真の顧客満足度調査委員会 第1回活動報告
 
 当委員会の事業目的とCSアンケートの行間に込めた思い
あなたはCS-ES関連企画の件目のご訪問者です。10月1日掲載日現在 10580件でした。
さて9月企画でお知らせの通り、本年も挑戦させて頂いている、資源エネルギー庁の補助金事業
「真の顧客満足度調査委員会」の調査事業がスタート致しましたので、今月はそのご報告です。


我々は何をしたかったのか
SS業界では、今まで多くの消費者アンケートが行われて来ましたので、私は、まずその過去を
調べてみたのですが、ほとんどのアンケートが、我々販売側の立場で考えられ、販売側が提供
出来る商品やサービスの中から消費者に選択してもらうような所謂「ニーズ調査」で、本当の
意味での消費者の声を聞くアンケートが皆無だったことに、実は愕然(がくぜん)としました。

確かに我々がやった「あずかロッカー」のアンケートも、我々売り手の立場で考えた「配送物品
受取り代行サービス」のニーズ調査ですから、それが悪いと言うのではないのですが、いわゆる
お客様の生の声や満足度、更に申し上げれば「不満足度」をお伺いするようなアンケートが
皆無だったことに驚いてしまいました。

今、サービス業界において最も大切ことは、何でしょうか。
私は、本当の意味の「顧客中心主義の経営」に改めることだと思います。その上で、お客様の
満足が得られれば、そこにサービス業としての付加価値が認められたこととなり、生業として
成り立つのではないかと思っております。

その原点であるはずの「お客様の本当の声を、更に声無き思いをお伺いさせて戴く」事は、
昨今の外食産業のチェーン店では、めずらしくありませんが、残念ながらSS業界では、SSが
自主的に行うアンケートは、まず皆無でしょう。(でも垣見油化は、5月と年末に定期的に実施)
こうして我々は、お客様の本当の声を聞く「顧客満足度(CS)調査」の必要性を感じた次第です。
お客様が本当に求めているものは何か
アンケートを作成するには、ある程度の仮説が必要です。多くの一般的な消費者の皆様が、
今のSSや業界に望んでいるのは、どんなことなのでしようか。確かに、SSでの「車検」や
「コンビニの併設」等新たなる業態拡大を求めることもあるとは、思いますが、実はSSの
もっと基本的な接客サービスの改善を求めていらっしゃるのではないか。 例えば、

 1.我々が給料日前にも関わらず何気なく使っている「満タンでよろしいですね」。
 2.お客様が愛車をピカピカに磨いてご来店されたにも関わらず「洗車いかがですか」。
 3. 「洗車だけでも大歓迎」と看板に書いておきながら、すべての車を計量機の前への誘導。
 4.車の中でお子様が寝ているのに「いらっしゃいませ」という必要以上の大きな声。
 5.先月オイル交換をしたばかりなのに「オイルが汚れています」とのセールス。
 6.それが、押し売り感を与えるだけでなく、前回作業の信頼性すら無くしていること。

これらの事例が、私の考え過ぎなら良いのですが、皆さんはどう思われるでしょう。
業界側にとっては常識でも、お客様にとっては、実は「不快」に思われているのではないか。
「CSが大切」と言っていながら、本当のお客様の「声なき声」を聞いてこなかったのではないか。
昨今セルフSSが伸びているのは、このようなフルサービスの接客に問題があるのではないか。

我々はこれらの点に注目し、SSの接客サービスや従業員に対してのお客様の 「本当の声」、
それは結果として我々の良き「改善提案集」、或いはクレームになる前の小さな「不満足」を
聞きだせるような「真の顧客満足度調査アンケート」を作成するとともに、SSの接客サービスの
「顧客満足度」を数値化した「ベンチマーク指標」を作成する事を最初の目的としました。


もう一つの仮説、ES(従業員満足)なくして、CS(顧客満足)なし の検証に向けて
今回の調査事業には、もう一つの目的があります。
それは昨年度行われた「社員教育・従業員満足度(ES)調査委員会」が実施した調査の中から
従業員満足度(ES)が高かった優秀なSSでも、同じ顧客満足度調査を行うことにより
  「ESが高いSSでは、顧客満足度の数値も明らかに高い」
という我々の仮説を、統計的手法を用いて検証することです。
すなわち、本当の顧客満足は、それを提供する従業員も、仕事や会社への満足度が高くないと
素晴らしいサービスや真の笑顔は、提供出来ないのではないか、ということです。

そしてこの調査の結果「従業員のES度も高く、今回のCS度も相対的に高かった企業経営者」に
直接お話しをお伺いしたり或いはアンケートによって、以下の項目やノウハウ的なことを把握して
みたいと思いました。
 
