現在の東京は緊急事態宣言を出すべきレベル
 曜日別感染数表から分かる危険。ミクロとマクロで今後を予想
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本HPは毎月月初を目処に更新していますが、それまで待てないので7月24日から
前倒しで掲載させて頂きます。           文責 垣見裕司個人
   2020/7/24初掲載  27、28、31 8/4 12 25日表のみ更新Ver4

7月28日火曜の東京は僅か266人で危機感は緩む? 曜日別表の必要性痛感

7月28日の火曜は266人。その時点での東京の過去最高は、23日の366人
だったので、あれやっと下がって来たのかな。27日月曜日も131だし、
感染拡大の危機感は、今ひとつ感じられません。私ごとで恐縮ですが、
28日夜に予定されている約20数名の夜の会食は、私は心配なので欠席に
したのですが、地下室なのに予定通り開催されてしまいました。
現在の危険性というか恐ろしさを一目瞭然でお知らせする良い方法はないか。
熟慮の結果、曜日別、すなわち1週間前の人数と比べられる表を作成しました。
東京都やマスコミでは7日間平均は掲載していますが、そのゆるやかな右肩
上がりグラフより明快だと思います。1週前と比べて下さい。下記表楕円参照

東京都の曜日別、週別、新規感染者数推移表を作成

上表は、東京都発表の新規感染者数と二日遅れで発表される検査数です。
従って簡易陽性率も分かります。曜日別に並べたので縦に見て下さい。
7月23日木曜の366人に比べれば28日火曜の266人は一見少ないのですが
1週前の21日は237人。2週前は143人。3週前は106人と大激増です。
こうなると、今週の木曜や金曜の激増は避けられないことが明快でしたが、
残念ながらそれが当たりました。30日367名。31日463名です。検査から約3日
遅れて発表になるので、28日の検査数5542も勿論影響していますが、遂に
という感じです。出所 東京都HP https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
   感染者数は保健所から発生届が提出された日を基準とする
   検査実施件数は医療機関と健康安全センターの合計値
   検体採取日を基準とする。一部検査結果判明日に基づくものを含む
   5月13日以降は、PCR検査に加え、抗原検査の件数を含む
   速報値として公開。後日確定データとして修正される場合がある

過去最多を更新した都府県が続出 感染者も若者から全体へ拡大

7月31日の東京は463人で過去最多の23日の366人を更新しましたが、
それは東京だけではありません。7月31日までに過去最多の更新は、
私が調べた範囲だけでも、大阪221人、愛知193人。福岡170人。
兵庫62人、京都41人。特に沖縄の71人は、人口比では東京を上回り
そして国内全体でも1557人で2日連続で過去最多を更新しました。
 
7月31日の東京の新規感染者数463人の内訳は、年代別では20代
212人。30代120人で、全体の7割を占めます。一方、40代、50代
60代以上の割合も、121人で以前と比較して徐々に広がっています。
また463名の内の感染経路不明と調査中は289名ですが、東京都の
限られた職員数でこんな多くの不明者を追えるはずはありません。
感染経路判明者では、接待を伴う飲食店の従業員や客等の「夜の
接待関連」が74名でしたが、やはり1ヶ月前と違い、家庭内29名、
職場27名、会食16名と要因別も拡大を見せています。1ヶ月前なら
夜の接待だけを止めれば良かったのですが、ここまで拡大すると
もはや止められないのではないかと心配をしております。

医療体制は、もう既に大逼迫している

国や都は、医療体制はまだ逼迫してないと言っていますが、私個人の
印象は違うので、親戚や友人の医師に現状をお伺いしてみました。
そもそも救急救命や産科等は、コロナ前から非常に逼迫している。
地方都市では医師不足は深刻。産科のない総合病院も多数存在。
当局より要請があり、コロナ用のベッド数は、一般診療や手術をやめる
なり延期して、何とか確保した。医者や看護師の善意の努力で4-6月は
乗り切ったかもしれないが、それを更に続けることは既に限界である。
病院の財政も急激に逼迫している。コロナの診療報酬を倍にした位では
全く補えない。精神的苦労は10倍になったのに、病院の収益逼迫から
ボーナスを削られた看護師が悲鳴をあげたことが社会問題にもなった。
今後、コロナ患者を受け入れる病床数を増やせば増やすほど、手術等が
どんどん先送りにされ、コロナ以外の手術をすれば助かる命にも影響が
出てくる。 などなど、お話しをお伺いしたら止まりませんでした。

