消費増税とキャツシュレス化
 SS業界のポイント還元を考える
あなたは本ポイント還元企画の番目のお客さまです 2018/9/2 Ver1

いよいよあと1ヶ月で消費税の10%への増税が始まります。過去の
1989年4月の3%創設。1997年4月の5%、2014年4月の8%への増税の時と比べ
良くも悪くも、あまり盛り上がっていないような気がするのは、私だけでしょうか。

更に、政権の自信の無さの現れなのか、食料品等に8%のままの軽減税率が一部
残ること。そして増税後の消費の落ち込みを防ぐ意味と、中小企業のキャッシュレス
化推進のための、ポイント還元制度が創設されました。 しかしこの制度、調べれば
調べる程難解で、書いている私自身さえ、よく分かっていないのです。
 今月は、一消費者として、そして小売り販売事業者の両面から、軽減税率の適用と
1ヶ月前になってもよくわからないこのポイント還元制度を考えてみたいと思います。

                  今月は本文の責任は負えません。 垣 見 裕 司

8%軽減税率適用がされるものは、基本持ち帰る飲食料品

参議院選挙が、何事もなく 過ぎ去ったからでしょうか。遂に消費税が10月より
10%に、2%分増税されることとなりました。しかし弱者救済ということで「食料品」
は一律に軽減税率が適用されるようです。
 
 ではまずこの「食料品」の定義から調べました。それは以下の通りです。
「酒類を除く食品表示法に規定する食品で一体資産を含む」、そして「外食」や
「ケータリングサービス」は、除かれるのだそうです。
 ここで問題となるのが、コンビ二でお弁当を買って、持ち帰れば8%ですが
イートインコーナーで食べると10%という不思議なことが起こります。
  もう一つの軽減品が、週2回以上発行され定期契約に基づく新聞だそうです。
何故新聞だけが特別扱いなのか。まさかマスコミ業界に忖度して、この制度を
応援してほしいという、逆忖度が働いたのではないとは思いますが、私には説明
出来ません。  以下、経済産業省の資料よりの引用です。


キャッシュレス・消費者還元事業

キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月1日の消費税率引上げに伴い
需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の
利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の9カ月間に限り、 中小・小規模
事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する事業です。

事業目的
要するに、需要落ち込み対策と、キャッシュレス推進、特にIT化が遅れている
中小企業向けのキャッシャー等の投資促進もあるようです。

実施期間
2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヶ月間 でも予定だそうです

消費者還元率
私の解釈ですと、基本は2%、コンビニ業界同様、フランチャイズというくくりで
ガソリンスタンドも2%のようです。一方零細小売店は、POSや端末のIT化が
進んでいないので、これを促進させるために5%なのではないかと思います。

補助の対象となる中小・小規模事業者
 卸売業は、資本金等が1億円以下、 または常時雇用する従業員100名以下
 小売業は、資本金等が5千万円以下、または常時雇用する従業員が50名以下

SS業界の対応は、元売別で考える

本HPをご覧頂いている方は、石油業界、そしてSS業界が
大企業の元売(精製と販売を含む)・特約店(大小様々)・販売店(主に1店)
の構造で成り立っていることは、ご存じと思います。
従って、元売子会社特約店は、上記対象から外れてしまいます。
一方弊社や弊社販売店は、事業参加規模を満たしています。
 しかし一般のお客様は、そのSSが元売子会社系か、当社のような独自
資本の中小企業かは、分かりません。
 そこで混乱をさけるため元売マーク全体というか、一体として加盟店の申請を
しました。従って国が指定した対象以外の大特約店分の還元コストは、元売が
自腹で補填しているのようです。
社名/想定月 発表 対象決済カードの主な例
JXTGエネルギー 2019年6月7日 ENEOSカード シナジーカードのみ
注意 EneKyeも上記カードの紐づけのみ
出光興産
昭和シェル カード系
2019年6月27日 出光カード、まいどプラス、ゴールドプラチナ
昭和シェルスターレックス、ゴールド、ポンタ
コスモ石油マーケィング 2019年6月28日 コスモザカードオーパス、ハウス
キグナス石油 2019年7月1日 キグナスオブリカード、α、キグナスジャクス
消費者に誤解を招きかねない大問題 元売系クレジットカードのみの対応
ここで大問題なのが、各元売とも、自社発行の元売系
クレジットカードしか2%の還元対象にならないことです。
また対象商品も、ガソリン、軽油、灯油等の燃料油のみ
で、オイル、洗車、タイヤ等は、全て対象外なのです。

お客様の立場に立てば、キャッシュレスなら還元してくれる
と思ってSSにいらっしゃるわけですから、これは大問題で
しょう。同様に何故洗車やコーティング、レンタカーは対象
外なのか。私には明確に答えることが出来ません。

当社のLPガス子会社で登録してやってみると 色々な矛盾が明るみに

上記の話は、弊社が、ENEOSのSSのフランチャイズとして、JXTG
エネルギーを通しての、還元業者の登録をした場合の話でした。

一方、弊社のガス子会社は、独自に登録する必要がありましたので、
期日までにその登録を済ませました。還元率は当然5%でした。
利用した決済業者は多くのクレジットカードや銀行自動引き落としが出来る
A社と、数社のクレジットカードの決済が出来て、小型の決済端末をお借り
できるB社にしました。

さて運用1ヶ月前になると、色々な矛盾があることが分かりました。
毎月のLPガス料金の支払いを例に考えます。
究極のキャッシュレスであるはずの銀行口座からの自動引き落としでは、
ポイントはつかないようです。しかし一般には、それと全く同じ機能である
「デビッドカード」で支払えば、ポイントがつくのです。また銀行の自動引き
落としではなく、クレジットカード社の利益になるクレジットカード払いにすると
ポイントがつくのです。これも何か、違和感を覚えます。

