最後の砦の一員として、水害対策も考える
 自分の命は自分で守る 杉並フェスタに出品
あなたは、水害対策企画の番目のお客さまです
                                    2019/11/5 Ver1
昨年、関西を襲った台風21号は、確か50年に一度とか言われていたのに
今年も15号、そして19号等、50年に一度クラスの台風が2個も来ました。
水没して営業出来なくなってしまったSSも多いので、今月は、エネルギー業界の
最後の砦としてのSS経営者として、水害対策を考えてみたいと思います。
                                     分責 垣 見 裕 司

台風15号の被害は、強風による広域かつ長期間停電をもたらした
昨年、最大勢力を保ったまま関西を襲った台風21号の最大瞬間風速は
関西空港で58.1mでした。業界人としては、肝を冷やしたタンカーの連絡橋
衝突事故等で、関西空港が正に海の孤島化したことは記憶に新しいのに
今年も50年に一度と言われるクラスの台風が二度も来たのは正に驚きです。

15号は千葉県で強風の被害を多数もたらしました。最大瞬間風速は57.5m/s
時速に直すと207km/hという新幹線並の強風は、電柱はもちろん、巨大な
高圧電力を送る鉄塔やゴルフ場のネットの支柱が民家に倒れるなど本当に
大きな被害が発生したのです。

そしてこの強風の二次的被害が、長期に亘る大規模広域停電です。
東日本大震災の津波被害を除けば、一つの台風でこれほどの大規模
長期停電は記憶にありません。
この結果、当然のようにガソリンスタンドには、長蛇の列が出来ました。
自家発電機のある災害対応SSが少なかったせいか。物流の問題なのか。
あるいは多くのSSが停電地域にあったせいか。その理由は不明ですが、
ガソリン不足パニックの解消には、停電解消と同じく位の時間を要しました。

台風19号の時には、社員の安全を考慮して休業とさせて頂きました

この台風15号の被害を教訓に10月の19号の時は、国や自治体はもちろん
我々市民レベルでもかなりの緊張感を持って事前準備がされたと思います。

弊社の直営SSでは、停電時でもSSの一部の計量機を動かせる発電機を
東京都様から補助金を頂いて購入しているので、原則営業の予定でした。

しかし、台風15号の時より始めた首都圏の交通網の計画運休が発表され
ました。その中で都心の大動脈のJR山手線さえ10月12日の土曜日12時
から運休するとのこと。これでは社員が安全に帰宅する術がありません。
 
自社のレンタカーを利用して帰る方法もあるかもしれませんが、昨年の
関西を襲った台風では、車やトラックでさえも横転させていました。

従って熟慮の結果前日の時点で、12日土曜日の全店閉鎖を決定しました。
しかし全直営で約60台あるレンタカーの予約はどうするのかも迷いました。
これも幸いお客様の方から前日までにキャンセル電話を頂いたり、また
こちらからお客様にお電話を差し上げるなどして、ご相談した結果、全ての
貸し出しがキャンセルとなりました。唯一12日土曜日午前帰着のお客様のみ
対応し、12日土曜日の午前中には最後の1SSも休業することが出来ました。

ちなみに台風は、私の自宅のある杉並区の高井戸東から高円寺駅上空を
通過していきました。携帯でのスクリーンショット。黄色の線が台風進路です。

台風19号の被害は、東日本全域に及びその被害は甚大

しかし台風19号は、米国で言うならハリケーンカトリーナ並の巨大台風でした。
正に東日本全域を襲い、河川の氾濫被害は、私の想像を超えるものでした。
堤防の決壊を伴わない越水ならまだしも、一級河川がこれだけ広範囲かつ
同時多発的に決壊したのは余り記憶にありません。
そして本当に残念なのが80数名もの死者を出し、そしてその中には自宅の
1階で亡くなられた方がいたことです。川崎市ではマンションの1階で男性が
水没死したそうです。本当に残念でなりません。

もう一つの要因が車で避難中に道路が冠水して水没、脱出出来ずに亡くなら
れたことです。何故ももっと早く避難できなかったのか。あるいは、避難を諦め、
自宅の2階等に垂直避難することは出来なかったのか。悔やまれてなりません。

地震は今の技術でも予知することは不可能です。しかし伊勢湾台風の時代なら
ともかく、台風や大雨は最新観測で48時間前、局地の集中豪雨でも数時間前に
は分かっているのです。

自分の命は自分で守る。避難をするなら早めにする。土砂崩れや濁流等で
家の倒壊の心配がなければ、家で垂直避難する。自治体には過度の期待は
しない。そして2階やその屋根裏に最低3日。出来れば1週間の飲料水と
非常食セットや簡易トイレを用意する。これで多くの命は救われたはずです。

一方、住みたい町ランキング上位の武蔵小杉のタワーマンションの地下の
電気設備が水没し、長期間復旧出来なかったことは、ビル設計者に道義的
責任はあるでしょう。天災ではなく設計ミスによるものかもしれません。どうして
も地下に電気設備を設置するなら水密ドアにする。費用は大してかかりません。
停電だけでなく水道も使えない。従ってトイレも使えない。 更にエレベーターも
使えないなら上層階では事実上生活出来ないでしょう。お見舞い申し上げます。
SS業界人としては出来る対策は 限られているが是非対策すべき
読者が業界人なら是非お願いしたいのが以下の対策です

