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ホルムズ海峡は本当に解放されたのか 原油価格は下落中も、タンカー運賃と船舶保険は |
2026年6月19日に締結された覚書の内容
14項目の覚書の内容は、勃発した戦争の「全戦線での戦闘終結」と
「最大60日以内の最終合意達成」を目指すための枠組みです。
項目1:すべての戦線での紛争の終結 項目2:「内政」の尊重
項目3:延長可能な60日間の期限 項目4:アメリカが封鎖を解除
項目5:ホルムズ海峡 項目6:イラン復興の資金
項目7:制裁の終了 項目8:核兵器を保有しない
項目9と10:「現状維持」 項目11:イランの凍結された資産の解除
項目12〜14:監視と最終交渉
これを要約すると以下の3つの主要な柱に基づいているようです
軍事・安全保障:全戦線での即時・恒久的な戦闘停止、
30日以内の海上封鎖解除と米国部隊の撤退、
60日間のイランによるホルムズ海峡の安全航行確保。
核問題と現状維持:イランの核兵器開発放棄の再確認、IAEAの
監督下での濃縮ウラン希釈処分、最終合意までの核開発凍結と
米国の追加制裁・増派停止。
経済制裁解除と復興:イラン産原油・金融取引等の制裁適用除外
(ライセンス)の即時発行、凍結資産の全額解放、および3千億ドル
規模の復興支援計画の策定。
イスラエルVSレバノンのヒズボラの火種他、心配事項多々ある
覚書の最初にある「すべての戦線での紛争終結とは、イスラエルと
レバノンの紛争が含まれている」は米国やイランも認識しています。
しかしイスラエルのネタにエフ首相は、自身の汚職問題もあり、何かと
理由を付けては戦争を終結させたくないようです。トランプ氏の数度の
怒りを買っても、レバノンからの撤兵をしないようです。
一方イランがヒズボラを支持しているようですが、かといって隷属下
にはないのでイランもヒズボラをコントロール出来ていないようです。
もう一つは核問題です。最終的に60日で合意に至るとは思えません。
核を持たないというか放棄したウクライナは、ロシアに攻められました。
核を持たない台湾も中国から脅されています。しかし核を既に持った
北朝鮮には、米国もといえども手だしはしていません。
3つ目の懸念は、ホルムズ海峡の通行料です。60日間は通行料無し
とされていますが、60日後は、対岸国のオマーンと安全を担保する
サービス料名目で徴収を開始するかもしれません。
国際法で、国際海峡の自由な通行は保証されていているので、
復興協力費名目で1KLあたり1$程度なら支払っても良い気もします。
安全第一の日本は、船舶保険がかけられないと運航出来ないので
限定期間ならありかもしれません。一方世界には、きな臭い国際海峡
は多数存在します。世界各地の国際海峡で 色々理由を付けて通行料
ならぬ、水先案内料を取られたら資源エネルギー輸入国の日本にとって
は大打撃なので、サービス料を安易に認めることは出来ないでしょう。
幸いにして下落して来た 3指標原油価格
では次にWTI、ドバイ、ブレントの世界的な原油指標価格が、この半年間
毎日どのように推移したのか見てみましょう。以下はグラフは、
「Gemini搭載のAIアシスタントにより生成」した推移イメージグラフです。
政府主動で調達して来た5月6月7月の原油数量 その価格は?
一方政府主動で5月以降、中東産以外のアメリカ産原油等の調達に
奔走して来ました。その詳細は6月11日に資源エネルギー庁のサイトで
発表されていたので、以下に掲載します。しかし価格は上記のような
下落した価格ではなく、最高値近い、或いは更なるプレミアム付きの
価格だと思います。その詳細は注意3の通り安全上から非公開です。
タンカー運賃や船舶保険料の急上昇は、余り報道されていない
さて石油業界の人間として、タンカー運賃や船舶保険料等ついて
上がっているとしか報道していないのが、極めて残念です。そこで
AIを利用しながら、過去1年間の運賃+保険コストを調べてみました。
まず下記グラフのオレンジ色は、中東から日本までVLCC級の約35万
トンタンカーで運んだ時の平時の運賃です。
312万ドルなので160円なら1航海、約5億円(約1.4円/L)で運べたが
ピーク時には、420万ドル、約6.7億円(1.9円/L)になったということです。
でも考えて下さい。この3月〜4月はあくまで計算上の数字であって
中東からは原油は、ほぼ輸入出来ず、湾内に拘束されたままです。
それを補うために、仮に20万トン級タンカーを急遽用船して、米国の
メキシコ湾まで取りに行った時の推定価格が紺色の点線グラフです。
効率の良い35万トンタンカーではなく 20万トンしか確保出来ないとして
その距離も中東から日本は約20日対して、米国メキシコ湾からは
パナマ経由で35日です。但しパナマは約8万トンまでしか通れないので
実際は喜望峰周りで約50日は必要で、これが恒常化するなら、必要
タンカー隻数も倍なると言えます。米国からは、670万$=10.7億円。
