真のCSの向上はESの徹底から
 人間性向上の為の社員教育の薦め
あなたは12月企画の 番目のお客様です。今年も当社HPをご覧頂きありがとうございました。
さて今年一年「あずかロッカー」で忙殺されましたが、もう1つ自信を持って「やり続けて来た事」
として「顧客中心主義の徹底」と、それを達成する為の「従業員教育」があります。
これらは、7月企画でもご紹介したとおり、業界新聞様に度々ご紹介頂くとともに、販売店の
後継者の方や、取引先元売の幹部様にもご参加頂いたりもしました。
そして印象に残るのは、静岡石商の関係者約30名様の勉強会の講師をさせて頂いた事です。
この弊社のノウハウの一つでもあるCSの徹底とそれを実現する為のES向上教育について、
一年の御礼を兼ねて本HPでご紹介したいと思います。 2002/11/28 NO1 文責 垣 見 裕 司

ご意見ご質問は メインページの下段からどうぞ。
迷惑広告メール防止の為、自動メール立ち上げは、設定していませんのでご了承下さい。

我々は一体誰に食わせてもらっているのか。
「誰に食わせてもらっているのか」このちょっと荒っぽい質問に答えるとすれば、それは
「SSをご利用頂いているお客様」であるはずです。しかしSS業界を私自らの戒めとして
振り返ると、何故か業界は、元売や仕入先ばかりを見てきたような気がします。
「ハイオクだ、オイルだ、バッテリーだ、カードだ」 と毎月の販売方針に注意が行ってしまい
毎日お客様に接しているにもかかわらず、実はお客を見ていない、その声を聞いていない
ただ黙々とお客様を捌(さば)いて来た事実があるのではないでしょうか。
日本の小売業やサービス業が、顧客満足主義から顧客中心主義に更に進化している時、
石油業界は相変わらずプロダクトアウト、すなわち「良いハイオクを作ったから売って来い」
と、顧客の不満解消や、本当にニーズがあるかどうかには関係なく、生産者思考に終始
して来たようにも思います。まず会社のトップ自らがこれに気付き、目から鱗を落として、
顧客中心主義の発想に切り替えてから、会社改革を始めることが大切だと思います。

CSとは何か。言葉ではなく、感動で説明しよう。

皆さんの会社の所長会等で、「CSとは何か」を是非聞いてみて下さい。
「はい顧客満足度です」と一番優秀な所長が答えるでしょう。 しかし答えられなかった所長は
「CS=顧客満足度」を覚えるのが精一杯で、それを自分のSSに帰って、どのように教えれば
よいかまでは、分からないのが現状だと思います。
そこで当社は、教える所長の立場にたって、専務と若手社員を例に教えています。

入社後1ヶ月、少しは仕事も覚え、体力的にも慣れて来た新人A君。朝のラッシュを見事に
「さ*ば*い*て」本人にとっては心地よい疲れの残る時、私が声をかけたとしましょう。
 専務「どうだ、仕事は慣れたか」 
 A君 「はい」。
 専務「君は車好きか」。
 A君 「もちろんです」。
 専務「A君は車を持っていたね、初めて買った時はどんな気持ちだった?」
 A君 「実は今持っているのがそうなんです。今年4月にローンで買いました。
     夜は、近くの駐車場では心配なので、 魔法でもかけて小さくして、自分の部屋で
     一晩中磨いていたいぐらいです。」
 専務「分かる分かる。ところで君はそれと同じ気持ちでお客様の車を扱っていたかい?」
これを聞いたA君は、本当に「はっ」と気が付く訳です。そうです。ちょっと前のラッシュでは、
正にお客様の車を一見手際よく、しかし愛情なしに「捌いて」いたからです。

「CS=顧客満足度を大切に」というすばらしい方針も、言葉だけでは「机の上の世界」です。
初めて買った自分の愛車の如く、お客様の車と接して、愛して、安全走行を願い、
 プロとしてアドバイスして行こう
」。
この表現なら誰でも分かりますね。言い換えれば、CSとは相手の立場に立って考える事。
それが基本なのかもしれません。

