弊社HPアクセス件数50万件突破
 そのインターネット戦略の成功の秘訣を探る
新年おめでとうございます。あなたはHP戦略企画並びに新年1月の 番目のお客様です。
さて弊社のインターネットHPが、昨年12月21日、96年7月開設以来の累計アクセス件数が
500,000件を達成しました。 有名元売と言えどもアクセス数が高くないという現状の中、
(自慢出来るアクセス数でないのでアクセスカウンターすら設置していないHPがほとんどです)
この数字は、快挙ではないかと思っておりました。
 この話を年末のご挨拶にお越し頂いた業界新聞の方にお話ししたところ、
「それは、凄い、是非その成功の秘訣を取材させて下さい」ということになってしまいました。
以下は、その時、お話した内容の概要ですが、格好よく申し上げれば弊社のインターネット戦略
ですので、今後自社でHP立ち上げようとしている方、立ち上げたHPのアクセス件数が伸びない方々の
ご参考になれば幸いです。尚、今月は文章内容が殆どなので、昨年初めて上った富士山山頂からの
ご来光写真とともにお届けしたいと思います。
PS 各写真をクリックすると、富士山登山の解説が見れます。 03/12/30 文責 垣見裕司

   

1.アクセス数が多い様ですが、どのくらいのペースで伸びてきたのですか?
96年7月の最初の月が930件、丸1年で14千件、丸2年で36千、3年で70千、4年で127千件
そして5年で218千件、6年で32万件、そして昨年4月に40万件、12月で50万件と、 正に
加速度的な数字で伸びており、 最近も毎月12千件レベルで増え続けています。
この数字は、メインページを見た人の累計延べ人数ですが、 ご覧頂いたすべてページを
A4版で印刷したと仮定して算出してみると 、約300万ページという数字になります。
もしこれをビジネス月刊誌的な方法で作成し郵送した時のコストと比較すると、
インターネットHPの威力がお分かり頂けると思います。
年月 96/8 97/7 98/7 99/7 00/7 01/7 02/6 03/4 03/12
アクセス数 930 14500 36300 69700 127千 202千 304千 402千 500千
2.どのような方がアクセスしてくるのですか?
会社や団体等のサーバー経由でアクセスされる方は、そのドメイン名から推測出来ます。
元売様、特約店、商社などの業界関係者様を始め、一般大手企業、需要家様 学生、
一般消費者の方やご当局筋様まで多岐に渡ってアクセス頂いていることが分かります。
3.どんなメールが来るのですか。その内容を教えて下さい。
メールは私信と考えており、発信人に無断で公表お話するのは、ネチケット違反ですので、
概略の範囲内でお許し下さい。 よく業界の友人から「元売からのクレームは多いですか」と
ご心配を頂きますが、実はこれが皆無なのです。 むしろ元売の意ある社員様からは、
「元売のような大企業では社内改革は無理。このHPが改革の為の外圧となってほしい」
という応援メール、それに私のような特約店や流通関係者が聞いて良いのかと思うような、
元売や子会社特約店の実態、再編や合併話、時には貴重な データまで頂くこともあります。
情報を発信している私どもに、逆に情報が集ってくるのには、正直一番驚きました。
一方特約店や販売店様からは、「元売の差別対価や、自分の仕入価格を割った金額で
近くのセルフが乱売している」等の悲痛なメールや、同じ系列の大手商社系特約店から、
『「系列は高いから、業転を買わないか」と売り込まれた。元売に文句をいっても取り合って
もらえない。 これを一体どう解釈したらよいか』等の具体的な相談も受けました。
その意味では「業界のかけこみ寺?」的な要素もあるかもしれません。
またここ一両年に限ってみれば、先物市場にガソリンや灯油に加え、軽油まで上場された
せいでしょうか。 先物関係業界やその情報提供会社からも数多くのお問い合わせを頂いて
おります。 尚、ご当局様とマスコミ様以外は、メール等で1〜2回お返事するまでをボランティア
の限界と考えておりますので、 お許し下さい。それ以上の経営相談や講演の依頼、
或いは情報やデータ提供等は、大変恐縮ですが、 有料とさせて頂いておりますので、
あらかじめご了承頂ければ幸いです。








