系列、複数仕入れ、商標問題を考える

|元売会社徹底比較|SS業界はこう生き抜く| こんなにきれいなSSがなぜ潰れるの
あなたは6月企画の番目のお客様です

系列化が進む中で、重要度が増す業転の存在

 皆さんこんにちは、今月は今業界で最もホットな話題を考えて見たいと思います。
 ご存知の様に石油業界は極めて系列化が進んでいる業界で、 日本全国約6万ヶ所のほとんどが、いずれかの元売のサインポールを掲げており、 元売マークのないグループは「無印」などと呼ばれているぐらいです。
 では、その無印SSは一体どこからガソリンを仕入れているのでしょうか。 色々なケースがあるかとは思いますが、複数の元売から仕入れていたり、業転「ぎょうてん」品を購入して営業しているのが一般的です。 この業転とは、正式には業者間転売物と呼ばれているもので、商社や大手特約店が、 スケールメリットを出すことを目的に、元売から大量に品物を仕入れたものの、 自社系列SSだけでは販売出来ず、他系列のSSに売込んだのがそもそもの始まりといわれています。
 しかし現在では商社等もさることながら、原油精製能力(ガソリン製造能力)が 自社系列内販売能力を上回る元売自ら、直接市場に流しているとも言われています。当然その価格は系列物より、かなり安くなっています。

競争激化で普通のSSまでも業転を買い始めた

 ご存知の通り一昨年来の安値競争で各SSの収支は非常に悪化してまいりました。 そして仕入れ先に値下げや決算支援を頼んでも、良い結果が得られないSSは、 系列マークを上げながらも、遺憾ながら他社品や業転品を仕入れる様になりました。
 埼玉等本当に安値戦争の地域では、全数量の10%が業転ルートであるとも言われております。 これは全くの私見ですが、全SSが平均的に1割仕入れているというより、3割のSSが仕入れの3割強を系列外から仕入れているという感じでしょう。
 またこの業転取引の最低ロットは、通常タンクローリー1台(12KL前後)程度ですが、 一度に1台仕入れられない小規模SSや、業転業者に対しても交渉力を発揮したい複数SSが一緒になって購入するのが 「共同購入」で、組合がその音頭をとって継続購入が実現した山口の例は有名です。

商標権を盾に業転品の購入や複数仕入れを拒否する元売

 これに対し元売の主張は、独禁法の観点からは、どこから買おうと自由ではあるが、
  1. 業転品や他社仕入れ品をA社のサインポールのもとで売れば商標権の侵害である
  2. PL法上、販売した製品に問題があった場合に、そのSSに対してもユーザーに対しても製品補償は出来ない
    (業界には販売SSと供給元売が連帯してその製品を補償する品質保証制度がありステッカーなどでSSに表示されていますが、 見たことありますか?)
  3. 以上から他社購入が一定量以上継続するならサインポールは裁判をしても撤去する
という意見の表明を行っており、実際係争中のSSも全国に何件かはあるようです。

元売ブランドはどの程度認識され、評価されているのか

 道案内をする時よく目印にして頂くSS。ところがそのSSのマークは何ですか、 と問い返すと「あれ何でしたっけ」以外に答えられないことも多いようです。 そもそも一般ユーザーの方は元売のブランドイメージやそのマークをどのぐらい認識評価しておられるのでしょうか。
 一つの例ですが、当社の高卒用入社試験に「元売の名前を挙げて下さい」という問題を出したことがありますが、 実はこれが以外に出来ず、5社書ければ良い方で10社以上は皆無に近い状態でした。 高校3年生は免許年齢に達していないせいかもしれませんが、元売マークの認識度は、案外この程度なのかもしれません。
 また元売各社はオーナードラバーの意識調査というの時々やっておりますが、この問題については 自社ブランドのイメージの相関関係を聞く程度で、どのくらい認識されているかや、何社答えられるかという質問はありません。

 もし私が費用をかけて調査するなら、ブランドの評価をガソリン価格として数値化するような、 例えば、サービスやSSのハードが全く同じという前提で、一応シェアー1位の日石ガソリンが 100円だとしたら、他の元売のガソリンはいくらが適当かをお客様に決めて頂く項目を作って見たいと思います。 これは本当の意味で元売関係者にとって良い資料になると思います。

