それでも減らない?日本のSS
拝啓 垣見油化HPファンの皆様、あなたは9月企画の 番目のお客様です。
さて今月は、8月に通産省から発表された全国のSS数について解説させて戴きます。
意外に減らなかった?SS総数
通産省資源エネルギー庁は8月20日、揮発油販売業法(品確法)に基づく
平成9年3月末現在の登録給油所数を59615SS(前年比375SS減少)
と発表しました。
 減少率にしますと0.63%で意外に少なかったように思いますが、この背景には
年度後半に急増してきた廃止1573ss(2.6%)に対し
年度前半に多かった新設も1198ssと依然相当数あった為です。
 しかし、さらに細かく実状を分析してみると、市場混乱の中にあって
  @限りなく廃止に近い休業も300ssある
  A廃止したもののその届け出が遅れているSSがある、ことなどから
実際の廃止数は2000ssに達するのではないかとも言われています。

全国都道府県別にSS数を見てみると
1番SSが多い県は愛知で3026ss前年比−9ssですが、
2番目に多い北海道が2952ssで前年比−98ss
3番目に多い東京都は2765ssで前年比−86ss
以下SSが多い順に千葉2498、大阪2274、埼玉2156、茨城2114
となっていますが、減少数では北海道と東京が、ダントツの1位2位です。

激減する業者数に現れる今後の方向
しかしもっと顕著に業界の集約化を表している数字があります。
それは、SSを運営している事業者数です。
項 目元年度2年度3年度4年度5年度6年度7年度8年度
SS数58,28558,61458,82559,22459,77360,42159,99059,615
事業者32,83532,64232,41332,06031,76631,55930,46530,032
 新規487610529564532536 437502
 撤退9508037589178267431,531935
増減数-463-193-229-353-294-207-1,094-433
調査は各年度末、撤退は、総登録事業者数からの逆算で算出
 以上の表からも分かる通り業界の自由化元年前夜といわれた平成7年度の1年間で
なんと全事業者の5%に当たる1500者が業界を撤退したことになります。
 しかし1社1SSの販売店や小規模な特約店が撤退しても、今までは元売子会社や
同業他社が運営を継続してきた例が多かったので、昨年度まではSS数の激減として
表面化しなかったのだと思います。

海外の例を見ると
以下の表は海外でのSS数の推移を示したものです。 詳細表はこちら
西  暦19731976197919821985198819911994
日  本4512046018545845525155448551515592857874
フランス4600044000415003750032000280002290019013
イギリス3297430383264802410821140200161924716971
西ドイツ4038731266270262295118179186571769216314

過去20年で増えているのは日本だけで、ヨーロッパでは確実に減少していますね。
というより自由化による自然淘汰が、日本より先に始まっていたようです。

 日 本イタリアベルギーフランスイギリス西ドイツ
SS数減少率0%8%22%38%45%55%
1SS平均販売量76KL81KL99KL124KL187KL210KL

また上の表はヨーロッパ主要各国のSS数の減少率と1SS当たりの平均販売量です。
出所先不明の為、最初の表との整合性が一部とれていないところもありますが、
図にしてみると極めて面白いことが分かります。
日本のSSの減少がベルギー並で終われば、減少率20%、減少数11000で
その結果平均販売量は100KLになる。
しかし、フランス並の減少率40%まで競争が激化すれば、減少数は22000で
平均販売量は124KLという数字が出て来ます。

5年後には半分になるか?
では日本のSS数はいつまでにどのくらい減少するのでしょうか。
「市況悪化の進行が予想以上」「元売子会社も非効率SSは運営を断念している」
などの事実からSS数は半分になるという見方。
 その一方で元売会社が早期に撤退すると見ていた零細店が、
こちらに書いてあるような理由から マイペースの経営を続けているので、
欧米程は減らずせいぜい2割という見方。
 さて読者の皆様はどうなると思いますか。
尚、帝国データパンクによると今年に入ってからのSS業の倒産は7月までで17件
その負債総額も33億円にとどまっておりますので、撤退された方のほとんどが、
自分で結論を出した勇気ある撤退なのが、業界人としてのせめてもの救いです。
最後に、本文中にデータの誤り或いは更に詳しい数字をお持ちの方は メールにて
ご指導頂ければ幸いです。 敬具 文責 垣見裕司 98/9/1 最初のページへ