韓国国営KBSテレビ特集番組初出演
 ご縁のあった韓国SS業界のご紹介です
本報告の 番目お客様です。 8/30 初掲載 9/26修正Ver4
縁あって韓国国営KBSテレビに出演させて頂きました。そんな訳で今月は
乱高下する原油価格と韓国SS業界視察報告です。韓国でお世話になりました
月刊注油所の郭代表、金編集長に心より御礼申し上げます。文責 垣見裕司

原油価格の乱高下と国内価格への転嫁
6月企画の冒頭で原油価格高騰をご紹介しましたが、8月からは一転下落。
80ドル割れまで言ったかと思えば再び上昇する乱高下状態となっています。
下落理由としては、リビヤカダフィー政権がようやく崩壊、少しは安定しそうだ
とか、米国の景気後退とか色々言われています。
しかし中東情勢で言えば、シリアは益々不安定な状態ですし、ドル安ならむしろ
原油価格は上がってもよいはずなので、その多くは投機家筋があとから理由を
つけているのではないかと思います。
さてマスコミ等で一番多く報告されるWTですが、
以前はWTI価格が中東原油
価格より4ドル程度高いのが相場でしたが、今は完全に逆転しました。
理由は色々言われていますが、WTIは米国の景気後退の影響を受けいること。
そして先物を現物で受取る事も出来るので、カナダから入ってくる原油代替品
の影響を受けてしまうのではないかと思います。一方、中東原油や更に北海
プレントは、リビヤ等政情不安が続く中東に近いのでより高くなっています。
要するに日本に入ってくる中東原油は、WTI程下がっていないということです。
そんなのウソだという消費者のお気持ちは良く分かりますが、日本の元売に
とっての仕入価格である財務省発表の輸入原油価格は全く嘘をつきません。
発表までに1か月以上かかりますが、是非こちらでご確認頂けば幸いです。

進むドル安と円高を反映する TOCOMの円/KL換算の原油価格
これだけ国の借金が多く、消費税も未だ上げられず、政治もだらしなく、その上
東日本大震災で苦悩する日本の円が何でこんな強いのかよく分かりませんが
1ドルが1000円等の超インフレになるよりは遥かにましだと思います。
さてTOCOMで上場されている原油は一応中東原油の円/KL換算なので
1か月後の到着価格を予想していることになります。よって今回はWTIではなく
TOCOM原油のKL/円 換算の価格推移チヤートを紹介します。
尚、石油業界現業者に言わせれば、TOCOMは現物転換が出来ませんので
東京原油はあくまで一指標に過ぎないことも付け加えさせて頂きます。


韓国KBSテレビ出演  SS業界事情視察にいってきました
実は私、8月9日夜、韓国国営KBSテレビの特集番組に出演してしまいました。
何と90分のカメラ付き取材を受けたのです。もっとも放送は2カット90秒でした。
そもそもの韓国とのご縁は、日本でいう月刊ガソリンスタンドにあたる 月刊
注油所日本支局長の金さんからご依頼を受け、取材は過去二回。また韓国から
日本に視察に来たSS経営者の方々や元売SK様にも講演した実績が2回あり
また韓国でも私の著書「よくわかる石油業界」は、お読み頂いているようです。
KBS記者から聞かれた内容は、、、、
韓国のガソリン価格は、今原油高とウォン安 非常に価格が高いのだそうです。
そして国内が財閥系4社でがっちり固めているので、浮気もなければPBもない
マスコミから見るとそんな閉鎖的な業界&市場に切り込みをいれたいそうです。
現在の価格はいくらなのかとお伺いしたら円換算で150円/L。税金が不明ですが
高くないじゃないですかと申し上げたら、所得水準は日本の半分なので
日本なら300円のガソリンを買わされていると思って下さいとのことでした。
そんなご縁もあり 8/10-13まで韓国に行ってました。テレビ取材は日本で終了
していますので、8/10の本放送に合わせて予定したつもりだったのですが、
放送は8/9に繰り上がりました。尚、現地で月刊注油所の郭代表と金編集長
にもお会いして、情報交換させて頂くともに、韓国のSS事情を車で半日かけて
ご案内頂いてしまいました。改めて感謝申し上げます。

韓国基礎データ
国名 大韓民国。通称は、韓国。北朝鮮政府は、南朝鮮という
国土 面積は99678km2 北海道と四国を合計や 九州の約2.7倍。
    地震はほとんどないので高層マンションが多いと思いました)
人口 約4899万人(2011年)で人口増加率は近年非常に低く高齢化も進行中
    人口の約半分がソウル首都圏、ソウル特別市だけでも約1000万人
政治 大統領制 李明博 イ・ミョンバク大統領 2008年2月25日〜
経済 国内総生産(GDP)10,143億ドル(2010年)
    一人当たりの国民総所得(GNI)20,759ドル GDP成長率: 6.2%
通貨 韓国ウォン(2010年平均1米ドル=1156.3ウォン)
言語 韓国語 ハングル文字 
自動車登録台数 1794万台/4900万人 (0.37台/人)
 
韓国の石油業界は 4大元売が支配している
SKエナジー SKグループに属する石油部門の会社 他にSKネットワークス
 SK総合化学や潤滑油事業を行うSKルブリカンツ(09年10月独立)がある
GSカルテックス (旧称・LGカルテックス精油) GSグループの石油会社
 米国シェブロン社との合弁会社 シェアーはSKに続いて第二位
現代 OILBANK 現代グループに属するが一時、アブダビ首長国100%所有の
 投資会社 IPICおよびその子会社が70%の株を取得していた。
 現在は 現代グループが買い戻しに成功したようだ。
S−OIL 株主はサウジアラビアの アラムコ系のAOC社が34.1%
 韓進エネルギー27.4%所有している。国内販売は第四位だが輸出に強い

