出光昭和シェル経営統合はどうなるNo2
 Google第3位ヒット記念 の続編です
あなたは本企画の番目のお客さまです 2016/10/25 Ver2

Googleで当社の本ページが大変なことになっています。「出光昭和シェル経営統合
で検索すると当社HP7月企画が 何と三番目でヒットするのです。出光や昭シェル
の経営陣やまして出光創業家とお会いする機会など一度もないのに、東洋経済の
2つ記事に続いて3番目です。本ページは事実の纏めとそれを私がどう思うかという
「推測」に分けて書いていますが、読者から頂く本HPでは書けないような膨大情報に
支えられているので正しいのでしょうか。このGoogle 第三位のヒットは続編を書け
という叱咤激励と解釈し11月企画は 出光昭和シェル経営統合続編にしました。
2016年7月企画を読んでから以下をご覧下さい。         文責 垣見裕司

7月企画も含め 時系列的な流れを一度おさらいします

2014年12月 日経やNHKが最初の報道 出光が昭和シェル株を取得検討
    TOBで5000億規模か 当社HP 2014年12月
    出光は検討の事実のみ認める。昭和シェルは、年末年始にかけ
    昭和シェル特約店大反対を受け、この時点では否定
2015年07月 出光はRDシェルからの昭和シェル株の購入予定を発表
    RDシェルの子会社SPCOは、出光に昭和シェルの株式33.24%を売却する
    価格は1691億円。一株当たり1350円。7月30日終値1170円に対し15%増額
    売却時期は、公正取引委員会等の審査を経て 2016年上半期の予定
    出光は、昭和シェルに対し、対等の精神で経営統合を目指す。
2015年11月 出光と昭和シェル 株取得後の合併で基本合意
2015年12月 出光創業家は合併反対を出光経営陣に通達 
    但し 両者での認識の差はある
2016年06月 創業家、出光株主総会では代理人が正式に反対表明
    但し 月岡社長他取締役選任案は辛くも可決 当社HP7月企画
2016年07月 創業家と出光経営陣会談するも平行線。
    創業家が 昭和シェル株を市場から0.1%分取得。
    以降インサイダー規制を理由に両社の正式な会談は持たれていない
2016年09月 出光、当局の審査遅れを理由に株取得時期を当初の
    2016年上期から 2016年10-11月に延期する
2016年10月 出光昭和シェル経営陣 2016年4月の統合予定を延期発表
    但し具体的な時期は示さないものの2-3年の単位ではなく1年未満?
新聞各社が1面で取り上げる他、経済誌や週刊誌は面白可笑しく報道
出光と昭和シェルの統合問題は、マスコミでも本当に大きく取り上げられて
います。日経他有力誌の1面やテレビ、各種経済誌でも取り上げられています。
尤も一部雑誌では、経済や業界ネタではなく、出光昭介氏の奥様と代理人の
弁護士浜田氏の奥様にまで言及しているにのは、呆れるばかりです。
マスコミ各社には、「面白可笑しく」ではなく、日本のエネルギーの根幹を
支える石油会社は、どうあるべかという経済視点での真実と正しい道筋を
報道して頂ければと思います。