4.成功要因は何だと思いますか?
第一は、その更新頻度でしょう。メイン企画は月一回、価格情報は毎月数回更新しています。
第二は、その内容というかIT用語で言えばそのコンテンツでしょう。まずは見に来て頂く方に
とって有意義な情報を提供する。或いは業界の抱える問題等を極力公平な立場で解説する
とともに、評論家的コメントで終わることなく、「では当社ならどうするのか」という提言まで
しっかり行っている点だと思います。
第三は、抽象的で恐縮なのですが、「一般消費者等へ業界情報の無償提供による社会貢献」
このコンセプトが、根本的には一番の成功要因だと思います。

昨今の業界内での不毛な価格戦争で消費者への提供価格は大幅に下がりました。
その意味では、業界として多いに貢献しているのかもしれませんが、個々の企業としては、
単に自らの生き残りを目的とし、近隣SSとの価格競争をしているに過ぎない訳で、 真に
お客様や社会に貢献しているかは疑問のように思います。 しかし、もし当社が不幸にして
倒産し、このHPを維持できなくなったら、 読者の皆さんはきっと少しは惜しんでくれるでしょう。
その意味では、「正しい業界情報の無償提供は、当社で出来るささやかな社会奉仕」だと
思っており、 究極的にはその理念が成功の秘訣だと思います。
5.元売や大企業のHPをどう思いますか
大企業に多いのは、HPをCMの延長と思っていて、ハイオクガソリン、 オイル、バッテリー、
元売クレジットカードの宣伝ばかりをしていたり、 株主への配布資料を単に載せていたり、
とにかく一方通行的な感じがします。 インターネットは、双方向対話のツールであるにも
関わらず、 HPを見た方の意見や感想を伝えるための電子メールアドレスさえ書かれて
いなかったり、 大切なはずのメールの対応業務を、下請け外注会社に丸投げする事例は、
何よりの証拠で、極めて残念です。
6.毎月のトピックスは大変人気のようですが、どうやってその情報を集めているのですか
見に来て頂く方にとってどんな情報がほしいのか、相手の立場にたって考えます。 その中で
当社が提供できるものは何なのかが、原点なので、当社の会社概要や広告、 自社の直接的
な宣伝話は、弊社HPの内容の10%以下ではないでしょうか。
むしろ当社や業界にとってマイナスの問題についても、まずは冷静に分析解説した上で、
「では当社はどうするのか」という方針や提言も、突っ込んで書いている点が、 単なる評論家
的なコメントHPと、決定的に違うところだと思います。
個々の具体的なテーマとしては「業界の常識」が、一般の方から見ると、 とんでもない「非常識」
なことが多々ありますが、その差の大きいものが、人気が高いようです。
また毎月の企画に要する時間を聞かれますが、月間正味6時間くらいでしょうか。
普段は、一般紙、業界紙や雑誌等に出ていた業界関連記事を、テーマごとに分類して集めて
おき、 ビックニュースがあった時に、山のように貯まった資料の中から、それを分析し、一気に
書き上げています。 その意味では、データ等は、95%は既知の情報を使用していますが、
最後の5%に 私の解釈を、そして残りの思いは、分かる人にだけ分かってもらえるよう、行間に込めております。
7.HP効果で、何が一番変わりましたか?
極端な話、すべてが変わりました。業界紙での掲載回数が10倍以上になった、 日経様始め
一般紙様、日経BPや東洋経済、週間ダイヤモンド等のビジネス誌様、 極めつけは、NHK様
まで出させて頂いたのにはこちらが驚きました。 また三菱、大和、野村等のシンクタンク様が、
元売の発表だけでなく、 私どもまで調査をして業界を分析して頂くようになった事、 更には
ご当局が単なる直接ヒヤリングに留まらず、定期的に対話をして頂けるようになったことは、
大変嬉しいことです。 そしてこのご当局様とのご縁がきっかけで、エネ庁の政策委員会の
委員になったり、 弊社発案の「新ビジネスモデルのあずかロッカー」の補助金の申請する
きっかけになったりしましたが、 これもHPを始める以前には、全く想像も付かなかったことです。

