日石三菱の新ブランド「ENEOS」誕生!
 生みの苦しみの後、その実力を発揮し始めたエネオスへの応援歌

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 10月12日の日経新聞及び日経産業に、日本企業のブランド価値を数値化しランキングをつけた
という記事がのっていました。ちなみに日石三菱は、127位で業界トップ、その価値は658億円。
一方、東洋経済の9/1号にも日本企業80社ブランド価値ランキングなる特集が掲載されていました。
こちらの評価では、業界トップがジャパンエナジーで69位、推定価値445億円と記されていました。
とは言っても同じソニーの評価でも、日経は2位で32103億円。東洋経済は、9位で7850億円ですし、
「ブランド価値計測法に絶対といえるモデルは世界に存在しない」と注意書きされていますので、
あくまで一つの考え方と思った方がよいかもしれません。しかし企業活動に「人物金」が重要と
言われてきましたが、昨今はそれに「情報」と「ブランド」まで加わったことは間違いないでしょう。
その重要なブランド戦略に於いて石油業界では、エネオスという新ブランドを打ち出した「日石三菱」
エッソ、モービル、東燃ゼネラルは、3社のブランドを残しつつ「シナジー」というガソリン銘柄のみを
統一するという戦略をとったエクソングループ。両社は業界NO1の地位をかけて熾烈な競争を
続けています。という訳で今月は石油業界の久々の新ブランド「エネオス」について、
その生みの苦しみとその後の実力発揮ぶりを解説し応援したいと思います。01/11/2 NO5W

エネオスのコンセプト

まず日石三菱が日本石油と三菱石油の合併の象徴として3年間を要して完成させたエネオスマークをご説明します。名前の由来はエネルギーの「エネ」とギリシャ語で新しいを意味する「ネオス」をくっつけた造語です。 これを赤とオレンジ色でスパイラル状にして「ENEOS」と白抜きで書いてあります。
ブランド製作費用は報道によれば、推定20-30億円、塗装変更まで含めた総費用は200-300億円とのことです。仮に 傘下の1万SSで割れば実に1SS当たり300万円にもなる数字ですから、なんとしても成功させなければなりません。制作を担当したコンサルタント会社は世界で数多くのブランドを手がけたランドアソシエーツ社です。
そしてコンセプトは企業理念である「Your Choice of Energy」(様々なエネルギーを取り揃えお客様一人ひとりに満足をお届けする)、そしてSS&お客様向けには 「ドライバーズベスト」ドライバーにとって最も価値のあるサービスを提供し続けていくという思いがこめられています。

>エネオスマークの生みの苦しみ
4月発表の後、各地の代表的なSSのサインポールやSS塗装がエネオスマークへ変わり始めましたが、その直後は生みの苦しみとも言える話がありました。 エネオスマークに変えると販売数量が減少するらしいという話です。
当初は、「まだテレビコマーシャルを開始していないからだ」。 「たまたま観光地でフリー客が多かった」「そのSSの特異性だ」等々、色々原因は考えられたようです。先発した特約店の話によれば、所謂元売発行のカード販売が半減しているとのことでした。
例えば月間販売量100KLの平均的なSSがあったとして、この100KLの販売数量のうち、現金やそのSS固有の掛売客以外の、所謂元売発行の元売カード、日石でいう日石Enaカード(個人向け)日石WELLUPカード(法人向け)、日石FCカード(主に軽油向け)の カード販売率が15%の15KLだったとします。お客様には「日石三菱=エネオス」イメージが全くないまま、 日石マークがエネオスマークに変わっていくので、元売カードを使っていた方々が戸惑い、 旧日石のマークを上げているSSを探して給油している、或いはあきらめて他のSSで購入してしまう。
この比率が元売カード販売の半分近くにも達しているおり、その15%の半分=7%もの販売減になっているというこののようです。
すべてのSSがそうだとは申しませんが、実際にユーザーから「最近、日石三菱のSSが減っていませんか」とか、エネオスマークのSSの店頭で「ここにあった日石はどうなったのですか」 という問い合わせが多数あったのも事実のようです。

この件に関し日石三菱は「7月当初は一部混乱もあったが、大した影響ではない」と説明するに留まっていますが、特約店としてこの頃は不安がなかったと言えば嘘になるかもしれません。

