新年ご挨拶と1月企画


皆様、明けましておめでとうございます。 昨年は7000人を超えるネットサーファーを始め関係者の方々に、 大変お世話になり、誠にありがとうございました。
本年も「生きて育つ」「内容は深く、容量は軽く」をモットーに、 皆様のお役に立つ情報発信を心がけてゆく所存ですので、 どうぞ本年も当社ホームページをよろしくお願いします。
さて新年企画でございますが、月刊ガソリンスタンド様、日刊燃料油脂様協賛の新年企画「全国若手経営者17名の紙上討論会」に参加させて戴くこととなりましたので、その記事を全文掲載させて戴き、これを年頭のご挨拶とさせて戴きます。
12月15日以降あなたはこの項目に興味を持って戴いた 番目のお客様です

紙上討論会、平成9年、激動のSS業界をこう生き抜く

  1. 今年は自由化時代に入って2年目を迎えます。SSを取り巻く環境はますます厳しくなると思われますが、新年を迎えるに当たり、新たなる決意をお聞かせ下さい。(今年はSS業にとってどういう年になると思いますか)

    A.まず現在の環境への認識ですが確かに厳しいと思います。よく大先輩の経営者の方々は「昔は儲かった」と言われますが、それは石油が儲かったと考えるべきではなく、戦後のモータリゼーションに目をつけた先見性のあった創業者利益と考えるべきでしょう。
     従って成熟期の業界として本来あるべき利益水準となっただけで「2〜3年後に良くなるからそれまで我慢」という発想ではなく、現在の利益水準で十分やって行ける体質を作ることが今年の課題だと思います。

  2. 元売が打ち出した新価格体系について率直なご意見をお聞かせ下さい。
    事後調整なしで取引の透明化を目論むこの新価格体系は、販売業者にとってどういう意味があるのでしょうか。元売の一方的な論理やコストの押しつけだ、という意見もありますが、販売業界ではどう受け止めているのでしょうか。

    A.自由主義経済の価格は市場が決めるというのは大原則。だから元売はコストを積み上げた価格を発表するのはご自由ですが、それはあくまで希望の表明であり、実際には買い手も納得した価格で決着すべきです。
     しかし普通の商売なら「価格が合わなければ他から買う」という当然の事を石油業界は「系列」「商表法」「品確法」等で縛り、合法的に他社から買う事は極めて難しく、まじめな会社程とても勇気がいります。
     私はこの外堀を埋めた状態で建値での買い取りを迫る元売の姿勢こそが一番の問題で、元売の想像以上に特約店販売店のストレスは大きいと思います。
     思いつめたられた買い手側は転籍、転業、廃業の選択が最後の抵抗ですが、それは元売にとって重要度の低い取引先から止めていくとは限らず、むしろ有能な他の業界でもやっていける力のある会社が撤退することもあり、私はそれを一番恐れています。
     従って価格は数量だけで決まるのではなく、経営力や魅力度も含めた総合交渉力で決まる訳で、もし元売とって良い特約店が一番安く、その様な会社だけが残るならばそれは業界の為に決して良いことではありません。

  3. 貴社の今後のSS経営戦略をお聞かせ下さい。元売主導のセルフ型SSや大型の複合(業態)化SSなどが台頭し、価格破壊「ノンサービスによる安売り」や大型景品付き販売「キャッュバックや懸賞金」などこれまでに見られなかった新たな展開が始まっていますが、こういった動きの中で貴社は今後どのような経営を目指す方針ですか。

    A.1.これからは複合店舗でしょう。例えば、酒のディカウンターが初めて出た頃は、遠くても車で買いに行った人も、近くのスーパーで同じ程度の値段で売り始めれば、もうお酒だけを買いにいくことはなくなる。やはりスーパーと組んだところは強いでしょう。その複合とは、スーパー以外でも、本、ビデオ、写真、外食産業やコンビニ、極端な話、洗車専門業でもいいと思いますが、当社多角化の経験から言えば、ガソリンがなくても食べていけるぐらいの覚悟が必要だと思います。

    2.ノンサービスやセルフは当社では考えてはいません。しかし業界として法律で禁止したり、組合を上げて反対運動をやろうとすることは、マスコミや消費者から誤解を招きます。やりたい人には出来るようにしておけばよい訳で、その基準が日本国内で共通ならば何の問題もないはずです。
     従って業界の対応も絶対NOではなく「いいですよでも火災に対してはどうするのですか」の答えを国や消防、消費者に出して戴く方がよいと思います。

    3.元売カードは特約店や販売店の顔が見えなくなるので個人的には好きではありませんが、業界に定着し始めてしまった以上、全力で取り組まなければならないでしょう。

                            

  4. 貴社のリストラ計画を教えて下さい。  本社経費をどれくらいまで圧縮するとか、アルバイト・パート対策、人時生産性の向上など、これまで以上の合理化・効率化が必要になってくると思われますが、貴社の具体的なリストラ計画をお聞かせ下さい

    A. 当社の場合最も自信のあるのが、本社共通費等管理部門の効率化です。  本社共通費は現在でも4円以下ですし、ペーパーレス経理などを推し進めグループ会社を含めた年商200億を経理部、計算センター合計で7人で処理しています。経理部といえども男子は全員SEで、改善の余地のあるシステムは日常業務のなかで各自が許可を貰いどんどん改善していきます。
     皆さんワープロで漢字変換をやったことがあるでしょう。今のワープロは最も使用頻度の多い漢字が最初に出で来るような機能がついているので使えば使う程使い易くなる、当社の管理部門はそんなシステム構築を目指しています。

     SSでは人件費=油外収益=20円が基本ですが、80KLでも儲かるところは残し、150KLでも赤字が恒久的に続くところは閉鎖を検討すべきと思います。この辺が固定費中心の装置産業である元売と利益優先の販売会社との決定的な違いでしょうか。

  5. 行政、元売、石商などについて一言。
     あなたが今、いちばん矛盾を感じ、訴えたいことば何でしょうか

    A.業界は行政に、我々は組合に過度の期待をべきではありません。また組合運動も、もう少しメリハリをもって。例えば献金していた予算を使い、業界全体でガソリン税を外税表示に変えたり、税抜き価格で看板表示をしたり国民に多大なる税負担をもっと知ってもらい、業界の自己満足ではなく国民全体の運動にもり上げる必要があります。(皆さんの業界以外のお友達にガソリン税の単価や、石油諸税が法人税、所得税、消費税につぐ第4の税金だということを知っている人は多分皆無でしょう。)その意味で私どもは6ケ月で7000件のアクセスを戴いたインターネットホームページで全国のガソリン灯油軽油の市況や、原油価格の値上り状況、SS経営が如何に大変かなどを訴え、当社の営業には直接関係がなくても、その役を果たしているつもりです。

  6. その他のご意見 業界に対する提案、意見、要望などがあれば簡潔に

    A.そのインターネットで業界の特約店や販売店の経営者の方からメールを戴きますが、一番多いのが仕入先との関係や価格の質問です。その時によくお答えするのですが、「仕入先の方々と親しくなるのは多いに結構。しかし絶対に頼ってはいけません。返せない金を借りたり、無条件に資本をいれたり、必要のない役員等を引き受けた時から、大きさこそ違っても対等パートナーであったはずが、単なる下請けになってします。その後はもう吸収か切捨てか、良くて現状維持、ここまで来たら元売が悪いというより経済原則と考えるべきで、「SS運営者で有る前に経営者であるべきです」とお答えしています。ではどうするか。一言でいえば「お客様からも元売や仕入先からも、なくてはならない会社であり続ける」とてもとても大変ではありますが、、