過去のピークデータから見るSS業界の苦悩
 注目される9月価格でSS業界の近未来を占う
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今月は業界人として知って置くべき、オイルショック時や湾岸戦争時のデータを参加に、同じ高価格でも
今ののSS業界の状況が、どれ程大変なものか。そして注目される8月データや9月末端価格を
考えて見たいと思います。                 文責 垣見裕司 ご意見等はこちらから

日本の原油輸入価格の過去のピークは いつで それは幾らだったのか

先日、財務省から7月の原油輸入CIF価格が、
69.29ドル/B、円レート122.98円/$、53,599円/KLと発表されました。
一般紙のみならず、一部の業界新聞等でも「高値更新」という見出しをつけていますが、
正確には「昨年の高値を更新」という記述すべきでしょう。
では日本にとって原油輸入価格の過去最高は、いつの幾らなのでしょうか。
実は過去30年データベースを持っている当社でも、それは年平均しかなかったので、夏休みの
宿題の如く、月データをじっくり調査してみました。その結果過去のピークは
1882年(昭和57年)第二次オイルショック時の11月。33.19ドル/Bは
最高値ではありませんでしたが、272.81円/$という円安が響き、
56,960円/KLというのが
今でも日本の原油輸入価格のギネス記録です。
一方 ドル/Bベースでのピークは、81年4月の38.49ドル/B。しかしこの時はまだ日本経済の
強さを反映し、211.90円/$と円高だったので、円/KLでは、51,324円/KLに留まっておりました。
 ちなみに
1990年(平成2年)の湾岸戦争時は、7月の15.42ドル/Bが、11月に
34.16ドル/Bまで上昇しましたが、為替が128.31円/$と第二次オイルショック時に
比較すると大幅な円高だったので、今から思えばまだ安価な 
27,574円/KLというレベル
に留まっておりました。

では、その時の末端価格のピークは幾らだったのか

ではその第二次オイルショック当時の末端価格は幾らだったのでしょうか。当時はまだ、「石油
情報センターの調査価格」はなく、総理府統計局が出している物価版が、数少ない指標でした。
しかし昭和55年を100とした指数で表しているので、今一つ絶対価格が分かりにくいのです。
その意味では、旧日本道路公団が全国のインターチェンジ付近のSSでの販売価格を調査し
それを高速道路内のSAで販売するガソリン価格の上限価格として公表していたいわゆる
「高速道路価格」が、非常に参考となるでしょう。
1978年から発表されたその価格は、118.6円/Lからスタートし、同11月には100円まで下落した後
1979年5月より第二次オイルショックの影響を受け、5月110円、6月120.7円、8月130円と上昇して
います。そして80年の4-6月に一度153円というピークを迎え、一時145円まで下落するものの
81年より再び上昇。7月152円、9月161円、翌82年5月166円、そして11月から翌年1月までの
3ヶ月間に171円というピークを迎えています。この時期が、日本国内で最もガソリンが高かった
時期とその価格言ってよいでしょう。
 また湾岸戦争当時もそれまでの122円が10月に133円、11月138円をつけそれが2ヶ月間のみ
続いたものの以後下落していきました。

高速道路価格の単価変更基準とその見直しサイクルについて

ちなみに高速道路価格は、旧道路公団が高速道路のインターチェンジ周辺のSS価格を調査し
決めているとのことですが、その詳細な調査方法等は公開されていませんでした。その最も
大きな特徴は、全国一律、そして前月と3円以上上下した時のみ、月1回改定するということです。
しかし当時のSS業界にとって方式は非常に問題がありました。まずは、3円以上という「幅」です。
余程のことでもない限り原油価格の変動は2-3円以内です。一般の市街地なら2-3円上げられた
としても、高速価格は変動がないので、インターチェンジ周辺SSは上げられない。結果、小幅
値上げが連続した時などは、非常にその段階値上げが浸透し難かったということです。この
3円幅という問題は、91年より、1円幅に縮小され、一応の解決をみました。

