ガソリン需要減予測とSSの勝ち残り戦略
@カーケアかA関連ビジネスかB卒SSか
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先月、今年の講演内容の項目だけをご紹介しましたが、一番肝心なのは
ガソリン需要減予測とSS業界の対応というか勝ち残り戦略です。項目だけ
では書ききれませんし、月刊ガソリンスタンド9月号や石油連盟主催の9月21日
開催の青森講演のテーマでもありますので、じっくりご説明したいと思います。
 尚、石油連盟のWEB講演2020年、2021年版は、下記からご覧になれます。
 石油連盟WEBセミナー どうなるどうするエネルギー業界 2020-2021
             Ver1 2022/8/29  1700 文責 垣見裕司

過去ピーク=2004年=17年前から何%減ったのか
私が今一番知りたいのは2030年、35年、40年のガソリン需要です。
2050年はその先の先なので、とりあえずは、2040年までの需要減です。

それを予測する前に、まずは過去歴史を振り返ってみます。
過去ガソリン需要のピークは2004年度の年間6148万kLです。
2021年度は4451万kLなので72%すなわち28%も減少しました。
しかし元売は大変だと思いますが我々SS業界は余り実感がありません。
それもそのはず、SS数のピークは1994年の60421です。
そしてガソリン数量のピーク年の2004年度末のSS数47584です。
2021年度末は28475なので、1SS当たりの数量は逆に増えていた
からなのかもしれません。

1994年度 5035万KL÷60421SS÷12ヶ月= 69KL/1SS
2004年度 6148万KL÷47854SS÷12ヶ月= 107KL/1SS   
2021年度 4451万KL÷28475SS÷12ヶ月= 130KL/1SS   

もっともこれはあくまで業界全体の話です。あるSSが撤退したとしても
そこで売っていた数量が近隣のSSに平均的に分散されるわけではなく、
私の印象としては月間500KL以上売るような量販SSがもって行くという
であろうことは捕捉しておきたいと思います。

しかし近年、その全体の話としても、SS数の減少は6年連続で1000
箇所を割り、昨年は530SS減なので、1SS当たり給油量は今後減少し
経営が本当に苦しくなるのはこれからなのかもしれません。
ガソリン需要を予測する時の私の考える3つの要因
過去20年で約30%も減少しましたが、これから20年で更に30%も減少
するのでしょうか。 過去20年との今の最大の違いは、現在のガソリン
価格が補助金なしなら200円を突破する超高価格だということです。
 今の補助金が順次なくなりガソリン価格200円時代になると流石に
使用自粛が始まると思います。
 二番目は、環境問題とガソリン価格高騰とEVに対する補助金の増額で
EVシフトが加速するでしょう。先月も少し紹介した日産軽eVサクラと
三菱の軽ekクロスの販売は下記の通り絶好調のようです
 もちろん電気も高騰しているのですが、ガソリン税=道路使用税が
電気にはかかっていないので、ガソリン車と比べるとEVの方か相対的に
安いのです。先日、日産に行ってきました。サクラは約240万円ですが、
国と東京都の合計で約100万円補助が出るので普通の軽自動車と大差
なく、家庭用蓄電地が4kWhで約100万円を考えれば、かなりお買い得で
しょう。 下記は 全国軽自動車協会連合会自販連 発表資料の抜粋 
  各月の販売台数 6月 7月 8月 9月 3ヶ月計 参考
日産軽eVサクラ 1675 3319 3523 4247 12764 軽EV
合計
15937
三菱軽ekクロスEV 426 552 597 1058 2633
軽自動車販売台数 135,366 135,201 110,967 153,121 534,655
軽自動車EV比率 % 1.55% 2.86% 3.71% 3.46% 2.88%
日産リーフ 1340 1546 1142 1177 4099 登録車
EV+
PHV
合計
25800
登録車EV台数 2169 3379 2034 3279 7582
登録車PHV台数 3306 4147 2863 4323 10,316
  参考トヨタミライ 49 14 10 29 102
登録車合計販売台数 169,680 186,711 154,316 211,585 722,292
普通車PHV+EV比率% 3.23% 4.03% 3.17% 3.73% 3.57%
自動車販売台数(軽含む) 305,046 321,912 265,280 364,706 1,256,947 総合計
41197
登録+軽車EV比率% 2.48% 3.54% 3.40% 3.62% 3.29%
私が危惧する三番目は、運転免許保有者数の減少とその高齢化です。
今までは微増だったのですが、18年末の8231万人をピークに減少し
昨年末は8189.5万人です。警視庁運転免許保有者2021年月末
また年齢構成も激変しており24歳以下の若者は531万人しかいない
のに70歳以上は1285万人。75歳以上だけでも610万人なのです。
 高齢者のアクセル踏み間違い事故多発の中、身分証明書代わりに
免許証を所有し続けるものの実際には運転していないか、家族に運転
を止められている高齢者の増加はガソリン需要減に直結するでしょう。
     
2040年のガソリン需要 ENEOSの長期計画 伊藤敏憲先生
では業界NO1シェアーを誇るENEOSは2040年をどう見ているので
しょうか。ENEOS2040年で検索すると大きく2つがヒットします。

ENEOSグループに於けるESG経営 2022年3月8日
https://www.hd.eneos.co.jp/csr/meeting/pdf/esg_ex_20220308.pdf

