社員教育並びに従業員満足度調査委員会
 
第3回活動報告、経営者アンケートの行間に込められた思いは何か 
あなたはES関連企画の件目のご訪問者です。10月末日現在 3800件でした。
さて5月企画でお知らせの通り、本年も2件の補助金事業を手がけておりますが、今月は
「社員教育並びに従業員満足度調査事業」の前半が、まとまり始めましたのでご報告します。

我々は何をしたかったのか
 SS業界では、所長の「能力」や「やる気」により、ガソリンの販売量や特に関連商品等の売上に大きな差が出ることは、良く知られています。しかしSSを運営する会社や経営者はその大切なはずの所長や社員を「如何に育てるか」或いは「能力や資質を如何に高めるか」そして「不満を解消」し、「満足度」を高め、如何に「やる気になってもらうか」というテーマについては、真正面からはあまり取り組んではこなかったのではないでしょうか。それは「SS業界が苦手」と言うより「俺の背中から盗め」とか「言わなくても分かってるだろ」という表現が大好きな、日本の経営者全般に言えることなのかもしれません。
 今回はアンケートという形で行いますが、業界の経営者の方にご意見をお伺いして行く過程で、ご自身の会社や経営のチェックリストとして活用して頂いたり、素晴らしい事例は、報告書で紹介もさせて頂ながら、補助金の目的であるSS業界の経営の高度化に寄与するとともに、一業界経営者として「従業員から見ても魅力ある業界」にして行ければと思っています。
あずかロッカーをやって感じた究極のジレンマ
 昨年の「あずかロッカー」を行って痛切に感じたのですが 日本に存在しなかった新しいサービスを始めるということは、お客様にその内容を明確に説明出来る社員や従業員が必要であり、それには十分な会話力やコミュニケーション力、更にはお客様にどこまでご理解頂いたか、それてせもまだ何が分からないか等を察する包容力等が要求されるということです。
 しかしもしそのような人材が既に揃っているところは、大変だ大変だと言いいながらも、実は既にしっかり黒字経営をしている訳で、それなら「あずかロッカー」をやらなくても十分に生き残って行けるのではないか、というジレンマを感じました。その意味ではこの「従業員のやる気と満足度」という課題は、会社の大小や業種に関わらず、実は企業や組織として、最初に取り組むべき極めて重要な基本問題なのかもしれません。
最初の試練は、身近にあった?
今回の事業は、複数の会社にプレゼンして頂いた結果、石油業界は勿論他業界にも精通され、CSは勿論豊富なES調査の実績をお持ちである、株式会社三菱総合研究所(MRI)殿にお願いしました。そしてMRIさんから委員会に最初にご提案頂いたものの(一部)が下記の項目案です。

1 「やる気」を高める取組について伺います。
問1:あなたの会社では従業員に対してやる気を高めるためにどのような取組を行っていますか

■会社全体として

<方針>  1  SS経営全体の方針や目標の明確化と伝達
        2  達成感を感じさせる目標(業績、能力)の設定 (SS所長、SS従業員に対して)
<組織>  3  権限と責任の明確化 (経営者、SS所長、SS従業員間で)
        4  「タテ」のコミュニケーションの円滑化 (経営者、SS所長、SS従業員間で)
        5  「ヨコ」のコミュニケーションの円滑化 (SS所長間、SS従業員間で)
<業務>  6  安全かつ効率的な作業手順やルールの作成とその厳守 (業務手順書、規定集等)
        7  営業促進のための支援 (油外商品の売り方のコツ、接客マニュアル等)
        8  業務負荷軽減・業務効率化のための支援 (ノウハウ提供、資金援助等)
        9  職場環境改善(きつい、きたない、)のための支援 (ノウハウ提供、資金援助等)
<仕組> 10  日頃から、「本音」で意見交換できる仕組みづくり (日報、電子メール、定例会議等)
       11  従業員の成績や能力の達成率が確認できる評価制度の設定
       12  従業員のやる気とスキルを高める教育制度の設定 (OFFJT、整備士等の資格等)
       13  成績やお客様からの評価等に基づく表彰制度の設定
       14  成績や能力に応じた給与制度の設定 (給与、賞与、時給、資格手当 等)
       15  成績や能力に応じた昇進・昇格制度の設定
       16  従業員の家族に喜んでもらえる福利厚生制度の整備 (スポーツ施設や保養所等)