2016/7/12 日経 電子版 出光、合併反対・創業家の怒り 一般株主にあおり

2016/7/13 日経ビジネス 「出光興産 創業家の乱が招いた三方塞がり」

2016/8月号 雑誌 選択 出光創業家 大奥の乱心

2016/8/15 日経Web 「創業家、昨夏は経営統合了解」 協議継続求める

2016/8/16 朝日デジタル 創業家の了解得ていた

2016/8/22 東洋経済 出光"内紛"激化で高まる経営統合破談の不安
  創業家が自腹で株購入 奇策で統合阻む

2016/9/9 プレジデントなぜ出光創業家は昭和シェル石油との合併に反対なのか

出光名誉会長は2015年12月17日、月岡隆社長に合併と株式取得に反対すると
明記した文書を送り面談を申し入れた。月岡社長が指定したのは翌年1月29日。
その後、出光興産から連絡はなく、5月23日に合併に反対する見解の内容証明
を郵便で送付、6月9日に月岡社長と再び面談したという。
「6月9日に先立つ 6月6日にはすでに株主総会招集通知が取締役会で決議され
同招集通知には昭和シェル石油との経営統合の実現に向けて準備を進めると
記され、出光家が反対していることは一切触れられていませんでした。
月岡氏のこのような対応は、出光家に不信を抱かせたばかりか、昨今取りざた
されている株主の権利、株主との対話を重視するコーポレートガバナンスコード
の理念にも反しています。大株主の反対を知りながら、その重大性を認識して
対応してきたとは感じられません」(浜田弁護士)
これに対して出光興産サイドは見解が全く違う。 「昭和シェルの株を買うという
話はこれまでにも名誉会長にはご報告してきていますし、了解を頂きながら
説明しています。変わったのは去年の12月から浜田代理人が交渉に入られて
から雲行きが変わってきた。そこがどうなんだろうと思っているのです」(広報)。

2016/9/15 創業家 浜田弁護士より出光経営陣への書面提出
        こちらも関係者より入手 公開許可を頂きました。

2016/9/27 日経 出光販売店 風穴あけるか 創業家ゆさぶり
  出光全国販売店会が創業家に合併を認めるよう具申書 ←コピーはこちら

2016/9/23 創業家より出光会会員の皆様へとする書簡
  創業家の書面での回答書 関係者より入手 昭介氏サイン入りです。
  但し既に新聞等で言われた内容に終始していると思います。

出光 2016/10/13に 2017/4月統合の延期を発表

そして今回の統合時期の延期の発表となりました。詳しくは出光HP
統合時期に関するお知らせ と
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2016/161013_02.pdf

ロイヤルダッチシェルからの株式取得のお知らせ をご覧下さい。
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2016/161013.pdf


この日の発表に関しては、80分の動画で見ることも出来ます。
私もこの動画を80分全て拝見しましたが、一言でいうと以下2点です
 
@創業家が同意しないままでの合併は本意ではないので合併を延期する。
A誠意を尽くすため時期はあえて定めないが2-3年ではなく1年以内位。

これに対し非常に多く集まった記者からの代表的な質問は
 「7月以降創業家のとの直接の話し合いが全く出来ていないに拘わらず
 時間をかければ同意が得られるという根拠は何か」でしたが、私ですら
も全国出光会他が応援してくれている他従来の主張の繰り返しに留まり
「なるほど」と思える具体的かつ説得力ある回答は無かったように思います。

10/13の新聞報道等の数が余りにも多すぎるので報道のリンクは省略します。



株式市場の評価は 新聞が言うほどの失望売りではない

さて今回出光経営陣としては決して褒められた発表ではなかった訳ですが
経営安定や評価指標の一つである株式市場はどう反応したのでしょうか。
以下 JXと 出光と昭和シェルの 約1年間の日足です。
新聞等では 何%暴落とか失望売りとはありますが、約10日たった現在では
昨今の原油価格上昇に伴う株価の上昇を吐き出してしまうなどいうことはなく
合併が簡単ではないのは織り込み済みで若干の値下げ要因程度のようです。
JXの特約店の私としては、むしろJX株が全く元気がない方が余ほど心配です。




読者の皆様からの質問等に関する私の見方(正しいかどうかは分かりません)

Q1 創業家が0.1%買い増したので、TOBにならざるを得ないのではないか
A1 RDシェルに理解があるなら、0.1%は市場で売り、残りの部分を出光に売る。
   現在の市場価格である約950円から400円も高い1350円で買う出光に対して
   最初の約定になくてもその程度のことは双方合意出来ると思います。