 1、業界の現状認識、      2、明確な基本理念・経営方針、 
 3、伝達と確認、         4、経営者と社員意思疎通、       5社員教育、
 6、やる気やES向上の具体的手法(その具体例として下記6項目)
   @ 目標設定、 A 仕事参画、 B 評価制度、 C 給与制度、
   D 情報開示、 E 教育制度、 F マニュアル 

そしてこの経営者が、どのような「勉強」や「きっかけ」から、目から鱗を落すことが出来たのか
をお伺いし、この調査結果を報告書に纏め、業界内外に発表したいと思います。
そしてSS業界の経営者の「気付き」によって、「従業員のES」と、そして最終的にはお客様の
「満足度(CS)」を向上させ、お客様から見ても、働く従業員からも見ても、魅力あるSS業界を
作ることで、本補助金の主旨である、「SS業界の経営高度化に寄与」したいと思っています。
CSアンケートの作成には、十分時間をかけました
今回のアンケート作成に当たっては、複数の研究所や調査会社等のアンケートのプロに原案を
作成戴くとともに、やはり複数の元売の「ドライブサービスチェックリスト」的なものも参考にしました。
その意味では、元売が良くやっているドライブウェイコンテストのチェックマニュアルとしては、
良いものが幾らでもあるのですが、しかし、何かが違う、というより、何か足りないのです。

そして、熟慮の結果、下記の3つの方法のべストミックスで行くことにしました。

1.前述の元売型のコンテストのチェックシートとしての機能も果たせるものにする。
2.お客様が過去に感じた可能性のある不満足要因を敢えてこちらから提供し、
  過去にあったかどうかや、その事例に対する「満足度-不満足」を聞ける様な
  「べかずらチェックシート」というか「減点方式チェックシート」も加えてみる。
3.そのSS経営者や店長等の責任者が、直接店頭には立っていないかもしれませんが、
 従業員のサービスを通して、お客様が、責任者の経営や運営に対してどのような印象を
 持っているかを、ずはり聞く内容を織り込むことにしました。

出来上がったものは、元売や仕入先から、もし机の上の知識として説教されたとしたら、カッと
なってしまうような内容かもしれませんが、「神様」であるお客様に判定して戴こうという主旨です。
こうして、我々の思いを行間に詰め込んだアンケートの、その回答を通して、SS業界の経営者に
気付いて戴きたいと願って出来上がったのが、後述のアンケートです。

CSアンケートの「つかみ」に込めた我々の思い

1.あなたが、日頃ご利用されているフルサービス型のガソリンスタンド※(以下GS)に 対して
   あなたがお感じになっている、「満足度 − 不満足度」をお聞かせ下さい。
    ※セルフスタンドではない、従業員が給油などのサービスを行うスタンドです。

     総合的な「満足 − 不満足度」は如何でしょうか。
      
   4満足  3やや満足  2やや不満  1不満    

2.あなたが、日頃ご利用されているGSの、経営者や店長等の「責任者」に対し
   以下の項目別に、あなたが感じていらっしゃる「満足度−不満足度」をお聞かせ下さい。

 @ 「お客様をお迎えする」というお店の「姿勢」や「意欲」、そして「心」を感じますか。
   
  4満足  3やや満足  2やや不満  1不満   以下同様にお答え下さい。
 A そのGSは、お客様の立場にたった「顧客中心主義経営」だと思いますか。
 B 「お客様の愛車を大切にお預かり、お取り扱いする」という気持ちが感じられますか。
 C 「お客様の安全を考えた、お車の安全点検」がなされていると思いますか。
 D 洗車やオイル交換、その他商品等のお勧めは、適切でしたか。
 E 従業員によって、サービスのレベル・質に大きな違いがありませんか。
 F GSの従業員の教育はよく行われているように思いますか。
 G GSの従業員には、明るさや活気が感じられましたか。
 H お客様と積極的に「コミニケーションをしよう」という意欲は感じられますか。
 I あなたが日頃行くGSの、店長や従業員の顔や名前を、一人以上覚えていますか。
 J GSの建物や設備について、古い新しいは別として、清潔さへの努力を感じられますか。
 K 経営者や店長等の責任者に、何かご意見があればご記入をお願いします。

実はここの項目そのものが、当委員会の、そして本アンケートの最も特徴的なところです。
お客様が、SS従業員のサービスや接客を通して、経営者や責任者をどう見ているのか。
どう評価されているのかをお伺いする画期的なアンケートではないかと思っています。
「社員が馬鹿だから業績が上がらない」と言って失笑をかつてしまった某大手企業の社長が
いましたが、SS業界の経営者も、「SS業界には良い人材が集まらない」と言い訳を先に
言う経営者が、残念ながら少なくありません。しかしお客様から見れば、それも含めてSSの
業界の、そしてSS経営者の責任なのです。
 そして、一つ一つの設問もかなり「味」を感じませんか。特に A E F G H Iは、
今までには恐らくその発想すらなかった内容だと、思っております。

