SS業界の皆様への応援歌
 大歓迎+感謝を込めて不安を払拭します
あなたは4月アラカルト企画の番目のお客様です。
まずは新年度に当って当社のみならずSS業界、そしてエネルギー業界に
来て頂いた皆様。入社おめでとうこざいます。そして当社やこの業界を選んで
頂き誠にありがとうこざいます。大歓迎させて頂きます。
また新たに昇進された方。一つのSSを任された店長様もおめでとうこざいます。
今月はその皆様への応援歌にしましたので、研修等のお役に立てば幸いです
              2024/4/1 初掲載  文責 垣見 裕司

新入社員の皆様にお話ししたこと
入社式では以下のお話しをさせて頂きました。
「「新入社員の皆様は、ご家族や大切な人から 垣見油化ってどんな会社?
何故垣見油化を選んだの」と聞かれたら何と答えますか?」と質問しました。
1分、3分、10分。だったらどう答えますか。今アルバイトをしている友人の
転職に関する質問だったら60分必要かも知れません。
その自分なりの答えを作るには、やはり会社を知らないと答えられません。
従って2日間多くの社内講師が色々な話をしますが、単に聞くだけでなく
参加して下さい。また各講師のルールには従ってほしいと思いますが、
分からないことをスルーしてしまうのではなく、しっかり質問して下さい。
また創業153年の会社なので、変えてはいけない伝統と、過去に縛られては
いけない、すなわち新しく挑戦すべきところも多々あると思います。
そのような特徴をもった垣見油化で、自分の出来ることは何か。その答えを
見つける2日間にしてほしいと思います。以上が朝の挨拶です。

化石燃料はまだまだ必要=だからこそ化石燃料はまだ高い

垣見油化は、悪く言えば世間や環境重視の方からみれば「化石燃料」
を扱う会社です。日本でも普及している例えば太陽光発電に本当の
実力があり、発電出来ない夜や雨の日も含めて安定供給出来るなら、
太陽光に変わった分だけ化石燃料のニーズは下がり、需要と供給の
バランスが崩れ、結果として化石燃料価格はどんどん安くなるはずです。
 では現実に化石燃料が安くならないのは何故でしょうか。日本国内
に限っても水力を含む再生可能エネルギー割合は2022年度で約23%
まで高まりました。逆に約5%の原子力を引いた72%は化石燃料が担って
いるのです。従って石油に限らず、天然ガス(LNG)においても理不尽な
戦争を続けているロシアからサハリンUのLPGを輸入しなければ
ならないのです。
 従って環境によいと言われるEVではありますが、それは完成した後
の走っている時の話で、その走る為の電気は72%が化石燃料で発電
されている事実をもっと国民に知って頂く必要があると思います。
 私は動物大ぁぃ好き。だから動物殺したことないと仰る方は、お肉は
一切召し上がらないのでしょうか。完璧なベジタリアンでもない限り
多くの日本人はお肉を食べていることでしょう。
 エネルギーも同じで、特に日本のエネルギーの国内自給率は11.3%
しなく、OECD諸国の中でも37番目の低さですから、我々化石燃料業界
は、今の事実をしっかり情報発信していかなければならないと思います。

液体燃料は2030年は勿論、40年も50年もCN率を高めながら残る

まず新しく入られた方も含め一部の方々が誤解をされているのは、
2050年にカーボンニュートラルが仮に達成されるとして、石油需要が
ゼロになってしまうと思われていることです。
私が確信を持ってお伝えしたいのは、2030年は勿論、40年も50年も
完全なカーボンニュートラルの実現に向けてその比率が上がって行く
だけで「液体燃料」は絶対に残ると思います。
但しその時の液体燃料の定義は石油だけではなく、
@合成燃料からの液体燃料
A原油採掘時にその原油を燃やした時に出る量のCO2を油井に
 閉じこめてしまうCCS原油由来の液体燃料
B植物系や食料用等の廃油から作られたバイオ燃料
C以上をコストとCN割合を考えてベストミックスしたのが私の言う今後
の液体燃料です。その化学的性質は、従来の石油とほぼ同じなので、
既存のSSのハードやタンクローリー等の物流資源がそのまま使える
のが最大のメリットです。 「安心して下さい」が海外でも受けているそう
ですが私も「安心して下さい。石油は液体燃料として残りますよ。貯めて
おけない電気に全て変わることはありません」と言わせて下さい。

