薄氷の停戦合意は継続されるのか
 和戦両にらみでの対処が必要
ワクチン的情報開示と需要抑制策への転換を
あなたは米イスラエルVSイラン戦争の番目のお客様です。

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2026/4/20シンナ-不足 
3/9初掲載 3/12 補助金は疑問 
3/16 ナフサ逼迫
 3/20補助金は? 3/23備蓄 3/25新補助金
 
世界が注目した4月2日のトランプ会見。しかし予想された停戦発表
ではなく、今後2〜3週間大規模攻撃を続けるとのことでした。
「石器時代に戻す」という極めて非道徳なベトナム戦争当時の発言の引用。
そして完成間近のイラン最大の橋の空爆は、イランの戦後復興を考えても
極めて遺憾かつ残念に思いました。
一方4月8日発表は、イスラエルも含めて米国とイランの2週間の停戦合意
でした。筆者も含めて世界がこれを歓迎しましたが、イランの示した10項目
を見る限り、どう考えても米国やイスラエルがのめるものではありません。
現にイスラエルは9日現在もレバノンを攻撃しています。
また政府は、高市総理とイラン大統領の電話会談が行われたことを
初めて発表しました。ただ外交上の秘密としてイラン大統領側のコメントは
発表されませんでした。私は船舶の航行が見えるアプリを注視していますが
9日現在、列をなして海峡を通行している状態には程遠いようです。
マスコミ論評も「薄氷合意」とか「恒久的な停戦は困難」との意見もあります。
今月は和戦両にらみで私見を述べたいと思います。
                       
文責 垣見 裕司

世界第一位の経済力軍事力を持つ大統領の発言なのか

日本時間4月8日の朝は、正に歴史的な一日になりました。
4月2日までのトランプ発言。今後2〜3週間大規模攻撃を続ける。
「石器時代に戻す」という極めて非道徳なベトナム戦争当時の発言。
そして完成間近のイラン最大の橋の空爆は、国際法上も、いつかは
しなくてはいけないイランの戦後復興を考えても、極めて遺憾かつ
残念に思いました。まして発電施設、橋等のインフラ、海水淡水化
施設等の空爆は絶対許してはならないのです。
世界第一位の経済力と軍事力を持つ大統領の発言なのでしょうか。
米国議会は大統領の暴走を止められないのでしょうか。某「北」の国より
汚い不適切な言葉を使っているので、全面攻撃やカーグ島の攻撃など
陸上部隊も参戦となれば、イランは周辺国の全てのエネルギー関連
施設の攻撃が予想されたので本当に心配していました。

イランが示した10項目は受け入れられるはずがない

最悪の事態は一端避けられましたが、仲介国パキスタンの発表や
イランマスコミ発表10項目の停戦条件を見て驚きました。以下参照

1 米国やイスラエルがイランを攻撃しないことの保証
2 ホルムズ海峡のイランによる支配(通行料の徴取含む?)
3 ウラン濃縮作業の容認
4 1次制裁の解除
5 2次制裁の解除
6 国連安保理決議の終了解除
7 IAEA決議の終了
8 イランへの損害賠償の支払い
9 周辺諸国の米軍基地の撤退
10 イスラエルとレバノンヒズボラ紛争を含む全戦域での停戦

どう考えても米国が納得しないのは、3 8 9でしょう。
9 周辺諸国にある米軍基地の撤退などあり得ません。
8 賠償金も普通は負けた国が勝った国に払うのでありえません。
 但し、通行料という戦後の復興支援名目で、米国ではなく
ホルムズ海峡を通る国が1バーレル1$支払うならありと思います。
また海峡南に隣接するオマーンとの共同なら私は良いと思います。
このホルムズ海峡管理について米国とイランの共同でやるとの
米国提案は理解に苦しみます。
3 原子力の平和利用目的ならともかく 濃縮作業は核兵器開発に
 直結しますので、これも米国はのめないでしょう。
4 5は私は良いと思いますが、米国にすれば、戦争前よりイランに
 有利なので、これもあり得ないでしょう。
10 仲介国パキスタンの発表にはあるのに、イスラエルは認めて
 いないようで、9日現在、大規模攻撃を続けています。
 戦争を終結させたくない、イスラエルの思惑だと思います。
イランがいつまで報復せずに我慢出来るかが心配です。
2 よく考えれば、戦争前は自由にかつ無料で通れていたので、
今回の戦争自体がアメリカの戦略上の失敗としか思えないのは、
私だけではないでしょう。

