燃料油価格激変緩和事業の詳細解説
 全国平均170円突破で1月27日より発動
あなたは燃料油激変緩和事業説明企画の番目のお客さまです。

本来2月企画は、昨年暮れに環境省から発表された温室効果ガス排出量の解説に
しようと思ったのですが、原油価格が再び上昇し、1月24日の石油情報センターの
調査による全国のガソリン税込平均販売価格が170.2円になると発表されました。
 これを受け萩生田経済産業大臣が1月25日の午前に記者会見を行い、国に
よる燃料価格の高騰抑制政策が発動することが報告されました。
 私が知る限り、オイルショックの価格高騰の際、灯油価格を据え置き、その分を
ガソリンに転嫁する行政指導を行ったことはあっても、燃料油の卸価格について
国が元売等に直接補助金を出すのは初めてのことと思います。しかし1月25日の
お昼のニュースでは、NHKですら「卸価格を値下げする」という誤解を招く報道を
しておりました。本制度は卸価格の値上げの抑制であり値下げではありません。
 卸価格の中の基準原油価格から上昇した分について、最大5円まで補助を出す
制度なので、あくまで値上げ抑制であり、卸価格を下げる制度ではないのです。
 従って今月はこの制度を、正しく解説する緊急企画にしたいと思います。
   2022/1/27 14時初掲載 3/4更新 3/23更新 Ver13 文責 垣見 裕司

燃料油価格激変緩和事業専用のHPが出来ました
まずは下記HPをご覧下さい。https://nenryo-gekihenkanwa.jp/

3月10日より補助金額が5円から25円に拡大された 3/16更新

ロシア軍のウクライナ侵攻により原油価格は大幅上昇しました。
これに対し政府は、最大25円までの補助金増額を発表。
3月10日より実施されることとなりました。尚
今回より
基準原油価格方式ではなく以下の計算式となりました。
A+B+(C-D)-172円=E 今週の補助金額  25円決定
Aは毎週月曜日の全国レギュラーガソリン平均価格(水曜発表)
Bは前週の補助金単価
Cは1週前の日経ドバイの週間平均
Dは2週前の日経ドバイの週間平均
172円は4週間変更無し

尚、国会等では4月以降も継続と岸田総理は答弁しておりますが
エネ庁HPは3月末までとしています。予算の関係でしょうか。

尚今回から日経ドバイ平均が月曜〜金曜が火曜〜翌月曜に変更

コロナ下における燃料油価格激変緩和対策事業とは何か?

「コロナ下における燃料油価格激変緩和対策事業」の説明は、
上記HPで以下の通りなされています。

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」については、
令和3年11月19日の閣議決定に基づき実施する施策です。

原油価格高騰が、コロナ禍からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため
激変緩和措置として、燃料油の卸売価格の抑制のための手当を行う
ことで、小売価格の急騰を抑制することにより、消費者の負担を低減
することを目的としています。


正に太字下線部の通り、急騰の抑制であり、値引きではないのです。
また補助金額も最大5円(3/3に25円に拡大の発表)です。また急騰
の抑制ですから、全国の小売り価格の平均を170円以下に抑えるもの
でもなく、発動後の4週間後の基準価格は171円。8週間後は172円と、
徐々の値上がりはやむを得ない」としていることからも明らかです。

3月17日の補助金25円はどのようにして算出されたのか 3月23日更新



以下の課程から算出されたものと思いますが弊社推定です(文責除外)
前記表の@からMと照らし合わせてご覧下さい。24日を今週とします。
@1月24日(月)の石油情報センターの全国平均価格が170.2円となった
A政府の決めた税込170円の基準価格から0.2円オーバーとなった
B2週前の原油価格59.41円/Lが基準となりAの0.2円を引くと59.2円/L
C前週の原油コストは2週前比+3.2円A0.2円を加算3.4円の補助決定
D1/24〜週の日経の原油コストが62.9円に確定 前週比+0.3円
E補助金単価は3.4+0.3=3.7円となり末端価格の値上げは抑制される
F翌週の原油コストが仮に-1.4円下がり原油価格が62.6円まで戻れば
  補助金は下がったが実際は上昇
G再来週の原油コストが64.4円まで1.5円上昇
H翌週の補助金単価は上限5円に到達した
I3.7+1.5=5.2だが補助金上限は5円なので仕入れは0.2円上がる
J前週補助金単価5円を加えて5週目基準算出、171.2円+5円=176.2円
K176.2-171=5.2円なので原油価格が仮に64.4円なら補助金は5円=M
L5〜8週目の原油コストの基準価格は64.4-5.2=59.2円で変わらず

以上は国が各元売等に差し引く補助金単価の計算方法の弊社推定です
日経ドバイは国が定めた指標で、各元売の実際の仕入れコストとは
異なるので、ENEOSと当社の仕切価格の変化を説明したものでは
ありません。
従って各元売りコスト変化 > 日経ドバイ変化の場合は
値上げもあります。また元売によって週決めか月末決めかも異なります。
本制度は今年度の予算につき今年度末の3月31日までの措置でしたが、
ウクライナ侵攻で価格は高騰、3/3に期限の延長が発表されました。