■SS所長に対して
       17  SS従業員の「やる気」と「スキル」を高める方法の指導
       18  「成長意欲」を高める教育の場の提供 (セミナーや異業種交流会への参加等)
       19  仕事に必要な情報源の整備 (新聞、業界誌、インターネット検索端末等)

■SS従業員に対して
       20  「一流の社会人」としての人間性の指導
       21  お客様との会話のきっかけや気配りの指導
       22  お客様に感謝されることへの「喜び」を体験する場の提供  
       23  活気ある明るい職場づくり(アイデア会議、技能コンテスト、飲み会、誕生日会等)


この質問を見て皆さんはどう感じますか。使っている言葉は良いのですが、何か個性がない。魂を感じない。自称業界NO1の所長会や若手社員研修会を行っているつもりの弊社が、この設問に答えたとしても、MRIや更に我々委員会にそれが確実に伝わるのか、と考えて見ると何かしっくりしないのです。そしてその心配は、次の項目で決定的となりました。

■問4:社員教育として、どのような「内容」に重点をおいて行っていますか(いくつでも○)。
 1  「一流の社会人」としての人間性
 2  お客様への気配り (挨拶、言葉遣い等)
 3  コミュニケーション力 (お客様、従業員、業者に対して)
 4  お客様に感謝されることへの「喜び」
 5  お客様の態度や行動から、不満やニーズ等を感じ取る力
 6  セールス力 (お仕着せにならないようなお客様へのアドバイスやセールス)
 7  仕事の丁寧さ、速さ、正確さ
 8  商品の知識・技術 (給油、洗車、TBA商品、車検、保険、メンテナンス等)
 9  油外商品の作業スキル (洗車、車検、メンテナンスの作業スキル等)
10  SSの業績目標の達成に係る改善アイデアを考える力
11  後輩やアルバイト等への指導力
12  SSの運営に係る管理力(人、モノ、情報等の総合管理)
13  その他(具体的に:                                 )
聞きたいのは経営者の言い訳ではない
この問4に答えている経営者を想像してみて下さい。この項目は、読んでいるうち、何もしていなくても、ついついやっている気になってきませんか。更には「俺はいつもちゃんと言っているのに理解出来ない、やらない社員の方が悪い」。私は、どこかの大企業の分かっていない経営者のボヤキのようなそんなイメージが、浮かんでしまいます。
今回は、あくまで「CSを実践するのは社員」そのCSを維持して行くためには、社員の「やる気と満足度」が必要。その向上は、経営者トップ自らの仕事ではないか」という理念に基づいてスタートしていますので、経営者の言い訳を聞くことが目的ではありません。
今のままではいけない。従って何かをしなくてはいけない。それは分かっているが、何をしたらよいのか、どこから始めればよいのか分からない。そんな気持ちをお持ちの経営者の方々に、気付いて頂く事を目的としています。

実は今回の事業を計画している時にエネ庁幹部の方に「これは半官半民のような団体がやった方がよいのではないですか」とお伺いしたのですが、その方は「そうすると報告書を作ることを目的とするようなことになってしまい、生きた事業にはならないケースが出て来る。垣見さんの個性を多いに盛り込んだ、垣見さんならではの事業をやってほしい」と言われたのが私の心の支えとなっておりましたので、大変失礼かとは思いましたが、その辺のポリシーは、はっきりさせておきたいとと思いました。そしてMRIさんに再検討をお願いするというよりは、修正や変更のレベルではなく、遺伝子レベルから「業界の経営者にお伺いしたいこと」そして行間では「本当に考えて頂きたいこと」を我々の想いとともに織り込んで、全く新しく作り上げたのが後述のアンケートです。