1 国なり自治体なりで補助金が出ていると思いますので、ガソリン発電機を
  購入して下さい。計量機1台、ポンプは2台動かせるので、2台同時給油は
  可能だと思います。自動車のバッテリーで動く計量器もありますが、それは
  警察や消防等緊急車両用と考えるべきでとても一般車両への供給能力は
  ないように思います。
2 風対策としては、動かせるものは とにかく室内にいれる。ガラスドアや窓は
  補強シートを外側に貼って小石の飛散くらいでは窓が割れないようにする。
3 雨対策としては、パソコン等動かせるものは、とにかく二階に避難しておく。
  土嚢を積んでSSの敷地に水が入ってこないようにする方法もありますが、
  SSは広いので余り効果は期待できません。ハザードマップはかなり正確
  なので、その水深を見て出来る対策を事前に検討するのが良いでしょう。
4 飲料水や食料等を最低3日、出来れば1週間確保する。
  これは既に実施されている事と思います。
5 帰宅難民支援にトイレ等を解放する時のために「中水」を用意する。
  停電が長期間続くと、あるいは泥水が浄水場を襲うと、やがて断水し、
  その断水も停電以上に長期化することが判明しました。
  そこで用意してしほしいのが、上水(飲み水)でも下水でもない中水です。
  当社は全SSで雨水を集め、500Lタンクに貯めて、日頃から中水として
  使用しています。断水時、トイレの下水の配管が破損していないことが
  大前提ですが、この雨水をトイレの水として使用する予定です。
  水の500Lタンクはアマゾンでも購入出来、費用は15000円くらいです。

個人として出来る筆者の考えるローコスト対策とは

今回の台風15号と19号での被害は、弊社直営SSでは皆無でしたが、お
取引先様では、新島の販売店SSのガラスが割れてしまい、塩水を含んだ
風雨にさらされ電子機器はほぼ全滅でした。心よりお見舞い申し上げます。

その他ハザードマップ上、唯一注意を要する場所は、筆者の自宅なのです。
2006年夏の夜、杉並区を襲ったゲリラ豪雨で自宅前の道路が冠水しました。

今回改めて杉並区と東京都、そして国土地理院の防災ハザードマップを分析
すると私の自宅前の道路は、最大45cmの浸水可能性があるようです。

私の自宅は、1階が全部駐車場になっていて居住区域は2階と3階にあるので
その意味では大丈夫なのですが、1階の駐車場は、一部近隣の方にもお貸し
しているのて、車の水没はなんとしても避けたいところです。

そこで私は10分で組み立てことが出来る、防水板を自作することにしました。
縦180cm、横90cmの大きさで、厚さが12mmくらいのベニア板なのですが
コンクリート型枠パネル用なのでしょうか。片面がオレンジ色に塗られていて
耐水性はありそうなベニア板です。これを3つにカットしてもらって、180cmx
30cmの板を3枚作りました。中程を10cm重ねて、アルミの板をかませて
補強し、下記の写真のような簡易防水板を制作しました。
タオルを挟んでシャッターの両側の溝に差し込むと一応びしっと決まります。
地面との接触面もやはりタオルを敷けば、水の浸入はかなり防げそうです。
材料はざっと5000円程度。カットまでDIYショップでやってもらえば、制作時間
もまあ1時間です。止めるビスは、非常時、ドライバーなどの工具がなくても
指だけでで閉められる蝶ねじにするところまでこだわりました。


東京都も全力で対策してくれています

杉並区や中野区を通る神田川は、私が子供の頃は、よく氾濫していました。
この対策治水事業として、東京都河川部は、環状7号線の地下に貯留量
54万m3というとてつもなく巨大な調整池を2008年3月に完成させてくれました。
また私の自宅前の善福寺川も、杉並区成田西四丁目地区から荻窪一丁目
地区まで整備が行われ、3.5万m3の貯水池が2019年8月に完成しました。
このお陰で今回の19号の時は、善福寺川は問題なかったのかもしれません。
更に、杉並区松ノ木一丁目地区から大宮一丁目地区までの和田堀調整池も
既に着工し、1.75万m2もの貯水池が2020年度内に完成予定です。感謝x2

車は水深は30cmが限界 水没時はエンジンをかけずにディーラーに相談

では一般に車は、何センチの水深までなら走行出来るのでしょうか。
ネットで検索したところせいぜい30cmが限界のようです。具体的には、
車内に水が入らない高さ、マフラー位置まで等色々な記載が見つかりました。
また私の車アルファードHVに限ったことかは分かりませんが、トヨタ曰く
前輪か後輪がどちらかを守るなら、前輪をより高くしてほしいとのことでした。
そこで私は、駐車するときに前輪を嵩上げするために、自宅にあった廃材で
写真中央を自作しました。ネット販売では、写真右が8千円〜位でありました。
尚、JAFが実験した資料を日刊ゲンダイ様が纏めた資料が下記写真左です。
出所 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/210966

杉並フェスタ2019 防災品展示コーナーに出品させて頂きました

杉並区の桃井原っぱ公園で11月2日と3日に亘って開催された杉並フェスタ2019
の防災用品展示コーナーに、弊社は、LPガス発電機を出品させて頂きました。
杉並区は、私も住んでいることもあり、色々ご縁があり、杉並区の小学校の体育館
のエアコン設置について、半分は電気、非常の停電時を考え残り半分は、LPガス
を利用したガスエンジンヒートポンプエアコンをご提案したこともあります。来年は、
LPガスは災害に強く、都市ガスの代替も出来るなどをアピールしたいと思います。

東京都の小池百合子知事から感謝状を頂きました

10月23日水曜日、東京都内のホテルにて開催
された東京都高圧ガス保安協会主催の秋の大
会に於て、垣見油化瑞穂充填所が、日頃災害
防止と公共の安全に多大な業績をあげたとして
小池百合子都知事より感謝状を拝受しました。
LPガスはエネルギーの最後の砦と言われていま
すが、震度6強でも安全に運転再開出来る充填
所があってこそです。これを期に益々気を引き
締め、保安の確保と非常時の安定供給に全力を
あげたいと思います。謹んで御礼申し上げます