コーチング成功事例調査研究会 活動報告
 
 他業界の成功事例の調査研究とSS業界への応用法を考える
あなたは、コーチング及びES・社員育成関連の件目の方です。(今回47400より/9月39200)
今年も何とか報告書を完成させることが出来ました。お世話になりました皆様に深く御礼申し上げます。
事業の目的や概要は、2006年9月企画をご覧下さい。また報告書の全文をご覧になりたい方は、
全国石油協会または各地の石油組合様に、5冊以上送付してありますので、そちらでご覧下さい。

コーチングの歴史
「コーチ(Coach)」という言葉が登場したのは1500年代で、はじめは「馬車」という意味でした。
ここから「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味へと派生していきます。
1840年代には、英国オックスフォード大学で、学生の受験指導をする個人教師のことを
「コーチ」と呼ぶようになります。スポーツの分野で使われるようになったのは1880年代の頃で
ボート競技の指導者が「コーチ」と呼ばれていました。 マネジメント分野で「コーチ」という言葉が
使われ始めたのは1950年代からですが、1992年後半米国にコーチを育成する機関が
誕生しました。日本には1997年頃から導入され始め、この分野でのコーチングとは、
「相手の目標達成に向けて、最短の時間で成果があがるようにサポートしていく双方向の
コミュニケーション」のことをいいます。
プロが解説したコーチング
我々は、まずコーチングについて認識を共有化のため、「ビジネスコーチ社」の吉田先生の
ご指導のもと、コーチングについての基礎知識を学びました。しかし講義を聞いただけでは、
知識としては、何とか理解したとしても、とても使えるものではありません。
そこで委員会の時間を使って、吉田先生にロールプレイング的な実習も行って頂きました。
具体的には、委員同士ペアとなり、聞き手(リーダー役)と話し手(部下役)にり、相手にとって
話しやすい「聞き方」や「コミュニケーション」等を学びました。

下記図は、コーチング等は何かを学んだ際のパワーポイントの一部ですが、報告書では
約20ページで掲載しています。今回ビジネスコーチ社のお計らいで、閲覧のみ可能(印刷不可)
ですが、そのPPT資料の公開をお許し頂きましので、この場を借りて厚く御礼申しあげます。



調査にご協力頂いた他業界の7社様の成功事例
今回の調査では、他業界の10社様にご協力を頂き、特徴的な事例であった下記7社様を
掲載させて頂きました。紙面の関係で全社掲載出来なかった事を深くお詫び申し上げます。
またご覧頂いて分かる通り、4社様は実名なので、より本気度がお分かり頂けると思います。
また当委員会では、このような事業を調査会社に任せきりにすることなく、事例06以外は、
委員長としてすべて同行させて頂きましたので、私自身が大変勉強になったことも、合わせて
ご報告し、深く感謝申し上げる次第です。

事例01 葛g野工房 : 社員の6割が入れ替わったが改革に成功
事例02 印刷・出版K社 : トップ自ら部下と共に全ての研修に欠かさず参加
事例03 人材派遣会社N社 : 教育担当部門が本気で心を込めれば大会社でも変われる
事例04 日本オーチス・エレベータ梶F外資系の老舗が組織の構造改革に挑む
事例05 潟Xヴェンソン:組織内の融和と一体感の創出及び社員の定着率の向上を目指す
事例06 A電鉄:指示命令系から自発思考系への転換により接客サービスの向上を目指す
事例07 ANAラーニング : 究極の接客サービスに活かされるコーチングの思想
  尚本HPでは、事例7をPDFファイルにて
公開させて頂きます。
SS業界の成功事例にもコーチングの要素があった
他業界の成功事例に共通する要因はどんなことなのでしょうか。 キーワードとしては、
「コミュニケーション」、「モチベーションUP」、また会社やトップの「問題意識のレベルが高く、
非常に熱心かつ確信をもって行動していること」、あるいは「心や愛」があること等が分かって
きました。そこで我々は、SS業界の中でも成功している企業に同様の調査を行うことによって
必ずしもコーチングの手法を勉強していなくても、そのSSの成功要因に何んらかのコーチング
の要素に繋がるものがあるのではないかと、思うようになり、最初の計画にはありませんでした
が、SS業界における成功事例の調査を 急遽2社実施してみることにしました。

 SS業界事例01
 SS業界事例02   本HPでは事例02をPDFファイルで見れるようにしました。

SS業界でも実践してみる コーチング手法に学ぶ成功への秘訣!