その液体燃料の数量

但し現在の石油燃料が全て残る訳ではありません。その予測の前に
過去からどのくらい減ったのでしょうか。 ガソリンのピークは2004年度
の6148万kL。10年前の13年度は5361万KL。22年度は4547万kL
なのでピークからは26%。数量にして、1600万KLも減少しました。
一方SS数も94年末のピーク60421から22年末の27963への減少
なので1SS当たりは今までは増えていたのです。
以降、今後のガソリン需要に影響を与えそうなことを考えます。

日本のEV販売割合は確かに伸びてきたが

次世代自動車振興センター発表の日本の新車販売におけるEVやPHV
の割合は以下の通りです。日産のEVリーフが2代目となり航続距離が
伸びた2017度は1.13%ですが、2020年までは1%以下。よってガソリン
需要を考える時は無視しておりました。しかし21年度は軽自動車では
事実上三菱i-MiEVだけでしたが日産がサクラを販売。これが大ヒットし
以降1.3%、2.7%、そして23年度は4月から12月までで3.1%まで伸びて
います。保有台数全体はまだ無視でいいとは思いますが平均で0.8%
だった新車のEV割合が4倍になったことは重く受け止めたいと思います。
日本では少しずつ伸びて来たEVですが、海外はEV一辺倒状態です。

海外はむしろ失速

IEA国際エネルギー機関の発表によると世界の新車販売に占めるEVと
PHVの比率は2020年以降に大きく伸び、20年4.2%、21年9%、
22年は14%です。上を見るとEV一辺倒の感じだった欧米各国ですが、
実はここ半年くらい前から、大幅に後退したのではないかという気が
してきました。以下単発ニュースのご紹介ですが、これだけ揃うと、
大きな変化の予兆ではないかと思います。
 1 テスラ メキシコ10億ドル工場新設投資を延期
 2 フォード EV投資の計画の内120億ドルの延期を発表
 3 メルセデス・ベンツ 2030年までの完全EV化を表明していたのが
  @25年のEV+PHV販売比率50%目標を20年代後半に先送り。
  A30年の完全EV化を見直し、エンジン車の販売継続を表明。
 4 フォルクスワーゲン、EVの減産を発表。
 5 英国スナク首相。内燃機関の発売禁止を2030年から5年遅らせ、
  35年とすると発表。
 6 米アップル、EV開発計画を中止すると発表(AIに投資)。


2040年のガソリン需要減は

以上を総合するとSS経営に直結するガソリン数量の将来予想は、
2020年比の2040年で、良くて半減の50%。最も厳しい数字で80%減
という予想が聞こえてきます。
この液体燃料の数量の減少と合わせ液体燃料のカーボンニュートラル
比率を上げて行くことで、30年46%減。40年で推定70%減、そして50年で
100%減を目指せばいいのだと思います。
軽油についてはトラック等の大型車両に使われているので、代替燃料
としてバイオディーゼル等が期待されますが、トラックEVは小型のみに
限られると思うので、軽油はガソリンほど落ち込まないと思います。

SS業界の勝ち残り戦略は

このガソリン減少を踏まえてのSS業界の勝ち残り戦略の話は
神奈川石油商業組合で3月7日に2時間講演と更に懇親会でも色々
お話しさせて頂きましたが、纏めると以下3つになりました。
 A 従来型カーケア商品。王道は洗車とコーティング。レンタカー、
  車検、リースを含む新車、中古車販売等です。急速充電設置は、
  垣見油化セルフ河辺で実証したが既に撤退。期待出来ず。
 B SSと相性の良いビジネス。 実例はLPガス兼業、電気、
  都市ガス、損保生保、リフォーム、介護リフォーム、お掃除代行他、
  ホームライフ系に進出可能。
 C 脱SS、卒SS。例えば不動産賃貸事業賃貸ビル、マンション
  アパート、コンビニ、コインP、外食産業等です。
以上勝ち残るSSが2万なら、その数だけ秘訣はあるのです。
私はSS業界の将来に全く不安を感じておりません。これが新入社員は
勿論、全社員、そして業界の皆様が、不安なく、むしろ自信を持って
自らのお仕事を頑張れることに繋がれば幸いです。