系列SSの分析義務軽減問題 法的には決着か
 お陰様で著書「よくわかる石油業界」が微改訂増刷となりました
あなたは、系列、業転、公取関連企画の番目のお客様です。

2015年2月20日、石油業界2紙に大変重要な記事が載っていました。見出しは
「ガソリン分析軽減制度、認定要件見直し」で、熟読すれば誠にすごい内容です。
長年、法的には限りなくグレーゾーンだった系列SSの業転購入時の分析軽減に
当局が明確な姿勢を示したのです。 しかしこの大ニュースは、意外にも同業者に
余り読まれていなかったり「現状追認しただけでしょ」と一部には、冷めた見方も
ありました。そこで、この問題を一般消費者にも分かるように解説したいと思います。
尚、業界人の皆様には、月刊ガソリンスタンド4月号に業界向けの解説を書いて
いますので、是非そちらもご覧下さい。
 そしてもう一つ嬉しいことがありました。2012年に単著となり、そして震災後の
エネルギー業界を解説するために大改訂した「よくわかる石油業界」を本年3月に
約20頁の改訂付きで、増刷となりました。今月はこの2点の話題でお送りします。
     カウント51300スタート   2015年4月1日更新 文責 垣見裕司 ver1

軽減認定制度に係る現状及び改正の必要性

まずは当局の発表した内容をなるべく正確に記術します。(*カッコ内は私の注釈)
原文はこちらでも見ることが出来ます。 http://search.e-gov.go.jp/servlet/
 Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620115009&Mode=0


1 昨今、ガソリンスタンド間における厳しい競争環境の中、一定の流通経路を
保ちつつも一部を当該流通経路以外から仕入れる販売業者が一定数存在する。
(*系列SSでも業転を買っている現状を当局として認めたように思います)
一方、揮発油に係る品質検査では品確法で定める規格に満たない不適合品が
確認される件数は極めて僅少に推移している。

2 これは、品確法に基づく品質保持に係る監視に加え、大部分の生産・販売
事業者において品質保持に係る意識も高く保たれるようになり、現在では、
ごく一部の故意による品質変更や販売時における揮発油等の取り扱い
(荷卸し時)に係る単純なミス(水又は他油種同士の混入等)によるもの以外は
基本的には品質規格が満たされている。
(*不適合率は0.03%〜0.08%。よって業転買いが不適合要件とはならない)

3 このため現行軽減認定の要件である「流通経路が一定」という外形的な
担保によらずとも、一定の流通経路が安定的に維持され、販売業者のみならず
主たる流通経路に係る石油生産業者、流通事業者が品質に責任を持つ場合
には分析頻度の軽減を図ることが可能と考えられる。

4 以上の状況を鑑み、今般現行軽減認定の要件を見直す。

具体的な改正案は以下の通り

(1)品確法施行規則第十四条の2第一項一号イの「流通経路が同一」の要件を
A「主たる流通経路が同一」に改める。
(2)主たる流通経路から仕入れた揮発油に、別の流通経路から仕入れた揮発油
を一部混入させる場合、即ち品質の変更が加えられる場合であっても、法13条
の規格に適合する揮発油の販売が継続的に保たれる場合がある。
今般、当該場合について分析頻度の軽減を図るため、同号ロの
B「品質の変更を加えられることなく販売されることが確実である」の要件を削除
(3)主たる流通経路に係る全ての者が、申請に係る揮発油販売業者が販売する
揮発油の品質に責任を持つ旨を確認することを念頭に、「規格に適合しない
揮発油を販売しないことが確実であると見込まれること」を要件として追加する。

ポイントは2点

今回の改正ポイントは、前項のAとBの2点に尽きると言ってもいいでしょう。
一つは、前述の通り「流通経路が同一」という表現に「主たる」というこの3文字が
加わったことです。要するに「主たる」という言葉をいれるだけで、暗に「主たる
取引ではない業転の存在」を認めているのです。 すなわち、業転買いの事実
があり、それを元売が知ったとしても、主たる元売との取引が継続されている
なら、分析軽減は続けていいですよ、ということでしょうか。
では主たる取引とは何割以上を言うのか。逆に業転は何割以下なのか。
今回はあくまで法律の話なので、その主たるが何割を意味するのかまでは
触れていません。それは民民の特約販売契約なので当局は感知しません。
自由に決めて下さいと言っているような気がします。

             e-gov のHPより 改正前と改正後の変更点


消費者の皆様へ ガソリンの不良率は、0.03%-0.08%ですのでご安心下さい

不良率が仮に0.05%だとして、これは 2000回ガソリンを買って1回ある
確率になります。月に2回弱給油されるとして、年に20回。ということは、
100年に1回あるかないかのレベルです。
また 万が一不具合があたっとしても、元売のサインポールをあげているSSなら
そのSSとそして万が一そのSSが対応できなくても当該元売が、「一体となって」
消費者保護にあたってくれると思って頂いてよいと思います。