ブルースウィリスのテレビコマーシャル

そして7月からは待望のテレビコマーシャルが始まりました。 日石三菱のサービスステーションが新しくENEOSに生まれ変わることを表現したCMです。内容を簡単にご説明すると
アメリカ西部の荒野に古びたSSがひとつ、そこに背中に小型タンクを担いだブルース・ウィリス扮する 「ENEOSマン?」がやってきて、従来の日石三菱SSのサインポールへエネルギーを注入することにより、 その古びたSSが新しく「ENEOS」が誕生するというものです。
そして第2弾は、負けが込んでいそうなアメフトチーム。ハーフタイムの控え室にブルースウィリスがガソリンタンクを背負ってやってきて、 チームの メンバーにエネルギーを注入する。するとチームに元気が出て再び後半戦の試合に出て行くというものです。
業界外の友人の感想を聞いてみたのですが、「日石の宣伝?見たことないなあ。いつやっているの、えっあのブルースウィリスのCMが日石だったの?知らなかった。」これが最初の感想でした。

もしテレビCMに問題があったとすれば

まず今回の新ブランドで本当に伝えたいことは「日本石油と三菱石油は合併していて、双方のカード等は双方のSSで使えます。」ということだと思います。しかしCMに於いて、日石と三菱のマークが出てくるのは最初のコマーシャルの最初の数秒のみ。 従ってエネオスという何か新しいガソリン販売会社が出来たのかなという印象を与えてしまったことではないでしょうか。
そして次のアメフトのCMでは、日石三菱を表すものはもはなくなり、なんの宣伝か分からなかったと感じた人もいたようです。 エネオスが全く浸透していない時期にエネオスハイオクはパワーがあると宣伝しても効果がなかったのかもしれません。 この点が認識され、CMの最後に「BY日石三菱」と説明し始めたので、エネオス=日石三菱の問題は解決されて来たと言えるでしょう。
しかしもう一つだけ心配があります。日石三菱は当時2000億円でカルテックス社がもっていた日本石油精製の50%の株を買い取るとともに、その後興亜石油に対する同社の出資分も、TOBによる取得で傘下に収め、 ようやく自己資本民族系石油元売会社という長年の夢を実現させました。にもかかわらずそのイメージキャラクターが外国人というは、 いかにも外資系の会社のイメージを与えてしまい、やや勿体ないような気がしないでもありません
また一部の有識者や業界人、そして海外からも、今回のブランド変更を疑問に思う意見もあるようですが、それは今後1年以上のエネオスの活躍を見てみないとなんとも言えないでしょう。

4月-8月の石油連盟販売統計から分かるもの

7月は猛暑もあり業界全体で自動車用ガソリンは532万KLで前年比102.7%となりました。
そして新聞発表では、エネオスやハイオクも絶好調のように報道されています。確かに
日石三菱は ハイオク26.3万KLで前年比111.7%、ガソリン計でも121.2万KL前年比104.2%
と一人勝ちのように見えます。しかし
キャンペーン期間は7-8月ですから、一応その前後も
含めて検証する必要があるでしょう。以下は石連統計4-9月の元売別販売実績です。
                                 単位千KL %
元売名 ハイオク 前年比 レシオ ガソリン計 前年比 シェアー
4月
5月
6月
日石三菱 626 96.8 19.9 3,145 98.7 21.9
エクソンG 602 99.8 19.6 3,076 103.1 21.4
業界計 2,791 99.7 19.5 14,342 103.0 100.0
7月 日石三菱 263 111.7 21.7 1,211 104.2 22.8
エクソンG 217 100.1 19.4 1,120 102.4 21.0
業界計 1,058 102.9 19.8 5,321 102.7 100.0
8月 日石三菱 315 118.4 25.1 1257 97.7 23.0
エクソンG 219 88.2 19.6 1,118 93.9 20.4
業界計 1,144 100.0 20.9 5,469 97.5 100.0
9月 日石三菱 216 95.0 19.8 1,089 96.0 22.9
エクソンG 197 95.9 19.8 991 92.8 20.8
業界計 932 94.9 19.6 4,760 96.1 100.0