一方 2019年5月13日作成2020年5月20日一部改定
ENEOSグループ 2040年 長期ビジョン
https://www.hd.eneos.co.jp/company/system/plan.html

どちらの資料もガソリン等の数量が何割落ちると明言はしていません
が、最初に2040年ガソリン半減を見たのはこの日経の記事でした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41129380Z00C19A2EA5000/
しかしその後はENEOSのみならず各社とも半減と予想しているようです。

一方業界解説でお馴染みの伊藤敏憲先生は、明言されています。
前提条件として自動車保有台数は横ばい。新車の販売構成は7%。
新車のEV割合は、25年2%。30年13%。35年50%。
ガソリン新車の燃費は廃車の65%等で計算すると
21年比30年で25%減。35年で50%減。40年では80%減でした。

伊藤先生からこの資料を拝見したのは、実は本年の2月のロシアの
ウクライナ侵攻前でした。従って冒頭に記載したガソリン200円による
買い控え等は想定していないと思います。また新車のEV購入比率も
先生の前提は2025年で2%でしたが、これも前述の通り、本年6-7-8月
からはそれを超えているので、2040年ガソリン80%減は、当たらずしも
遠からずなのかもしれません。


お客様は我々SS業界に何を求めているのか SSの生き残り戦略
では我々SS業界は、2030年でガソリン25%減。35年で50%の減。
40年で80%減の変化にどう対応すればよいのでしょか。
私どものSS業界の全国団体、全国石油商業組合連合会では
2018年に、経営多角化等の成功事例として以下を発表しています。

 1 SS+簡易郵便局
 2 SS+宅配ボックス設置
 3 SS+家電ボランタリーチェーン
 4 SS+道の駅 隣接の災害対応SS
 5 IoT活用灯油タンク管理
 6 LLP活用で灯油配送合理化
 7 老舗2店の合併での効率化  詳細は下記アドレス参照
  http: //www.zensekiren.or.jp/09ssguide  
各成功事例はそれぞれの地域の特徴を最大限活かしたものですが
東京のSSの参考事例になるかと言えば、それは少し違うようです。
私は、仮に最終的に20000のSSが生き残るとすれば、その方法も
やはり2万通りあり、他の事業者が簡単に真似が出来ない秘訣がある
からこそ、そのSSが勝ち残れるのだと思います。
我々の東京のSSへのお客様ニーズは何か
では我々東京のSS業界の勝ち残り戦略は何なのか。
また東京のお客様は、我々SSにその立地としてのインフラも含めて
何を求めていらっしゃるのか。以下は、自身の想像を膨らませる意味
でも、敢えて箇条書きにしてみました。 まず
 
 @カーケア商品か。 ASSと相性の良いビジネスか。それとも
 B脱SS、卒SSでその不動産の有効利用か。

王道は洗車とコーティング。レンタカー、車検、リースを含む車販です。
コンビニ、カフェ、コインランドリー、クリーニング取次ぎ。各種物販。
宅配BOXの併設等はSSの立地や広さが重要な要素です。

LPガス。電気販売、都市ガス販売、損保生保、リフォーム事業等、
ホームライフ系に進出可能か否か。

SSからは撤退。卒業をするという意味では不動産事業が有力です。
賃貸ビル、マンションアパート、コンビニ、コインP、外食産業、コンテナ
但し、同じ東京でも、都心部、23区内、都下三多摩。駅からの距離等
の立地により全く異なると思います。
例えばコンビニや外食産業も東京では既に飽和状態です。
現在営業中のSSでもコンビニ出店可能は何と2割以下なのです。
 詳細は是非 「SS跡地」でGoogle検索をしてみて下さい。

一方、東京とは真逆の寒冷地、豪雪地の灯油等はガソリン以上に
最後の砦かつラスト1マイルを支えているので当分大丈夫だと思います。

SS過疎地は規制緩和でむしろビジネスチャンスです。
ノズル付6KLローリー等で灯油、軽油の他、ガソリン販売も特区
申請や規制緩和(計量器、製品の積置き、保管駐車場所、SSでの
ガソリン積載)で実現すれば、ビジネスとして十分成り立つと思います。

気になるニュース、日本-原発再稼働、 米カ州 2035年HVも禁止

@岸田文雄首相は24日、これまでに再稼働した10基に加え、7基の
原発について来夏以降に再稼働を進める方針を示した。7基は、
関西電力高浜1、2号機(福井県)、東北電力女川2号機(宮城県)、
中国電力島根2号機(松江市)、東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)
日本原子力発電東海第二(茨城県)。  
いずれも原子力規制委員会の主要な審査を通っており、すでに
各電力会社が再稼働に向けて動き出しているものだ。ただ、いずれも
安全対策工事や地元の同意がえられず、再稼働時期は不明。
(参議院選挙前から議論してほしいです。50年解決しない核廃棄物問題)

A米カリフォルニア州の環境当局は25日、2035年にガソリンのみで
駆動する新車の販売を全面禁止する新たな規制案を決定した。
26〜35年にかけて段階的に電気自動車(EV)などの販売比率を
高めるよう各自動車メーカーに義務付ける。州内の新車販売の
10%強を占めるハイブリッド車(HV)も35年以降は販売禁止とする。
(但しPHVは電池だけで80km走行可能ならは販売可とのことなので
 電池増量とプラグ装着をすればいいので対応可能でしょう。)

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