ガソリンの性能に系列格差はあるのか

 また、電子メールでよく頂く質問に 「各社のガソリンの性能の違いはどのくらいあるのですか」というのがあります。
 私がすべてを知っている訳ではないので慎重にお返事するのですが、 E社M社G社K社のガソリンはT社系で作られているのは周知の事実ですし、 物流提携を正式に発表している会社や、共同オイルターミナルの様な輸送基地から 運ばれて来るケースは、タンクローリーの出荷直前に添加剤でも入れて区別しない限りは、違いがあるとは言いきれません。
 また系列品と業転品との品質の差も聞かれますが、業転出荷分だけ品質を落とすなんてことは、 かえってコストがかかるので、元売に近い筋から出る物は変わらないと考えて良いでしょう。
 但し、最近はほとんど聞かなくなりましたが、中間業者が自分のタンクで、 化学製品等からリサイクルして作ったような粗悪ガソリンを混入したり、灯油を入れたりする可能性は 皆無とはいえませんので、お客様がSSとして信用出来なさそうなところは、 いくら安くても購入しない方がよいと思います。
 またハイオクガソリンについては、違いがあると思っていますが皆さん如何ですか。

他業界を考えてみると

 ここで石油業界に捕らわれず、他の業界の商標を考えてみましょう。 例えば電気業界のお店。表の看板にSONYとかVICTERと書かれていても店の中に入れば、 他社製品はいくらでもおいてあり、純粋にその系列品しかおいていない店を探すのは大変です。
 お客様の方も表の看板をみて「ああメインはSONYなんだな」と思うぐらいで、 店内でナショナルの電池を買っても別に違和感はないと思います。
 その冷静さで石油販売業を考えてみると、タンクから計量器までのラインを明確に分けるか、 タンクを分けられなければ、月代わり等時間的に明確に分離した上で、 計量器にある程度の大きさでその元売マークやノンブランド商品であることを表示すれば、 サインポール以外の品物は全く販売出来ないということもないと思いますし、商標法的にも問題は無いと思うのですが。

最後は元売との契約上の問題?

 しかし元売にも契約締結の自由はあると思います。 従って元売にとって魅力を感じないSSなら全量引取りを契約条件にされるでしょうし、 数量をたくさん売っていれば、他の元売のサインポールを上げられるより遙かに良い、 といって半分の引き取りでも合意に達するかも知れません。
 要するにSSとして魅力がなければ、元売からも一番大切なお客様からも総スカン?。 その事も我々販売業者は肝に銘じておかなければならないと思います。

お客様のご意見を聞かせて下さい

 で今月の結論として、一般の方、業界の方を問わず、是非お伺いしたいと思います。
SSにおけるサインポールはお客様にとってどこまでの意味をもつのでしょうか。
  1. 前述の様に「メインは日石か」と思われる程度ですか。
    販売SSが補償しているのだから、ノンブランド品でも問題ありませんか。
  2. それともオイル缶の様に製造者が簡単に判別出来ないガソリンの様な製品は、 全量サインポールの元売の物を希望されますか。
  3. 日石が100円ガソリンなら他社はいくらですか、解答例A社102円B社98円
  4. その他元売ブランドイメージ等について
この最後の項の答えは我々業界の自己満足ではなく、お客様の選択で決まって行くものだと思います。文責 垣見裕司

雑誌で面白い記事を見つけたので追加です。6/7

 フィナンシャルワールド誌による有名会社のブランド価値だそうです。単位億$
コカコーラ434、マクドナルド189、IBM184、以下日本企業のみ、ソニー81、ブリヂストン45、 キャノン40、キリン36、任天堂34。算定根拠は不明ですが数年間の広告投資総額でしょうか?。
 また、消費者が購買決定する時のブランド重要度は
香水93%、自動車72%、パソコン60%、ビール50%、ホテル30%、ガソリン11%、 (インターブランドジャパンによる)だそうです。やっぱりガソリンは低い。
 本当のブランド価値とは、その会社がコマーシャルにいくら投資したかではなく、前述の例で申し上げれば、 元売Aが100円ならノンブランド品は95円だ、という評価が消費者に定着しているとして、 そのA社の販売数量が1千万KLなら×5円/Lで=500億円、これなら我々も納得しなれければいけませんね。
 でも購入の際のブランド重要度が11%と低いガソリンブランドの価値は、元売りが思うほど高くないのかもしれません。
 笑顔のすてきな女性アルバイトがいるSSと元売ブランド。あなたはどちらを選びます?
|ご意見はメールでこちらへ|先頭ページへ戻る|