ここまでの調査・研究で感じた事は、コーチングとは、全く新しい手法を学ぶというよりは、当
委員会が過去3年間で実践検証し「真のCSは従業員のやる気や満足度から生まれる」で得た
多くの考え方が、実はこのコーチングの理論に適なっていたのではないかということです。
では今回学んだコーチング手法を活かし、SS業界で、どう実践して行ったらよいのでしょうか。
もちろん今回お世話になったビジネスコーチ社に依頼し、吉田先生のような魅力のある先生に
担当して頂き、トップも従業員も共にコーチングの指導を受けながら「気づく」というのが理想です。
しかし「そんな予算もない、暇もない」というSS業界の皆様に、トップやリーダーの方々にとって
自らコーチングの講師として実践してみるための手法をここでは考えています。

1 改めてコーチングとは何か
   部下や従業員の意見や本音を「聞き」、まず彼らを「認め」「尊重」し、「心を開いて」もらい、
   「真のコミュニケーション」を図った上で、「あるべき理想の姿」を自分で考えてもらい、その
   理想と今現在との差やその具体的改善策を自分で「気づき」で「あーそうか」と「感動」し、
   自ら「やる気になってもらう」こと
2 コーチングを行うにあたって
   @ 本気で自分が変わる
   A 相手の話しを聞く
   B 相手の立場になって考える、そして話す(聞く)
   C 相手は気づいたか、心から納得したか、やってくれるかをコミュニケーションで確かめる
   D 「魅力あるリーダー」になり「信頼」を得る
3 普通の研修にもコーチングの要素を取り入れてみる
   詰め込み演説型研修から、質問し、考え、答えて皆で議論出来るような対話形式へ

4 SSの現場で試してみる
   現場での改善を従来手法とコーチング手法でやった場合の想定事例で説明しています。
5 大切なのは、やる気や満足度 すなわちモチベーションのUP
   A能力や資質× Bやる気や満足度(モチベーション)× C徹底× D継続 = 結果
   Aが高くてもBがゼロなら結果はゼロ。しかしBが高ければ、Aは自分で高め始める。
   よって一番大切なのは、BのモチベーションUPかもしれない。
6 真の「効率経営」に繋がる組織コーチングでベクトル合わせ
   真の効率経営とは、人件費の一律カット等ではなく、会社方針をしっかり伝達し
   メンバー全員の気持ちを一つにして、仕事の方向性=ベクトルを同じ方向に合わせる事。
   極端な話し人件費が10%上がったとしても、洗車等の収益が2倍になれば、効率的。  

最後に 委員長より感謝を込めて
改めてコーチングとは何でしょうか。プロの教えに従えば、第2章(PPTファイル)の通りです。
またコーチングを導入して成功された方は、下記の言葉で表現していらっしゃいました。
 
 1 吉野公房 吉野社長様、「期待を持った戦いだ」
 2 某印刷会社様 「組織づくりの源だ」
 3 某人材派遣会社様 「相手の自発的行動を促すコミュニケーションだ」
 4 日本オーチス様  「コミュニケーションの指針だ」
 5 スヴェンソン様 「個々のやる気と能力を引き出し、業績を向上させる魔法の言葉」
 6 某電鉄会社様 「ズバリ人間教育だ」
 7 ANA坂部元CA教官様 「正に人そのものだと思います」

皆様、その表現が違います。実は、本委員会の委員の間でさえ、色々な意見や表現があり、
会社に帰ってやるときも、きっとやり方は違い、100社あれば100通りのやり方があるのが、
コーチングだと思います。従って当初計画した「成功事例の共通点を見つけパターン化する」
などという安易な方法は辞めることにしました。

 しかし今回私がインタビューさせて頂いた皆様には、明らかに二つの特徴がありました。
「戦いだ」と最も激しい言葉で表現された吉野社長様は、「本気」で社員と切磋琢磨したのです。
その根底は、「会社を良くしたい、共に歩んでくれる社員には、本当に魅力ある人間になって
ほしい」という本気の暖かい「思い」があったように思います。
ANAの坂部元教官は、ある意味、指導のプロですから「人そのもの」「相手の立場にたって
考えること」「包容力」と表現されていました。正しくその通りだと思います。
すなわち、最初の特徴は、「本気」の想いとその根底にある「人間愛」ではないでしょうか。

二つ目の特徴は、皆様、経営者や教育担当責任者等、お立場はそれぞれ違うのですが、
人間的に大変に「魅力のある方」だったのです。私がもし今の立場で無かったら、このような
魅力ある方々の下で働いてみたいと思ったくらいです。そしてこのような方なら「聞かれる」の
を待つまでもなく、こちらから相談したくなる雰囲気をもっていらっしゃいました。
 さてこの報告書を読んで、コーチングに興味を持たれた方は、是非試してみて下さい。
質問項目等を知識として覚えることも必要ですが、肝心なのは「相手の悩みを解決してあげよう
迷い無く仕事してもらおう、そして魅力ある社員、魅力ある人になってもらおう」という「愛」があり
「本気」で取り組んで頂ければ、間違いなく成功するものと思います。
SS業は、基本的には待ちの商売なので、コーチングを取り入れたからと言って、直ちにガソリン
数量が伸びるとは思いませんが、特に手洗い洗車等は、従業員のモチベーションの違いが
その品質に雲泥の差となって現れるので、お客様もすぐにお気づきになることでしょう。

最後に今年度もこうして調査・研究事業が出来たこと、そして無事報告書として纏められたことに
深く感謝し、ご縁のあったすべての方々に改めて御礼を申し上げたいと思います。
そしてこれを読んだ方々の経営改善に、少しでもお役に立てれば幸いです。

平成19年1月吉日                コーチング調査・研究会 代表  垣 見 裕 司

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