祝 JX+東燃ゼネラル=JXTG誕生
 業界正常化への期待と不安と応援歌
あなたは「JXTG誕生」企画の番目のお客様です。
まず最初に私はJXTGの誕生を心からお祝い申し上げます。業界特約店の中には
元売と特約店の力関係において、「元売の力が相対的に益々増大するから反対」という
意見も聞かれることは事実ですが、例えば売上100億円の当社にとって10兆円のJXとは
既に1000倍も違う訳ですから、そんな力関係の変化はもはや関係ないと思います。
そんな訳で今月はJXTG誕生による業界正常化への期待や応援歌にしたいと思います。
                                2017年3月31日文責 垣見裕司

合併前の両社の概要

単純比較は、当社HPの本意ではないのですが、最低限は必要なので下記に
記載させて頂きました。一部マスコミは「売上10兆円企業誕生」とありましたが
原油価格が高い2014-15年度には、JX単独で既に売上10兆円は超えています。
名称 JX ホールディングス株式会社  東燃ゼネラル石油株式会社
所在地 千代田区大手町1丁目1 番2 号 港区港南1丁目8 番15 号
代表者氏名 代表取締役社長 内田 幸雄 代表取締役社長 武藤 潤
資本金 100,000 百万円 35,123 百万円
設立年月日 2010 年4 月1 日 1947 年7 月26 日
発行済株式数 2,495,485,929 株 366,000,000 株
純資産 1,928,460 百万円(連結) 221,025 百万円(連結)
総資産 6,724,622 百万円(連結) 1,141,158 百万円(連結)
決算期 3 月31 日 12 月31 日
従業員数 26,339 名(連結) 3,306 名(連結)
主要取引銀行 みずほ 三井住友 三菱東京UFJ 三井住友 三菱東京UFJ他信託銀行

その他詳細は、JXホールディングスのプレスリリースより下記をご参照下さい。
http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20160831_01_02_1050061.pdf

新会社JXTGに期待することは需給調整です

新会社にまず期待することは、需給調整です。両社は2月24日に3月末の公称
能力の削減を発表しました。JXはマイナス14.3万BDで約10%、東燃ゼネラルも
マイナス7.15万BDでこちらも約10%の削減です。
その目的は第二次高度化法の基準のクリヤーで、実質的な装置の削減はあり
ません。 これが例えば電気代の基本料金なら、契約電力の引き下げは、即基本
料金の値下げになり、コスト削減となりますが、公称能力の削減だけでは、実質
経費の削減にはならないでしょう。
また新会社は数年後、具体的な製油所の廃止やトッパーの削減が計画されて
いると思いますが、まだ発表されてはいません。それは、雇用問題等の実際の
痛みを伴うので、正に合併してからじっくりご検討頂ければよいと思います。
また今検討されている第三次の高度化法は、公称能力削減ではなく、残渣油の
得率を世界基準に引き上げる実質的な規制になりそうで、こちらも注視しています

大切なのは、系列価格と業転価格の格差の大幅縮小

SS業界の皆様は、「製油所削減まで待てない」というのが本音でしょう。少なくとも
「外販玉」と称するブランド料の加算なしで安い価格で公然と販売をする姿勢は、
東燃はもちろん、JXにも即刻の改善を期待しています。 極端な話、これ実現出来
れば設備廃棄は不要なのです。 業転価格の値上げ目標は、海上業転価格を
輸入品価格+アルファー問う、元売が持続可能な利益を上げられる水準でしょう。
日本の元売全体での系列数量と業転数量の割合が、どのくらいなのかは存じ
ませんが、系列価格を値上げしても系列数量分しか利益貢献しないのに対し、
業転価格を上げれば、日本全体の販売量の積分値で元売の利益が改善する
ので、逆に言えば、系列価格やブランド料を下げる原資にもなると思います。
今は、元売が決める価格指標と業転価格の差が、第二のブランド料になって
いますので、これは早期に是正してほしいと思います。

