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新事業も甘くはない!SS業者は今こそ背水の陣を SS跡地利用調査委員会 衝撃の最終報告 |
全国と東京都内のマクロ調査で驚いた事まず全国と東京都のSS数の調査で驚いたことは、ピーク時に対するSSの減少率に大きな
差があったことだ。全国では、約20%の減少率に留まっているが、東京都に限ってみれば、
昭和54年の3570件から平成16年度末では1970件(エネ庁ベース)で、その減少率は45%、
支部別では、杉並中野支部内において、52年度の120件が、平成16年度末では34件と
減少率67%(以上組合調査)、 更に武蔵野市では、20年前27件が、現在7件と74%も減少
していることが分かった。
SS跡地は何になっていたのか
次に我々は、西東京市を中心に東は武蔵野市、西は小平市、小金井市、北は東久留米市
までの 全数調査を行った。その結果、過去138件あったSSが、現在62件と55%も減少していた。
76件の転廃業後の業態別内訳は以下の通りである。
1 マンション、アパート、一戸建て等、 29件 38%
2 中古車買取・販売新車デーラー、バイクショップ、タイヤショップ、カーケアショップ15件20%
3 月極め時間貸し駐車場等 10件 13%
4 更地、工事中建設中、廃業時のまま(無利用) 8件 11%
5 ファミレス、ファーストフード等飲食店、6件 8% 6 コンビニ、スーパー等 4件 5%
実はコンビニとして繁盛し、成功と思われる事例を多くご紹介したかったが、マンションや
戸建住宅は、 賃貸ではなく分譲、すなわち「売却」物件が相当数ある一方、何も利用されて
いない跡地も数%あり、 転廃業した方々の厳しい状況も判明してきた。
これから考えるなら最も一般的なのはコンビニ店舗かSS跡地の不動産賃貸業的な意味での有効利用を検討する時、投資金額、月額売上、経費、
年間利益、税引き後償却前利益、投資回収(借入金返済年数)等を総合的に考えれば、
やはりコンビニが一番良いのではないだろうか。今回の事業で大手コンビニ2社が、土地面積
160坪店舗面積にして55坪程度のロードサイド型で建物賃貸方式の具体的事例は意味深い。
建物他総投資総額 2200万円程度必要(その他舗装費用等発生する場合もあり)だが、
建設協力金等の制度を利用すれば、自己資金が無くても始められ、月額80−90万円の
家賃収入が得られ、1年目から利益が出るばかりで無く、実質的な借金である建設協力金も、
5−6年で完済可能というシミュレーションを、委員会として作成出来たことは、我々のみならず
業界経営者の皆様にとっても大変ご参考になるのではないかと思う。
コンビニ業界が魅力的と感じるSS立地は実は「2割」に過ぎなかったしかし一番の驚きは、SS業界人としての勝手な思惑に気が付いたことだ。SS用地の広さ、視認性
路間口等の好条件から「コンビニなら喜んで借りてくれるはず」は実は間違いで、コンビニ本部の
お話では、当該地区の現状SSで一定の予想売上額が見込め、出店したいと思う物件は、「約2割」
程度しかない」という衝撃の事実だった。そこで「少し家賃を下げるので是非借りてほしい」と譲歩
すれば、もう少し増えないのかをお伺いしたところ、「あくまで予測売上額が重要なので、家賃を
安くして頂いたからとって出店するか否かは、ほとんど左右されない」とのご見解であった。
従って複数社のコンビニに当って良い返事がなければ、コンビニは難しいだろう。
SS用地を新規で探す場合「A市のB街道の下り路線で、出来れば角地」というような1km単位の
探し方だと思うが、コンビニの場合は駅からの帰宅導線等を重視し、正に100m、10m単位で
マーケティングを行い、予想売上額を算出しているとお伺いした。 その基礎データの豊富さや
分析力、そして総合的なマーケティング力は、大手調査・研究機関のそれをしのぐのではないか
と思った程だ。 「立地は魅力的だが、同系列が近くにある」という前向きな理由で、その系列での
出店が無理な場合以外は、同業他社の見方もそれ程変わらないように思えた。
従ってコンビ二業界で大手2-3社にお持ちの土地へのニーズを聞いてみて、それでも良い返事が
ない場合はコンビニ業界に貸りて頂くのは難しいと考えた方が良いだろう。
立地は余り関係ないトランクスペースレンタル業コンビニのピンポイントの立地探しの対極にあるのが、トランクスペース貸しの業態であろう。
関係者のお話によれば、「車で15分くらい、距離にして数Kmの範囲なら、表通りの必要はない」
という夢のような募集条件だ。
日常乗る高級バイクの保管という様な、自宅等に近い事が必要な「特定ニーズ」を除けば、
「普段は自宅で必要の無いものを保管して置く」というビジネスからも分る通り、その入庫出庫
頻度もせいぜい月1回程度なので、必ずしも好立地の必要が無いのは、容易に想像出来る。
要するに視認性の良い場所に「看板等の告知物」さえあれば良く、それは主要街道の道路沿い
や最寄り駅構内の看板やそれこそインターネットのHPでも良い。
勿論競合他社がいないのが理想だが、ブランドやノウハウが必要という業態でもないので、
今後新規業者が参入して来ることは考えられるが、歴史が浅いので、まだまだ先行者メリットは
あるという。もし周辺地域にトランクスペースがないようなら、その決断は早い方が良いだろう。