どうすれば良かったのか。ピンポイントでの休業要請とその最低限の補償を

ではどうすれば良かったのでしょうか。結果論かもしれませんが、少なくとも
手洗い、うがい、マスクと3密防止とその要請だけでは感染拡大防止は出来
ないことが証明されました。しかし4月のような多くの業種に休業要請をしない
なら少なくとも接待を伴う夜の飲食だけでも休業要請をすべきでしょう。
一人のお客に対して、複数人のホストやホステスが、入れ替わり立ち替わり
する(指名したとしてもその人がずっと居るわけではありません)のですから
普通の飲食と比較すれば、そのリスクは10倍以上あるでしょう。
コロナが拡大して日本経済全体が大打撃を受けるのと、夜の接客を伴う業界
だけが、影響を受けるのを比較すれば、自ずと答えは出ると思います。
あとはどこまで補償すべきかという金額の問題だと思います。
普通の飲食に関しては、人数の明確な制限が必要だと思います。2m離れ
て一人で30分で食べるなら、お店が換気等をしていれば、リスクは限りなく
少ないと思います。二人で30分食事をする場合でも向き合わず、1方向を
向いて隣り同士で食べるリスクを仮に1として、向かったらリスクは2倍。
3人で向かい合えば4倍。4人での向かい合いのリスクは、2人の8倍位に
になりそうです。更にこれは本人1人のリスクの上昇なので、4人が会食した
時の4人全体の例えばテーブルのリスクは、8x4=32倍に上がるのかも
しれません。

どうして緊急事態宣言を出さないのか

今の東京の状況は、前回緊急事態宣言を出した4月のレベルより、私は
間違いなく深刻だと思います。
あの時は、国民も都民も協力し、私も車で毎日通る新宿歌舞伎町は、
本HPでもご紹介した通り、推定95%減=5%になり、感染拡大は2ヶ月で
抑えられました。
しかし経済は疲弊。都の財政(貯金)は底を付き、もはや休業補償をする
財源はないのです。でも私は、休業補償が出来なくても、緊急事態宣言だけは
再度発令すべきと思います。
では何故政府は、緊急事態宣言を出さないのでしょうか。
一つは休業補償等財源の問題ですが、もう一つは出してしまったGoTo
トラベル等経済復興との政権としての整合性の問題だと思います。

GoToトラベルはどうすべきか

開始直前になって、基準も示さず東京だけを除外するのは、論外でした。
キャンセル料を補償するか否かも、場当たり的な話で、極めて残念です。
基準を決めていないということは、再開の基準もまた不明なのでしょう。
また高齢者の団体旅行や若者の団体旅行もだめ。でも年齢も人数も示さ
ないだけではなく、その決定を旅行会社に委ねているのも不可思議です。
政府として責任を取りたくないのかと言われても仕方がないと思います。

人数については私なら6人までの家族旅行が、ぎりぎり最大の人数でしょう。
乗車率を半分にしたとしても、40人乗りのバスを町内会で借り切っての
高齢者の旅行は、やはりかなりのリスクを伴うので対象外にすべきです。

ではどうすればよかったのでしょうか。もし旅行業界への支援が必要なら
大丈夫な場所をまずピンポイントで指定して、それを拡大していく方法です。
例えば、感染ゼロの岩手県内で完結する旅行でキャンペーン開始を予告。
その後も大丈夫なら、青森や秋田等の隣県にも広げて7月23日から実施。
更に感染拡大しなければ、8月から東北6県内に広げるなどの方法です。

そもそも、「感染が終息してから開始する」閣議決定での大原則のはず
なのに、強引に前倒ししたのは、年内にも噂される選挙目当ての意味も
あるのかという、穿った見方をする人もいそうです。
少なくとも7月30日31日の全国へ感染者の拡大を見ると、GoTO全国
ウイルス拡散キャンペーンになってしまったような気がします。