CSを徹底すると感謝されて商品が買って頂けるようになる

「自分の愛車」の如くお客様の車を見れるようになったA君。
ある日、車の事に詳しく無さそうな女性が運転する1台のスカイラインが入って来ました。
「あっ、前輪右タイヤが異常に片べりしている」。車好きなA君は、2秒で気が付きます。
「OO様、前輪右のタイヤが異常に片べりしています。タイヤ空気圧が減っていたせいか
 は分かりませんが、もし私の車だったら、気になって高速走行は心配な状況です。
「今日は空気圧を正常にしておきますが、交換をご家族の方とご相談してみて下さい。
 見積をすぐ作ってお渡しします。」あくまでアドバイスですから、ここまでで良いのです。
そして見積を書いたことも忘れた2週間後、その女性がA君を訪ねてやってきました。
「この間はありがとう。忙しくて最近乗る暇もないけどやっぱり車が好きな主人に聞いたら
確かに危ないって。それでカーショップに電話で聞いてたけど、値段は大して変わらなかった
ので、垣見さんで変えて来いって言ってたから、A君に頼むわ。」

A君はもう嬉しくてたまりません。そうです。ノルマ優先でニーズのないものを販売し続け
ていると、嫌悪感に悩まされますが、当社では、感謝されて販売出来るので益々仕事が
面白くなって行く。この違いは本当に大きいと思います。

ちなみに当社と一般的?なSSのサービスの差は、私はどのくらいあると考えているか、
皆さんはどう思いますか。実は以外に少ない、そうちょっとの差しかないと思っています。
例えば 当社に100人のお客様がいるとして、その内一人感動してくれて、翌月新たな
お客様を一人つれて来て頂く程度でいいと思います。しかしお客様は平均月1回以上
来られますから1年では 1.01の12乗=1.12となる訳です。
一方CSのセンスがないSSは、100人の内、1人が無言で去っていく訳ですから、
0.99の12乗= 1年で0.88  即ち両社の差は 24%。こうなるととても大きいですね。

社員従業員満足度(ES)の方が遥かに大事

1SS1カンパニーならともかく、どこの企業でも、トップが、直接お客様と接することが
出来るのはせいぜい数%でしょう。という事は、お客様から見た会社のイメージは、
アルバイトも含めた従業員が決めているという事実を直視すべきだと思います。
トップがいくら 口で「CSが大切だ。お前らしっかりやれ」と言っても、従業員の皆様が、
それを心を込めて、実践してくれるかは、実はESの問題です。 まずは
自分の仕事に納得して誇りをもってやっているか。
上司や部下との関係はうまくいっているか。
正しい評価、公平な評価、その基準が公けになっているか。
給料には納得しているか。情報が与えられているか。
 (高いにこしたことはありませんなが、他の不満を給料だけでは補えません。)
その立場立場で、意見が言えるか。それが取り入れられる環境にあるか。
仕事に参画出来ているか。自己向上の機会があるか。
自分が会社や上司、同僚から理解されているか、そして必要とされているか。
トップや経営者と対話の機会があるか。
少なくとも1年に数回、直接言う、或いは、聞く機会があるか。
以上の様に、ESとは誠に広範囲なもので、一朝一夕にはできず、だからこそ、その会社の
実態を表していると思います。
本当のやる気次第で、大卒と高卒の差すら逆転出来る
とあるA社の大卒の平均的な能力を「7」、一方弊社の高卒の能力を仮に「5」としましょう。
A社の組織機能不全でESが低く、その大卒も5の実力しか出していない。
一方弊社の高卒は、常に前向きで、その5の実力を150%のやる気で補い、そして日頃から
自分の能力向上の為に勉強し続けているとすれば、その能力が逆転することは明らかです。
更に「逆境に強いか」「危機管理対策」を会社としてしっかり教育しているか、本人も自身の
総合能力の向上と言う目的で学んでいるかで、この違いは決定的なものとなるでしょう。
SSや或いは中小企業には、「所詮良い社員は集まらない」と嘆く話をよく聞きますが、
それは教育以前の段階で既に経営者が言い訳をしている訳で、ベストを尽くして募集した
人材なら、それを育ててこそ中小企業の経営者ではないかと思っています。
社員教育とは何か、自称「業界NO1一所長会」をご披露します。
弊社で申し上げる社員教育とは、社員の兵隊的な販売戦力強化ではありません
目的は、良き社員になってもらう=良き業界人=経済人=社会人=魅力ある人間
になってもらう必要があるのです。従って毎月の所長会も下記のように実施しています。
1.所長会(9時-14時の5時間)の最初の1時間を使って、時事問題を討論しています。
  この1ヶ月間、一番記憶に残ったニュースや出来事は何か?。単なる感想や評論ではなく
  自分が当事者だったらどうするか、 その対策まで主体的に考えて討議します。
  従って私から一方的に話すのではなく、皆から発言してのディスカッションです。
  その結果、通勤時等にマンガを読んでいた所長が、日経新聞を読むようになりました。
2. 次に石油業界問題をテーマに討議します。
  原油高騰問題、元売合併提携、LNG販売、 SS業界にとって最も大変な問題は何か。
  その結果、SSで勤務していても、大会社的歯車ではなく、 石油業界の一員なんだ、
  という 自覚が芽生える供に、業界紙一般紙への弊社の登場回数から、 社員にとって
  たまたま入った?かもしれない会社が、それなりの会社であることに気付いてくれます。
3.そしてようやく、市況確認と価格方針決定に入ります。
  各SS所長から末端市況報告。会社からは、RIM(業転)や元売の仕切価格動向報告。
  その後、当月の販売価格や看板表示価格等を合議で決めてい訳ですが、私が価格を
  指示することはせず、各所長の方針が、 結果として会社の方針と一致するよう、私と
  各所長との常識や考え方のずれを、常に修正するようにしています。
4.それから一般的な販売会議に入ります。
  販売目標に達しなくても、一方的に怒るのではなく、目標が正しいか或いは、ニーズが
  あったかのか無かったのか。お勧めをしたのかしないのか。=やってだめだったのか
  やらなかったのか。そして現状分析、問題点の把握、対策の検討、実行を行います。
5.普通の所長会はこれで終わりですが、丸秘議事録は次項で説明します。