これを20万トンで割ると5.3円/Lに急上昇します。
Gemini搭載のAIアシスタント作成 推定タンカー運賃保険料の推移
最終的には財務省通関統計が一番正しい
以下は皆様に最もお伝えしたい内容です。財務省通関統計を石油連盟様が
要約版を6月26日に公開していますので、これを下記に纏めました。
5月の原油は2025年度輸入量を月割にした1166万KLに対して
472.6万KLの40.5%を確保した。しかしその価格は114円/Lと戦争前の2月の
64.4円/Lや2025年度の平均価格67.6円/Lに対し、約50円/Lも高い。
一方ナフサは月間必要輸入量の166.6万KLに対して 91%に当たる152.6万KL
を確保したが、その価格は2月の62.7円/Lや2025年度の年間平均63.2円/Lに
対して倍近い約60円/Lも高いのです。
よって政府の「必要量は確保した」という発表は正しいとは思いますが、
輸入単価は倍になったこともはっきり教えて欲しかったと思います。
尚ナフサはあくまで2025年の月平均輸入量に対する割合で国内生産も含む
総需要を満たしてはいないと思います。
各石油製品の販売、生産、輸入、輸出、在庫は
失礼しました。エネ庁HP、6/30 の1330に発表されたので、更新しました。
是非クリックして拡大してみて下さい。前述の通り一番心配なナフサですが
輸入数量は166万KLということで前年比84%まで確保出来ています。
ナフサの生産も前年比93.8%まで回復。その結果販売も前年比81.2%まで
回復しています。しかし前年比で20%減がこのまま続き、かつ仕入れが
前述の通り2倍となると やはり大幅値上げや代替品での対応も
余儀なくされると思います。当社のような中小商社が輸入するポリエチレン
等の原料も価格は2倍数量は前年比 半分という感じです。
補助金価格も大幅下落
本年3月19日から復活した今回の補助金=中東情勢を踏まえた激変緩和措置
は3月19日以降 30.2円、3月26日以降48.1円、4月2日以降49.8円です。
昨年12月に廃止された暫定税率25.1円の代替財源も見つかってない
と聞いていきますので、昨年比では約75円もの補助金が支出され
その累計総額は約9兆円。責任ある積極財政とは言えないでしょう。
昨今の食料品の消費税率0%や1%や給付付き税額控除問題もあるのか
もしれませんが、日銀が利上げしたにも関わらず円レートは162円までの
下落は、資源のみならず、昨今は食料まで輸入している日本国民としては
極めて心配です。
しかし原油価格の下落で、補助金も6月25日以降は6円に、7月2日以降は
4.8円まで縮小したのでかなりほっとしています。逆に言えば次の項目の
補助がなければ、原油指標価格での補助金は0円だったのでしょうか。
算定方法変更を発表 詳細はこちらのエネ庁ページを確認下さい
さて今までの補助金算定は、ドバイ価格を基準にしていましたが、
これはFOB価格で、今月説明した運賃や保険の急上昇を含んでません。
しかし資源エネルギー庁は7月2日から算定方法を急遽変更すると発表。
「緊急的激変緩和措置の支給単価の算定方法変更について」
代替調達の拡大に伴い、元売事業者が市場価格を上回って支払う金額が
増加していくこと を踏まえ、備蓄原油も含めた調達の実態を反映しつつ、
ガソリンの全国平均小売価格を170 円程度の水準に抑制する観点から
補助金の算定方法を見直す。具体的には、調達に要する費用の実態に
基づき、「調整単価」を翌月の支給単価に反映する。
7月2日(木)からの支給単価において7月分の「調整単価」4.9円を反映。
今後、月次で 「調整単価」の変動を算定し支給単価に反映する。
これは3月1日から6月20日まてのコストUPを反映し、8月以降は
7月20日までのコストで順次見直しをするそうです。この4.9円。
今までは安い備蓄放出分と相殺して来たようですが、今後は備蓄放出は
減少するので、今回見直ししたと思います。原油のFOB価格ではなく
運賃や保険も含めたCIF価格に陽が当たるのは大変良いことだと思います。
国内市況と業転市況について
日本国内のガソリン、軽油、A重油の注目油種の、業者間転売価格や
大手元売の卸価格は以下の通りです。ガソリンや軽油も含めて
系列高の業転安となりました。A重油だけが若干ですが業転高です。
世間的な風潮としては、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」なのでしょうか。
またホルムズ海峡が完全解放されていない今ですら安定供給は、
業転より少し高いことをご評価頂けないのは残念です。
ホルムズ海峡の現在の通行量と回復 以下はあくまで筆者推定です
ステータス 平均通行量(隻数) 戦争前比較
戦争前(通常時) 約100〜130隻 基準(100%)
危機時(3〜5月) 数隻(90%以上減少) 戦前比 約5%〜10%
米イラン合意後6月下旬 70隻超(一時的) 戦前比 約50%〜60%
直近7月上旬) 約24〜35隻前後 戦前比 約20%〜30%