2011年4月現在のSS数は韓国全土で 11054か所 SS数のシェアーは
SK 3652 (34.5%)、 GS 2768 (26.3%) 、現代2114 (18.6%)、 S-OIL 1778 (14.8%)
注目すべきは それ以外のプライベートブランドは742(5.7%)しかないことだ。
(SS数出展 Koran Oil station of Association)


原油処理能力合計 284万BD 推定原油処理量約250万BD 稼働率約88%
石油備蓄量   1.46億バレル 但約80%は、軍事上の理由から南部に位置

出典 PECより引用
SSの販売数量と油種構成比
2010年のSSで販売された総数量は 15264 万drum
1drum = 200Lとして 15264dx0.2kl x1万= 3053万KLのようだ。
構成比は、ガソリン56.3% 、軽油34.8%、 灯油8.9%となっている。
2002年で初めて14100万drumを突破し2009年は14227万drumと
需要停滞気味だが2010年のみは景気回復だろうか15264万drumと伸びている。



 
月刊 注油所 提供
一方 Korean National Oil Companyのデータによれば、韓国の小売市場の
規模は2010年 185.1million drum よって3702万kl。 各製品の構成比は
ガソリン 29.6%、軽油57.8%、灯油12.6%となっており、前述の構成比と異なるが
Total volume included with SS sales とあるので、SS以外の小売りは
圧倒的に軽油が多いということになるのだろうか。
韓国のSSと 1SS当たりの販売量
韓国のSS業界で驚かされるのは、未だにSSの数が伸びているということだ。
セルフが解禁された間もないせいか、競争が激しくないからか、羨ましい限り。
ちなみに、日本は勿論、筆者の知る範囲での下記の先進国はいずれも下落している
数字は、国名 直近SS数-直近年/ピーク数− ピーク年。
米国 161768-2007/226459-1972 、英国  9013-2009/39958-1967、
フランス13030-2007/46000-1973、ドイツ14902-2007/46859-1968

韓国の石油関連の税金
韓国の石油製品に課せられる税金は非常に複雑だ。
日本では、ガソリン税に消費税が単純加算されていて問題となっているが、
IEEJの調査による下記表でも、交通税に教育税が加算されそれに付加価値税と
少なくも3重課税となっているようだ。  
IEEJ:国際動向:2001 年12 月掲載

韓国のSSのハードと 末端価格の推移
では韓国の末端価格の推移を見てみよう。
下記表は全国価格と思われるが 決して高いとは思えない。
勿論税体系が複雑なので一概には言えないが、まず元売の輸入価格が日本と
ほぼ同水準とすれば、末端価格やその推移は、KBSが問題にする程高くない
のではないかというのが第一印象だ。もっとも下記写真の通り、ソウル市が高い
ということであれば、それは東京都心3区も同じなので別の話であろう。
ちにみに現在のイ・ミョンバク政権は、アンチ財閥系というか国民の味方というイメージが
強かったので、その人気を上げるためにも価格にメスをいれたかったのかもしれない

2011年 ウォン/L 円/L
SKの巨大社有SS 価格看板の前で
月刊注油所の郭代表と。感謝感謝


コンビニ、レンタカー、DPSも営業

韓国ではまだ珍しいセルフ(GS社)
現代のSS。SOILは結局見かけず
月 週 ガソリン 軽油 ガソリン 軽油
01月1週 1,817.31 1,613.89 139.93 124.27
01月2週 1,822.70 1,618.72 140.35 124.64
01月3週 1,826.35 1,622.41 140.63 124.93
01月4週 1,830.72 1,627.24 140.97 125.30
02月1週 1,836.24 1,633.96 141.39 125.81
02月2週 1,842.02 1,640.44 141.84 126.31
02月3週 1,850.24 1,651.42 142.47 127.16
02月4週 1,856.64 1,661.33 142.96 127.92
03月1週 1,878.39 1,685.54 144.64 129.79
03月2週 1,916.52 1,726.15 147.57 132.91
03月3週 1,946.28 1,761.99 149.86 135.67
03月4週 1,958.95 1,780.74 150.84 137.12
03月5週 1,967.16 1,794.61 151.47 138.18
04月1週 1,967.98 1,798.78 151.53 138.51
04月2週 1,944.71 1,783.92 149.74 137.36
04月3週 1,945.59 1,791.84 149.81 137.97
04月4週 1,946.57 1,796.50 149.89 138.33
05月1週 1,948.40 1,796.40 150.03 138.32
05月2週 1,950.99 1,794.12 150.23 138.15
05月3週 1,942.77 1,777.07 149.59 136.83
05月4週 1,926.63 1,749.95 148.35 134.75
06月1週 1,914.47 1,733.81 147.41 133.50
06月2週 1,911.11 1,729.41 147.16 133.16
06月3週 1,912.02 1,731.23 147.23 133.30
06月4週 1,918.42 1,741.25 147.72 134.08
06月5週 1,921.74 1,746.38 147.97 134.47
07月1週 1,921.06 1,745.46 147.92 134.40
07月2週 1,927.34 1,748.51 148.41 134.64
07月3週 1,940.18 1,757.42 149.39 135.32
07月4週 1,947.23 1,763.58 149.94 135.80
08月1週 1,952.71 1,768.45 150.36 136.17
08月2週 1,952.59 1,767.43 150.35 136.09