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現在の石油業界は戦後最大の危機! オイルショックからの石油業界30年をデータで見る |
第1次オイルショック
第2次オイルショック
第3次?オイルショック、いわゆる湾岸危機
本年3月以降の値上がり状況
何故戦後最大の危機なのか
での値上がり幅10$は第1次に匹敵しますが、当時と今の円レートの違いの
お蔭で、輸入円ベースでは約7円ですから問題は値上がり幅ではないのです。
欧米では、ニューヨーク先物市場のWTIの値上げに敏感に反応し、末端市況も
じりじり値上がりを始めました。アメリカ西海岸では、製油所事故も手伝って、
税抜きでは倍になったところも有るほどです。
一方日本はどうでしょう。過去3回は業界以前にマスコミが大々的に取り上げ、
政府も立法化し、国民全体の関心も高く市況も上がりました。それに対し今回は
マスコミの反応は極めて冷ややか、従って国民の皆様もその事実をご存じでは
ありません。勿論政府や当局も自由化や規制緩和の最中、業界や末端市況に関与
出来るはずもありません。その辺が石油業界内にとって戦後最大の危機なのです。
元売の経営に決定的な打撃が、
石油精製・販売元売の利益合計推移1972-98年度
もし末端への転嫁が遅れ仮に4円、業界が負担すると年間総販売量23000万KLとして
その金額は920億?いえ9200億円もの金額です。これは昨今特に弱まっている
一部の元売にとって結論が出てしまう程の数字です。しかし日本経済もヤミ上がり。
経済全体に占める石油業界の影響力も、その輸入金額割合以上に低いと言わざる得ず、
値上げに対し全業界的に協力取り付けるというのは、ちょっと無理がありそうです。
しかしこのままですと強硬なる卸価格値上げを迫る元売と、市況が上がらず苦しむ
末端SSの間に挟まれた、特約店経営がまず急速に悪化するでしょう。
しかしそれを今まで吸収して来た元売子会社にも余裕はなく、一部の元売にとって
もし卸価格の引き上げが進まなければ、それは経営危機を意味するのかもしれません。
一方世界から見れば日本の石油市場はアメリカに次ぐ世界第2位の市場ですから、
まだ日本に本格進出していない勝ち残り組メジャーが、その弱った元売をただ同然で
買収する可能性がないとは言えません。そうなれば過去からも申し上げている通り、
イギリスのように外資対外資の戦争も始まれば、日本市場は更に混乱するでしょうし、
それは最終的に、決して日本全体の為にはならないでしょう。
この様な個人的な心配が真夏の夜の夢で終わってくれるよう祈るとともに、HPの
読者の皆様には、現在の石油製品の価格は税別では国際水準に比べてかなり割安であ
ることをご認識頂くとともに、本来有るべき市況までの値上げにはご理解頂きます様
心からお願いお願い申し上げる次第です。1999/8/16 NO3 文責
垣見 裕司
1970-2000年、原油輸入価格、国内製品市況SS数表と30年間の主な出来事
石油資料(A6版毎年8月頃発刊)をもとに、石油情報センターや経済調査会の
資料を参考に当社が作成しました。しかし一部、年と年度が混在していたり、
出所もとが異なっていたりしますので、あくまでひとつの目安としてお考え下さい。
更に原油輸入数量価格、海外SS数、精製販売元売の合計収支実績、精製稼働率、
製品別販売量の各30年間の推移データエクセル版(有料)はこちら