業界再編の歴史、製油所能力と配置、売上規模ＳＳ数から分かること
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出光による昭和シェルの買収報道 業界再編の歴史、製油所能力と配置、売上規模ＳＳ数から分かること |
日本速報メール及び日経Ｗeｂの内容 ＮＨＫ報道の内容は
第一報は 「出光、昭和シェル買収へ交渉 ＴＯＢ5000億円規模」です。
その後日経Ｗｅｂでも詳しく報道されました。以下無料で見られる文の抜粋です。
出光興産が昭和シェル石油の買収に乗り出し、国内石油業界はＪＸ日鉱日石
エネルギーとの２強時代に入る。少子化による国内需要減に加え、温暖化対策で
脱石油の動きも進む。元売大手５社の業績は伸び悩み、海外市場開拓や電力・
ガスを含む総合エネルギー企業への転換など成長戦略を単独では描き切れなく
なっている。元売りの集約は最終局面に入った。
有料購読契約をされている方は、以下から全文が見られると思います。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXLASDZ19I5X_19122014EA2000
またＮＨＫのニュースWebでも報道されました。以下から2分弱の動画が見れます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141220/k10014145631000.html
これに対し出光興産と昭和シェル石油の反応はどうでしょうか
出光興産ＨＰのニュースリリースのページには「一部報道について当社が発表した
ものではありません」というお決まりの発表がなされています。しかし注目すべきは
昭和シェルとの検討や協議までは認め、今後開示すべき事実が発生した場合は、
速やかに開示致します。としているこちらの報道に対し、東燃ゼネラルとの話は、
具体的な交渉の事実はありませんとこちらの通り全面否定したのが意味深です。
昭和シェルＨＰのプレスリリースも当社が発表したものではありませんの内容です。
業界再編の歴史は
出版社に許可を頂きました。「よくわかる石油業界」の2014/4/10に改訂した
下記の業界再編図をご覧下さい。消去法で考えれば、既に30％のシェアーを
確保しているＪＸとの統合は独占禁止法上かなり難しいと予想されるので、
出光、東燃、昭和シェル、コスモがどう組むかという選択肢なのだと思います。
製造業＆装置産業の元売の再編は精製設備の配置で考える
元売はやはり固定費で縛られてしまう装置産業です。よって精製設備の効率化
による精製コストの削減が、最も簡単な競争力の強化法です。
出光は北から、北海道苫小牧、千葉、そして愛知に製油所を有しています。
下記図にある徳山、その前の2003年4月に兵庫製油所を閉鎖しています。
昭和シェルは、昭和四日市が有名ですが、富士石油、東亜石油、西部石油も
昭和シェルグループと判断して良いでしょう。
第一印象としては千葉と袖ヶ浦、愛知と四日市等比較的近い製油所が多いので
補完というよりは、ずばり片方を大幅削減するという効率化になるかもしれません。
会社規模 株式時価総額 売上金額 売上数量 ＳＳ数を把握する
この内容も本年８月企画で公になっているものは掲載しております。
各社の簡単な売上や収支等を掲載しています。売上高は、出光は業界2位
昭和シェルは5位ですが、統合すればＪＸに次ぐ業界2位となります。
元売別系列ＳＳ数やセルフＳＳ数については、出光2位、昭和シェルは3位なので
絶対的な業界2位の会社が出来ることなります。
元売会社 時価総額 売上高 営業利益 経常利益 税引利益 シェアー 社員数 3月末数 前年比 JXエネルギ 11956 96045 347 685 392 34％ 6208 11,017 -266 出光興産 3328 42003 336 444 275 14％ 8749 3,786 -75 昭和ｼｪﾙ 4850 27083 529 540 354 16％ 5829 3,442 -113 ｺｽﾓ石油 1534 31638 -243 17 288 11％ 1837 3,228 -97 東燃ゼネ 6228 30332 412 402 262 18％ 1654 3,379 -96 キグナス 5586 24 21 13 494 -17 その他 -- -- -- -- 602 -17 元売合計 232689 1406 2110 1584 100％ 25,948 -681 全登録SS計 単位 億円 推定 34,706 -1,643
記者からの質問 過去のバーター契約について他
今回最初に情報を頂いた記者からは、「もし出光と昭和シェルが
統合すると例えばＪＸと出光の北海道や九州でのバーター契約は、
廃棄されるのですか」等の質問を頂きました。一言では言えば
そんなことはありません。製油所の統廃合については片方が廃止
する場合は、最低でも15-20年に契約を結んでいると思います。
冒頭で紹介した出光兵庫製油所の廃止等も100対0の関係です
から、少なくとも両社が合意しない限り、一方的な解約はないと
思います。
もう一つ、ＪＸとしてどう思うかと聞かれました。ＪＸに聞いてくれと
お答えしましたが、絶対2位が誕生して相対的な地位が下落する
というデメリットよりは、業界秩序がより正常化するというメリットの
方が大きいと思います。
同様なことは、我々販売やＳＳレベルでも言えると思います。
以降この企画の続きは、出光と昭和シェルが正式発表後、再開する予定です。
またこのようなニュースが入った時のためにも、是非「よくわかる石油業界」
一社に1冊ではなく、一課に1冊、一人1冊手元に置いて頂ければ幸いです。
ご購入の時は、是非2014/4/10第3刷の最新版かどうかを確認してお求め下さい。
１２月29日になっても公式発表が無い理由 2014-12-29追加
さて衝撃のニュースから1週間以上過ぎた12月29日になっても、両社とも
まだ肯定していなので、むしろ色々な憶測を呼んでいます。普通は、
新聞紙記者との阿吽の呼吸から事前に当事者から流す場合がケースＡ
とすれば、交渉が上手く行かない時に、意図的に流して既成事実を作る
ケースＢ。逆に交渉を破断させる意図で、成立前に流布して反対意見を
盛り上げるケースＣ。業界再編を後押ししたい当局筋から流したという
ケースＤ。ＢやＣの場合は、自社でなく相手方からリークする場合含め
れば、ケースは更に広がります。
ただ冷静に考えれば、今回は出光と昭和シェルの合併ではなく、ロイヤル
ダッチシェルから、出光が株式を取得して、同社を子会社にしようという
話しだとすれば、その買い取り価格が問題です。
少しでも高く売りたいRDシェルと少しでも安く買いたい出光。しかし情報が
事前ながれてしまい、昭和シェルの株価は1000円から1300円にまで上がって
しまいしまた。こうなるとプレミアムどころか、目論んでいた買収金額が
大幅に増えてしまい、当初の効果がでなくなるかもしれません。
マスコミの取材も殺到の中、嘘は言えないし、逆に余計なことを言えば
インサイダー情報になってしまうでしょうし、非常に難しくなったのでは
ないかと思います。
1月6日には、特約店会があるそうなので、そこでの挨拶の内容を注視したい
と思います。