8.私(記者の方)から見て、社内のレベルもHP同様大分向上したように思います
恐縮です。もし外部の方が、取材に来られた際にそう思って頂けたら、とても嬉しいことです。
私としては、HPは「メッセージ」の発信ですから、SS業としても、或いは経営者としても、
「言っただけのことは、必ずやらなければならない」と思っており、常に前向き思考で、
かなりの気合を入れてやって来たことの成果でしょう。 それは、社内の全支店SS営業所に
ADSLに常時接続されたインターネット環境を作った等の ハード面も勿論ですが、
本HPでも何度も取り上げております「社員の能力や資質、 やる気や満足度の向上」を通して
「業界NO1のCSを提供して行こう」という当社基本理念の表れなのです。 ですから私にとっては、
HPのアクセス件数の向上も、弊社社員レベルの向上も、実は表裏一体のものだと思います。

9.これからHP解説を考えている経営者へ、何かアドバイスは、ありませんか
私は人からHPの立上げを相談された時、以前は「絶対やるべきだ」とお答えしてきました。
しかし今は大変失礼な言い方ですが相手を見てお答えするようにしています。 HPは正に
生き物なのです。ネットの世界に産み落とした自分の分身すなわち我が子なのです。
食事も与えず、愛もなければ、子供が育たないのと同じです。一部上場企業という恵まれた
環境ですら、オープンして3ヶ月してもアクセス100件なんていう企業もあります。
見れば確かにつまらない。そんなページなら私はむしろ止めた方がいいと思います。
アクセス数は正にその会社のHPへの評価で、 自分を表わす鏡なのです。
では一体インターネットで何が出来るのでしょうか。企業PRと 求人活動、 景品をつけての
アンケートもローコストで出来るでしょう。でも私はこの様な一般的な答えを並べるより、

          あなたは何をしたいのですか 

を問いたいと思います。 それが出来るかどうかの答えは簡単、やる気と愛があれば何でも
出来ると思います。 そうです、インターネット、更にはITには無限の可能性があるのです。

 10.最後に今後の抱負を御願いします
私は本当に様々な規制や系列や取引先がどうのというしがらみが多い日本にとって、 この
インターネットの世界だけは大企業と中小企業が対等な関係で、 知的な自由競争が出来る
唯一の場ではないかと思っております。 正にネット上の情報バーチャル競争です。 しかし
そのゲームに勝ってアクセス件数が大企業より伸びたにしても、 この架空?の世界の成果が
実際の商売や取引に影響してくるのでしょうか。
実は昨今、会社の収支上に数字として表せるものだけでも、少なからずあります。 しかし
私にとっての最大の喜びは、皆様のお役に立つ業界の情報提供や会社のポリシーを
全世界に向け発信するという手段を、ローコストで得られたというところです。
私的な話ですが、私どもは親子二代に渡ってロータリークラブに属しております。 ロータリー
では、「会員のひとりひとりが自分の職業を通じて社会に奉仕しなさい」と解いておりますが、
この「職業奉仕の精神」と、私どもがインターネットHPで行っている 「業界情報の無償提供は、
垣見油化が出来るささやかな社会奉仕」の考え方と、 極めて近いのではないかと思います。

今の石油業界は非常に厳しい状況です。しかし元売から来る方針や情報は、 間違っている
とは申しませんが、元売方針というフィルターや或いはバイアスが掛かっていることは、
考慮しないと行けません。その意味ではこれからのSS経営を目指す経営者にとって、
正確な情報を得たり、本当の経営の勉強をする機会が、極端に不足していると思います。

それに、元売に言われるまでもなく、プロパー会社の経営者なら、自己責任などという事は、
資本主義、自由主義経済の原則ですから、100年前から分かっていたはずです。
企業経営は、「人、物、金、そして情報とブランド」と言われておりますが、 このインターネットは、
零細企業でも携帯電話なみの投資で、情報収集や発信や 情報交換も出来ますし、人的
コミュニケーションの補助ツールとしても十分に使えます。
皆さん、企業ならHPは、あって当たり前の時代です。格好良くなくても結構ですから、
トップ自ら少しだけ時間をとってHP作り、そして普段会えない方と、どんどん情報交換をし、
コミニケーションツールとして利用してみたら如何でしょうか。
少なくとも私どもは、今後も業界の諸問題を私なりに取り上げ解説し、それに対して 我々は
如何に取り組んで解決していくのか、その奮闘体験記を公開していくことで、 業界発展と
その地位向上に少しでもお役にたてるように、努力し続けていきたいと思います。