早くもシェヤー上昇か

新ハイオクキャンペーンは7-8月の2ヶ月ですが、当然それなりのインセンティブが出ます。
従って各SSレベルでは「6月末の特にハイオク在庫は最小にし、7月に入ってから引取る」
という行動が必然的に起きます。この影響が4-6月平均の売り負けに若干影響し、逆に7月
シェヤーを押し上げていたかもしれません。例えば月間100KL販売の平均的なSSの場合、
タンクはハイオク7-10KL、レギュラーで10-20KLはありますから、その半分の在庫を調整
するだけでも、前年比5%前後の、実態と引取数量との差が出る可能性があります。
しかしこの影響が仮にあったとしても7月までのはずで、8月の23%が本当の実力なら、確実に
挽回し始めたといえるでしょう。
しかし注目された9月シェヤーは若干下がって22.9%、8月末の引き取りの反動が出ており、
通油ベースではもう少し出ているかもしれませんので10月が本当の実力と言えるでしょう。
しかしエネオス=日石三菱のイメージが最初はなかったお客様でも、一度ご来店頂ければ
解決するはずです。エネオスが浸透し、25%のシェアーを恒常的に達成して初めて、日石三菱
+エネオスという総合的な「ブランド力」がその真価を発揮し始めたといえるでしょう。

地道なCS教育もやっています

さて今回のエネオス誕生の裏には単にブランドの新設だけでなく、地道なCS教育があることも忘れてはいないでしょう。 実は日石三菱もCS(顧客満足度)の重要性を認識し、特約店やSS現場へのCS教育を計画。そしてエネオス販売開始の前に、接客サービスの指導コンサルタント会社に依頼して、 特約店のSS管理者や所長を一同に介した教育を行いました。私は所長たちに「行って来い」という姿勢ではなく、「トップ自らも所長と一緒に学ぶべき」という信念のもとこれに参加させて頂きました。
まず研修会の最初に支店の幹部が「エネオスの成功は接客、すなわちCSにかかっている。」との激励のご挨拶の後、5時間に渡る実践教育でしたが、講師はプロのコンサルタントなのですばらしいものでした。同じ内容を日石三菱の社員の方も後に聞いて頂いたようなので、今後は元売と特約店の一体感がより高まるものと思います。
私の考えで申し上げれば、お客様と接するのは、弊社社員です。 その社員に自社や自分の職業に対する社員満足度(ES)がなければ、CSなど向上するはずがないと思います。 従って各SSの社員、そして特約店の社長が、日石三菱の方針や施策に完全に納得、一体となって展開し、その過程で会社そのものにあこがれや満足を感じる域に達っしてこそ、初めてお客様に本当のCSをご提供出来ると思います。

時代のキーワードは「顧客中心主義」

証券会社に例えれば、ガリバーといわれたN証券を10年前ならあまり有名でもないM証券が、一般個人部門ではその地位を脅かしていると聞いています。 一見するとインターネットをうまく利用したのが成功要因のように評されているかもしれませんが、経営の根底に流れる顧客第一主義そして顧客中心主義の発想があることを、見逃してはいけないと思います。 そして「顧客の不満の解消」にこそ、企業の、特に我々のようなサービス業の生きる道があるのではないでしょうか。その意味では日石三菱、昨今お客様相談室を開設して、お客様の生の声を聴き始めたのは大変すばらしいことですが、その内容を少なくとも特約店レベルでは共有することが大切でしょう。

弊社も昨年12月からSS店頭で独自の「お客様CSアンケート」を開始しました。1のクレームには10の不満、そして100の改善点へのご提案があると気付き、それ以降、年に2度程継続的に実施しています。お客様の声を積極的に聞かせて頂く、簡単に言えばそれだけなのですが、そこに対話がうまれ、ご納得に繋がり、信頼に成長し、引いては長年のご愛顧を頂ける。一見遠回りのようですが、 下手なプレゼントキャンペーンよりは遥かに効果があるのを実感しています。

しかし考えてみれば今まで弊社独自のCSアンケートなど実施したことがなかった、またどちらかというと、元売の方を見て本当にお客様を直視していたか多いに反省をした次第でもあります。
そんな折、誠に残念ではありましたが、8/12の日経新聞に、「消費者不在のブランド戦略」「合併会社の理論押し付け」という見出しでエネオスのことを書かれてしまいました。これは単なる記事ではなく、 編集委員の後藤康治氏の「経営の視点」というコーナーだけに、日石三菱も、その製品を販売する我々特約店自身も真摯に受け止める必要があると思います。

