす影響について解説してみたい
と思います。昨年1月企画エクソンモービルも是非どうぞ。 文責垣見裕司1/28.NO3
1月26日に発表された内容は
要約すると燃料油、潤滑油の販売業務を行う(仮称)エクソンモービルマーケ
ティングサービス有限会社、そして経理、ファイナンス情報システム、広報、
緊急時対応、調達等の業務を行う、仮称エクソンモービルビジネス有限会社を
エッソ石油が出資者となり設立し両業務を委任する。一方物流、供給、精製等
については、4社の機能を補完しあう、サービス相互提供契約を締結する。
また早期退職優遇制度を実施、4社計で全体の2割近い730名の人員を削減する。
この効果は120億円が見込まれ更に相乗効果や規模メリットによる様々な利益
向上機会が得られる。また別紙にてエッソ、モービル、エクソン化学、エッソ船舶
モービル海運各株式会社は2/18を目途として会社組織を有限会社に変更し
会社運営の簡素化とローコスト化を目指す、というものです。
 
MSAとは?、新会社との関係は
では前述3項目目のサービス相互提供契約(Mutual Services Provision Agreement)
略称MSAとはなんでしょうか。これは石油業界では昨年の1月にエッソとゼネラルの
更なる業務提供強化の際に用いられた手法ですが、各社が設備やサービスを提供しあい
受けたサービスに応じてその対価を支払うシステムです。
さて昨年1月のEG間の発表では営業はMSAで行うとのことでしたので、販売は
新会社に移管する今回の発表に従えば、従来のEG間のMSAは縮小もしくは、変更
されるのでしょうか。しかし今回はそれに言及した説明はなかったので多少の混乱は
当事者にも残っているのかもしれません。ちなみに新会社社員は4社からの出向、
役員は追って発表とのことです。以下に当社推定のイメージを作成しました。
有限会社とは、驚きました。
しかし大変驚くのは、設立新会社は有限会社。そしてエッソモービルも2月18日を
目途に有限会社に変更するという事です。理由は会社運営の点で株式会社に比べ簡素
なため管理コストが少ないとしています。確かに私どものような中小企業が会社設立
の際に有限会社の方が手続き等が楽、という話はよく聞きますが、既に存在している
巨大企業が今後有限会社に変更して果たしてどの程度のコスト削減効果があるのか、
またエクソンモービルは他の国々に於いても同様の変更をしているとのことですが、
少なくとも日本においてはその効果に疑問が残り、別の目的があるのでは、と思う
のは私だけではないようです。


人員減と経費削減効果
早期退職は2月以降に募集を開始し目標人員は730名とのこと。4社の発表には
その内訳はありませんが、新聞情報を総合するとゼネラル180人、東燃100人
エッソモービルで450人と言われています。ちなみに現在、4社の推定社員数は
合計約4000名。内訳は東燃1600名。ゼネラル1000名、エッソ700名、モービル
700名ですから従って今回の削減人員は全体の約2割弱になり、またそれによる
経費削減効果は120億円との発表です。

キグナス石油の名前は
以前よくEMGKといわれたK=キグナス石油は、最近あまり名前が出ません。
何故でしょうか。
昨年1月企画 掲載のEMGK資本製品供給相関図をご覧ください。
キグナスは販売で独自サインポールを持つ知名度もある会社ですが、資本構成は
東燃とニチモウ各50%の子会社で非上場会社です。またキグナス石油精製も
実はキグナスの子会社ではなく、東燃の100%子会社であることが分かります。
首都圏等限定された地域と販売効率の良さでSSの競争力はかなりあると評価
されていますが、販売シェアーは約1.6%で決して高いとは言えませんし。
やはりニチモウとの関係が確定しない間は各種の発表に登場するのは無理で、
エクソンモービルから見れば、まず親会社の東燃からということでしょう。
一方、極東石油工業は三井石油や究極的には三井物産の方針次第でしょう。

東燃とゼネラル石油の合併はあるのか
昨年12月22日の日刊工業新聞の1面に東燃ゼネ石来夏合併という大見出しに、
業界人はびっくりしたものでした。これに対し両社は「詳細は12/20発表の
通りで現時点では具体的に何も決まっていません」とのコメントを発表しました。
通常、根も葉も無い時はもっと強く完全否定するのが常ですので、当たらずとも
遠からずというところでしょう。というのも日本のエクソングループで上場して
いるのはこの2社だけ。そして昨年1月企画でも申し上げた通り、上場会社と
非上場会社との合併は非上場会社の株が時価評価されることとなり、評価益課税等
思わぬコストがかかることが考えられます。その点、業務的には緊密ではない
両社の合併話が持ち上がった真意は、合併コストやエクソンモービルとして持株
比率がともに50%であること等、諸問題が少ないのがその理由かと思います。

エクソンエッソ主導に問題はないのか
さて昨年末の発表と今回の発表でも既存の代理店やお客様には全く影響はないと
していますが、本当にそうでしょうか。先のエッソやゼネラルがLPGの小売
事業からの撤退を、関係代理店に発表日まで全く知らさなかったことや、
一部事前に情報が伝わったケースでは、関係者が退職を余儀なくされたこと、
更には、昨年末発表されたエッソバデール社長のモービル社長兼務の人事など、
やはり外資特有のドライさが存在すると思います。昨年の企画でも申し上げた
通り、モービルには超優良大規模特約店が数多く存在する特徴は、比較的小規模
代理店を多くもつエッソのそれとは大きな違いがあり、昨年までモービルの販売
シェアー拡大を担って来た大規模特約店の今後の動きが注目されるでしょう。