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トランクスペース業のもう一つの魅力は、スモールスタートが可能なところトランクスペース業を始めるに際しては、フランチャイズに入るならその加盟金の他にコンテナ代等
若干の投資金額が必要だ。それは例えば0.7坪タイプなら6室、1.4坪タイプなら3室等色々
バリエーションがあるが、1基コンテナ約70万円なので、1コンテナあたり月額6万円で貸せれば、
単純計算で1年で元が採れることになる。
またトランクスペース事業が成立する地域なら、単位面積当りの収益は、概ね周辺青空駐車場の
2倍が見込めるとのことだから、コンテナ代回収の一つの目安として、近隣の駐車場の相場が
月額5千円から1万円以上なら、この事業も魅力的なのもしれない。
専門業者にお伺いすれば、コンビニ業界同様、2週間から1ヶ月くらいで、その立地の一応の
感触を答えて頂けるとのことだ。 またコンテナ代は1基ずつの発注も可能なので、一度に敷地
全部に設置するより、設置費用は高くなるが、車を一台買ったつもりで始めてみて、周辺地域の
お客様の手応えが良ければ順次コンテナを増やしていくという、スモールスタートが可能である事も
中小企業としては嬉しい特徴だ。
周辺にマンション等の集合住宅が多ければ、よりニーズが高いことは言うまでもない。
時間貸し駐車場等とその他の利用、しかし何も利用されていない跡地は何を物語るのかそしてこのコンビニとトランクルームの中間にあるのが、時間貸し駐車場なのかもしれない。
この業種は、見かけより設備投資を伴い、夜間等4WD等の車が、お金を払わず強引に出庫し
設備を壊されるなど、想定外の費用がかかることは、一般にはあまり知られていないが、
周辺の月極め駐車場が月1万円以上で、同業他社が200−300メートル圏内に無いような
ニーズの高いところでは、月極の駐車場の2倍以上の収益が見込めるとのことだ。 また土地の
広さが250坪以上あれば、外食産業等、その選択肢も増えるので、経験のある特約店や取引
銀行等に相談してみては如何だろうか。
その一方、今回調査した中で、約5%は何もされていないSS跡地が存在した。その約半分は、
建物等を壊した直後や何に利用すべきか審議中らしき物件もある反面、どう見ても 数年間、
放置されているという物件もあった。 土地オーナーにとって貸す必要がないのか、土地利用の
ニーズがないのか、他の事情があるかは不明だが、この現実も報告しておく必要があるだろう。
忘れてほしくないのは、ねずみの嫁入り それは「SS」として賃すことだこれは当該地区で実際にあった話だが、撤退を決意した販売店店主が特約店店主に相談。
ロードサイドの好立地にあったので、不動産有効利用のノウハウのある大手不動産会社に依頼、
景気が良さそうに見えた外食産業を中心に検討したが、周辺になんと20数店舗もあるのが判明、
この外食産業の競争も、実は非常に厳しいことが分った。 結果として最も効率の良い不動産
賃貸業は、既存のSSの設備をそのまま有効利用し、当該特約店に貸すという正に童話にある
「ねずみの嫁入り」のような話だった。新たなる投資も必要ないので、取引先との関係が良好なら
最初に検討して頂きたいし、業界としてもSS数を減らさずに済むので有効な手法だろう。
改造等が必要な場合は、定期借地権契約を締結し、地主販売店から土地を借り、特約店が
建物等を建て地代を払うという方法が良い。古くは「相当の理由」がないと、期間契約の延長を
借り手から要請された場合、地主は立ち退き要求をしにくいという事もあったようだが、昨今この
定期借地権契約は、不動産業界にもかなり浸透しているようだ。 土地オーナーである販売店に
とっても、またSSを借り数量を数倍に伸ばし、その運営力で利益を上げた特約店双方にとっても
最良の選択であったと思う。この例も15年の期間満了時に、その土地は地主である旧販売店に
無事返されたことは言うまでもない。
SS業の継続を決意したら、背水の陣で全力を尽くそう最後に改めて申し上げるが、今回のSS跡地利用調査は、決してSSの廃業を加速させるための
調査事業ではない。今回の調査で他の業態も決して楽ではないのをご報告し、その実態を知り、
また自ら所有する不動産の立地的なポテンシャルを調査し、色々検討しておくことが必要だろう。
その上で、SS業が一番良いとご決意された場合は、もはや「背水の陣」の覚悟で、ご自分のSS
経営の改善や高度化にあたって頂ければ幸いである。更にSS業が好きで、経営者として普通の
の能力と資質を持ち合わせ、相当の努力をしても、SS経営が難しいなら、その改善は、SS業界
全体が、真摯に取り組むべき問題ではないだろうか。
例えば、甲州街道を都心に向かって走る時、幡ヶ谷を最後に、皇居半蔵門に至るまで、 通りに
面したSSが、もはや1箇所もない事実をご存知だろうか。そうなれば、お困りになるのは末端
消費者の皆様だ。これ以上SSが少なくなれば、都心や郊外を問わず、それは、「SS過疎問題」
と言っても良いのではないだろうか。
自由主義経済の下、その「SS過疎問題」に歯止めをかける最後の頼みを「政治」に求めないよう
元売、特約店、販売店すべての経営者が、モラルを持ってSS業界の最低限の秩序を回復し、
SSが将来に亘っても魅力あるサービス小売業であることを願っている。 文責 垣見 裕司
(尚、報告書の全文を読みたい方は、各地の石商に複数部送付したので、そちらをご覧下さい)
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