もしあなたが経営者なら、所長の立場にたって考えて下さい。単に怒られて責任だけ
押し付けられる所長なら、或いは所長会なら、誰も参加したくなくなるでしょう。結果、昇進
意欲も無くなる。そうではなくて、所長会は自分の為にも勉強になるし、万一垣見油化を退職
したり、或いは業界を去っても、この所長会は絶対参加したい。こう所長から思ってもらえる
魅力ある所長会を開催し続けることは、やはり会社の、そしてトップの責任だと思います。

伝言ゲーム式 議事録作成の薦め

職人気質で「背中から盗め」や「 言わなくても分かっているだろ」は今の時代にはもはや通用
しないと思います。それは「教える方の甘えか怠慢」でしょう。
「言っておいたじゃないか。」も
日本の経営者がよく使う言葉ですが、相手が聞いたか、更に理解したかどうかは分かりません。
では冷静に考えて、会社やトップが、重大方針を発表してから、現場で従業員が実行するまで
一体、幾つのプロセスがあるか考えて見ましょう。
 仮に私が、100の内容を話したとします。
 所長が、音声として聞けた事はせいぜい90%。
 所長が、それを日本語の意味として理解出来たのは70%。
 所長が、心から納得したのは50%。そして、やる気になったのは30%。
 所長が、行動したのが20%、
同じ繰り返しで行くと、所員に、話して、聞いて、理解し、納得し、やる気になって、行動し
達成出来るのは、恐らく最初私が話したことの数%でしょう。恐ろしいと思いませんか。
ではどうしたらよいのでしょうか。私は、議事録を作る事をお勧めします。しかし私が作って
しまったのでは、私が発言した内容なので、それが伝わったかどうかは分かりません。
そこで当社では、出席者から一名、そして所長会に出ていない、優秀な若手社員に作って
もらっています。会議後、その若手社員は各所長を質問攻めにします。そして各所長の
ニュアンスが随分違う事にその社員は驚きます。後から聞いて私自身も驚きました。
そして数日後、所長会出席者の代表と、出席しなかった若手社員が作成した議事録案が
メールで送られてきます。この微妙な違いが実に面白い。そして私がそれを微修正して
2週間後に最終版を全SSにメールで送ります。こうして、所長会の内容が、複数回、
全社員に配布される事になります。
結果として、所長は益々会議をよく聞くようになり、そして参加するようになりました。
そして出来ない約束はしないが、した約束はしっかり守るという様な雰囲気も生まれました。
若手社員研修会やアルバイト研修会は何をするのか
では若手社員或いは、アルバイトに対しての研修会は何をやるべきでしょうか。
普通なら、声だし=活気訓練、お辞儀45%度、商品知識、そして販売技術の基本、そして
油外商品販売は人件費以上に稼げというノルマの付加、と指導されていくことでしょう。
しかしその結果、大切な社員をもっと大切なお客様と「戦わせてしまう」可能性があります。
最悪の場合、嫌悪感から仕事に魅力を無くし、仕事を流したり、退社する事もあるでしょう。
若手だからこそ、そしてアルバイトだからこそ「魅力ある人」に育てたいと思います。