コマーシャルに加えてほしいこと。

さてエネオスが、いよいよエンジン全開となった今、一番お伝えしたいことは何でしょうか。
「日本石油と三菱石油は99年に合併していましたがようやく新しいマークが出来ました。
それを象徴するのがエネオスマークで、今までの日石関連カードも三石関連カードもエネオスマークのSSならお使い頂けますから、安心して来て下さい。」という点だと思います。
これをはっきりさせたCMも、ブルースウィリスのCMと二本立て実施して頂ければと思います。
また日石三菱発行の各種カードの有効 (現在使用が続いている会員)会員で最近その利用が減ったり偏っているお客様がもしいらっしゃれば、その方々へDMを打つことも必要でしょう。
そして当初はエネオスマークへの社名の入れ込みは控えていたようですが、SS防火塀への社名表示が実施されることになり、エネオス=日石三菱がより認知され効果も出て来るでしょう。
また社名もエネオスに変えたほうがよいという意見も一部にはあるようですが、個人的には、社名は社名としては大切にして頂いた方がよいと思います。
その昔、丸善と大協の合併後コスモ石油になったときは、特に落ち込みはなかったそうです。
一方、共同石油がJomoになったときは一時期販売が減少したそうです。しかしその後は共石が合併した会社ではなく「Jomo」という新しいブランドが市場に認知されて復活したと聞いています。日石三菱のエネオスに於いてもこの生みの苦しみを早期に乗り越え真に業界NO1のブラントとにることを願って止みません。

改めて日石三菱のブランド価値は

それでは改めて日石三菱のブランド価値を数値にするといくらなのでしょうか。例えば
「OOデパートは有名だし知っているけど自分は買ったことがない。」このようなイメージ的なものは取り合えず省いて「石油製品販売からの元売ブランド価値」を考えて見たいと思います。
弊社でも産業用燃料を販売させて頂いておりますがC重油等の場合「日石三菱製品だから高くてもよい」と言って頂けるユーザーは昨今少なくなりました。その意味ではJIS規格のノンブランド品よりも、 高く買って頂けるのは、物流や品質補償までも含めての「ガソリン」の多くと、灯油、軽油の一部でしょう。 仮にこの数字を年6000万KL、日石三菱のシェアー25%として、 ノンブランド品より例えば2円高く買って頂けるとしたら、年間では300億円。最大5年分考えるとすればなんと1500億円という巨額になりますが、読者の皆様は如何お考えになるでしょうか。
企業ブランド価値。これは広告宣伝費にいくら投じたからいくら上がるというものではなく、 最後は消費者の皆様や市場の総合評価によって決まるものだと思います。 文責 垣見裕司

緊急お客様アンケート、あなたが決める元売ブランド価値

質問1、石油の元売ブランド料はいくらかまた元売間の違いはいくらですか

あるSSで「JIS規格合格品」のノンブランドガソリンを1L 95円で販売しているとします。
そのSSが次の日から ある元売の系列に変わることになりました。
設備やサービスは全く変わらないとしても。販売価格は、現在の常識ですとその元売の
ブランド料だけ高くなりますが、あなたはその差額を何円までならご理解いただけますか。
誠にご面倒ですが、下記の全ての元売別にあなたのイメージをお答え下さい。
日石三菱 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
出光 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
コスモ 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
Jomo 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
昭和シェル 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
モービル 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
エッソ 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
ゼネラル 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
キグナス 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
九州石油 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上
太陽石油 0円以下 0円 +1円 +2円 +3円 +4円 +5円 +6-8円 +9円以上

質問2、セルフとフルサービスはどのくらいの価格差が許容されているのか


あるSSが普通のサービスから、立地や設備はほとんど変更なく「セルフ」になったとします。
そのセルフSSの価格は、通常サービスSSに比較し幾ら安がよいと、あなたは思いますか。

0円 -1円 -2円 -3円 -4円 -5円 -6円 -7円 -8円 -9円以上
以上の結果は、送信後、すぐに見ることが出来ます。皆様ご協力下さい。