もう一つは、月1回の一ヶ月遅れという問題です。これは昨年8月に末端市況が大幅UPした際
値上げが1ヶ月遅れた高速道路内のSSに消費者が殺到、更にマスコミがそれをニュースだけ
でなく、バラエティ番組でも取り上げたので、長蛇の列が出来、一部は本線の路肩まで並ぶという
非常に危険な現象まで起きてしまったことは、皆様の記憶にも新しいと思います。
この反省から、現在は、期間も1週間単位で改訂されるようになり、石油情報センターの週価格
をそのまま反映するようになりました。

懐かしの高速道路内SSの石油製品販売(上限)価格

ちなみにインターネットで検索しても、高速道路価格の最新改定しかヒットしないので、
残暑お見舞いの気持ちを込め、1978年から93年までの貴重な価格データを贈呈します。
尚、石油情報センターのHPの 価格データページでは、1987年4月より、月次末端価格の
データが公表されておりますのでそちらもご参考にされて下さい。

        旧 日本道路公団 高速道路内SS、販売上限価格 推移表  (改定時のみ)
 年 月 1978/1 4 11 79/5 6 8 11 80/2 4 7 12 81/1
レギュラ 118.6 110 100 110 120.7 130 135 145 153 148 145 145
軽 油 66 66 60 65 69.8 80 85 95 105 100 100 100
 年 月 1981/7 9 82/5 11 83/2 3 4 7 8 10 84/1 8 10 12 85/7
レギュラ 152 161 166 171 163 163 154 150 145 153 147 145 153 148 142
ハイオク 162 171 176 181 181 173 164 160 155 163 157 155 163 158 152
軽 油 107 113 116 119 113 113 109 105 102 107 103 101 106 102 97
 年 月 1986/3 5 7 8 12 87/1 3 4 5 8 88/1 3 6 89/1 2 8
レギュラ 138 131 126 121 115 115 121 124 128 125 122 119 119 116 116 119
無鉛ハイ 148 141 139 133 125 125 131 134 138 141 141 141 138 138 138 138
軽 油 94 89 85 82 75 75 75 75 75 75 72 69 69 69 66 69
 年 月 90/1 5 10 11 91/1 2 3 4 5 92/3 4 93/12 94/1 9 95/1 4
レギュラ 119 122 133 138 135 132 129 127 127 124 123 123 123 120 120 120
無鉛ハイ 138 138 149 154 151 148 145 143 143 143 139 139 139 139 136 136
軽 油 69 72 83 88 85 82 79 80 77 77 76 83.8 84 84 84 81
 年 月 1995/5 7 8 96/1 2 4 5 97/7 11 98/3 5 11 99/4 9 11 00/5
レギュラ 117 117 114 114 111 111 107 104 101 97 94 94 91 94 97 100
無鉛ハイ 136 133 133 130 130 127 124 120 117 113 109 106 106 106 110 110
軽 油 81 81 81 81 81 81 81 81 81 81 78 78 75 75 78 78
1979年5月から第二次オイルショック、同ピーク82/12月、90年10月湾岸戦争、99年4月 過去ボトム価格

業界総粗利で検証すると

ではこれら過去の重要時期の業界全体の総粗利を算出してみましょう。計算式は簡単です。
末端価格から日本としての仕入価格である輸入CIF価格と税金を引いたものが、業界総粗利です。
第二次オイルショックのピーク時は、171円(末端)-57円(原油)-54円(税金)= 60円(業界総粗利)
同様に、約10年後の湾岸戦争時の総粗利も、138円-28円-56円 = 54円ありました。

この総粗利には、原油の開発リスクから、原油備蓄費、内航タンカー費、精製費、油槽基地費
SSまでのタンクローリー輸送費等の元売側のコストや、SSのハードや賃貸料や人件費等SS側の
費用も全て含まれております。
従ってSSのみの粗利を考える場合は、適当な卸価格で 元売粗利とSS粗利を区分する必要が
あります。当時はまだ卸価格調査は行われていないので公の卸価格の指標はないのですが、
個人的な印象としては、20円程度のSS粗利があったのではないかと思います。

