続日本のエネルギー問題を考える
電力都市ガス補助金打ち切りで電気料金は大幅値上げ
 
日本のエネルギー問題の番目のお客様です。

先月財務省より2023年度の通関統計が発表されました。エネルギー業界は
一部の国産天然ガス等を除けばほぼ全て輸入なので、エネルギー業界の
仕入れは、ガラス張りになっていると言えるでしょう。
2023年度の石油製品の需要(販売数量)も発表されました。
さて前月HPの通り、電気料金の補助金は、6月から廃止されたのに伴い、
各電力会社から、6月分の標準使用量による7月分の請求価格モデルも
発表されましたので、今月はこの話題を解説したいと思います。
             2024/5/31 初掲載  文責 垣見裕司

日本の2010年度以降のエネルギー輸入価格の推移表
財務省発表の日本の貿易収支とエネルギー主要4品の2023年度の輸入
CIF価格(円)は以下の通りです。
まず輸出が前年より3兆7千億円増えたにも関わらず、輸入は12兆5千億円
減少したので、貿易収支は22兆円の赤字から、5.9兆円赤字までの減少は
日本として誠に良いことです。これで円安圧力が弱まることを期待します。
2023年度の輸入総額に占めるエネルギー価格の割合は21.4%です。
この他石油製品の輸入等も少しあるので全体では23%という感じです。
2022年度は27%。従って23年度は東日本大震災で原発が止まり、火力で
補った13年度の30%に近づくことを心配していましたが良かったです。

原油、LNG、LPG、石炭の数量と価格、熱量当たりのコストは
次にエネルギー価格ですが私は海外のFOB価格は戦争が二カ所で続いて
いること。そして昨今の円安から円建て輸入CIF価格では、2022年度を
上回ると思いましたが、現実は下記の通り前年より安くなっていました。
 では具体的に主要4品の輸入数量と価格を見てみましょう。
原油は14503万KLで前年比91.4%の減少て、価格87.2円から77.9円へ
大幅下落です。天然ガス=LNGも同様で6489万d前年比92.0%。
価格も125.8円から93.4円/Kgで約26%も安くなりました。
驚くのは石炭です。数量も16732万dで前年比91%。価格も35%も
安くなりました。前年は緊急で高いスポット等を手当てしたのでしょうか。
とにかく、落ち着いた価格になって良かったです。
 この2023年度の主要4品の熱量当たりの単価を計算したのが、
上表の右下です。
原油価格を基準にしてLNGは0.84、LPGは0.83、石炭は0.59となりました。
やはり石炭は安いので、JERA様のように石炭とアンモニアの混焼で
CO2を50%削減する方法は大賛成です。逆に一律に石炭火力を禁止
することは、資源のない日本としては慎重に判断した方がよいと思います。

原油WTI価格の推移

主要4品では原油価格が一番高いのですが、では原油のFOB価格は
高いのでしょうか。そんなことはありません。下記はWTIの過去3年間の
週足価格の推移です。ロシアがウクライナに侵攻した当時からは
イスラエルとパレスチナハマス戦争で乱高下はあるものの、一応、落ち
着いた範囲の中での推移だと思います。



石油製品需要=販売数量は

経済産業省からは、石油製品の需要=販売数量が掲載されていたので
ご紹介します。2020年2月からはコロナも始まったので、2017年度に遡って
検討してみたいと思います。
 まず燃料油計はこの6年間で17477万KLから14457万KLまで17%。
年率にして2.8%落ちています。年率3%は想定の範囲ですが、7年となると
巨大装置産業である精製元売としては非常に大きい数字だと思います。
 ガソリンも同様で5180万KLから4451万KLので14%下落しています。
年率では2.3%なので、むしろ少ない方ですが、今後の新車EV販売割合に
よって、かなり変わってくるのでしょう。
 さて2237万KLから1650万KLまで24%落ちた重油は、環境問題を考え
れば、やむを得ない下落ですが、意外に落ち込みが激しいのが灯油です。
1664万KLなら1180万KLまで約30%の下落は、精製元売には本当に辛い
ところでしょう。
 私はSS業界経営者ですが、今後15年でガソリンが50%減少しても
勝ち残れるイメージは出来ておりますが、精製元売は巨大装置産業
なので、本当に大変だと思います。この精製元売の話は、また改めて
解説したいと思います。

電力10社の補助金打ち切りも含めた7月請求分の値上げ一覧

さて先月にお知らせした通り、電気と都市ガスの補助金は、5月が50%。
そして6月から全廃されます。それにより6月使用分から値上げとなりますが
標準世帯の7月の請求価格が各社から発表されたのでご紹介します。
 単位は円。カッコ内は前年比較での値上げ幅です。
各社 北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄
7月 9523 8855 8930 8691 7758 7664 8514 8595 7551 9663
前年 +1401 +1318 +1544 +1746 +1158 +2428 +1070 +1440 +2300 +1571

今すぐ出来る省エネ、節電、節コスト

では最後に一般家庭のそれも電気に絞った、省エネ、節電、節コストを
考えてみたいと思います。
一般家庭において、電気が何に使われているのかは、実に多く調査が
ありますが、実はその前提条件が全く異なると、その結果も異なります。
 例えば1年間の平均なら24時間動く冷蔵庫が大抵トップですが、これを
夏の関東に絞れば、暑さからエアコンになります。また時間帯も太陽光が
発電しなくなる反面、夕食の準備で使用量が上がるのは夕方から夜です。
 電力会社にとっても辛いこの夏の夕方で調べたところ、以下のエネ庁の
HPがヒットしたのでご紹介します。2022年08月08日の掲載です
どうやったら節電できる?明日からすぐに役立つ節電・省エネのヒント
比較の為に北海道も併記しましたが、地域でこんな違うのが驚きです。


エアコンに絞った省エネは

では最後にエアコンに絞った省エネ等を考えて見ます。
1 帰宅直後にエアコンをつけるのではなく、5分程度換気し、室外温度
  まで下げてからエアコンをつけましょう。
2 暑いと感じる時は、マイナス1度にするのではなく風を強くしてみる。
3 エアコンの風向きは、自動か水平がベスト、下向き固定はNG
4 エアコンの設定は自動か弱かは、長時間なら自動がベスト。
5 10数年経過していたら新しいエアコンに買い換える。
さて、照明は過去徹底研究しましたが、白熱灯→蛍光灯→LEDは
既に皆さんされているので、常夜灯も蛍光灯からLEDにしてみましょう。

で究極の省コストは、過去1年間1度もブレーカーが飛んでなければ
基本電力契約を例えば60Aから50Aに下げるのがベストです。
最後は電力会社の変更です。良かったらENEOS電気をご検討下さい。
3000円のクオカード復活してます。