経営者向けアンケートに込めた我々の思い

1.あなたは経営者として下記項目が関連商品等の売上や業績にどのくらい影響すると
 思いますか。5段階レベルでお答え下さい。二問目以降も同様です。
   5非常に影響する 4影響する  3どちらとも  2影響しない  1全く影響しない

 @所長(経営者の兼務は除く)や社員の「資質や能力」      
 A所長(経営者の兼務は除く)や社員の「やる気や満足度」    

実はこれは、誘導質問です。例えばいきなりESを知っていますか、やっていますか
では失礼なので、我々と同じ土俵?に上がって頂くためのやんわり質問です。



2.所長や社員の「能力や資質」の向上のためにどのようなことをされていますか。
 その頻度は、どのくらいですか。
 @経営者トップ自らが社員や従業員に対して行う教育や研修(業務ミーティング等を除く)
 A幹部社員が、社員や従業員に対して行う教育や研修
 B元売等のトレーニングセンターへの派遣しての教育
 Cタイヤメーカーや用品関係等、取引先等の研修会への社員を派遣しての教育
 Dその他、御社ご自慢の社員教育があれば教えて下さい。
頻度選択 5毎月 4 年3-4回 3 年に1-2回 2数年に1回  1過去3年以上していない

ここでは「業務ミーティングを除く」が、まず「意味あり」で、通常の連絡会議やましてや
販売促進会議等は教育ではないですよ」と暗に申し上げています。また同様に
経営者自らがどのくらいやっているか、番頭さんや元売にまかせるのは、やらないより
良いかもしれませんが、それで能力や資質は上がったとしても、「やる気や満足度は
実は別物」ですよ、という意味を行間に込めておきました。


3、ご自分の会社の所長や社員の「能力や資質」に対してお伺いします。
 @ご自分の会社の社員の「能力や資質」は、同業他社と比較して高いと思いますか
 A他のロードサイド型のサービス業や販売業界と比較するとどうですか

ここでは「俺は俺のやり方でやるんだ」というのは立派ですが、自社を客観的に評価
していますか。また「働く職場」として、他業界とも比較し、よい会社であるか、良い
職場であるか、良い仕事かどうか「時には見直して下さい」とお願いしています。
 

4、従業員のやる気(従業員満足度ES)の向上には、どんなことが重要だと思いますか

  各項目 5重要だと思う 4やや重要 3どちらとも 2あまり重要でない 1重要だと思わない

仕事

@従業員が希望し、誇りを持って行える仕事である

A従業員が、経営者や上司から日頃の仕事ぶりをほめられ、
 その存在を認められている

職場

B上司と部下が信頼し合い、仕事上のサポートを得られたり
 色々相談出来る関係にある

C同僚同士が助け合い、切磋琢磨し合える関係にある

D従業員が自由に意見や提案等を言い、それが職場の中で
 取り 入れられている

E仕事に直接係わる知識・技能等を習得するためのマニュアル
 や教育の仕組みがある

制度

F仕事に直接関係のない技能、教養、総合的な知識等を
 
習得する為の教育の機会や制度がある

G従業員が納得する個人目標が設定されるとともにその成果が
 正確に把握され、公平な評価に繋がっている

H従業員が、仕事内容、量、休暇等から総合判断して納得する
 給与水準である

I職場内の労働環境(勤務時間管理、福利厚生の支援、設備・
 機具の配備等)が整備されている

会社
全般

J会社の方針や目標が明確となっており、関連する必要な情報
 が、従業員にも公開されている 

K従業員が、経営者と直接対話する機会がある

L経営者や上司が、会社の方針や目標達成、従業員満足の向上
 のために、自ら最大限の努力をしている

意ある経営者がもしここまで読んで頂ければ、今回のアンケートは仮に回収まで
至らなくても成功ではないかと思っているくらいです。「どうせSS業界には、ろくな
人材が集まらないから」とトップが愚痴を言う前に、上記項目を少なくとも、経営者
として自信と誇りを持って、他社に負けないものを従業員に提供しているという
自負があるか。もし今自信がなくても、それは日々改善しつつあるか。
そんなことに気がついて頂けたら幸いです。本当は20項目近くあったのですが、
シンプルイズベストで絞りに絞った13項目です。