また今回のように独自で還元登録したLPガス会社で灯油を買うと5%。
隣にある弊社のガソリンスタンドで灯油を買うと還元は2%のみですが、
この差は何か。

以上の矛盾というか疑問に合理的な説明をして下さいと、もしお客様に
質問されたとしても、私にはその答えが分かりません。

還元の対象外商品=これ以外は原則対象商品 還元には上限金額なし

経済産業省の資料では、還元対象外の商品の記載がありました。
逆に言えば、この商品以外は、全て対象だということでしょう。
また各キャッシュレス業者によって1回の金額の上限額はあるものの
本事業は、需要喚起が目的なので、補助の上限はないとのことです。

○有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品小切手(商品券やプリカ)
○自動車 新築住宅 宝くじ、収納代行サービス、代金引換サービス
○給与、賃金、寄付金、その他本事業の趣旨に反していると判断されるもの

クレジット決済会社の手数料 3.25%は高すぎる

今回のキャッシュレス推進で一番利益化の上がる業界はクレジットカード会社
でしょう。一方新たに新規参入した、PayPayやLINEPayは、そのシェアー
競争のために、販売店舗からはまだ手数料を取っていないとお伺いしました。
一方消費者に対しては、5%還元とか、100億円キャンペーンとかやっていたので
少なくとも現在において利益というよりは、初期投資中ではないかと思います。
 政府はクレジットカード会社に対して、手数料の上限を3.25%としました。しかし
私の印象では、まだまだ高いと思います。
 
 我々ガソリンスタンドの平均的なセルフが月間200KL、単価150円で販売して
いるととします。現金決済比率はまだ50%あったとして、これが全てクレジット
カード決済に変わったとします。
 半分の100kl x 10%の消費税込みで150円が単価とすると、月間のクレジット
カード決済は、1500万円ですから、その3.25%の4.875円x100000L=487500円は
丸々費用増となります。

セルフのガソリンマージンは、少し前まではせいぜい5円。今でも7〜8円程度
しかありませんから、この4.875円の決済手数料が、如何に高いか、おわかり
頂けるでしょう。
筆者が携帯に入れてみた、キャツシュレス決済の使い勝手は?
筆者が最初に挑戦したのは、PayPayでした。
総額100億円還元キャンペーンをやっていたのでアプリをインストールしようと
思った途端に終了しました、やはり最初のキャンペーンは制度設計に問題が
あったのでしょう。一人の人に多額の恩恵があるよりは、1回の利用額の
上限を決めるなり、一人の還元額の上限を決めるなりして、多くの人が登録
するようにしたらよいのではないかと思っていましたが、早速第二弾の100億円
キャンペーンが実施されたので、私も即ダウンロードしました。
 しいて難しかったのが、チャージ方法でした。私の場合はクレジットカード
会社経由が、うまくいかなかったので、銀行からのチャージにしました。
幸いみずほ銀行はうまくいきましたが、三菱銀行はだめだったように思います。

次に入れたのが、LINEPayでした。LINEは愛用していたので、それ程違和感なく
インストールしてしまいました。
その次に入れたのが、ファミリーマートで使えるファミマペイです。こちらは
ファミマの店舗で、現金でチャージするので、ある意味安心だなと思いました。
最後に入れようと思ったのは、セブンイレブンペイでしたが、ダブル認証ではなく
マスコミ等に叩かれたていたので、セキュリティが改善してから、インストール
しようと思っていたのですが、何と普及中止になってしまいました。

結論から申し上げると、頑張って登録さえしてしまえば、お財布の中に小銭が
貯まらないので、やはり便利なのかもしれません。
注意点としては、銀行のネットバンキングの関係で夜間はチャージ出来ないこと
があるのと、会社のwifi環境下から、外に出てて、コンビニ等に入った時に、
ネットが接続がうまくいかないと、エラーになることがたまにあるので、コンビニ
等遣うお店に入ったら、携帯の決済アプリがちゃんと稼働していることを確かめる
必要はありそうです。

QRコード決済の主要4社 徹底的比較

プライベートブランドSSや、元売カードしか還元してくれないことに、納得のいか
ない系列SSが、消費税のキャッシュレス還元を受けようと思ったら、独自で
加盟するしかありませんが、例えばQRコード決済会社はどこがよいのでしょうか。
筆者の調べた範囲では、下記の通りでした。
ただそれぞれも更に引き落としがクレジットカードだったりすると、手数料が異なる
ので下記表で全てを網羅することは出来ません。あくまで参考程度にして下さい。

運営会社 利用者 手数料 還元 入金 その他
楽天ペイ 楽天 525万 3.24% 0.5% 楽天銀行は翌日
その他は翌々日
楽天ポイント利用化
PayPay SBとYahoo 851万 無料 0.5% 翌日、翌々日 手数料3年間無料
LINEPay LINE 3000万 無料 0.5-2% 月末締、翌末 精神的ハードル低い
Origami Pay (株)Origami 214万 3.25% 原則無 月末締、翌末 Alipay(アリペイ)対応
参考サイト
https://pipitchoice.jp/qr-comparison/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000007396.html

2020年6月終了後も心配

来年の6月以降の心配としては、当初は手数料無料でやり始めた各決済会社が
手数料を当然のように値上げしてくることだと思います。SS業界は、ガソリン
マージンが、地域によっては5%もないので、とにかく決済手数料の3.25%は
薄利多売型の販売をしているSSには、ボディーブローのように徐々効いてくる
と思います。当分の間は現金がゼロにはならないので、セルフなどは釣り銭機
は、当分必要なので、頭の痛いことは、まだまだ続くでしょう。