ブランド料は幾らが適正か

さて系列SS経営者からはお叱りを受けるかもしれませんが、元売のブランド料は、
本来その元売が決めて、その価格も極端な話5円でもいいと思います。
但し、唯一絶対の条件があります。それは少なくともその元売の資本が入った
傘下特約店は、地域最安値にそのブランド価格を乗せて販売することです。
ジョイフルホンダが仮に120円だとして、ある系列元売のブランド料が5円なら、
その系列元売の資本算入会社のSSの最低価格は125円以上です。
地域の最低市況から5円高で販売して、内需なみの前年比数量を維持できるなら、
お客様もそのブランド料や価値を認めたと言えるでしょう。こう考えるとブランド料
を決めるのは元売でも、それを承認するか否かはお客様なのです。現実は、元売
販社はPBSSは、ほぼ同価格なので、ブランド価値がそれ程ない事を元売自らが
認めているように思います。

仕切り価格の一本化はいつか

SS業界経営者が今注目していることは、新会社の仕切りが、いつから一本化
されるかです。しかし私はENEOSブランドへの統一が決まっていた新日本石油
とjomoとの経営統合の時とは、事情はかなり違うと思います。
当面2ブランドで行くと公言しているのですから、価格が違ってもある意味あたり
前だと思いますし、米国のエクソンモービルに支払うブランド料分だけ違っても
よいのかもしれません。 以下全く個人的な推測ですが、価格は7月頃に一本化
されれば上出来でしょう。その一方、支払方法や担保提供となると、これは時間
がかかると思います。 以上、4月以降の業転・末端価格を色々申し上げて来まし
たが、JXと東燃の統合の成果は、以下の価格で判断出来ると思います。
@海上業転価格、A陸上業転価格、B系列基準指標、CJXTGのブランド料
DJXTGの元売販社や有名な量販SSの末端価格。この5つです。 

コスモがキグナス株取得

2017年2月21日。コスモエネルギーホールディングス株式会社とキグナス石油
株式会社との資本提携契約の話が報道されました。67%か最低51%保有して、
コスモ石油がキグナスを傘下に収めるのかと思ったら、資本算入割合はわずか
20%でした。株式購入は本年4月から6月末までに実施するそうです。
それ以上に重要なのが「本提携と共に、キグナス石油株式会社とコスモ石油
株式会社は3年後を目途に石油製品の売買取引を行う」という内容です。
キグナスへ石油製品を納入している東燃ゼネラルとの契約が2019年に終了
するので、それ以降は、コスモ石油さんが供給して下さいねという話だと思います。
コスモ石油のプレスリリースの締めは「本提携で国内燃料油販売シェアーは
14%となり業界の第3極となる」とあるので、これが一番言いたかったのでしょう。

キグナス石油の親会社である三愛石油は今ところ沈黙

このニュースを受けて一般紙はコスモのSS数(3054)とキグナスのSS数(493)
を加算し、いかにもコスモがキグナスを傘下に収めたような書き方をした記事も
ありました。でもキグナスは三愛の100%子会社で、当然上場もしていません。
80%を持つ絶対株主がいるのに、20%だけを持ったとしても三愛の同意なくして、
取締役の派遣すら出来ないでしょう。 三愛のHPを見ても未だに何のコメントも
出していません。あくまで「コスモ石油とキグナス石油の話です」とJXTGの取引先
として気を遣っているように思います。実は、三愛石油は非常に優良会社で、
前期売上は7500億円。利益こそ53億円ですが、長期借入金は僅かに100億円
で、お金に困っている会社ではありません。20%の株をコスモに譲渡して、製品
納入先のコスモの要望を聞いて顔を立てたのだと思います。