対称油種とその影響

対称油種は、ガソリン、軽油、灯油、重油ですが、軽油や重油が
含まれる影響は大変大きいと思います。LPガスは対象外です。
例えば本補助がないと来週の原油価格は3.2円値上がりします。
ガソリンはヘビーユーザで月間1000km走るとしても1リッターで
20Km走る軽自動車やHVなら使用量は50Lなので、最大5円の
補助でもせいぜい月間250円の補助総額ということになります。
一方、トラックやバス事業者で複数車輛を持つ会社の使用量が
月間100KLなら、5円で50万円の補助となるので大きいでしょう。
ビニールハウス農家が温度維持の為に使用する灯油やA重油。
また漁船なども燃料使用量は多いので朗報と言えるでしょう。

補助対象者は元売他、輸入権を持つ業者です

国から直接補助金を受け取る業者は以下の通りです。
実は「元売」とは業界用語で法律的な定義はありません。よって
製品の輸入権を持つ業者や商社にまで、広げられたものと思います

出光興産株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、ENEOS株式会社、
株式会社ミツウロコヴェッセル、兼松株式会社、カメイ株式会社
キグナス石油株式会社、コスモ石油株式会社
コスモ石油マーケティング株式会社、シナネン株式会社
西部石油株式会社、全国漁業協同組合連合会、全国農業協同組合連合会
全農エネルギー株式会社、大東通商株式会社、太陽石油株式会社
トーヨーエナジー株式会社、中川物産株式会社、日本精蝋株式会社
林兼石油株式会社、阪和興業株式会社、富士石油株式会社
ホクレン農業協同組合連合会、丸紅エネルギー株式会社、丸紅株式会社
三井物産エネルギー株式会社、三井物産株式会社
三菱商事エネルギー株式会社、三菱商事株式会社エネルギー
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現業者としての心配 価格の急騰抑制であり値下げではないこと

私は本制度に対しては消費者に誤解を招かないが本当に心配です。
上記を読んで頂ければ分かる通り、本制度は

 
燃料油価格の急騰の抑制が目的なので
 卸価格の値下げや末端価格の値下げを
 目的とするものではありません。


しかしNHKのニュースですら、「卸価格を値下げする」という誤った、
もしくは誤解を招く報道がされています。一方、25日夜のテレビ朝日の
報道ステーションでは、インタービューを受けたSSの店長が、やはり
「卸価格の値下げ」という誤解を招く表現を使っていました。

現業者の皆様。本制度は原油価格が下がれば、補助金はその分削減
されますので、卸価格が下がるものではないことを充分ご注意下さい。
まして「補助金分全額還元セール」などいう看板表示があるとすれば
それは、悪意に近い「客寄せ表示」だと思います。

既に170円超の販売も問題はないのですが、消費者の誤解が心配

私が危惧していた通り、誤った報道が余りにも多く、例えば、地価コスト
が非常に高い都心のSSや離島など輸送費が非常に高いSSでは既に
170円以上で販売されています。しかし本制度により、この価格が170円
まで下がると認識されるお客様が多いのではないかと心配しています。
その質問に答えるのは現場のSSのスタッフの仕事になってしまいます。
しかし報道ステーションのようにテレビ取材を受けることを了承した大手
特約店の所長でさえその時点では、正確に把握されていないようでした。
またご理解頂けないお客様の不満が、SSに向けらるのも避けたいです。
従って、本HPがお客様に正しい情報をお伝えるするための業界の方の
参考になるとともに、お客様にも本制度を正しくご理解頂ければ幸いです。

尚、SS経営者の中には、民間の経済原則で決まるはずの市況に対して
政府か関与すべきではない。あるいは単なる選挙目当ての一時的な
政策だと言う厳しい声も実は多いのですが、本制度は既に開始されて
いるので、その反対意見の紹介は、これで終わりにしたいと思います。

資源エネルギー庁の1月25日の発表資料

1月25日エネ庁発表の「激変緩和対策事業の発動について」と
本事業を国民に周知する「ボスターやチラシ原稿」を入手しましたが
エネ庁のHPのどこを探してもURLが見つかりません。経産省でしょうか。
取りあえず、弊社HPに置いて皆様には見れるようにしました。
もし本資料が公開不可の物でしたら、弊社までご連絡下さい。
即刻削除させて頂きます。 TEL 03-3263-0811

LPガス価格高騰対策も 国土交通省予算286億円 1/27 16時更新

本制度は残念ながらLPガスに適用されませんでした。しかし本HPを見た
LPガス業界の友人から以下の情報を頂きましたので追加掲載します。

国土交通省版の「地域の暮らしを創る持続可能な地域公共交通の実現」
という補助金で、ガソリンの全国平均が170円を超えた段階で、LPガス
1L当たり最大5円を上限にタクシー事業者に助成する制度があるそうです。
助成の詳細はこれからだそうですが、事業者が直接地方運輸局に申請
するシンプルな形式で、LPガス元売や卸会社は関与しないそうです。
タクシー業界もコロナで大打撃を受けているので朗報かと思います。