Q2 出光経営陣が増資をして 創業家の株主比率を下げる選択肢はないか。
A2 まず無いと思います。特定の株主の影響力を希釈するという目的が
   状況的に明白なので、増資差し止めを逆に訴えられると、裁判所は認める
   可能性が非常に高いと思います。浜田弁護士が代理人となってからは
   遅々として交渉が進まないのに、この期に及んで裁判所のお世話になる
   可能性がある選択肢は取らないと思います。


Q3 創業家の横暴ではないか
A3 一部上場かつ業界NO2の会社の株式を未だに1/3持っていることに、
   やはり敬意を評すべきだと思います。これが創業家でなく外資等なら、
   取締役の推薦依頼等は、当然会社側は受けるべきだと思います。
   結果論ですが、創業家に対する甘えや、もしくは礼を欠いたのだと
   思います。

Q4 出光1社で生き残る方法などあるのか
A4 あるかないか、生き残れるか否かは、時間が経ってみないと分かりませんが
   昭和シェルとの合併だけが唯一の選択肢とは思えません。合併前にというか
   今までにやっておくべきこと、これからでもやれる事は多々あると思います。

Q5 今回の問題で出光がRDシェルから株を買わないという選択肢はあるのか
A5 出光とRDシェルの契約内容は非公開なので分かりません。一般的には
   公取の許可が下りない場合も違約金なしでの契約解除となると思います。
   一方大株主への説明や了承は、契約以前の問題なので、創業家の同意の
   あるなしに拘わらず、昭和シェル株を、1350円という高値で買わざるを
   得ないのだと思います。のれん代という聞こえはいいのですが、投資有価
   証券含み損であることに違いはありません。

今後どうなるのか あくまで私の見解です

今、私が一番注目しているのは、出光は本当にRDシェルから昭和シェルの株
を本当に買うのか。買わなくてはいけないのか、買わなくてもいいのかです。
購入時期当初は2016年上期でしたが一度延期され10-11月に訂正されました。
しかし11月になろうとしているのに何の音沙汰もありません。このままだと
2017年4月に予定されているJXと東燃ゼネラルの経営統合にも色々影響が
出て来るでしょう。
 しかし前項A5の通り、また10月13日の出光の発表でも、RDシェルから購入は
予定通りと明言しているので、それは信じるしかないでしょう。
 もしくは、1350円で買う契約を破棄する時の違約金と、現在の価格との差、
すなわち評価損とどちらが大きいのかという究極の選択もあるかもしれません。

そして2016年11月末に株は買ったが、合併は出来ないという形が最も考えられ
るケースですが、そこで気になるのは会見での昭和シェル亀岡社長の発言です。
「出光がRDシェルから昭和シェルの株を買って関連子会社になっただけで
 終わりということはありえない」。心意気の表明なら結構ですが、これは出光が
RDシェルから株を買うという話なので、子会社の昭和シェルは口を出せる話では
ないのです。もし出光が買うのがいやなら、東燃ゼネラルの如く、自分で自分の
株をRDシェルから買うしかありませんが、それでは財務内容が大幅に悪くなり
現実的ではないでしょう。

あとは創業家の本音はどこか妥協点はあるのかとということです。私の勝手な
推測ですが、創業家とい納得のいかないところは、以下の3点だと思います。
 1 創業家の株主割合の希釈。
 2 合併すると サウジが大株主になってしまう。
 3 創業家というより大株主の要請にも拘わらず取締役を受けなかった。
逆に言えば、社風の違いやサウジイラン問題は、最後のネックではないでしょう。
ましてや、今時、「組合」を作ってはいけないなどいうことは、コンプライアンス的
にも言えないと思います。
 以上を総合すると私の結論は、7月のHPの時とほとんど同じなります。

やはり数百億高いのれん代をかけて子会社にしたのだから、経済原則にのっとり
「対等」は精神的な配慮に留め、創業家の株主割合が下がらない方法なら、
組合問題やサウジ問題は根本原因ではないように思います。昭和シェルを上場
子会社として残し、ブランドも二つ残し、精製と物流のみ共同運用する方法だって
あるはずなので、そこから経営改革してゆくしかないでしょう。