これからどうなるのか その1 ミクロからの積み上げで考える

今、毎日発表されている新規感染者数は、2週間から少し縮まって約10日前
に感染したと言われています。しかし国は「緊張感を持って注視ししている」
とは結局何もしていないということだと思います。その点では都知事や府知事
の方が、夜の飲食店の時間制約要請をようやく発出しました。ただ要請の
レベルですし、効果が出たとしても2週間後です。よって今の感染拡大がこの
まま続いてしまうのは必定ですが、本当にこれで良いのでしょうか。

4月5月6月は、本当に人との接触8割減で、コロナを抑え込みました。
しかし今は何もしていないのに等しいので、来週の東京は400〜500。
再来週は500〜700になる可能性もあります。そして日本全体では東京の倍。
恐らく1日2000〜3000人は時間の問題と考えておかなくてはなりません。

そうならない為に、少なくとも「緊急事態宣言」だけでも発出して、夜の接待を
伴う業種には、今直ぐ休業要請をかけるべきでしょう。
普通の飲食は、出来れば2名。最大でも4名の制限をかけた方が良いと思います

これからどうなるのか その2 マクロから許容範囲を考える

素人の私がここまで踏み込んで良いのかは、分かりませんが、経済優先派の
方々にお伺いしたいことがあります。日本政府、日本経済、そして日本国民は
コロナ直接死亡者数を年間何人までを許容するのでしょうか。

その前提条件の確認です。日本の人口は2019年10月の調査で約12600万人。
年間死亡者数は約137万人、月11万人、1日3753人で、内訳は下記の通りです。

1位 がん 37万3547人 ・・・1日あたり1023人 
2位 心疾患 20万8210人 ・・・1日あたり570人 
3位 老衰 10万9606人 ・・・1日あたり300人 
4位 脳血管疾患 10万8165人・・・ 1日あたり296人 
5位 肺炎 9万4654人 ・・・1日あたり259人 
その他
自殺者 年間2万167人・・・1日あたり55人(実際はこれ以上と言われる)
インフルエンザをこじらせて亡くなる方 年間約1万人、1日27人
不慮の事故、風呂場で転んだり等 年間9645人、1日26人(一部自殺者内在)
交通事故で亡くなる方 年間4596人 1日12人

今年はこれにコロナが加わります。現在は1006人ですが、今年度末に
何人まで許容するのでしょうか。仮にコロナの死亡者数年間12000人、
月1000人まで、本当に許容するのでしょうか。
さすがに、この議論までしているワイドショーにはまだ見たことがありません。
しかし経済優先なら必ず必要となる議論で、その究極がブラジルでしょう。

コロナで年間12000人死亡の場合は、医療現場は崩壊

最近のコロナは、検査数が増えたためか無症状と軽症者数が増えています。
よって死亡率を仮に1%とすると、死亡者が年間12000人なら月では1000人。
新規感染者数月間10万人、中等症3万人。重症者1万人。死亡者1000人
という数字で考えてみます。

中等症と重症者が1ヶ月で退院したとしても、4万人のベッドが必要となります。
その半分が東京だとすれば、新たに2万床が必要ですが、これはもう完全に
医療崩壊のレベルです。

そうなると前項で申し上げた3位の老衰は大往生としても、1位のがんや
2位の心疾患、4位の脳血管疾患や5位の肺炎の手術がまともに出来ない
こととなります。従ってコロナの影響で上記疾患に必要な手術が出来ない
ことによる以上の死亡者数は、かなり増えるのではないかと思います。

最後に私が一番危惧するのは、高齢者介護施設でのクラスター発生です。
そうなると数十人単位で「介護」を必要とする高齢者が病院に押し寄せます。
あの重武装の防護服を着た看護師さんが、「医療看護」に加え、下の世話等
「介護」までやらなくてなりません。これで看護師様の疲労やモチベーションは
一気に下がるでしょう。一部のスタッフの欠勤は、他のスタッフにしわ寄せが
行き、また欠勤が増え退職に繋がれば、一気に医療現場が崩壊するでしょう
病院のスタッフのES(従業員満足度)の低下は、そのまま医療の崩壊と
言っても過言ではないと思います。

以上は卓上での思考シミュレーションの結果は、1-2年後のワクチンが完成する
まで医療崩壊を起こさないレベルがやはり限度だと思います。その範囲でのみ
経済再生を考え、新規感染者数の増加を抑えることが必要だと思います。