石油製品は補助金段階削減で実質値上げ
東京電力他大手電力7社の規制料金値上げ
 
あなたはガソリン補助金で、電力問題の 番目のお客様です。

2022年1月27日から実施されて来た「燃料油価格激変緩和事業」ですが
6月以降9月までの削減方針というか出口戦略が発表されました。
但し、その計算方式が今まで以上に複雑なので、解説させて頂きます。

また電気料金の方も、経済産業省の認可が下りて、6月より大手電力会社
7社の値上げが発表されました。一庶民としては、また値上げかと憤りたいと
ところですが、化石エネルギー資源の多くを輸入する日本として、そして
業界人としては、資源価格が上がった以上当然発電コストも上がりますので
やむを得ないと思っております。今月はこの二つの実質値上げ問題を解説
させて頂きます。
               2023/5/30 初掲載  更新 文責 垣見裕司

燃料油価格激変緩和事業の現在までの推移
まず本事業の今までの推移を下記表に纏めてみました。
期間 02/1/27-3/9 3/10-4/27 4/28-9末 〜12末 23年5月まで
補助上限 5円 25円 35円+超過分 1/2 毎月2円削減
基準価格 170円+月1円 172円 168円
対象油種 ガソ、灯軽重油 ガソリン、軽油、灯油、重油、航空燃料
予算 令和3年補正と予備費 令4補正 令4予備 令4-2次補正
金額億円 893+3500億円 2774+11655 12959 30272億円

驚くのは本事業に費やした金額=税金の多さです。最終行は各期間の
予算ですが、その累計は、62053億円となっています。SSではポスター
他でお知らせしていますが、国民には余り知られていないようです。
(尚、個人的に残念なのは、結果として近隣SSの経営に悪影響があると
 公取が認め警告を出したSSの値引き財源にもなっているということです)

 2022年12月から本年5月までの推移は以下の通り
12月 1月 2月 3月 4月 5月
補助上限額 35円 33円 31円 29円 27円 25円
上記の上限額を超過した場合の補助割合は50%です
6月以降の方針決定 「補助金は縮減する一方、高騰リスクを強化」
今まで補助金延長はギリギリになって発表されて来ましたが、今回も
6月以降の方針が1週間前の5月26日に以下の通り発表されました。
T 補助金上限は25円で固定。

  
従って上限額が22.5、20、17.5〜と下がっていく訳ではありません
U 上限額25円以下の補助額は10%減、以降2週毎に10%追削減
   従って6/1の単価は、前週と諸条件が変わらなければ、例えば
   5月末の補助金が10円なら、6月1日は9円になります。
   諸条件が変わらなければ、2週毎に1円下がるので、末端価格は
   2週毎に1円上がることになります。
V 上限超過分の50%の補助額は5%増、以降2週毎に5%追加増額
   一方、25円を超えた分は50%から2週毎に5%増額になります。
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21
25円以下 -10% -20% -30% -40% -50% -60% -70% -80% -90%
25円超 +55% +60% +65% +70% +75% +80% +85% +90% +95%
6月から9月末までの市況イメージ 
 原油価格は一応落ち着いているので、ウクライナ情勢等に大きな
変化がなければ、25円超になることはないでしょう。従って5/31現在
11.1円元売に支給されていますが、原油価格や円の為替レートに
大きな変動がなければ、2週間毎に1円ずつ補助金は削減されるので
我々の仕切りはその都度1円上昇することになります。 

当社HPは業界人に多く読まれていますが、一般消費者の皆様にも
閲覧頂いております。それを承知の上でSS経営者の本音を申し上げ
れば、2週間に一度の1円値上げほど、難しい値上げはありません。
1週目の1円なら、誰が先に価格看板をあげるかと様子を見ていて
誰もあげないと、全額かぶるということにもなりかねません。
しかし我々は場所にもよりますが、マージンは10円/Lくらいです。
「6/15も様子見で上げられず、6/28になって最安値店が3円あげた
ので、やっとその周辺店も3円値上げていく」という感じでしょうか。
しかし本HPを見ていない多くのお客様からは、一気に3円上がった。
ほぼ同時に上がった。おかしい。便乗値上げではないかと思われて
しまいそうです。SS経営者の本音を申し上げれば、仕切価格上昇の
通りにあげたいのですが、末端価格は、お客様同様、近隣SSの看板
を見て決めているのが事実です。もし業界が今回のコストUPの価格
転嫁に失敗したら、SS廃業は、益々加速されるでしょう。
大手電力会社7社が6月より14〜42%の大幅値上げ
全国の大手10社の電力会社の内、関西電力、中国電力、九州電力を
除く大手7社は、5月16日、6月より一般家庭向けの電力料金(規制)
を大幅に値上げすると発表しました。これは政府が、各社からの規制
料金の値上げ申請を認めたからです。
但し、税金を使い補助金を出して、価格抑制しているご時世なので
政府は2度に亘って、その値上げ幅の圧縮を求めたようです。
 電力7社は当初、2022年の7月から11月までの各燃料価格を
元に値上げを申請していましたが、読者の皆様もご存じの通り、
ウクライナ戦争は続いていますが、各エネルギー価格は、少しは
落ちついて来たので、昨今の価格を反映させたこと。また不動産の
賃貸料や広告宣伝費等にもメスが入ったようです。
 各社の当初申請した値上げ幅と、今回認められた値上げ幅。
そして各社発表の標準家庭料金だと、具体的に幾ら上がるのを
纏めたものが下記の表です。
 一応昨年11月と本年6月の一般家庭用標準料金での比較です。
但し各社発表は、値上げ平均や一般家庭の標準の比較等色々な
数字があり比較表として、整合性が充分でない可能性があります。
また新聞各社も記事によっても数字が違うので目安としてご覧下さい。
 
これを見て思うことは、原発が稼働している会社は値上げを今回
見送ったこと。そして東京電力は、柏崎原発の再稼働を織り込んだ
数字なのですが、どう考えても直ぐの原発再開は無理そうです。
今 回
値上%
初 回
申請%
モデル世帯
標準料金 
 値上幅
北海道 23.2% 34.9% 3200円
東 北 25.5% 32.9% 10142円 2110円
東 京 15.9% 29.3% 2078円
北 陸 39.7% 45.8% 8748円 4800円
中 国 26.1% 31.3% 7720円 1667円
四 国 28.7% 28.1% 3000円
沖 縄 33.3% 43.8% 5323円
関 西 5基 原発稼働中
中 部
九 州 3基 原発稼働中

東京電力の値上げ後の料金 VS ENEOSでんき東京Vプラン

では次に東京電力だけの話で恐縮ですが、値上げ後の東京電力の
従量電灯BとENEOSでんき東京Vプランの単価比較をしてみました
結果は下記の通り、ENEOSでんきの方が、再び安くなったのです

私が標準家庭の30A 260kWhで算出したところ
東京電力7365円 ENEOSでんき7237円で
ENEOSでんきの方が358円再び安くなりました



ENEOSもでんきの顧客拡大には慎重姿勢

今回の東京電力の等の値上げを受けて、再びENEOSでんきの
価格優位性が復活しました。私は、ENEOSはテレビCM等を復活させ
営業再開をするのかと思いましたが、この料金レベルでは、ENEOSでも
収益的はかなり厳しいようで、大々的な募集再開はせず、現在のSSの
ガソリン等で既にENEOSのお客様のみ、ENEOSでんきへの切り替え
を受け付けているというのが実情のようです。

よって当社もこのHPを読んで頂いた東京電力をお使いのお客様だけ
ENEOSでんきへの切り替え受付を継続したいと思います。

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