中盤は、ドライブウェイサービスを時系列的にチェック
この項目については、一見すると特に目新しいものはありませんが、よくよく読み込んで戴くと
我々の委員会の個性が出ているのがお分かり戴けると思います。

3.それでは、GSの標準的なサービスの各段階に従ってお伺いします。
A 入店前、或いは通行車両から見るGSの印象  全6項目
 @ 総合的に判断してそのGSは街並みや周りの景観と調和していますか。
   4満足  3やや満足  2やや不満  1不満
 
B ガソリン等の給油サービス 全12項目
 @ すばやいお出迎え、誘導、油種の確認等は適切でしたか。
   4満足  3やや満足  2やや不満  1不満
 
C 洗車サービス、オイル交換等の有料サービスについて 全8項目
 @ 洗車のお勧めは適切でしたか。押しつけはなかったですか。
   4満足  3やや満足  2やや不満  1不満
 
D GSの建物、販売室、トイレの清潔感について 建物や設備の古い新しいは別として、
  清掃や美化への努力はされていると思いますか。  全6項目
 @ ドライブウェイ(誘導路や給油場所)
   4満足  3やや満足  2やや不満  1不満
 
4.あなたはそのGSに、今後とも行きたいと思いますか。
    4是非利用したい 3まあ利用したい 2あまり利用したくない 1もう利用したくない
  あなたはそのGSを親しい友人や知人に紹介してみたいと思いますか。
    4是非薦めたいい 3薦めてもいい  2あまり薦めたくない  1絶対薦めない
不満足要因を列挙した最も恐ろしい項目 = それはSS業界とお客様との栄光への架け橋だ!
5.この項目はお客様が不満を感じていらっしゃる可能性のある「不満足要因」です。
以下のようなことがもしあれば、その「頻度やご不満足度」をお知らせください。

@ 必要以上の大きな声での挨拶、不明瞭な挨拶、或いは全く挨拶がないなど。
   1良くある=不満 2たまにある=やや不満 3ほとんどない=一応満足 4全くない、満足
A 所長や社員に不適切な暴言等をはかれたことはありませんか。
B 車内で子供が寝ているのに、勝手にドアを開けたり、大きな声の挨拶等配慮ない行為。
C 給料日前なので限定数量給油にしようと思っている時の「満タンですね」という確認方法。
D 直前に自分が綺麗に洗車してきた愛車にも関わらず「洗車如何ですか」というセールス。
E 自分の大切な愛車を預けているのに、その気持ちを全く分ってくれない乱暴な車の扱い方。
F 汚いタオルで拭くので、かえって汚れる「窓拭きサービス」。
G 給油が満タンで自動停止しているにも関わらず、気がつかず、放っておかれる行為。
H 給油終了時に最後の1滴までちゃんと入れずガソリンを地面にたらす、或いは愛車に
   こぼしてしまう行為。
I 「安全点検」と称して、断りも無く勝手にボンネットを開ける、ずうずうしい行為。
J 頼んでもいない水抜き剤や添加剤等を、勝手に入れられてしまう行為。
K 前回オイル交換をしたばかりなのに、「オイル汚れています」という理解に苦しむセールス。
L お客様によって差別しているような、従業員の態度やサービス。
M 折角洗車を頼んでいるのに、汚い作業着で運転席等に座る無神経な行為。
N 自分の愛車の床マットを、地面に直接置く(放り投げる)行為。

SS業界の皆さん
 そうか、お客様からはそう見えていたのか、とハッと気付かされる項目は、ありませんか。

一般消費者の皆様
 良くぞ書いてくれた。俺が言いたかったのは、これなんだ。という項目はありませんか。

このアンケートから何を把握したいのか
最初の項目でもご説明したように、上のアンケートをまず、特定のGSを連想させないような場所
例えば、任意のコンビニ店頭等をお借りしたりして、500のサンプルとインターネット等のWebを
利用して500、合計1000サンプル集めますので、統計学的信頼性も、そこそこあると言えます。
その一方、前年の調査でES(従業員満足度)の高かったGSや、優秀な経営者が運営されている
SS店頭で、同様のアンケートを実施し、20 SSから 各 50サンプル 合計 1000サンプルを集め
各SS毎に、前述の一般アンケートの値と比較し、統計学上明らかな有意差が出れば、我々の
仮説が証明されたと言ってよいでしょう。
全国ベンチマーク値は、アンケートにご協力戴いたSSの責任者にお知らせする予定ですので
それを知りたい、そしてご自分のSSでもこのアンケートをやってみたい経営者がいらっしゃい
ましたら、委員会にて検討させて頂きますので メールにてご連絡戴ければ幸いです。