1999年、石油業界&HP総決算
例年末企画の通り皆様からの質問にお答えする企画です
拝啓 あなたは12月企画の 番目のお客様です。
この1年を振り返れば発表から実質4ヶ月での日石三石の合併や興亜石油へのTOB、
コスモ石油との販売を除く提携強化の発表、また過去は国策会社的なイメージのあった
Jomoが仮にも外資である昭和シェルと提携強化の発表や、湾岸危機以来の原油の
高騰など本当に色々な激変が起こった年だったと思います。さて1年納めの12月
企画は、皆様の感想や問い合わせに答える内容にしたいと思います。11/29.NO2

日石三菱とコスモの提携の話は知られていた?−インターネットの情報精度

前月企画で質問の多かった内容の1つに、垣見さんは事前に知っていたのですか
というのがあります。有るべき姿として予想していましたというのが答えですが、
これはインターネットで聞こえて来る情報精度の説明に好例なのでご紹介します。
私が最初に聞いたのは5月ぐらいでした。今でこそHPに書いても問題無いと
思いますが、最も過激な表現はA、そして穏やかな方はBです。
 A.コスモ石油は、いよいよ上下分離解体へ、その上流を日石が買収する。
 B.日石−コスモは、既に締結している業務提携をより強化する。
どちらも広い意味では当たっているとも言えますが、、、、
よく業界紙様から「知っていたなら垣見さん教えて下さいよ」と言われますが
正確なところは発表されて見ないと分かりませんし、超有名一般紙でも直前に
過激な見出しから穏便な見出しに差し替えたという話しもあるそうです。

原油価格はどこまで上がるのですか?−更なる上昇は代替燃料の開発を促進

下記図WTI価格推移を見て下さい。最近の高値は11/22の27$は左週足図
10月1週目の25.1$の高値を抜けてしまったので、縦軸横軸とも単位が
異なって恐縮なのですが、月足図での次の抵抗値を探しますと、96年12月の
26.8$となります。今回はこのレベルも抜いてしまったので次の上値は、
湾岸戦争中の90年末の40$までありませんから抵抗値からは予測不能です。
しかし30$前後では代替エネルギーや昨今の環境問題等から燃料電池の開発が
進んでしまい、それが産油国にとってマイナスであることは、サウジ等穏健派
には十分認識されていますから、ここからの上昇はかなり重いと思います。
 むしろ私の心配は急激な下落の方です。先物は期先の方が安い逆鞘状態が
相変わらず続いていますし、月足表の青色が示す通り月末の方が安い不安定な
上昇の仕方に個人的意見ですが、かなり危険な高値状態であると思います。
どこまで上がるか原油価格は 当面更新し続けていますので是非どうぞ。

元売資本相関図はありますか?−HPはどこまでがボランティアか?

当社HPには質問もさることながら、ちょっと突っ込んだご依頼があります。
例えば、元売資本相関図はありますか?−というもの、学生さんの研究等でしたら
ボランティアでお作りしないこともないのですが、そのメールには個人名ながら
外資系証券or投資顧問会社特有のコメント(恐らくご自身でははずせない)が
添付されておりましたので、率直にお伺いしたらやはり超優良会社でした。
内容そのものは石油連盟なり石油情報センターを半日探せば、手に入るものですが
大会社の研究費の経費削減が弊社HPの目的ではありません。
そこでデータ作成人件費相当の負担をご提案したらビジネス?成立となりました。
下記図がその作品ですが、時節柄皆様にもクリスマスプレゼントします。

色々聞きたいことがあるのですが?−公の目的なら出来る範囲で

今年はガソリン灯油が先物市場へ上場されましたので、その方面の会社からの
お問い合わせを数多く頂き、組合様始め、企業研修会やロータリークラブ等での
講演や、新聞雑誌等からの原稿依頼もお引き受けしました。業界の正しい状況を
広く一般に理解して頂くという公の目的なら、時間の許す限りお引き受けする所存
ですが、電話ではなく必ずメールにてお問い合わせ頂く様お願い申します。
また中高校生の皆さん!、冬休みの宿題のレベルは、自分でやって下さいね。

元売再編はどうなるでしょう?−4グループで確定!とまでは言えません

元売再編は、日石三菱−コスモ、EMGK、昭和シェル−Jomo、そして出光の
4グループに集約される方向に一応向かうでしょう。しかし、日石三菱とコスモ
そして昭和シェルとJomoの提携は、新聞で見るほど強くないかもしれません。
また個々の会社はどうでしょう。コスモは、日石三菱との提携で株価を見る限り、
当面の危機は脱しましたし、Jomoは旧日鉱の業界での高い評価や上場子会社の
実力を総合すると、現在の株価は素人ながら過少評価のような気がします。
さて私が個人的に心配する事が2つあります。可能性はかなり低いと思いますし、
一般に無いと言われていますが、新たなる外資や昨今の原油高で元気を取り戻した
中東マネーの日本参入です。例えばご当局が長銀の売却先を熨斗紙?までつけて
外資等に求めているのを見れば、まだ何が起こっても不思議ではないと思います。
もう一つの心配、そして石油業界の為に成らないのは会社更生法の適用でしょう。
一企業の有利子負債を事実上棚上げして企業を更生させる法律ですから4グループ
にまで集約されてきた狭い業界に混乱を招くことは明らかです。
これは特定の会社を指したことではありませんが、管轄がエネルギー庁から裁判所
に移らない前に、問題を解決して頂ければと思う次第です。

さて1年間本当にありがとうございました。そして来年もよろしくお願いします。
記念すべき年始企画は、Y2K問題が何事も起こらなればですが「今後の石油業界
10年を考える」です。心よりご無事をお祈りしております。文責 垣見裕司