1.最初に自己紹介をやります。すなわち自分のアピール練習ですが、突然なので出来ない。
2.次に何故自己紹介が、うまく出来なかったのかを考えます。
 「プレッシャーがあった」と答えます。では「何故プレッシャーと感じたのか」
 「それは突然だったから」と言い訳けをしますが、それに備えて事前に練習をする。
 これを毎回繰り返していると、俺に振ってくれないかなあ、という自信につながり、
 会議に参加する姿勢も、積極的になり、自分をアピール出来るようになります。
3.そして所長会の前半と同じようなことを、反応を見ながら実施していきます。
4.更に色々丸秘ノウハウがありますが、これはまた次回にしましょう。
5.そしてもうひとつ大切なのは、トップとのコミュニケーションでしょう。
 彼らは業界にそまらない新鮮な目で、業界をそして会社を評価しているのです。
 それも無理無理時間を割く、という気持ちではなく、「教育」「会社」「業界の今後」或いは
「趣味」の話でも、それを題材に語り、聞く姿勢が大切です。
彼らの素朴な意見には、きっと会社の改善すべきテーマのヒントが数多く隠されています。

よく「当社ではOO教育をやっている」と聞きますが、OntheJobTreingすなわち業務的指導と
混同しているケースが見受けられます。これも確かに大切ですが、外食産業で言う接客の為
のあるいはPOSの使い方のマニュアルビデオみたいなもので、当社で言う人間性魅力向上
教育とはちょっと異なるものであることをご理解頂ければ幸いです。
自社そして業界のバージョンUPのために
自称業界NO1の毎月の所長会や、年1-4回の若手研修会で、当社従業員は間違いなく
レベルUPしました。そこで、更にそれを徹底するため、
1. 長期アルバイトにも、CSES研修会を実施しました。
2. またそれを日頃勉強の機会が少ない、弊社取引先販売店の若手二世にも公開しました。
3. それを元売の幹部様にも、聴講して頂きました。
4. そして9月には静岡石商関係者様のご依頼により、系列を超えて講演させて頂きました。
 また過去には、東京未来研究会、エネ庁政策勉強会、東京海上火災、先物会社研修会
 東京消防庁勉強会、また取引先ではない元売の東京支店プロバー特約店会等、色々な
 ところでお話させて頂きましたが、今後も、もしご希望があれば、業界のCSES向上の為、
 可能な限り、お引き受けして行きたいと思いますのでお気軽にご相談下さい。

最後に良い企業とはどのような会社でしょうか。それはやはり、お客様から必要とされ、
信頼され、それが結果として、その会社の競争力となっているような企業でしょう。
それを実現するためには、従業員の販売技術を磨くことも然る事ながら、その従業員の
業界人として、経済人として、社会人として、そして人間的な魅力を充実してもらうことが、
一番の近道ではないかと思います。
またこのようなレベルで「従業員満足度」UPの為に、会社としてやるべき事を考えてみると
それは何も社員教育だけではなく、会社の日常業務の全てに改善の余地があることに
気が付きます。それには、コストが掛かるでしょうか。給料UPのようなものはむしろ例外で
トップの意識とやる気さえあれば、かなりのESレベルまで改善出来るような気がします。
またそれは企業規模の大小には関係なく、それぞれのレベルで出来ることが沢山あります。

「大切なお客様」と「大切な従業員」から高く評価された企業は、取引先や銀行からも評価
される事は間違いないでしょう。それは経営者や株主から見ても、そして地域社会や最終的
には、国家から見ても、間違いなくよい企業であるばすです。
   一年間本当にありがとうございました。そして来年もどうぞよろしくお願いします。