5、上記項目の中で、従業員が重視しているだろうと、あなたが考える項目を
   重視度合いが高い順番に5項目ならべて下さい。

1番目− 2番目― 3番目― 4番目―  5番目−

経営者は、給料の高低を気にしている方が多いようです。確かに会社を選ぶ時は
最低限必要な給料以上かというのは、かなり重要な項目ですが、実はやめる時は
給料でないことがほとんどのようです。トップや上司同僚との関係、やりがい等々。
経営者の皆様、思い当たりませんか?。以下はもう解説の必要はないと思います

         
6、ご自分の会社の所長や社員の「やる気や満足度」に対してお伺いします。(5段階)
 @ご自分の会社の社員のやる気や満足度は、同業他社と比較して高いと思いますか
 A他のロードサイド型のサービス業や販売業界と比較するとどうですか

7、従業員のやる気や満足度向上のために、経営者として何か実践されていることは
  ありますか。なるべく具体的にご記入下さい。またその頻度はどのくらいですか?

8、簡単な会社の概要について教えて下さい。
  @会社名              SS 数      SS、 系列は        
  A石油やSS専業 兼業の場合は石油部門以外の全体に占める売上割合 約   %
  B正社員数   名、嘱託及び長期(1年超)アルバイト   名、合計従業員数  名
  C上記の内SSで勤務する、正社員数      長期アルバイト数    合計従業員数
  Dお差支えなければ会社合計のガソリン+軽油の年間販売量       KL

アンケートをお願い先と配布数は
MRIによれば、一般的に石油業界で行うアンケートの回答率は、2割程度。しかし今回は、ある意味でかなり答えにくい内容も含んでいることから、回答率を半分と予想し、最初の計画で立てた回収目標300社を目指すべく、委員会メンバーが直接間接に存じ上げている会社300社と、MRIが既に公に公開された情報等から、任意に抽出した1800社、合計2150社にお送りしました。
その結果、10月20日現在、一般分の回答数は、約200社で回答率は10%。また委員会紹介分は、73社で、回答率25%となり、当初の最低目標の150社を早くもクリヤーするとともに、最終目標である300社に近づきつつあります。

また今回のアンケートでは、経営者に対してお伺いした内容を従業員版にリメイクした従業員のやる気や満足度調査に挑戦されますか、というのが、「究極の質問」でしたが、なんとこれにも、一般分で約100社、社員人数にして1600人。また委員会紹介分も、45社、社員数1250人と、経営者アンケートに答えて頂いた会社を分母とすれば、約50%という、極めて高い挑戦率となりました。従業員ESアンケートの方は、予算の関係で150社までしか出来ませんが、厳正に抽選の結果、ご協力して頂きたい会社には既に発送を終えております。
10月20日現在の回答状況、そこから分かった意外な事実。
さて経営者アンケートの回答して頂いた企業に、非常に明快な傾向が出ております。詳細は、次回の報告に譲りますが、経営者アンケートの回答企業において極めて明確な傾向がありました。それはSS業は専業か兼業かをお伺いしたところ、なんと62%が兼業だという事実です。業界3万社の兼業比率は、LPG等を入れてもせいぜい10数%以下でしょうから、これは極めて明確な傾向であると言えます。よって他部門もお持ちの経営者の方が、社員教育や従業員満足度、更には自分の会社を客観的に見たいと思う意欲等が、極めて高いことが分かりました。

 さて経営者アンケートを送られた方で、まだご回答頂いていない方は、報告書の作成の締め切りに間に合う範囲内では、ちゃんと数値に反映させて頂きますので、是非ご提出下さい。また従業員満足度調査の方も、締め切りが迫っておりますので、是非よろしくお願いします。ご質問等は 担当まで メールにてご連絡下さい。