JERA初代社長、和歌山大学客員教授
  垣見祐二先生 講演会
あなたは今月企画の番目のお客さまです
                            2021/10/4  Ver1
当社の本決算は9月末です。弊社の営業4部門はコロナの影響を受けましたが
何とか前年並の決算となりそうです。これも多くのお客様と取引先の皆様、銀行団。
社員各位を始め、全てのステイクホルダーの皆様のお陰と深く感謝する次第です。
 さて今月のメインテーマは、東京電力と中部電力の原発を除く発電部門を統合
した会社であるJERAの初代(2016-2020)社長で、現在和歌山大学の客員教授の
垣見祐二先生を東京都石油商業組合でお招きして「発電業界から見たカーボン
ニュートラルの期待と現実」というテーマでお話を頂きました。その際、先生のご
厚意で講演時の貴重なレジメを本HPでの公開をお許し頂きました。
垣見祐二先生、心より御礼申し上げます。
                           文責 垣 見 裕 司
2021年9月末は本決算です
今期もコロナの影響は少なからず受けましたが、それぞれ個性の違う
営業4部門がその底力を発揮してくれ、何とか前年並みとなりました。
石油部はSSというハードと当社自慢の地域NO1の顧客満足度とそれを
支える社員満足度。洗車や高額コーテイング。コロナ禍でもむしろ伸びた
レンタカーで、ガソリン収益の悪化を補っております。
 石油ガス部は、地下タンク容量も月間充填量も東京都内最大かつ
東京都の災害対応指定を受ける「中核充填所」という圧倒的ハード力。
子会社多摩荷役による、製油所から当社までのLPガスタンクローリー
による配送。充填後は、充填所からお客様までの3トン車やミニバルク等
での配送という物流力。最後にはそれを支える人財力で好成績でした。
 合成樹脂部は、プラスチック問題他の三重苦で大逆風ですが、遙か
以前にプラッチックやレジ袋の製造工場等からは卒業済みで、今はお客
様のニーズを考えた購買代行部として、商社機能を発揮しています。
 不動産は立地とハードで、そのニーズは刻々と変化しますが、その変化
にいち早く適応し、各拠点が最大限のパフォーマンスを発揮しています。
 以上の結果、本社ビル本館別館の大規模な外壁タイル補修工事を実施
しましたが、それを含めても前年並みの利益を計上出来る見込みです。
 まずはお客様、取引先や金融関係の皆様。そして社員を始め、全ての
ステイクホルダーの皆様に深く感謝する次第です。
 尚、150周年を機に開始予定の新ビジネスにつきましては、今年度中に
立ち上げ予定ですので、時期が来ましたら改めて報告させて頂きます。

そもそものきっかけは

垣見祐二先生のお名前は、中部電力燃料部長当時から、Google検索で
存知あげておりました。現在石油連盟会長の杉森 務様は新日本石油
時代、中部支店長でしたので、お二人は良く知る間柄だそうです。
 垣見祐二先生と初めてお会いしたのはJERAの社長にご就任後でした。
エネルギー業界談義とともに、垣見家ルール等もお話し、そのお人柄に
感銘を受けた次第です。 (ちなみに400年遡ると間違いなく親戚です。)
その後は、メール等で色々相談させて頂きました。例えば、本HPで掲載
の中小ダムの嵩上げ企画
も、垣見祐二先生にご指導頂いております

そして今回はカーボンニュートラル問題の講演でご足労頂きました。
世の中は脱ガソリンで「EVにしろ」と言われ続けている訳ですが、
2020年度でも日本の電力は75%が火力発電由来なのです。そこで
石油業界としてライバルでもあり、またご同業でもある電力業界様ご自身
のカーボンニュートラル対策はどうなっているのかをお伺いした次第です。

    発電業界から見たカーボンニュートラルの期待と現実
    和歌山大学 経済学部 経済学研究科 客員教授
    NPO法人バリューチェーン協議会 理事  垣見 祐二先生

講演要旨 

1 私日本の電力供給体制は変革の途中にあるが電力会社等が所有する
  稼働率の低い旧式火力発電所の維持が難しくなり退出が進みつつある。

2 CO2排出量の多い石炭火力の退出が検討される中、JERAはアンモニア
  活用を通じ、火力発電事業の転換を果たそうとしている。

3 将来の脱化石燃料としては水素が有力だが、液化や輸送・貯蔵コスト
  からみてアンモニアの活用が重要であり、開発にあたって上流投資等
  サプライチェーンへの関与とともに流動性があり、また透明性の高い
  価格形成が可能となるような世界アンモニア市場形成を目指すべき。

4 日本の2050 年のゼロエミッション達成は相当の困難が予想されるが
  新興国や発展途上国等の海外諸国の達成はそれ以上に困難。そのため
  世界全体のゼロエミ達成が出来ない場合に備えて、気候変動による
  悪影響に対処するための「適応策」を同時並行で実施すべき。
kW価値、kWh価値、微調整のΔkW価値とは何か
ご紹介したいところは多々あるのですが、私にとって目から鱗だったのは
kWh価値、kW価値、ΔkW価値でした。LPG業界人として一般的な料金体系は
基本料金と従量料金に分かれていて、基本料金はメータや配管等の設備代。
従量料金は正にガスのコストと物流費等の変動費との認識でした。
これが貯めて於けない電力業界となると、発電設備の維持費等も基本料金
の中に入っているのだそうです。
電力自由化の前は、総括原価方式で、暖冬等で一年間動かさなくても、
その維持費が保証されていたのです。
しかし自由化でその保証がなくなり、6月企画で示した通り、老朽火力は
どんどん廃止されて行きました。その量は本年4-6月だけで520万kWです。




では今、電力を切らさない「供給責任」は、誰が負ってるのてしょうか。
ENEOS電気を売る垣見油化かENEOSか、東京電力エナジーパートナーか。
それとも発電業者のJERAなのか。答えは全てNOで、電力の供給義務を
負っているのは、東京電力パワーグリッドという送配電事業者なのです。
一方自由化で総括原価時代の保証がなくなくった発電会社は、効率の悪い
古い設備は当然廃棄するので、結果として米国のエンロンの加州の大停電
だったり、最近ならテキサスの停電リスクが増大するのだと思います。
ちなみに東京電力管内の今年の冬に大寒波が来ると、予備率はマイナスに
転落なのですが、これがほとんど報道されていないのが不思議です。

日本の発電業界が持つ設備容量。しかし実際の発電量割合は異なる

日本の大手電力会社の発電設備の種類とその容量。そして合計表も大変
参考になりました。その発電能力の合計は26900万kWです。、その内火力
の合計は16900万kWで63%となっており、石炭火力は5000万kWで19%、
LNG火力は8200kWでは30%です。一方実際に発電された量の内訳は、
2019年度で石炭31.8%。LNG37.1%と設備割合とは異なっているのです。


垣見祐二先生のご厚意でPDF版を公開します

本資料の著作権は垣見祐二先生とTHREE ZED CONSULTINGに
帰属しますので、無断使用や転載、再配布等を固く禁じます。
垣見祐二先生に感謝の念を持ってご覧頂ければ幸いです。

発電業界から見た、カーボンニュートラルの期待と現実

尚、垣見祐二先生への直接のご連絡は、和歌山大学も含めてご遠慮下さい。
どうしても質問したい方やご講演依頼等は、垣見裕司のメールアドレスを
ご存じの方は私まで、それ以外の方は、
こちらからお願いします。