2022年度日本の1次エネルギー需給
 環境とエネルギーはセットで考える
あなたはエネルギー問題企画の番目のお客さまです。
新年、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくです。

さて昨年暮れに資源エネルギー庁から2022年度のエネルギー需給実績。
そして環境省から速報ではありますが、2022年度の温室効果ガスの
排出量データが発表されました。新年のスタートはこの二つの資料の
データと図表を紹介しながら、現実的な環境とエネルギー業界のこと
を考えて行きたいと思います。
                  2023/12/31 文責 垣見 裕司

エネルギー源別一次エネルギー国内供給    第1表
まずは下記のエネルギー源別の一次エネルギー供給表です。


表の数字の単位は熱量である「ジュール」で、Pはペタ、すなわち10の
15乗(1000兆)となります。ちなみに1ジュールは1ニュートンの力で
物体を1メートル動かすときの仕事量で1ジュールは約0.24カロリーです。
このエネルギー量を原油換算百万KLにするときは、PJ単位の数値に
0.0258を乗じるので、12089PJは原油換算で311百万KLとなります。

日本のエネルギー化石燃料で供給されている現実

総供給は19496PJですが、輸出や在庫評価を除いたものが国内供給と
の説明があるので、この国内供給を分母として解説して行きます。

第一は日本のエネルギーは、これだけ環境だ太陽光だ再生可能
エネルギーだと言っても、まだ83.5%が化石燃料に頼っている現実で、
それは32年前の1990年の83%とほとんど変わっていないのです。
この1990年は9.6%を原発が担っていましたが、2022年は2.6%に低下。
この減少分を補完したのが、再生可能エネルギーです。90年の1.4%
から2022年は7.4%まで躍進しているのは評価に値します。

しかし過去10数年、あれだけ再生可能エネルギーに補助金をつけて
普及させて来た訳ですが、現実はこの6%増程度なのです。

化石燃料の主役が今でも石油、石炭、天然ガス(LNG)

その化石燃料ですが、主役は1990年の56%から下がったとは言え、
石油が31.2%を支えているのです。第2位は天然ガス?と思われる
かもしれませんが、実は石炭で25.8%。そして3位が天然ガスで
21.5%
なのです。

環境を唱える自称専門家の皆様、そしてテレビコメンテーターの皆様。
脱石油だ、脱石炭だというのは簡単ですが、ではそれ実現した後の
不足分どう補うのでしょうか。太陽光を普及させて来ました。その結果、
例えば九州電力管内は昼は太陽光発電を優先させ化石燃料発電を
全て止めても、需要を上回ってしまう日があるほど普及しました。
しかし、夜や雨の日は発電しないので、化石燃料発電所を廃止する
訳には行かないのです。

逆に冬場の夕方から夜の暖房需要で増大する電力用に1年間に
数日間、それも数時間しか動かさないための火力発電所の年間
維持費は誰が出すのでしょうか。

化石燃料を叩く環境派の皆様。是非再生可能エネルギーが、自身が
発電しいときのバックアップ電源まで含めて、そしてそのコストも含めて
真の実力をつけるまで、やはり化石燃料に敬意を払って頂きたいです。
ましてや損保会社が例えば石炭火力発電所の保険を引き受けない
ことは社会的責務からの逃避です。損保さんも株主に対してその社会
的責務をしっかり説明すべきだと思います。
化石エネルギー依存度と石油依存度の12年間の推移
下記表の通りですが、東日本大震災前の2010年から表示していることに
大変重要な意味があるので上記表と一部重複しますが掲載しました。
震災で福島第一第二が停止、その後1年で日本の原発は安全確認の為
全て停止したのが2013年です。その原発の不足分を火力と再生可能エネ
ルギーが補ってきた苦労の歴史です。


実質GDP当たりと国民一人当たりの1次エネルギーの推移

温室効果ガス排出量についてCOP26での中国の削減目標は
2025年までの5年間でGDP当たりで18%削減するというものです。
しかし経済成長を年率5%とすると、CO2排出量は10%近く増大し年間
136億トdに達し、現在の排出量124億dから12億dも増加します。
では日本もこのような表現をするとどうなるのか。そのデータは
2005年対比の17年間で、GDP比は174/232=75%すなわち25%の削減
一人当たりでは7.6/9.6=79%、すなわち21%削減したと言えます。


エネルギー起源のCO2排出量の使用部門別の推移

環境省発表も含めエネ庁が部門別CO2排出量の推移を纏めたものです。

エネルギー由来のCO2排出量は9.6億dで、その内55%を企業の工場や
事業所が排出しているのは、概ね想像の通りです、大規模工場を持つ
製造業は34%なので省エネがやはり期待されます。一般家庭が16.5%。
電気とガスだと思いますが、これが運輸部門の20%より小さいのは意外
でした。逆に言えば、自動車や航空機、そして資源輸入国日本の物流を
支える船舶等の省エネが必要だと言うことが分かります。

垣見油化は2022/10-2023/9期もカーボンニュートラル達成

今月企画は2022年度の日本の一次エネルギーの実態を解説したもので、
私や垣見油化が環境門題に対してエネルギーを優先せよと申し上げて
いるわけではありません。セットで議論していくべきであり、環境派の
理想をもし実現するならば、そのコストはどのくらいかかるのか。
この議論をコスト付で国民にオープンにしてほしいです。その結果として
例えば電気代が2割3割増しではなく、英国のように2倍の3倍になるなら
国民はそれを負担するのか。それとも中国のように2060年に先送りか。
とにかく 環境とエネルギー問題はセットで考える必要があると思います。
最後に垣見油化は11月の株主総会資料に「カーボンニュートラル達成
報告書」を添付しました。取引先様始め銀行からも「垣見油化規模で
ここまでやっているのはまれ」とご評価を頂きましたのでご報告します。
 カーボンN達成状況報告書はこちら  今月企画の出典は以下の通り
https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231129003/20231129003-1.pdf