一方、元売マークをあげないプライベートブランド(PB)SSでも、倒産でもしない
限りは、そのSSが、ちゃんと保障してくれると思います。

あとは、お客様が自由に、そして自己責任において、元売系列SSか、PBSSか。
立地や価格や、そしてサービス等てでお選び頂ければよいものと思います。

日本実業出版社様 改訂増刷をお許し頂きありがとうございました

本HPでもご紹介している2013年11月発売の「よくわかるガスエネルギー業界」
その売れ行きが好調で、2014年6月に約10頁の修正を伴う増刷となりました。
しかしその相乗効果なのでしょうか。2012年2月に震災対応版として大改訂を
させて頂いた「よくわかる石油業界」も、いぶし銀のような売れ行きで、更に
昨年夏からの原油価格の大暴落というニュースも加わって、出版社の在庫が
3月末でほぼなくなると話しが来ました。
 そこで「石油業界に生きた業界本を何とか残して下さい」とお願いしたところ、
増刷を決めて頂きましたが、コストの関係で出来れば修正したくないとのこと。
しかし皆様ご存じの通り、石油業界はこの3年で大きなことが沢山ありました。
米エクソンモービルの日本から資本引上げ。エクソンモービルマーケティングを
子会社であったはずの東燃ゼネラルが逆に子会社化し、三井石油も子会社化。
また2014年3月末の高度化法総括や税金問題も、修正したい頁の一つです。
またSS数の減少も、ハイオク比率の低下も止まりません。そして何と言っても
昨年の夏からの原油価格の暴落は、是非とも紹介したい大きなニュースです。

その結果 2014年4月には、業界再編や高度化による精製設備の削減等14頁。
そして2015年3月は、昨今の原油大暴落を受けた原油価格説明頁。またシェール
ガス・シェ―ルオイル頁など約20頁を改訂させて頂きました。

最新{業界の常識}よくわかる石油業界 の履歴は以下の通りです。
業界ビジネス書として、生き残って来たのも皆様とお陰と深く感謝します。

1997年4月10日 渡辺昇先生が書かれて 初版を発行
2009年4月20日 渡辺昇先生と垣見裕司との共著で、大改訂版を発行
2010年9月01日 第2刷 増刷 修正なし
2012年2月01日 第1刷 震災対応版として大改訂 垣見裕司の単著となる
2013年3月10日 第2刷 増刷 修正ほぼなし

2014年4月10日 第3刷 増刷 14頁修正・更新 業界再編や精製設備更新
2015年3月01日 第4冊 増刷 20頁修正・更新 原油、シェールオイル、SS減

第2章 原油価格解説ページ例

下記の通り 価格やグラフは2015年1月まで反映させています

都道府県別SS数の表 ピーク年からの減少率上位を抽出


よくわかる石油業界の最新版のご購入について  

書店で購入の際は2015年3月1日発行の第4刷であることをご確認下さい。
アマゾン等もいつから最新版になるかわかりません。暫定期間、2冊以上送料無料
で対応します。こちらよりメール または総務 本間、田辺まで、ご連絡下さい。
 垣見油化株式会社 総務部 電話 03-3263-0811代表 10冊以上も大歓迎。
何か御礼企画を考えたいと思います。アマゾンでの売れ行きも好調です。
1位と3位 ビジネス・経済 > 産業研究 > 資源・エネルギー 
 こちらは石油だけでなく原発を含むエネルギー全般です。
3位 ビジネス・経済 > 経営学・MBA > 資格・就職・MBA > 学生の就職 > 業界研究
 こちらは学生の就職、エネルギー業界だけでなく、正に全産業なので光栄です。
 都知事選でもエネルギー問題の関心が高まり、 斜陽気味だった石油業界
 の復権にささやかな貢献が出来た嬉しく思います。今現在のランキングは
 ビジネス・経済 > 産業研究 > 資源エネルギー
 ビジネス・経済 > 経営学・キャリア・MBA > 学生の就職 > 業界研究

講演の依頼等も、弊社問い合わせページシステムブレーン様にお願いします。