持ち株割合20%の意味

今回の資本参加の最初のきっかけは、ある情報筋によれば約半年前、キグナス
からコスモに2020年以降の製品供給の打診をしたことから始まったようです。
コスモの返答は「取引だけでなく提携を強固なものにするために、株を持たせて
くれないか」と逆提案したようです。では何故今回発表された20%なのか。以下は
私の推測なので、後は読者にご判断頂きたいのですが、拒否権が発生しない
30%未満は三愛の絶対ラインでしょう。コスモの方は、元売再編ではどうしても
2強誕生の中で出遅れ感があるので「第3極」と言いたい。そこで公取のお墨付き
が必要と言われるのは確か10%超なので、その間を取って20%にしたと思います。
三愛としてはJXTGとの契約があるので、JXTGに恭順の意を示す意味でも、
表に出たくはなかったのだと思います。
では何故キグナスは、2020年以降の製品の仕入れを心配したのでしょうか。
やはりそれまでの仕入れ先である東燃ゼネラルが、業界秩序の正常化をJXと
共に強く願って経営統合したことに他ならないと思います。

元売別系列SS数 セルフSS数 2016年3月末、社有=元売所有物件
元売会社 3月末数 前年比 社有 前年比 社有比 セルフ数 前年比 セルフ率 セ社有 社有比
JXエネルギ 10,548 -235 2,375 -29 22.5 2,805 +53 26.6% 1423 50.7
東燃ゼネラル 3,410 -71 798 -6 23.4 1,433 +22 42.0% 582 40.6
出光興産 3,666 -59 1,162 13 31.7 1,118 +59 30.5% 717 64.1
昭和シェル 3,193 -124 818 -33 25.6 986 -5 30.9% 499 50.6
コスモ石油 3,054 -79 717 -5 23.5 1036 +5 33.9% 579 56.9
キグナス 493 +3 92 +1 18.7 225 +11 45.6% 77 34.2
太陽石油 344 -2 132 +1 38.4 169 +5 49.1% 105 62.1
元売合計 24,708 -567 6,094 -58 24.7 7,722 +150 31.5% 3,982 51.2
全登録SS計 32,333 -1,177 PBは 7,625 PB比23.5% 9,275 +198 28.7% 推定
本表はよくわる石油業界 第5章 138頁 各元売HP及び燃料油脂他業界新聞より集計

東京都石油商業組合のある意味最大の事業 大手会で講演

さて話は変わりますが、2017年3月14日、東京都石油商業組合様のご要請で
同組合の主催する最大の講演会である「大手会」で資源エネルギー庁石油流通課
小山課長とともに講演をさせて頂きました。私のタイトルは

「深刻な人手不足へのSS業界としての対応」24時間営業を大幅縮小しませんか」と
「東京水素戦略会議出席報告 日産NOTE e-POWERの影響」です

今月は紙面がないので来月以降改めてじっくり書かせて頂きますが、幸いにして
全国石油商業組合連合会の機関紙「ぜんせき」と同Web版に大きく取り上げて
頂きましたので今月はそちらをご覧下さい

 ぜんせき 東京・「大手会」に80人 持続可能な業界環境へ
     小山課長 8類型を参考にSS経営改善
     垣見委員 24時間営業の縮小検討提案

 ぜんせきweb版 本来有料組合員しか見られませんが掲載許可を頂きました
     2017年3月22日号 関東・東京 組織 
     東京・「大手会」に80人 小山エネ庁課長と垣見委員が講演
ぜんせきWeb http://zensekiweb.com/は情報満載なので有料購読をお勧めします

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出版初日で、早くもアマゾンでの資源エネルギーカテゴリーで1位にランク

アマゾンでは、予定通り2017年2月23日未明より、予約受付から購入可能になり
ました。また23日15時には、アマゾンの資源エネルギー分野でお陰様で第1位
ガスも2位、旧本3位となりました。記念画像です。
 リアルタイムランクは下記参照

2017/2/27 17:00Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 3,435位 はピーク順位です