私の今の結論は、この停戦は単なる2週間の先延ばしで、再度
合意出来ない点をめぐって2週間後緊張感が高まると思います。

ホルムズ海峡封鎖解除はイソップ童話 北風と太陽 外交で

トランプ大統領は、4月2日時点では「ホルムズ海峡封鎖問題は、
必要としている国が勝手にやれ」と言っていました。私なら
「はい了解しました。とにかく両国合意で停戦さえして頂ければあとは
我々日本がやります」。と言いたいです。
但しイソップ童話の「北風と太陽」に倣い、 自衛隊の艦艇派遣ではなく
心のこもった外交交渉でやればよいと思います。
その意味ではホルムズ海峡北側のイランに近いルートや、オマーンに
近い南側のルートの通行に対して「1バレル1$」という話があります。
国際法上は払う必要はないのですが、そもそも米軍の攻撃自体が
国際法に合致しているとはも思えないので、イラン政府も徴収したく
なるでしょう。
ここは一歩引いて「イランの復興支援名目」や「イランとオマーンの
共同管理」なら、私は賛成で、日本国民の了解も得られるのではないか
と思います。少なくとも自衛隊派遣より遥かによいと思います。
また1バレル1$の船舶通行料を払うことによって、世界の原油価格
が100$から80$に下がるなら実利を取るべきと思います。

イランは親日国 アラグチ外相は元駐日イラン大使です

イランの外相アラグチ氏は、実は2008年から2011年まで駐日イラン大使
を務めた親日家・知日派の外交官です。 大使時代に「新久地」という
当て字の名刺を使うなど日本文化に親しみました。また回顧録
『イランと日本』も執筆。日本語も出版されています。
また東日本大震災の時には、大使自ら東北に駆け付け復興支援にも
あたっていますので、このご縁は生かしたいと思います。
また「日章丸事件」でも検索してみて下さい。英国メジャーがイラン国内に
持っていた石油権益をイラン政府が国有化した際、英国は軍艦を派遣し
イランの石油輸出を阻止したのです。ただ出光の日章丸が原油を買いに
行ってイランの人々から大歓迎を受けたという話です。
またイラン革命後やイランイラク戦争時は、米国他西欧諸国はイラクを
支援しました。実はそんな時でもイラン国内で日本テレビドラマ「おしん」
や「北の国から」は放送されていたそうです。また歴史的名作映画
「七人の侍」も大人気だったそうなので、北風ではなく「太陽外交」なら
日本関連船舶の通行はそんなに問題ないと思います。
ただ日本は固い国なので、タンカーが保険に入らないと運航出来ない
と思います。しかし世界の保険会社が引き受けてくれないか、超高額なら
日本政府が保険を引き受ければ良いと思います。実際、高市総理は、
4月8日にイラン大統領と交渉していることを認めていますので、日本の
外交力に期待したいと思います。

実現可能なコメントを期待 

テレビ等を拝見し悲しく思うのは、その報道の影響力とは裏腹にエネルギー
業界の現実やコストが理解されていないことです。例えば
1 中東依存度は何故こんなに高いのか。業界の怠慢だ。
答えは簡単です。経済合理性があり中東から買うのが一番安いからです。
逆に平時に高い原油を買ったらお客様はこれを負担頂けるのでしょうか。
答えはNOです。 大量に使うバス業界やトラック業界のインタンク価格は、
我々SSの仕入れより安いので5月の入札が心配なくらいです
2 米国アラスカ原油を買えばいい。こちらに記載の通りです 
3 中央アジアに日本は権益をもっている原油を輸入すればいい。
カザフスタン原油の生産量は190万BD、内日本の権益は約43万BD。
アゼルバイジャン原油の生産量は60万BDで日本の権益は約35万BD。
2025年の日本の原油輸入数量は236万BDで94%が中東なので補える
数量ではありません。現在は地理的に近い欧州へ出荷しています。
もし日本に輸入するとなると片道約50日、中東の倍以上の日数がかかり
輸送コストが倍以上になるだけでなく、タンカーが不足するので長期に
継続するなら、新たにタンカーを調達する必要もあります。
結局そのコストは末端価格に跳ね返るので、お客様が平時から高値を
ご了解頂けるかに掛かっているのです
4 ホルムズ海峡を通らない ヤンブーから買えばいい 。
確かにサウジは紅海側にヤンブーという出荷基地を持っています。
パイプラインの輸送能力は約650〜700万BDと言われています。既に
その内約300万BDを使用中なので増産出来るのは約350万BDです。
一方ホルムズ海峡通過量は1900万BDなので約2割しか代替出来ません。
更に紅海南部のバブ・エル・マンデブ海峡をイエメンのフーシ派が攻撃する
リスクもあります。以上を総合的に判断する必要があるのです。
  下記地図は 資源エネルギー庁発表資料より引用

パニック防止のために悪い話もお知らせする「ワクチン作戦」

50年前のオイルショックの時でさえ通れていたホルムズ海峡封鎖が
続いているのに、業界外の友人達は危機感を余りもっていません。
理由を聞けばガソリンが政府目標の170円を大幅に下回る価格で
多くのSSが乱売しているからだそうです。しかし海峡封鎖がなかった
50年前でも根拠はないのに、デマからトイレットペーパーは消えました。
私はむしろ厳しい情報も事前に「ワクチン的」にお知らせし、補助金削減
と需要抑制策に切り替える時が来たと思います。 少なくとも政府は、
大丈夫だけではなく、いつまで封鎖が続いたら、例えば5月から5%、
6月からは10%削減の目標とタイムスケジュールを示して欲しいです。
ガソリンはトイレットペーパーのように買いだめは出来ないので、仮需が
起きても在庫がある今なら、車を満タンに出来、安心して頂けるのです。
原油の94%をホルムズ海峡に依存していること。その代替輸入を短期で
行うのは極めて難しいこと。 3月の代替原油輸入はほぼ出来なかったが、
4月は2割。 5月は前年比6割の原油を確保したという朗報もあります。
但しその価格は非常に高額という話も聞いています。一方ホルムズ海峡
が通行可能になった6月の需要削減目標を例えば5%から3%に下げる
等、順次緩和をすればよいと思います。