では現在の業界総粗利はどうなっているのでしょうか。8月上旬の原油輸入CIF価格が、54.6円
なので55円と仮定し、末端価格を税込み145円(消費税7円として実売138円)、税金を56円とすると
145円-7円-55円-56円 = 27円 という数字となり、正に前述の半分以下であることが分かります。

この27円からSSのみの粗利を算出してみましょう。石油情報センターの卸価格調査によれば、
発表されている6月価格の122.4円に7-8月の元売発表値上げ4.1円を加算したとすると126.5円。
すなわち145-7-126.5=11.5円のSS粗利が存在するように見えます。
しかし8月最終週の弊社SS販売価格は、周辺市況最安値から1-3円高なのですが、139円の
八王子を最安値に平均的には142円が良いところです。従って、我々の実感では、良くて8円。
下手をすると5円程度しかないという状態です。何度も申し上げますが、これは最終利益ではなく
最初のSS総粗利です。

9月の元売の系列卸価格の発表は

では9月の卸価格はどのくらい下がるのでしょうか。実は多くの元売は据え置きを表明しています。
すなわち、厳密にコスト変化を計算すれば、前月比で、2円から最大2.6円くらいは下がるものの
過去からのコストUPの未転嫁部分が存在。それと相殺するので、9月は据え置きにするとのことで、
新日石を始め、Jomo、昭和シェル、九石、太陽等は系列特約店への通告に入ったようです。
唯一、週決め仕切りを採用しているエクソンモービルは独自方針を貫いていますが、地域や
末端市況を勘案し、最大で2.6円下げる場合もあるという話も聞いておりますが、何とも言えません。

もう一つの卸市況 気になる業転価格の動きは

8月の市況値上げがもし順調に言ったとすれば、その成功要因の一つが、非常に高騰した
業転価格であったことは、言うまでもないでしょう。業界価格ページでもご紹介している通り
2007年1月に102.3円まで下がったガソリンは、6月には119円、7月にはなんと129円まで
大暴騰しました。これはコストを100%積み上げても出てこない、異常な値段でした。
それが八月に入り 初旬は127円。そして中旬以降は120円というまあ常識価格に沈静化し
そして下旬はなんと114円まで下落しました。ここまでいくと、8月平均の輸入コストである
116円をも下回るので、ちょっと下げ好きかなあと思います。
8月に原発対応で電力用C重油の増産に伴い、ガソリンの需給が緩む、結果下がると予想
した私も、正直120円レベルまでです。
石連統計によれば、8月末のガソリン在庫も180万KL台で、多いというよりは、むしろ少ない
レベルなので、輸入コストを大幅に下回る114円レベルの根拠は、ちょっと見当たりません。
注目される9月末端市況で SS業界の近未来を占う
さて9月末端市況ですが、これは石油情報センターの週時データから予測することにしましょう。
全国平均では 8/13と8/20は145.4円の横。そして8/27は、0.1円下落の145.3円となりました。
この微妙な市況について、業界紙は「上昇が止まった」、「息切れ」と「僅かに下落」と表現して
おますが、私は47都道府県の内、上げ下げ状況を見てみました。即ちピークの8/13時点と20日
そして27日を比較したところ、20日の時点で早くも18府県で小幅、更に27日には27都府県に
下落が拡大しました。従って9/3データは、更に下落した数字となるでしょう。
前述の通り 元売の所謂系列仕切りは横ばい。しかしもう一つの卸価格である現物の業転価格は
大幅下落、従って商社や交渉力ある広域や大手特約店の仕切りは恐らく下がるでしょう。
そして1SS1デーラーの販売店や中小特約店が、またまた苦境に立たされるでしょう。
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これは会わせ辛口の弊社が、元売他社との比較においてその実力を冷静に分析し
その結果を近日中にお知らせしたいと思います。 乞うご期待!

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