補助金は早期に削減廃止へ

一部報道で、政府補助金は約50円なのに末端価格はそれ程下がって
おらず、SS業界がネコババしている等の残念なコメントを目にしました。
心無い批判を浴びるのは我々SSの現場スタッフなので悲しくなります。
昨年末に廃止されたガソリン税や軽油税の暫定税率の代替財源さえ確保
出来ていないのに、今補助金は約50円。暫定税率25円も含めれば75円の
補助金を広く支給するのは勿体ないと思います。3月の2800億円は恐らく
3月中になくなり、積み増した8000億円も5月にはなくなると思います。
私は本当に必要な例えばバス業界や物流業界。介護支援で車が必須の方。
公共交通機関がない生活困窮者へのピンポイント支援の方が、受給者
からも喜ばれると思います。
逆にゴールデンウイークでディズニーランドに行く時、車で行くか電車で
行くか迷っている人に75円の補助金が必要なのでしょうか。同じく沖縄観光
に行ける人はその費用を払えるので、やはり19.5円のジェット燃料補助は
不要で、航空業界はサーチャージでコスト回収すればよいのです。
 中東依存度の高い東南アジアの国々では早くも、かなり強い需要抑制
策を始めたようです。フィリピンは非常事態宣言を出し、警察など除く
政府機関は週4日勤務。ガソリンも給油制限や購入の曜日制限などの
需要抑制策を始めました。もし今後停戦が継続せず、ホルムズ海峡が
解放されなかったら直ちに需要抑制策へ転換して欲しいと思います。

シンナー不足原因を考える 目詰まり表現は遺憾 4/20追記

今、石油化学系製品でその不足が最も顕著に現れている製品の一つが
塗装等で使用されるシンナーです。以下は垣見推定です。
 まずシンナーの製造方法ですが、原油を加熱し、沸点の違いを利用
する蒸留という方法でナフサ(粗製ガソリン)」を分離します。原油の種類
によってその得率は異なりますが2024年度は以下の通りです。(エネ庁)
ガソリン31% ナフサ9.5% ジェット8.7% 灯油7.3% 軽油24.5% A重油7.2%
B・C重油他アスファルト等8.4% で合計96.6% 自家用燃料3.4%です。
 この9.5%しか取れないナフサの2025年の国内生産(精製量)は、先月
報告の通り、1313万KLしかなく 国内需要3421万KLの38%です。
それを2334万KLの輸入で補っています。しかしその輸入先は
約6割が中東です。韓国752万KLも出荷停止。米国118万KLしか
入ってこない状況です。従って第一の原因はナフサ不足です。
 次にこのナフサを分解炉に入れ、800℃以上の高温で熱分解や
触媒を使って構造を変えたり(改質)して各原料を生産します。
あくまで一般論ですが、その得率は エチレン 25% 〜 35%
プロピレン 15% 〜 20%  ブタジエン(C4留分) 8% 〜 10%。
シンナーの成分である ベンゼンは 6% 〜 8%、 トルエンは 3% 〜 4%
キシレンは 1% 〜 2% しかとれません。
 このナフサ不足を受けて日本のエチレンメーカー9社12プラントは
3月6日以降順次 8%〜16%の減算や生産調整に入りました。
 この原油からナフサの生産もナフサからの各原料の生産も
「連産品」と言って生産物が同時に出来るので、プラントが減算
されれば、全ての連産品が同時に不足することになります。また
一度止めると再稼働には時間を要するので減算は正しい判断です。
 一方、中小工場や中小塗装関連業者等川下側の理由もありそうです。
まずコストカットの為のジャストインタイムで余計な在庫を持たない
ことが通常になっていることです。弊社取引先の包装資材メーカーも
印刷用インクの希釈用のシンナーを週二回、20Lペール缶を5缶ずつ
発注していのですが、それが3月下旬以降、突然ストップしたそうです。
では何故もっと多く在庫しなかったのか。前述のコストカットともう一つ
の理由はシンナーが危険物であることです。引火点により異なり
ますが、第一石油類のシンナーなら保管してよいのは200Lまでです。
これが毎週2回 100Lずつ購入していた理由です。
 以下は日本塗料工業会様 資料です。シンナーの年間需要は
36.2万トンですが、溶剤系塗料の10%がシンナーなら約40万トンです。
 報道では目詰まりの一言で表現されていますが、目詰まりは品物が
あるのに出てこない感じがしますが、本当にないものに対して、この
目詰まり表現は正しいのでしょうか。ましてモグラ叩きでは解消しません。